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中部国際空港(セントレア)、関係各社が参加して大雪総合対策訓練を実施
開港年と翌年の積雪被害を教訓に実施
(2015/12/7 21:07)
- 2015年12月7日 実施
中部国際空港(セントレア)は12月7日、大雪総合対策訓練を報道陣に公開した。この訓練の目的は積雪時の運航への影響を最小限に食い止め、安全かつ安心な空港運営をするために、関係者による情報伝達や実際の除雪作業までを総合的に慣熟するために行なわれるもの。
中部国際空港にはあまり「雪」のイメージがないが、実は開港した2005年12月22日に5㎝の積雪に見舞われ、226便が欠航する被害を受けている。この時はまだ自前の除雪車を所有しておらず、同じ愛知県内の小牧空港(県営名古屋空港)から手配したものの、到着に時間を要したことも被害が拡大した一因となった。
そこで2006年にスノースイーパー1台、プラウ付き凍結防止剤散布車3台を購入するとともに、民間気象情報会社の活用により大雪対策を強化。万全を期したものの再び5㎝の積雪を記録した同年12月29日には81便が欠航。2008年からは航空会社やハンドリング会社、国を含めた総合的な訓練を毎年行なうようになった。その成果は2014年2月14日の降雪で発揮され、除雪機材による作業の実施により当日が30便、翌日が25便と欠航便を最小限に抑えることに成功している。
こうした背景を受け、今回の訓練には国土交通省中部空港事務所をはじめ中部航空地方気象台、JAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)、ハンドリング会社各社、セントレアグループ各社、航空保安協会から50名あまりが参加。「13時30分過ぎから14時30分前までセントレア周辺で降雪の可能性。雪は集中的に降り5㎝程度の降雪になる見込み。風は北西から25ノット」という想定をベースに訓練が進行した。
総合的な訓練ということで、空港内北側の小型機駐機場において実際の車両を使った除雪作業の訓練が行なわれたほか、非公開だったもののCOC(セントレア・オペレーション・センター)においては雪対策本部の設置や雪対策協議会の開催、各機関との情報伝達といったプログラムも同時に進行。1時間あまりでmすべてのシーケンスを終え訓練は終了した。
訓練後、中部国際空港 常務執行役員 空港運用本部長 舘剛史氏は、「この空港は開港10年。当初はそれほど雪が降らないと思っていたが、開港の年の2005年、2006年には非常に多くの積雪がありましてお客様にご迷惑をおかけした。今後しっかりやって、今年はお客様にご迷惑をかけないようにしたい」と話した。
また、報道陣からの今年は暖冬という予想だがという問いに対しては、セントレアの降雪パターンには「冬型の気圧配置」「春先の南岸低気圧」の2パターンがあると前置きしたうえで、「比較的温かい時期に降る後者のベタ雪も空港に与える影響は冬型の時と変わらない。暖冬だからと言って今年は(対策をしなくても)よいだろうということにはならない。両方にキッチリ対応していく」と万全の体制で臨むことを示唆。「気象状況によっては飛行機の離発着に影響があったり、お客様に館内でしばらくお待ち頂いたりするようなケースも考えられる。そういったいろんな事態に備えて、迅速に関係者が連携して対応できるようにしていきたい」と、訓練を締めくくった。