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JAL、2020年3月期決算は減収減益、第4四半期は再上場後初の赤字に。株主優待の期間延長を決定
2020年4月30日 19:17
- 2020年4月30日 発表
JAL(日本航空)は4月30日、2020年3月期(2019年度)の決算を発表。同日、ビデオ会議システムを通じ、JAL 専務執行役員 菊山英樹氏、同 常務執行役員 植田英嗣氏によるオンライン会見を実施した。
2020年3月期の通期成績は、売上高が対前年5.1%減/760億円減の1兆4112億円、営業費用が同5億円減の1兆3105億円、営業利益が対前年42.9%減/755億円減の1006億円、経常利益が同38%減/627億円減の1025億円、当期純利益が同64.5%減/973億円減の534億円となった。
また、第4四半期単独で見ると、売上高は対前年21.3%減/758億円減の2803億円、営業費用は同7.9%/256億円減の2998億円、営業損益は対前年501億円減の195億円の損失、経常損益は同460億円減の192億円の損失、当期純損益は671億円減の229億円の損失となり、再上場後、初めて赤字に転落。
通期の結果を受け、当初予定されていた株主への期末配当を無配当とすることを取締役会で決定。菊山氏は「四半期で赤字に転落したことは、まだまだ努力が足りなかったのではないかと反省しており、特に無配当については慚愧の念に堪えない」と語った。
なお、株主優待割引券についての対応について同日告知され、有効期間が2019年6月1日~2020年5月31日となる2019年5月発行分については、有効期間を2020年11月30日まで延長する。
【お詫びと訂正】初出時、変更後の有効期限に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
事業別では、国際線は第3四半期までも世界経済の減速に伴うビジネス需要減などの傾向が見られたが、第4四半期は新型コロナウイルスの影響が拡大し、各国で入国制限や検疫強化が行なわれるなか、2月は主に東アジア、3月には全世界へ拡大。需要が時間とともに落ち込み、3月だけで国際線旅客が対前年73.8%減、国内線で同57.1%減になったという。
通期の国際線旅客収入は対前年10.3%減の4762億円、旅客数は同9.3%減の827万7000人、座席利用率は同4.2pt減の77.1%となった。このうち第4四半期単独では、旅客収入が対前年33.9%減の840億円、旅客数が対前年33.1%減の150万8000万人、利用率は同15.5pt減の64.4%となった。
国内線では、1月ごろまでは順調に推移したが、日本政府や自治体によるイベントや外出自粛の要請、大型テーマパークの休園、学校の休校といった事態が発生し、3月にはいって需要減の傾向が強まったという。
通期の旅客収入は対前年2.6%減の5146億円、旅客数は同3.1%減の3378万3000人、座席利用率は同2.2pt減の70.3%。第4四半期単独では旅客収入が対前年19.6%減の991億円、旅客数が同20.9%減の665万9000人、利用率は同13.2pt減の58.2%となった。
昨今の情勢を受けて菊山氏は「十分な手元流動性を確保することが重要性を増してくる」とし、バランスシート上の現金/預金は3291億円と、2020年3月期第3四半期末時点よりも増加していることや、第4四半期中に577億円、新年度の4月に追加で465億円の資金調達を実行したことを説明。第1四半期にも金融機関と調整を続け、資金調達についての結果を出したいとした。
資金調達の時期や規模などについては、「この先、需要がどのように戻ってくるか定かには見通せないなかで、複数のシナリオをもって資金調達をしていく」とコメント。一方で、「いまだかつて経験したことのないイベントリスクだと認識している。今後も柔軟な路線/便数の見直し、それに伴う変動費削減をはじめとした全社的なコストマネジメントをよりきちんとやっていく。固定費削減の努力もしていく。併せて、キャッシュマネジメントの観点では投資計画も相応の見直しも行ないたいと考えている」と費用削減に取り組む意向も示した。
このうち、人件費については、教育や整備の見直しなどで従業員は忙しい状態が続いているために一時帰休などは行なっていないと説明したうえで、「どのぐらい続くかというなかで、いろいろなシミュレーションをして、あらゆる可能性については検討していくべきと考えている」とコメントする一方、「雇用を守るのは私どもの経営の最大の原点」との表現で雇用調整は行なわない考えを示した。
このほか、今後受領を予定している機材については、「エアバス A350型機はボーイング 777型機の代替機で、運航効率や環境負荷を踏まえると更新していくことに経済的な合理性がある」とし、今年度の導入は予定どおり行なっていくとした。