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ANAなどスターアライアンス各社、成田空港チェックインカウンターを航空会社ごとの並びに
自動手荷物預けも運用開始
2016年8月15日 15:34
- 2016年6月2日 変更
ANA(全日本空輸)は6月2日、成田空港第1ターミナル出発ロビー南ウイングのカウンターレイアウトを刷新。6月30日に運用開始を記念してセレモニーを実施した。
ANAを含むスターアライアンス加盟航空会社は、2006年6月より「Move under Roof」プロジェクトにより成田空港第1ターミナル南ウイング内に集結。それ以来、航空会社に関わらず搭乗クラス別のレイアウトとなっていたが、10周年を迎えるのを機に6月2日より航空会社ごとにチェックインカウンターを配置するレイアウトに変更となった。
新カウンターレイアウト
Aゾーン:ANA、エアージャパン
Bゾーン:ANA、エアージャパン
Cゾーン:ANA、エアージャパン、エチオピア航空、ターキッシュ エアラインズ
Dゾーン:ANA、エアージャパン、ユナイテッド航空
Eゾーン:ユナイテッド航空、オーストリア航空、スイスインターナショナルエアラインズ、ルフトハンザドイツ航空
Fゾーン:シンガポール航空、深セン航空、中国国際航空
Gゾーン:深セン航空、タイ国際航空、エティハド航空
Hゾーン:アシアナ航空
Iゾーン:エア・カナダ、エバー航空、スカンジナビア航空
Jゾーン:ニュージーランド航空、LOT ポーランド航空、ウズベキスタン国営航空、エアプサン、MIAT モンゴル航空
今回のレイアウト変更と同時に、自動チェックイン機も最新型に更新された。従来型から処理速度を向上するとともに預け手荷物のタグ印刷を可能とすることにより、カウンターでの待ち時間の短縮を実現している。これに伴い搭乗時は、まず自動チェックイン機で搭乗券を受け取り、続いて手荷物預けカウンターで受託手荷物を預ける2段階の手続きとなる。
セレモニーにはANA 代表取締役社長 篠辺修氏、スターアライアンス CEO マーク・シュワブ氏、成田国際空港 代表取締役社長 夏目誠氏らが出席した。
主催者を代表して壇上に立った篠辺氏はまず、同社は1996年に成田から初めて国際線を就航、1999年にスターアライアンスに加盟、2006年6月にスターアライアンスの方針に沿って第1ターミナルに移転と、成田空港における経緯を紹介。「10年経ったこのタイミングで、お客さまの利便性向上のために、カウンターレイアウトをリニューアルすることといたしました」と説明した。
続けて同空港は「ANAにとって国際線の海外用ハブ空港である」と同時に、「スターアライアンスにとっても世界に数ある空港のなかでも大変重要な大きなハブの一つ」と説明。同空港の利便性が向上することは、ANAだけでなくスターアライアンスのメンバーにとっても大変重要とコメントした。
また、「ANAは世界で40都市、60路線に就航しており、今年は成田からプノンペン、そしてメキシコシティにも就航する予定」「2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されますので、海外からさらに多くの外国のお客さまが、成田を含めて日本を訪れる」とし、成田をハブとするネットワークをさらに拡充することで、成長戦略の柱となっている国際線事業を強化していくとした。
最後に「成田にたくさん乗り入れております、我々の同胞でありますスターアライアンスメンバーとともにコードシェアを含めた提携をさらに強化しながら、お客さまにとってさらに便利を追求したいと思っております」と挨拶を締めくくった。
続いて登壇したマーク・シュワブ氏は、「Move under Roof」のもと、乗り継ぎの利便性を高めることに注力してきたといい、それにより成田空港はハブ空港として「多くのお客さまに海外からお越しいただいている」とした。だが、この10年の間に多くのスターアライアンスの航空会社が成田空港に路線を開設、ANAをはじめとした各社がサービスの向上に努めてきたものの「キャパシティ一杯一杯という状況」を迎えたと説明。
そこで、ほかのハブ空港がどのようなことをやっているのかを参考に、真新しく刷新したチェックインエリアを完成させた。その特徴は「お客さまがより自分の旅をコントロールできる」=「乗客が自分でチェックインできること」だとし、スターアライアンスが最近公表したグローバルな戦略であるとコメントした。
成田国際空港の夏目氏は「第1ターミナル出発ロビー南ウイングは2006年6月にオープンしてちょうど10年」が経ったと前置きし、「スターアライアンスにとっては“Move under Roof”コンセプトのもと、加盟会社が増加したこともあり、順調に新規就航、増便をしていただいており、スターアライアンス全体で成田空港の航空ネットワークの拡充に寄与していただいていることに感謝する」とコメント。
また、「今回の自動チェックイン機の設置、カウンターの再配置はファストトラベル促進の一環として認識しており、当社としても待ち時間の短縮につながり、お客さまの満足度向上に、大きく寄与すると考えている」と歓迎の意を表わすとともに、案内表示の適正化や改修などで最大限サポートしていく強い協調関係を築いていく考えだとした。
また、成田空港では2015年度の航空旅客数が過去最高の3794万人を記録するなど、訪日外国人旅行者数が増加していると説明。これに対応するためにピーク時間帯の時間値(発着回数)を現在の68回から2018年度末までに72回とするとともに、滑走路の増設など空港機能の強化についても関係者間で議論を進めるなど「航空会社の皆さまにとって使い勝手のよい空港整備を図っていく」とした。
セレモニー終了後、シュワブ氏により今回のリニューアルプロジェクトに関する説明があった。シュワブ氏は、これまではカウンターが搭乗クラスごとになっていたが、加盟航空会社が増えるに連れ、多くの乗客を迎えるようになったと前置き。現在、成田空港においてスターアライアンス加盟の航空会社は18社を数え、エア・インディアを除くすべての会社が第1ターミナルを利用しており、週に1300便(国際線1100、国内線200)が、24カ国61地点(海外52、国内9)に飛び立っている。ハブとしてここまでの成長を遂げただけに「ターミナル運営のあり方を考える段階にきた」と、リニューアルを検討する時期を迎えたことを説明した。
しかし、ターミナルの新設、拡張には非常に大きな投資が必要となるため、効率的な方法について知恵を絞ったといい、この際、大きな助けになったとして2年ほど前に実施したロンドン・ヒースロー空港での事例を紹介。同空港の改修においてチェックインを乗客がコントロールできるようにしたことで、満足度が顕著に向上するとともにスペース効率が20%向上。その後、サンパウロ・グアルーリョス国際空港やロサンゼルス国際空港のトムブラッドレー国際線ターミナルでも実施するなど、同様の改修により成果を上げていた。
こうした事例を踏まえて成田国際空港においても、航空会社ごとにカウンターを設けるレイアウトを採用した。フロアにはセルフサービスのキオスク端末が116基用意されており、スターアライアンスのメンバーであれば、どの端末でも利用できるという。この端末は、これまで使用していた端末と大きく異なり、「お客さまが自分で手荷物のタグを印刷することができる」という。
また、日本発の国際線において自動的に手荷物を預ける機能も今回初めて採用された。この機能は3つの航空会社が実施しており、必要な技術をさらに実施することで、7月半ば頃をメドに順次そのほかの航空会社も実施していく。「お客さま自身が自分でチェックインの体験をコントロールする機会を提供する。列に並ばずに済み、ターミナル間を移動するのも遙かに迅速になる」とシュワブ氏。
こうしたチェックイン機を導入したある航空会社では導入後70%の乗客が端末を使うようになったといい、「ほかの空港で学んだことをなるべく早い段階でほかの空港にも導入したいと思っている。今後も発展していければと思っている」「これは空港にとっても大きなメリットがある。ターミナルを拡張することなく、顧客満足度を上げることができる」と、こうしたスタイルがこれからのスタンダードになっていくとの考えを示した。
実際リニューアル後のフロアを見学したシュワブ氏は「感銘を受け、後押しされた気分になった」とコメント。というのも「お客さまは均等にターミナルに分散しており、行列も短く」なっていること確認したため。「チェックインのプロセスが効率的になり、お客さまは搭乗ゲートに行く前にラウンジやショッピングを楽しむ時間が増え、充実した時間を過ごすことができるようになったと思う」と、確実にリニューアルの成果が現われているとした。