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ハワイ州観光局、CEOインタビュー。ハワイ島は「スローリーにリカバリー」、ANAのA380は「お客さまの評価もよい」

2020年2月18日 インタビュー

左からハワイ州観光局(Hawaii Tourism Authority)副理事 ジョージ・カム氏、日本支局長 ミツエ・ヴァーレイ氏、プレジデント兼CEOのクリス・テイタム氏

 ハワイ州観光局は都内で発表会を開き、7代目親善大使に日本人プロサーファー・五十嵐カノア選手が就任したことなどを発表したが(関連記事「ハワイ州観光局、2020年はサーフィンをテーマに展開。すみれさん・今井翼さんがハワイ愛を語る」)、会の終了後にハワイ州観光局(Hawaii Tourism Authority)プレジデント兼CEOのクリス・テイタム氏と、日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏がインタビューに対応した。

 ちなみに新型コロナウイルスの影響については、中国からの市場はハワイのインバウンドでは1%に満たない市場なので、今のところ心配はしておらず、それ以外の国・エリアからハワイへの渡航についても影響は見られていないという。

島のリソース・環境を守ることは観光デスティネーションとして大変大切なこと

――今日の「サーフィン」をテーマにした発表会でも「レスポンシブルツーリズム」「責任ある旅行」という言葉が多く登場していました。

テイタム氏:ハワイには世界中からたくさんの人が訪れますが、今後もハワイに来ていただくために、地元のリソース・環境を守るための啓蒙活動「レスポンシブルツーリズム」を推進しています。

 ハワイにはたくさんの島があります。その島のリソース・環境を守ることは観光デスティネーションとして大変大切なことですし、環境に関してしっかりフォーカスして、しっかりブランディングしていく必要があり、それを露出してリーチしていきたい。世界の中でハワイがレスポンシブルツーリズムにおいてリードデスティネーションとなれるようにブランディングをしっかりとしていきたいと考えています。

 SNSの普及により、今まで観光客が訪れないような場所にも観光客がたくさん来るようになり、旅行者に事前に知っていただきたいことを伝えるのは大変大切です。

 日本では「Share the Aloha」と呼ぶキャンペーンで、ハワイ特有の文化や習慣を理解いただき、海や山のアクティビティでの注意点、美しい自然を守るために協力いただきたいことを分かりやすく伝えるためのメッセージ動画を「オールハワイ」で公開しているほか、飛行機の機内やホテルなどでも露出していただいてリーチしていきたいです。

 日本はハワイと同じ島国ですし、日本の皆さまは成熟した旅行者です。歴史・文化が深く環境にも敏感な日本の皆さまには、ハワイのリソース・環境を守っていくことにご協力いただきたいですし、それを楽しんでいただければと思っています。

Webサイト: ハワイ州観光局の動画

ヴァーレイ氏:いろいろなチャネルでのアドバタイジングキャンペーン、それを通じてレスポンシブルツーリズムをブランディングしていきたいと考えています。旅行会社の皆さまにもこういったレスポンシブルツーリズムのあり方を知っていただくために、「Share the Aloha」のDVDを配布して、流していただいたり、ホノルルの旅行会社のラウンジでも流していただいています。

 MICE(Meeting、Incentive tour、Convention/Conference、Exhibition)では、レスポンシブルツーリズムの一環としてビーチクリーニングやエナジーサミットといったSDGsにかかわるようないろいろな教材、コンテンツを提供させていただいて、教育旅行につながるように活動しております。

キラウエア火山が噴火したハワイ島はスローリーにリカバリー

――2018年5月にキラウエア火山が噴火したハワイ島の状況はいかがですか。

テイタム氏:ハワイ島の噴火でハワイの旅行業界は大変なダメージを受けました。ですが、ハワイ島は火山だけではないすばらしい島です。ハワイ島には歴史・文化があり、すばらしいビーチと環境があります。ハワイ州観光局でも火山以外のアクティビティ・体験にフォーカスしてプロモーションを行なってきました。ハワイ島全体では、キラウェアの国立公園もありますが、それ以外のアクティビティ含めて、2019年にはかなりリカバリーしています。

ヴァーレイ氏:日本人市場だけで見ますと、2018年と2019年を比較すると1月~5月の噴火前で比較するとマイナス35%でした。しかし、噴火後の5月~12月で比較するとプラス16.5%でした。JAL(日本航空)さんやハワイアン航空さんからも、ロードファクターはかなり安定してきていると伺っています。100%ではないですが、スローリーにリカバリーしています。

 また、ハワイ島はとても大きな島なので、コナとヒロを接続するのは大変重要です。これら両エリアの経験を観光客にご経験いただくために、JTB、近畿日本ツーリスト首都圏、ジャルパック、日本旅行、ANAセールス、東武トップツアーズの6社さまで、ハワイ島を周遊するバスを企画しました(関連記事「JTBら旅行会社6社、ハワイ島で共同バス「コナ ヒロ ゆうらんバス」を運行」)。

旅行会社6社がハワイ島で共同バス「コナ ヒロ ゆうらんバス」を運行。各社のハワイ島旅行商品のオプションとして設定する

ANAのA380はお客さまの評価もよく、ロードファクターも調子がよい

――ANA(全日本空輸)がハワイ路線にエアバス A380型機を2機導入。さらにもう1機の導入も予定していますが。

テイタム氏:新しく導入されたA380はお客さまの評価もよく、ロードファクターも調子がよいとANAさんから伺っています。ハワイ州としては、ANAさんとしかりコミュニケーションをとりながらサポートを強化していきたいです。

ヴァーレイ氏:3機目が7月導入(関連記事「エアバスとANA、オレンジのA380型機をお披露目」)とのお話で、3機がいよいよそろうということで大変エキサイトしています。ファーストクラスがあるということも大きな特徴ですし、そのクラスをご利用されるお客さまもしっかりケアして、新しいプロダクト開発にも注力していきたいです。

ANAのエアバス A380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ:空飛ぶウミガメ)の3号機(2020年1月撮影)