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ハワイ州観光局・ミツエ・ヴァーレイ日本支局長インタビュー。ホテル料金は「ダウンシフトに入った」、ANAのエアバス A380型機導入は「よい相乗効果が起きている」

2019年6月22日~23日 開催

ハワイ州観光局 日本支局長 ミツエ・ヴァーレイ氏

 ハワイ州観光局は、福岡・天神のソラリアプラザで「ハワイエキスポ福岡(Hawai'i Expo 2019)」を6月22日と23日に開催。ANA(全日本空輸)グループ、JAL(日本航空)グループ、JTB、H.I.S.などの企業が、物販・飲食・観光情報など20以上のブースを出展したほか、さまざまなステージイベントやワークショップも実施され、多くの来場者で賑わった。

 イベントを主催したハワイ州観光局のミツエ・ヴァーレイ日本支局長に、ハワイエキスポの狙いやハワイ観光の最新情報など話を聞いたので、本稿でお伝えする。

ハワイエキスポ福岡(Hawai'i Expo 2019)ではハワイ州観光局もブースを出展。「発見ハワイ」という2019年のプロモーションテーマのもとに観光情報を掲載した冊子の配布や、ハワイツアーが当たるキャンペーン(7月31日まで)などのアピールを行なっていた

2020年のハワイエキスポは複数回開催に

 日本で行なわれるハワイ関連のイベントというとフラダンスや物販、デパートのハワイフェアなどが多いが、ハワイ観光にかかわる航空会社、旅行会社、ホテル、アクティビティといった企業・団体と消費者(将来の旅行者)のダイレクトな接点となるデスティネーション・プロモーションとして、2015年から「ハワイエキスポ(Hawai'i Expo)」はスタートした。

 本場ハワイのパフォーマンスやワークショップなどを展開して、来場者に「これぞハワイ」「本物のハワイ」を体験してもらい、ハワイに行きたいと思ってもらう。そして行きたいと思った人にきちんと旅行の相談や疑問に答えてあげられる、それを目的に毎年開催している。

 2015年から2017年までは東京で開催して、累計約4万4000人の来場者を集めた。2018年は会場を北海道に移して「ハワイエキスポ札幌(Hawai'i Expo 2018)」を開催し、1万人以上の来場者があり、出展者・来場者双方とも好評だったという。

 2018年から東京以外での開催を始めたのは「ハワイへの直行便のある都市にしっかりアプローチしていこう」という理由から。福岡はデルタ航空のホノルル線撤退発表前から企画していたものであり、福岡県とハワイ州は1981年から姉妹提携している長年の深いつながりもあっての開催となった。

 また、2020年のハワイエキスポ開催地は未定とのことだが、これまでの年1回開催から、複数回開催を2020年は予定しているという。「これはあくまで例えばですが、3月札幌、5月名古屋、7月大阪、9月福岡、そして東京はオリンピックがあるので秋以降に開催して、キャンペーンもセミナーもインセンティブもイベントも、全部やってしっかり盛り上げるようなことをしていきたいと思っています」と考えを述べた。

ハワイエキスポ福岡は、物販・飲食・観光情報など20以上のブースが展開されたほか、さまざまなステージイベントやワークショップも実施され、多くの来場者で賑わった

ANAのエアバス A380型機導入により「よい相乗効果が起きている」

 ANAのエアバス A380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ:空飛ぶウミガメ)」が5月24日に成田国際空港~ホノルル ダニエル・K・イノウエ国際空港線に就航したが(関連記「いよいよ明日就航。ANAのエアバス A380型機『FLYING HONU(空飛ぶウミガメ)』関連記事まとめ」)、「新しいバズを歓迎」するとしつつ、さらにJALが新たなハワイ関連のサービスを発表したり、バケーションレンタルのHomeAway(ホームアウェイ)と提携したりと、「よい相乗効果が起きている」と評価した。

 日本~ハワイの航空会社の提供座席数は、羽田空港の発着枠の増枠などもあり2020年は確実に増えていくことが予想されており、ハワイ州観光局としてもしっかり予測・対策を行なっていきたいとした。特に東京エリアからの送客が増強されることは、日本各地の地方空港~羽田/成田~オアフ島/ハワイ島という送客戦略が重要になってくることから、地方戦略をしっかり押さえ、グループ需要もしっかりとっていきたいと意欲を見せた。

ANAはエアバス A380型機を5月から導入、さまざまなプロダクト、サービスを展開している
JALも新たなハワイ関連のサービスを発表したり、バケーションレンタルのHomeAwayと提携したりと強化を図っている

ハワイのホテル料金は「ダウンシフトに入った」

 ここ数年ホテル料金が上昇傾向にあったハワイだが、2019年1月からADR(Average Daily Rate:平均客室単価)は減少傾向にあるという。これはアメリカ本土の市場が落ち着いたためであり、「ピークは過ぎた」「ダウンシフトに入った」という。

 ホノルルを擁するオアフ島ではホテルやレストランの新築・リノベーションが続々と続いており、投資に関しては相変わらず活発であり、新しい施設で気持ちよく宿泊、食事できる環境に日々生まれ変わっているとのこと。一方ハワイ島は、火山被害の風評からの回復を見せているものの、「需要と供給の供給が多い状態」ではあるので、「星空や火山はもちろん、それだけではないハワイ島のすばらしさをブランディングしていきたい」と述べた。

2018年10月に新しく「ダイヤモンドヘッドタワー」(右)が完成した「ザ・リッツ・カールトン・レジデンス・ワイキキビーチ」

ハワイの環境を守るための取り組み

 ハワイ州観光局が「重要指針の一つ」として取り組んでいるのが、「レスポンシブルツーリズム」だ。日本の観光業界では「サスティナブルツーリズム」をうたう企業・団体が増えているが、これは「観光地をどうサステインさせていくかがメイン」としているものであり、ハワイ州観光局が考えるレスポンシブルツーリズムは、「観光地を訪れる人たちに、どういうレスポンシビリティを持って旅をしていただくか」に重きを置いているという。

 観光客に向けて例えば「サンゴ礁の上に立ってはいけない」「日焼け止めが2020年から使用の制限が始まる」「野生のカメからは3m以上離れる」といったことを伝える、環境を守るための啓蒙活動に注力している。これらを伝えるためのビデオをANAやJALのハワイ路線の機内で流したり、ハワイ州観光局のデジタルマーケティングでそのメッセージ性を強めたりといった取り組みを進めており、環境を守る団体・プログラムへは、予算を増額して補助金を出しているとのことだ。