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星野リゾートが下関市と挑む、“脱・日帰り観光スポット”。星野佳路氏「黒船になるより、最初から地域協力するほうが遥かにスムーズ」
2025年6月24日 17:16
- 2025年6月24日 発表
星野リゾートは6月24日、福岡市博多区で「星野リゾート 九州プレス発表会2025」を開催し、代表の星野佳路氏が九州エリアにおける観光・宿泊業の現況について語った。
日本有数の温泉地でもある九州では現在、温泉旅館ブランド「界」を阿蘇・雲仙・霧島・別府・湯布院に5施設、熊本城下町でシティホテル「OMO5熊本」を運営。また、星野リゾートグループが2021年に経営権を取得した「グランドハイアット福岡」が入居する複合商業施設「キャナルシティ博多」の運営にも参画している。
いま新たに手掛けているのが、今冬12月11日の開業を控えるリゾートホテル「リゾナーレ下関」(山口県下関市あるかぽーと4)と、同ホテルが立地する「あるかぽーと・唐戸エリア」の再開発だ。2022年、山口県下関市と締結した「地域活性化に関する連携協定書」において、ホテル運営だけでなくエリア全体の魅力を高めることを目的に、下関市と星野リゾートが一体となり取り組むことを定めた。
同プロジェクトのマスタープランでは、下関を中心とした関門海峡エリアが「日本を代表するウォーターフロントシティ」になることを目指し、“朝から夜まで回遊して楽しめる”港町ならではの観光体験・コンテンツをホテル内外で展開していく。
これまで温泉旅館「界」が中心だった九州・山口エリアに初めて、リゾートホテルブランド「リゾナーレ」が進出することで、これまで“日帰り観光客”が多かった下関市において新たに“宿泊する観光客”の誘致が期待される。
洗練されたデザイン性やその土地ならではのアクティビティで大人から人気を集めるリゾナーレだが、今回開業する「リゾナーレ下関」は目の前に関門海峡の絶景を望むロケーションが最大のウリ。全187室の客室はすべてオーシャンビューであり、リゾートの浜辺をイメージして砂浜を敷き詰めた「海峡カバナスイート」(約53m2、定員4名)をはじめ、最大5名のグループ客や愛犬連れにも対応する9タイプの客室を用意する。
またホテル内には、海の絶景を活かしたインフィニティプールに、ふぐや瓦そばなど九州・山口食材を使ったグルメが味わえるレストラン、総支配人・鈴木良隆氏が“海峡夜景が見られる一等地”と表現するほどロマンチックな空間が広がる「なみなみテラス」を併設するなど、これまでなかった下関ステイを提供する。
アクティビティではホテルを飛び出し、船長の仕事を学びながら関門海峡の航海を体験する「Captain Academy(キャプテンアカデミー)」や早朝の唐戸市場で食べ歩き&ショッピングを楽しむツアーなどを準備中。朝から夜まで“泊まってこそ楽しめるコンテンツ”を盛り込んでいくという。
星野リゾート代表 星野佳路氏は、あるかぽーと・唐戸エリアでの取り組みについて「世界の港湾開発のよい事例をアレンジし、担当者たちと研究・計画を進めてきた。エリアの中核部分にある唐戸市場も改装して進化する予定。水族館などの周辺施設と結んでいくための通路・モビリティも重要であり、まだ開発途中ではあるが今後、この場所が世界のなかでも素晴らしい港湾都市になっていくと確信している」と説明。
また、「関門海峡は1日700隻の大きなタンカーが行き交う要衝で、ここに来てみると普段は見られない大きな船が係留されていて迫力があり、船ファンにとってはたまらない魅力的な場所ではないか」とも語った。
問題点は「日帰り客が多く、宿泊客が少ないこと」であり、これをいかにして「宿泊してもらえるためのコンテンツを作ることが大きなテーマ」だと星野氏。本プロジェクトを進めていくなかですでにさまざまな仕掛けを実行しており、リゾナーレ下関を滞在の起点に「日帰りではなく2泊3日で十分楽しんでいただけるような場所になってきています」と展望を示した。