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JAL、1612億円の赤字決算。国内線777退役進め、A350-900導入は計画どおり

2020年10月30日 発表

JALが2020年度(2021年3月期)第2四半期決算を発表した

 JAL(日本航空)は10月30日、2020年度(2021年3月期)第2四半期の決算を発表した。同社は今年度から「国際財務報告基準(IFRS)」を適用しており、前年度実績もIFRSに基づいた値に組み替えている。このため、以前の指標でいう「営業利益」は「EBIT(利払前税引前利益)」に置き換えている。

 新型コロナウイルスの影響を受け、2019年度第4四半期は四半期単独で見ると再上場後初めての赤字転落、2020年度第1四半期は937億円の赤字と続いており、この第2四半期(累計)の純損益は1612億円の赤字となっている。

 事業別に見ると、国内線は7月に需要が回復傾向にあったものの、感染者数の増加を受けて8月の需要が急減、9月中旬以降に再び回復の様子を見せているという。結果、国内旅客数は前年対比76.1%減、国内旅客収入は同75.6%減の696億円になっている。国際旅客数は同97.7%減、国際旅客収入は同96.6%減の91億円。

 一方、乗客を乗せない貨物専用便(ベリー便)を第2四半期中に7228便運航するといった積極運用により、貨物郵便収入は前年対比18.4%増の534億円になっている。

 こうした背景から、グループ連結業績の売上収益は前年同期比5541億円減(74.0%減)の1947億円。EBITは同829億円減で2239億円の損失、純損益は同541億円減で前述のとおり1612億円の損失となり、引き続き「極めて厳しい結果」と評している。

 営業費用については、第1四半期の時点で燃油費など収入・供給連動費用(変動費)から減収額の4割相当額を削減するという目標を掲げており、見込みどおり4割に当たる2178億円を削減している。人件費や広告宣伝費、IT経費(固定費)は、前年対比で341億円減少。固定費は年間で900億円の削減目標としていたが、第2四半期までに640億円の削減ができていることから、目標を1000億円削減に修正するという。投資計画も見直しを図り、年間800億円の抑制から900億円の抑制へと目標を修正する。

 第2四半期末時点の現預金は3466億円。コミットメントライン(設定した期間・貸出極度の範囲内で銀行が融資を約束する仕組み)は11月中に1000億円の増額を予定しており、以前からの500億円、6月末時点の1500億円を加えると、未使用のコミットメントラインは計3000億円を確保している。有利子負債は前年度期末から2237億円増えて5011億円となっているものの、1年内の返済額は509億円(うち航空機リース料は139億円)、自己資本比率は43.6%としている。

 引き続き新型コロナウイルスの収束時期の見通しが立たないことから、2020年度の連結業績予想は困難としつつも、売上収益は5300~6000億円、EBITは3800~3300億円の損失、当期純損益は2700~2400億円の損失と幅を持たせた予測を立てている。

 今後については「財務体質の再構築」「安全・安心の向上」「事業構造の見直し」「社会課題への取り組み加速」の4つの柱を掲げており、特に国際線事業は2020年度末までに国際線のボーイング 777-200ER型機の全11機を退役(うち5機を国内線に転用)、2022年度末までに国内線のボーイング 777の全13機を退役させるとしており、国内線は計画どおりエアバス A350-900型機への置き換えを進めていく。

 また、国際線のボーイング 787型機の一部は、同社の100%子会社のLCCであるZIPAIR(ZIPAIR Tokyo)への転用が決まっており、ZIPAIRでも3~6号機の導入を決めている(内訳は未公開)。