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一等地にいきなり10店オープン! 早くも行列のラーメン店「伍福軒」とは何モノ? 背景にちらつく、あのチェーン店の影……
2025年7月25日 17:00
どこも激戦区! 新ブランドのラーメン店「伍福軒」10店同時誕生
ラーメンチェーンと言えば、「丸源ラーメン」「来来亭」「天下一品」など……いずれも創業店からコツコツと勢力を広げていくなか、なんと「10店舗同時、すべて都心の激戦区に出店」というチェーン店が登場した。
その名は「伍福軒」。パッと見た限り、京都でよく見かける「黒醤油系」のラーメンのようで、プレスリリースには「東京背脂黒醤油ラーメン」と記されている。
7月15日~16日に順次オープンして2週間、伍福軒の各店の客足は途絶える気配はない。まずは朝から行列に並び、ラーメンやサイドメニューをしっかり美味しくいただいたので、そのあとで「なぜ10店舗同時オープンが可能だったか」について検証する。
先日まで「○○○○」だった10店。ラーメンは京都系も、ほんのりオリジナリティあり?
今回訪問した伍福軒 川崎店は、1階がカウンター十数席ほど、2階に4人掛けのボックス席が数卓。ほんの数週間前(6月30日閉店)まで「天下一品 川崎店」が入居していたころと、カウンターの広さや店内配置は、ほぼ何も変わっていない。
そのほか、今回オープンした伍福軒は、新宿西口・吉祥寺・田町など10店すべてが、て6月30日まで営業していた天下一品から転換している。数店舗を来訪したり、外からレイアウトをのぞいた限りでは、もはや天下一品時代と違いを見つける方が難しい。
訪問日は数日前まで「オープン記念500円セール」を開催しており、開店間際の到着で5人待ち。あとから来店客が一挙に増え、ほどなく1階席は満杯となった。さっそく、QRコードを読み取って注文だ。
ラーメンのメインは「黒醤油ラーメン」と「背脂黒醤油チャーシューメン」など。これにもう1つの看板商品「黒ヤキメシ」「背脂黒ヤキメシ」が付くと、価格帯としては、ラ―メン・ヤキメシがセットになった「黒ヤキメシ定食」(1050円)がなんとか「ラーメン1000円の壁」前後に踏みとどまっている。
到着したラーメンは、味の深みを決める“かえし”を、兵庫県・龍野の濃口醤油をベースに作っているのだとか。もう1つの看板商品であるヤキメシも醤油を使用し、しっかりと真っ黒く、塩気・旨みがガツンとくる。
そしてテーブルには、たくあん・お酢などの味変グッズも豊富。ラーメン・ヤキメシの黒さと、テーブルのたくあんなど常備物の多さから、「新福菜館」「魁力屋」「第一旭」など、京都発祥の「黒醤油系」を思い浮かべる向きも多いだろう。
ただ、チラシにはあくまでも「東京背脂黒醤油ラーメン」と銘打っており、京都ではあまりない背脂の主張が、なかなかに強い。これは「京都の黒醤油系ラーメン+背脂」という、独自の商品と言えるだろう。ともかく、ビジュアルほどしょっぱさが際立たず、しっかり美味ではあった。
唐揚げ・餃子・煮卵など一品モノもあり、唐揚げは少々コンパクトながら、ニンニクがしっかりと利いて、酒が進む出来栄えであった。どの店も一等地・駅チカでもあり、もう少しアルコール類が充実すれば、「ラーメン屋呑み」にも使えるだろう。
なぜ「10店ほぼ同時オープン」? 実は運営会社が……
さて、なぜ「10店同時オープン」「どの店も都心の超・一等地」なのか?
今回オープンする10店(新宿西口・池袋西口・渋谷・蒲田・目黒・田町・吉祥寺・大宮東口・大船)が、6月30日まで天下一品フランチャイズ店舗であったのは、先に述べたとおり。
一方で、この10店を運営するエムピーキッチンホールディングスは、自社で独自のブランド「三田製麺所」を50店以上も展開しており、天下一品のフランチャイズという“従”としての立場と、三田製麺所の多店舗展開を牽引する“主”としての立場を、同じグループに内包していた。
一般的に、フランチャイズ店舗としてロイヤリティ(手数料)・食材購入などで関係を保つより、自社ブランドで営業した方が利益も出やすいことが想定される。先だって2024年に閉店した五反田・新宿歌舞伎町・多摩ニュータウンなどの天下一品は三田製麺所に転換しており、今回の10店閉店も、そのまま三田製麺所になるのだろう……とは、すんなりといかない理由があった。
各店の立地を見ると、新宿西口・大船・池袋西口の旧・天下一品は、三田製麺所と目と鼻の先に立地し、ほかの店もだいたい徒歩5分圏内にある(おそらく、三田製麺所の出店時に「天下一品が成功しているなら間違いない!」とばかりに、物件を確保したのだろうか……)。これを三田製麺所に転換してしまうと、明らかにバッティングを起こす。
エムピーキッチンはほかにも「渋谷餃子」などのブランドを擁しているが、この好立地を夕方・夜に需要が偏る餃子店に使うのは、もったいなさ過ぎる。10店の再オープンにあたっては、天下一品とも三田製麺所とも似ていない、広い客層を取り込めるラーメンの新ブランド「伍福軒」立ち上げが、どうしても必要だったのだろう。
なお、エムピーキッチンは経営目標として「自社ブランド100店舗展開」「上場」を以前から掲げており、伍福軒も早期にフランチャイズ・多店舗展開に移りたいはず。その先頭を切る10店舗の成功は必須であり、「黒醤油+背脂」の伍福軒が広く人気を獲得できるか……。今後の展開に期待したい。





























