ニュース
WILLERの高速バス3列シート、リボーン・ラクシア・コモドに乗ってみた。18席だけのフラグシップは地上を走るビジネスクラス!
2023年7月25日 06:00
東京~大阪の交通手段と言えば、早朝から高頻度の東海道新幹線と、出張族におなじみ羽田~伊丹の航空路線が2大定番だが、高速バスで一晩かけてのんびり行くという選択肢もある。
例えば、東京~大阪の新幹線最終は21時24分発のぞみ265号で、その次は翌朝6時まで便がない。空の便は、伊丹空港の着陸が21時までという運用制限があるため、羽田発19時台とさらに早い。
一方で、夜行バスならバスターミナル東京八重洲を21時55分発(リボーン)、バスタ新宿を24時10分発(コモド)という具合に、「東京発のデッドライン」がかなり遅い時間まである。それでいて朝7時~8時台に大阪へ到着するので、ビジネス利用はもちろん観光目的でも合致するニーズはかなり多いのではないだろうか(注:ダイヤは記事掲載時のもの)。
WILLER EXPRESSの運行する夜行バスは、そんなのんびり移動にちょうどいい3列シート「リボーン」「ラクシア」「コモド」のラインアップを用意している。いずれも座席周辺の空間にゆとりある設計が特徴で、シェル型シートやカーテンで区切ることで、プライベート感の高い移動を実現している。
今回、それぞれのシートに試乗する機会を得たので、その座り心地を紹介したい。
なお、より安価な料金設定で、顔を覆うフード状の装備“カノピー”を備えた4列シート車両の「プライム」と「リラックス」も運行しており、これらについては別記事で紹介している。
シェル型シートのフラグシップ「リボーン」は1台にわずか18席
WILLERの高速バスのフラグシップ「リボーン」は、1台にわずか18席という贅沢なゆとりある作り。特徴的なシェル型シートを採用しており、周囲の視線や光線を遮るほか、騒音の低減にも一役買っている。シート間隔は158cmで、同社の高速バスラインアップのなかでも飛び抜けて広い。
各シートの座面は59cm幅、シェル内は60.6cm幅。最大約155度まで倒せる背もたれに、太ももを支えるレッグレスト付きで、つま先を前席のシェル背面下部に挿し込める構造になっており、しっかり身体を伸ばして休息できる作りだ。座面に余裕があるので、軽く寝返りを打つこともできる。
また、シートには「電動ゆりかごリクライニング」機能を備えており、ボタンを押して有効にすると背もたれ、座面、レッグレストが一体になって動き、さらに「寝た状態」に傾斜がかかる。足は持ち上がり、座面は前にスライド、背もたれは最大角度よりさらに深く倒れる。この仕組みによって、最大約155度というリクライニング角という数字以上にフラットに近い感覚を味わうことができる。このふわふわ浮いているような感じは、確かに電動ゆりかごという名称でしっくりくる。
木目を活かした温もり感のある車内が特徴の「ラクシア」
WILLERの「W」をイメージしたリボンデザインの車体が華やかな印象を与える3列独立シート「ラクシア」は、木目調の床やテーブル、本物の木材を使った肘掛けなど、リビングルームのような落ち着きある内装が特徴の車両。席数は24で、シート間隔は116cm。
シートの座面は51.5cm幅で、肘掛けを含むと57cm。リクライニング角は最大約145度。ラクシアにも電動ゆりかごリクライニング機能があり、有効にするとリボーンほどではないものの、座席全体がスライドしてふわふわと浮き上がったような心地で横になることができる。
周囲との遮蔽はカーテンで行なう。着席時の目の高さは完全に遮られる(保安上の都合で上部はメッシュになっている)ので、完全に1人のプライベート空間になる。メッシュとはいえ天井部までカーテンで覆われるので、考え方によってはリボーンより個室感があると言える。なお、ラクシアは中央席の頭上にも手荷物用の棚を備え付けている。
シート周囲を360度覆うカーテン装備の「コモド」
カノピーを備える「リラックス」シートの一部車両の後部スペースを3列独立シート仕様にしたのが「コモド」。シート間隔は93cmで、席数は8。
シートの座面は55cm幅、肘掛けを含むと56cm幅で、前方席のリラックスの44cm幅(肘あり50cm幅)と比べると、10cm以上のゆとりを確保した。可倒式の肘掛けの下まで座面が広がっているので、少し足を広げてくつろいだ姿勢になったときに違いを感じられる。
シート間の遮蔽はカーテンで行なうが、四方をぐるりと取り囲むように塞ぐ仕様のため、格段に包まれ感がある。天蓋付きベッドのような緩やかな遮蔽感があるので、落ち着きがありつつ息苦しさはないのが特徴だ。
なお、コモドは夜行バスだけでなく、東京・千葉~福島・宮城線、広島~博多・小倉・佐賀線では日中も運行している。