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WILLERの高速バス、好調の背景は3列シート&カノピーやハイウェイパイロットなど“ブランディングの成功”。平山社長に聞いた

2025年12月4日 実施
WILLER EXPRESS株式会社 代表取締役社長 平山幸司氏

 WILLER EXPRESSは12月4日、都内で「2026年戦略説明会」を実施した。説明を行なったのは代表取締役社長の平山幸司氏。

 2025年の同社の高速バス事業は、2024年比で増収増益を記録している。販売席数はコロナ前の2019年比で22%減、2024年比でも6%減となっているものの、乗車率は2019年の79.2%、2024年の85.8%に対して、2025年は87.5%と約9割まで伸びており、繁忙期の3月や8月は9割を超えることもあるという。

 WILLER EXPRESSの高速バスはおおむね40席で、現在は「1便あたり4席くらいしか空いてないイメージ」とのこと。また、全国平均単価は2019年が4848円、2024年は5328円、2025年は5594円と推移しており、座席供給数がコロナ前に比べて2割減ってはいるが、需要と単価の高まりを受けた結果、増収増益を達成することができている(数字はすべて見込み)。

WILLER EXPRESSの増収増益要因

 平山氏はその背景として、宿泊代の高騰から夜行バス(前泊ではなく寝ながら移動)へのシフトが引き続き加速していることを挙げており、さらに顧客構成にも変化が起きているという。

 全体に占めるシェアこそ小さいもののインバウンドの利用が2割増加し、学生だけでなくこれまで夜行バスを敬遠していた可処分所得の多い層の利用拡大も見られる。また、座席空間にゆとりのある「3列シート」や寝顔を隠せる「カノピー(キャノピー)」など、付加価値によるブランディングの成功も利用者の支持を得られた要因と分析している。

 ブランディング、という観点では2024年4月からバス運転手を「ハイウェイパイロット(HWP)」と呼称していることの効果も現われており、実際に新卒の大学生の応募が増加しているという。

 運転手不足は引き続き課題であり、未経験者向けの教育機関「WILLER LABO」を軸にした採用と教育をさらに強化し、2025年2月からは外国人HWPの現地採用活動の開始(ベトナム・フィリピン・ネパール・バングラデシュ・インド)、7月には高卒HWPの求人開始、さらに計画にはなかった大卒HWPの採用強化にも取り組んでいる。

 一方で、未経験者や外国人など多様な人材の受け入れによって品質管理の難易度が上がること、同社の接客・接遇を意識した(ハード×ソフトの)移動サービスという視点だとむしろ経験者が定着しづらいこと、バス・タクシーの乗務員の特定技能実習生はJLPT(日本語能力検定)のN3レベルの合格を求められるにも関わらず、検定が半年に1回しかないといった問題にも直面している。

 そして平山氏の話のなかで興味深かったのが高卒採用の話題で、地方では学校と地元企業の結びつきが強固で、新規参入企業は学校・教師の信頼を得るのが難しく、生徒が就職を希望しても学校が認めないというケースがままあるという。

 この点は地道にSNSでの情報発信など“生徒へのダイレクトマーケティング”を強化していく方針で、大型二種を取得して確実にスキルが身に付く+年収600万円(入社2年目の例)というキャリアパスが知られた結果、大卒応募が増えるという副次的な効果も見られている。ただ、現在はすでに教習所の空きが足りなくなっており、2026年卒は募集を止めたとのこと。同社のLABOでも乗務指導官の育成に力を入れているが、平山氏は「教える人が足りない。喫緊の課題」とした。