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松屋の牛めしを「松屋銀座」で? 通常価格の2.6倍「百貨店仕様のプレミアムな牛めし」実食してみた

松屋銀座×松屋の「神戸牛 牛めし」食べてみた

エイプリルフールの「“松屋”が“松屋銀座”乗っ取り」まさかの実現?

「【ご報告】本日、銀座の老舗百貨店「松屋」を乗っ取りました」。2025年4月1日、エイプリルフールの朝に投稿されたSNSでのつぶやきが、おおむね現実となった。

 牛丼チェーン大手「松屋」が、開業100年を迎える百貨店「松屋銀座」を乗っ取り……ではなく、4月9日~15日にコラボレーション出店を行なっている。

松屋銀座、催事場の様子

 今回の“松屋出店”は、同店の地下1階・食品催場で開催しているグルメイベント「肉グルメが大集合!松屋のニク活in GINZA」の一環として実現した。

 同じ会場には「銀座吉澤」「千駄木腰塚」「銀座十石」など肉の名店が立ち並ぶなか、「牛めし」1杯をワンコイン(430円)で出してくれる松屋が肩を並べて出店している……。エイプリルフールの呟きのように屋上の看板が架け替えられたわけではないが、老舗百貨店の地階の一角に掲げられた「みんなの食卓でありたい。松屋」ロゴは、(こういっては何だが)違和感しかない。

今回は2種類の商品を購入した

 もちろん、松屋銀座で提供される牛めしは、通常仕様のものとはまったく違う。それなりの価格で提供される牛めしの味を確かめるべく、松屋銀座・地下1階に向かった。

食べて、眺めて納得! 「松屋銀座の牛めし」「牛めし」違いとは?

「松屋のニク活」開催2日目(4月10日)の時点で、松屋銀座・地下1階は、平日の昼過ぎでも常時10組以上の行列ができていた。お店の方によると、初日はさらに、会場を取り囲むような長蛇の列ができていたという。

 実演販売ブースでは、数えたところ10人ほどの店員の方(いずれも、通常の松屋の店員とのこと)が、手際よく調理を行なっている。今回の商品はすべてテイクアウト仕様なので、持ち帰ったうえで実食してみよう。

神戸牛 牛めし

松屋銀座:1100円
通常店舗(牛めし):430円

左が「神戸牛 牛めし」(1100円)、右が通常店舗の牛めし(430円)
神戸牛 牛めしは、しっかりと焼き上げてから煮ている(店頭で許可を得て撮影)

 通常の「牛めし」がアメリカ・カナダ産の牛肉を使用しているのに対して、松屋銀座の「神戸牛 牛めし」は、国産牛(神戸牛)を使用。さらに、旨味を閉じ込めるためにしっかり焼いたあと、そこから煮るという手間がかかっている。「国産牛」「調理の技・手間」が、価格の違いに現われていると言えるだろう。

 さっそく、通常店舗(松屋 新橋3丁目店)でテイクアウトした「牛めし」と並べて実食! 「神戸牛 牛めし」は、フタを開けたときに拡がる薫りが、一般的なデパ地下(百貨店の地下食品売場)で販売されている上質・高価格な肉系弁当にひけをとらない。

松屋銀座「神戸牛 牛めし」
通常店舗の「牛めし」

 食感や旨味も断然違う。口のなかでスッとなくなるほど柔らかい「牛めし」と違い「神戸牛 牛めし」は何度噛みしめても、脂のジューシーな旨味が消えない。今回のコラボレーションのために開発したというタレもしっかり絡み、食べ進めるほどに「いい肉を食べた!」という満足感を味わえる逸品だ。

 また、付け合わせの紅ショウガ、玉ネギ、米など、普段は脇役に回るような食材まで、ご丁寧にも風味がよい。普段の牛めしと違い、時間をかけてゆっくり味わいたい逸品だ。ただ、柔らかくふわふわな肉の食感が好きな方は、通常の牛めしを好むかもしれないので、双方の食べ比べをお勧めする。

国産黒毛和牛のうまトマハンバーグ

松屋銀座:1300円
通常店舗(うまトマハンバーグ定食):830円 ※2024年7月時点

「国産黒毛和牛のうまトマハンバーグ」(1300円)

 通常の松屋のハンバーグがアメリカ・カナダなどから幅広く材料を調達しているのに対して、松屋銀座の「うまトマハンバーグ」は国産黒毛和牛を使用。さらに、添えられた「マキシマムこいたまご(濃い卵)」の黄身の濃さ・風味のよいこと!

 通常店舗のハンバーグとの違いは、時間が経って冷めても残る、肉そのものの旨味・風味だろう。(直前に牛めし2杯食べているので)3時間おいて食べてみたところ、ハンバーグはしっかり肉汁が閉じ込められ、香ばしい風味もそのまま味わえた。いいハンバーグは、冷めても柔らかくて美味い。

 合わせるソースも違う。ぺーストのような通常のソースに対して、「国産黒毛和牛の~」は、粗みじんに切った玉ネギの食感とトマトの酸味が効いた、シャリアピンソースのような見かけの特製ソースを使用している(食感がおもしろい!)。松屋の方に伺ったところ、「肉の風味・旨味が強いので、合うようにしっかりした味のソースを独自に配合した」そうだ。

 このほか期間中には、松屋銀座で「神戸牛 牛めし大」(1700円)、「雪国育ちの濃厚トンテキ」(1300円)も販売している。

実は「6年越しのコラボ実現」

今回の松屋銀座のイベントでも、広告・露出でメインの扱いを受けている

 百貨店の「松屋銀座」牛丼の「松屋」。コラボレーションとしては以外な組み合わせではあるが、実は2019年からコラボレーションの構想を練っていたという。

 しかし、直後のコロナ禍でいったん断念、今回ようやく今回の出店が実現した。6年越しのコラボレーション実現は感慨もひとしおのようで、催事場にいた関係者の満足げな表情が印象的であった。

 松屋銀座での販売は7日間のみだが、ここまで手間をかけて開発したのであれば、百貨店の催事・実演の目玉として、各地で展開するのもよいかもしれない。ひとまずは、松屋銀座ならではのプレミアムな「神戸牛 牛めし」を食べられるのも、あと数日だ。