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ハワイ州観光局、「ハワイ島サミット」でハワイの新たな魅力をアピール

溶岩や火口の新たな観光商品も

2019年7月18日 開催

「ハワイ島サミット」でのトレードショー会場の様子

 ハワイ州観光局は7月18日(現地時間)、ハワイ島のヒルトン・ワイコロア・ビレッジで日本の旅行会社やエアライン、ハワイ側のサプライヤーを集めたトレードショー「ハワイ島サミット」を開催した。

 日本からの参加者(旅行会社およびエアライン)が24社60名、ハワイ側旅行会社が20名、ハワイ島のサプライヤーが26社46名、ハワイ全島のサプライヤーが41社70名という商談会で、ハワイ島をはじめとするハワイの新たな魅力を日本に伝えようと交流を図りながら意見を交換していた。

ハワイ州観光局はVRゴーグルを使った体験コーナーを用意。日本で開催されるイベントでも積極的に用いていくという

ハワイにとって日本は米国国内に次いで重要な地域

 開会に先立ち行なわれたセミナーでは、日本からのハワイ観光の動向がハワイ州観光局 日本支局 営業部長の酒井剛士氏から説明された。

ハワイ州観光局 日本支局 営業部長の酒井剛士氏

 2018年にハワイを訪れた渡航者数は約995万人で、内訳としては約60%が米国国内だが、その次に大きいのが約16%を占める日本となる。2019年5月までの集計では全体で約416万人、日本は15%となっている。

 島別(2019年5月時点)では、オアフ島が最も大きく、全体で約248万人で、日本が23.92%を占める。これに対し、ハワイ島は全体で約72万人、日本が8.59%、カウアイ島は全体で約55万人、日本は1.87%、マウイ島は全体で約123万人、日本は1.65%とまだまだ低い水準にある。

 日本のマーケットにフォーカスすると、2018年の渡航者数は約157万人で対前年で1%のマイナスとなった。現地でのハリケーンの影響や、日本国内での災害が多く、関西国際空港が1週間ほど閉鎖された影響もあり、伸び悩む結果になったという。

 2019年5月までの集計では、対前年で1.4%増の約62万人で推移しており、ハワイ州観光局では、最終的な目標としていた160万人に対し、158~160万人で落ち着くと見ている。

 直行便の座席数は、2019年は約200万席強となるが、2020年には215~220万席に増加する見込み。なかでも羽田空港の供給量が150%以上になることが予想されており、成田空港を含めた東京発が70%以上を占めることになり、東京発のツアーが飽和状態に至る可能性が高い。このため、地方からの送客強化に力を入れていくという。

 また、ハワイの特徴とされるリピーター率の高さについては、2018年で66.8%と増加傾向が続いており、2019年も増加が予想される。とくに夏と年末年始は約75%がリピーターとなる。

 パッケージ旅行とFIT(Foreign Independent Tour:海外個人旅行)の比率は、FITがじわじわと伸び2018年には41.2%、2019年もその傾向が続き、近い将来には半々になる見通しだという。

直行便の就航により人気が戻りはじめたハワイ島

 ハワイ島でのサミット開催ということで、酒井氏はハワイ島に特化したデータも明らかにした。

 1998年時点でハワイ島への日本からの渡航者数は約31万人だったが、徐々に下がる傾向にあり、2014年に約14万人まで減少。その後、2016年12月からハワイアン航空、2017年にJAL(日本航空)がそれぞれ直行便を就航したこともあり、2018年時点で約17万7000人にまで回復した。

直行便の就航で日本からハワイ島への渡航者が増加

 2019年5月までの近年の月別推移では、2018年に大きく伸び、当初は直行便の座席数増加に伴い約23万人まで増加する見込みだったが、5月にキラウエア火山が噴火した影響で、以降は伸び悩む結果になった。2019年通年では前年並みの約17万人を見込み、2020年には改めて約23万人を目標にするという。

 ハワイ州観光局では、さまざまなプロモーション活動を行なっているが、とくにハワイ島を訴求する内容のものに注力している。360度映像を取り入れた新たなデジタルマーケティングにもチャレンジしている。

 同局では、こうしたプロモーション活動を通じてメディア露出を図っていくほか、エージェントへのサポート強化やオールジャパンでの協業、レンタカーキャンペーンなどでハワイ島への送客を図っていく方針。

 なかでもオールジャパンでの取り組みについては、オアフ島では各社の競争を促す方針だが、隣島については1社だけでは厳しい面もあるため、協業を促していく。

 実際に2019年には同局、JATA(日本旅行業協会)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が共同で星空ツアーを実施することにも取り組んでいる。酒井氏は、まだまだ周知不足という面もあるとしながらも、2020年にはふもとのコハラ・コーストで星空を見られるようなツアーを作り、家族連れが無料で参加できるようなキャンペーンも検討していると語る。

 2018年に実施していたイブニングシャトルは噴火の影響もあり1年で終わってしまったが、カイルア・コナとヒロを結ぶシャトルバスを各社合同で運行できるよう、JATAのハワイ分科会を中心に盛り上げていきたいとしている。

 2020年に向けての強化戦略としては、ハワイ島の復活や地方のファーストタイマーの獲得、サステナブルツーリズムをテーマに掲げている。

ハワイ島の新たな見どころ

 酒井氏は、ハワイ島の直近の動向として、2021年にコナ空港に入国審査エリアが新設され、ハワイ州2つ目の国際空港としての機能が強化されることを紹介。これまでも簡易的な入国審査エリアはあったが、本格的なものに生まれ変わる。

2021年にはコナ空港に入国審査エリアが新設される

 また、噴火によりヒロの近くに新たにできた黒砂海岸となるアイザック・ハレ・ビーチパークを紹介。まだまだ行きにくいところもあるが、近い将来、商品化されて出てくる見込みだという。

 溶岩に飲み込まれた街、レイラニ・エステートも観光スポットとしての商品化が計画されている。2019年下期には何らかのツアーが登場する見込みだという。この地区は元々、噴火すると溶岩が来るというエリアで、それが分かったうえで住んでいる人がいるという場所で、たくさんの家が溶岩に飲み込まれたが死者は出ていない。

 ハワイ火山国立公園については、噴火によりハレマウマウ火口が約500m下に落ちた。以前はトーマス・A・ジャガー博物館から火口の真っ赤な溶岩を見ていたが、火口が大きくなった結果、同博物館が崩壊する可能性があり、立入禁止となっている。このため、現在は少し離れたスチームベントから火口を眺める形になっている。

 MICEについても、ハワイ島に団体を呼び込むことに注力しているという。同局では、ハワイ島に2泊以上する100名以上のツアーについて、100万円までサポートする施策も実施している。

 近年は1000万人近くの観光客がハワイを訪れ、オアフ島は飽和状態になっている。InstagramなどのSNSの影響により、以前は考えられなかったような場所に若い世代が詰めかけるようになったという。同局では、自然の保護はもちろんのこと、地域の住民へ配慮しながら、サステナブルツーリズムとして持続可能な形でハワイを盛り上げていきたいとしている。