ニュース

日本就航20周年を迎えるエア タヒチ ヌイが、ボーイング 787-9就航やJALとのコードシェア拡大など最新情報を紹介

ボーイング 787-9型機は2019年2月5日に成田就航

2018年11月15日 実施

日本就航20周年となるエア タヒチ ヌイが2018年の最新トピックを紹介

 エア タヒチ ヌイ(Air Tahiti Nui)は11月15日、タヒチ・パペーテにある本社からSenior Vice President Commercial and Marketingのクリストファー・コレンケ(Christopher Korenke)氏が来日したのに合わせ、報道関係者向けに同社の最新情報を紹介する説明会を実施した。

 エア タヒチ ヌイは1996年に設立後、1998年11月22日に成田~パペーテ(タヒチ)線の運航を開始。2018年11月22日で就航20周年を迎える。就航時からエンジン4基を搭載するエアバス A340-300型機を使って運航。日本市場では、2015年12月まではエールフランスが総代理店として営業を行なっていたが、2016年1月にエア タヒチ ヌイの日本支社を設立。日本・アジア地区統括支社長である千野淳氏が当時から運営を担ってきた。

エア タヒチ ヌイ 日本・アジア地区統括支社長 千野淳氏

 日本支社設立の目的の一つがアジア市場の強化にあり、韓国、中国、台湾、香港、シンガポールに総代理店(GSA)を置き、成田経由でタヒチへ行くアジアの旅客獲得に努めてきた。2006年の日本支社設立当初、成田での乗り継ぎ客は3%未満だったが、2017年には28.5%まで成長している。ちなみに、就航後、週3便のうち1便を関空(関西国際空港)を経由するルートで運航していたが、「二国間協定に基づくもので現在は運航していない。関西地区の実績もあまりよくなかった」とし、現在週2便で運航している成田~パペーテ線に注力する方針になっている。

 その成田~パペーテ線は、現在週2便を運航。日本発が火・土曜運航、パペーテ発が月・金曜に運航。エア タヒチ ヌイ運航便は以前よりJAL(日本航空)とコードシェアを実施していたが、2018年の冬期スケジュールからはJAL運航の成田~伊丹/セントレア線、羽田~福岡/新千歳(札幌)線でもコードシェアを開始。日本の国内線をTN便名で購入でき、同社のマイレージプログラムである「クラブティアレ」にマイルを積算可能になった。

 また、2018年には新機材として、同社が「タヒチアン・ドリームライナー」と呼ぶボーイング 787-9型機の導入を開始した。1機目は10月に納入され、先週11月7日に運航を開始。2機目は2019年1月、3機目が2019年5月、最後の4機目が2019年8月に納入される予定だという。

 現在同社はエアバス A340-300型機を5機運用しているが、これらは順次退役。1機目は11月22日に退役し、2019年11月までに5機すべてが退役するスケジュールになっている。1機減となることについては、「実はすべての路線を4機でまかなえる体制で、5機目はチャーター便や、1機がメンテナンスに入ったときなどに使用していた」(千野氏)と、1機減った4機体制で運用をしていく(していける)理由を説明した。

 エア タヒチ ヌイでは、ボーイング 787-9型機の機体デザインや機内設備、アメニティキットなどをエアバス A340-300型機から一新。また、CA(客室乗務員)のユニフォームも、女性CAが着用するミールサービス時のドレスや、男性CAのシャツなどをリニューアルする。

 機体デザインは後方にタトゥーのモチーフをデザイン。タヒチの「タタウ」が語源とされており、フランス領ポリネシア人にとっては重要なものとなっている。そこで、強さや自由、神様のご加護、継続、繁栄といった意味を込めたタトゥーを入れている。

 また、垂直尾翼のロゴマークも新しくなり、モチーフは従来と同じティアレの花だが、少し右を向いたデザインになった。これは、左が過去、右が未来というタイムラインのイメージから、「みんなで未来に向かって歩いて行こう」との思いでデザインされたという。

エア タヒチ ヌイが導入を開始したボーイング 787-9型機の機体デザイン(画像上)と、新しい同社のロゴ(画像下)。機体後方にタトゥーをデザインしたほか、ティアレの花が少し右を向いた新ロゴを採用している(画像提供:エア タヒチ ヌイ)

 機内は、ビジネスクラス30席、プレミアムエコノミー32席、エコノミークラス232席。すべてのシートを刷新し、ビジネスクラスはフルフラット対応となったほか、エア タヒチ ヌイでは初めてプレミアムエコノミーを導入した。

 ちなみに、日本路線では、成田発2019年2月5日~3月23日と、2019年6月5日以降の全便でボーイング 787-9型機を導入。2月~3月についてはプレミアムエコノミーの予約は受けず、当日空港で有料アップグレードを受け付ける体制とし、6月5日以降はプレミアムエコノミー運賃を設定して予約受付を行なう。

 アメニティキットは3クラスすべての旅客に提供。プレミアムエコノミーは複数カラーを用意。ビジネスクラスのアメニティは中身を刷新し、海外ブランド品ではなく、タヒチアンブランドのクリームなどへとリニューアルするという。なお、アメニティキットは11月7日のボーイング 787-9型機の就航と同時にリニューアルされており、エアバス A340-300型機運航の場合もビジネスクラスとエコノミークラスは新しいアメニティに変更されている。

 このほか、ビジネスクラスとプレミアムエコノミーにはAC電源を備えるほか、全クラスにUSB電源を装備するほか、機内インターネットサービスも提供。インターネット接続は有料となるが、ビジネスクラスの搭乗客は10MBまで無料で使用できる。

エア タヒチ ヌイが運航するボーイング 787-9型機のビジネスクラス(画像提供:エア タヒチ ヌイ)
エア タヒチ ヌイが運航するボーイング 787-9型機のプレミアムエコノミー(画像提供:エア タヒチ ヌイ)
エア タヒチ ヌイが運航するボーイング 787-9型機のエコノミークラス(画像提供:エア タヒチ ヌイ)

 ボーイング 787-9型機の導入による新路線の検討についてコレンケ氏は、「フランス領ポリネシアは、ホテルの部屋数が約2800室と少ないという課題がある。座席供給量に見合っていない」とし、「欧米の旅客は半年ぐらい前からホテルを予約し始めるので、日本のお客さまが2~3か月前に予約しようと思っても部屋がないということがよくある。Airbnbでの提供も増えているが、水上バンガローなどへの滞在を目的に訪れる日本人には利用されていない」と、新路線開設にあたっての課題を指摘。

 また、「ネットワークの拡大については、エア タヒチ ヌイの機材で就航するのではなく、他社とのコードシェアやSPA(Special Pro-rate Agreement、特別割引料金契約)の利用がファーストステップ。例えば中国からの旅客はJAL(日本航空)やデルタ航空、中国の航空会社と締結しているSPAのレートで販売し、成田を経由して、エア タヒチ ヌイの運航便でタヒチに行っていただいている」と自社運航の新規路線開設には慎重な姿勢を見せた。

 なお、ホテルの供給部屋数の課題については、現在「タヒチアン・ビレッジ(The Village Tahitien」という複合施設のプロジェクトが進んでおり、ここに1500室を備える宿泊施設も含んでいる。現在、海外からの投資家などを募っている状況とのことで、2021年から2022年の完成を見込んでいるという。

本社移転やJALとのコードシェア拡大など2018年の新たな取り組み

エア タヒチ ヌイ Senior Vice President Commercial and Marketing クリストファー・コレンケ氏

 同社の2018年のトピックとして、パペーテの本社オフィスが移転したことも挙げられた。会社設立からこれまで賃貸のオフィスを利用していたそうだが、空港から徒歩1分ほどの場所に自社ビルを建設。現地時間の11月16日にオープニングが行なわれるという。

11月16日(現地時間)にオープニングを迎えるエア タヒチ ヌイの本社新社屋(画像提供:エア タヒチ ヌイ)

 また、5月にスイスの企業と合弁で「タヒチヌイヘリコプター」を設立。現地ツアーでの遊覧飛行や、チャーターでの島間移動、救急搬送などの事業を手がけている。この設立の背景には、ボラボラ島で運営していたヘリコプター会社が倒産し、タヒチからヘリコプターを運航する会社が失われてしまったことがあるという。

 タヒチヌイヘリコプターではエアバス・ヘリコプターのH125型機を2機、同H135型機を2機の計4機体制が運航。実際に遊覧飛行に試乗したという千野氏は、「私は揺れるのも高いところも苦手なのだが、すごく安定しており、ふわっとする感じもなく、まったく揺れない。高所が怖い人も安心してお乗りいただける。内装もすごく高級感のある装飾になっている」と太鼓判を押している。

 このほか、イースター島路線についても紹介があった。週1便でタヒチ~イースター島経由~サンティアゴ線を運航しているラタム航空と8月28日からコードシェア運航を開始し、日本発イースター島路線の発券も実施。

 一方、日本市場においては、日本支社設立当初にタヒチに渡航する日本人はハネムーン需要が8割ほどを占めていたというが、現在はシニア層が強くなっていることから、この層をターゲットとしたタヒチ~イースター島間のチャーター便の運航を行なっている。日本の旅行会社が販売するもので、成田~タヒチ間は定期便を利用し、タヒチ~イースター島間をチャーター便で移動するものとなる。

 ラタム航空による定期便の利用の場合は、成田~パペーテ線との乗り継ぎの待ち時間が長いほか、週1便の運航なのでイースター島に1週間滞在する必要があるが、チャーター便はタヒチでの乗り継ぎを1時間半程度にし、現地に2泊するという日本人が参加しやすい旅程にしている。

 このイースター島チャーターは人気があるとのことで、2017年は5便、2018年は3便を運航。2018年はボーイング 787-9型機導入に伴うパイロットの機種移行訓練があったため便数を減らしたが、2019年は上半期だけですでに4便の運航が決まっているという。