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JAL、2019年度第3四半期決算。新型コロナウイルスで中国路線2月分は25%キャンセル発生

2020年1月31日 発表

日本航空株式会社 取締役専務執行役員 財務・経理本部長 菊山英樹氏(左)、執行役員 総務本部長 植田英嗣氏(右)

 JAL(日本航空)は1月31日、2019年度(2020年3月期)第3四半期(2019年10月1日~12月31日)の決算を発表した。説明を行なったのは取締役専務執行役員 財務・経理本部長の菊山英樹氏。

 第3四半期は10月に消費税増税があり、米中の貿易摩擦や国内では台風による欠航が相次ぐなど、菊山氏は「収入の伸びが思うようにいかなかった」と振り返る。そのため国際旅客や貨物収入は減少したものの、国内旅客は堅調で、結果、営業収益は前年同期比0%(1億円減)の1兆1308億円(累計)。2019年2月1日に開設した羽田~マニラ線や3月31日に開設した成田~シアトル線など、供給を拡大したものの、営業収益は前年とほぼイーブンとなった。

 営業費用は同2.6%増(251億円増)の1兆107億円だが、これは来年度(2020年度)の発着枠拡大の先行手当がかなりの部分を占めており、それ以外では供給の拡大に伴う費用の増加にとどまっているという。営業利益は同17.4%減(253億円減)の1201億円、経常利益は同12.1%減(167億円減)の1218億円で、四半期純利益は同28.4%減(302億円減)の763億円となっている。

JALグループ連結業績

 国際線旅客事業については、ASK(有効座席キロ:総座席数と輸送距離の積)はシアトル線の新設などで増えて前年同期比1.4%増となっているが、供給の拡大に対してRPK(有償旅客キロ:有償旅客数と輸送距離の積)は同0.4%増にとどまり、「需要の力強さを欠いている」と菊山氏。単価に踏み込んだレベニューマネジメントも行なったが、有償座席利用率(RPK÷ASK)は同0.8pt減の81.0%、単価は同1.3%減の5万7931円、旅客収入は同2.8%減の3921億円となっている。

 一方、台風19号などで深刻な被害もあったが、エアバス A350-900型機の導入や需要喚起型の個人向け運賃などによって国内線旅客事業は引き続き堅調で、ASKは同1.6%増、RPKは同3.2%増、優勝座席利用率は1.2pt増で、旅客収入は同2.7%増の4154億円となった。

 国際線の旅客収入は第2四半期に続いての前期比割れであり、国際旅客と国際貨物の需要が想定を下回る見込みとなったことから、通期の連結業績予想については営業利益を300億円減の1400億円に下方修正した。同様に経常利益は260億円減の1450億円、当期純利益は210億円減の930億円とする。ただし、株主への配当は1株あたり110円で変えていない。

第3四半期決算について説明する菊山氏

 なお、決算会見を行なったこの日、新型コロナウイルスの影響で外務省が中国全域を危険レベル2に引き上げており、同社でも1月20日ごろからの10日間で中国路線は2月分(2月1日~29日)のキャンセルが25%ほど発生、3月分(3月1日~31日)も20%ほどキャンセルが出ているという。JALの国際線のうち中国路線のシェアは10%くらいで、「中国線については下振れのリスクがあると考えざるを得ない」(菊山氏)としており、路線便数の計画についても機動的に計画していくという。

 今後の状況次第では連結業績のさらなる見直しも否定しなかったが、現時点では「ただちに中国線を止めるといった判断ではない」と言い、コロナウイルスの影響で中国に限らず渡航を控えるようになるといった「消費者マインドの変化を注視したい」とした。