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キャセイパシフィック航空、エアバス A350-1000型機を関空~香港線で日本初運航。

8月~9月に22往復を同型機で運航

2018年7月17日 運航

キャセイパシフィック航空は日本初となるエアバス A350-1000型機の旅客便を関空~香港線で運航した

 キャセイパシフィック航空は7月17日、関空~香港路線でエアバス A350-1000型機を日本で初めて商用運航した。

 キャセイパシフィック航空のエアバス A350-1000型機は6月19日(現地時間)にエアバス本社のある仏トゥールーズで初号機「B-LXA(登録記号)」を受領。2号機となる「B-LXC(同)」は7月19日に受領し、2018年内に8機、2021年末までに20機の導入を計画している。2016年に導入したエアバス A350-900型機は現在22機を運航。最終的にエアバス A350-1000型機を20機、エアバス A350-900型機を28機導入する予定となっている。

 現在、エアバス A350-1000型機は習熟飛行を兼ねてアジア路線を中心に運航しており、その一環として今回の関空路線でも運行。9月15日から就航する同社最長路線(約1万3121km)の香港~米ワシントンD.C.線に利用する。

 冬期スケジュールからはスペイン・マドリード、イスラエル・テルアビブ、オランダ・アムステルダム、イギリス・マンチェスター、スイス・チューリッヒを結ぶ路線に導入。エアバス A350-1000型機と-900型機は航続距離が変わらないのも特徴となっており、基本的には高需要でエアバス A350-1000型機、長距離でも主要空港以外の路線でA350-900型機を使用するなど、需給バランスに応じて活用する方針としている。

 ちなみに、関空路線は現在1日5往復(台北経由便含む)を運航しているが、エアバス A350-1000型機のレギュラー運航の計画はなく、7月は7月17日のCX594便(関空12時55分着)と、CX595便(関空19時10分発)のみ。8月~9月に計22往復の運航を予定しており、フライト予約画面の機材で「A351」となっている便で同型機を使用する予定だ。

キャセイパシフィック航空の関空~香港線(2018年7月)

CX567便:関空(09時20分)発~香港(12時20分)着、毎日運航
CX503便:関空(10時00分)発~香港(13時00分)着、毎日運航
CX565便:関空(16時20分)発~香港(21時15分)着、毎日運航(※台北経由)
CX595便:関空(16時45分)発~香港(19時45分)着、土曜運航
CX595便:関空(19時10分)発~香港(22時10分)着、日・月・火・水・木・金曜運航
CX507便:関空(18時00分)発~香港(20時55分)着、毎日運航
CX569便:関空(18時50分)発~香港(21時55分)着、毎日運航

CX566便:香港(01時45分)発~関空(06時30分)着、毎日運航
CX596便:香港(07時55分)発~関空(12時55分)着、月・木・金曜運航
CX594便:香港(08時00分)発~関空(12時55分)着、火・水・土・日曜運航
CX564便:香港(08時10分)発~関空(14時50分)着、毎日運航(※台北経由)
CX506便:香港(10時20分)発~関空(15時10分)着、毎日運航
CX568便:香港(11時40分)発~関空(16時35分)着、毎日運航
CX502便:香港(16時35分)発~関空(21時20分)着、毎日運航

【記事訂正:7月18日13時15分】初出時、時刻表に一部誤りがあったため修正しました。

 キャセイパシフィック航空では今回の関空~香港線での運航にあたり、搭乗口に撮影スポットを用意したほか、搭乗客にエアバス A350-1000型機の刺繍が入ったフライトタグを記念品として配布した。

CX594便として到着したエアバス A350-1000型機(手前)。CX564便はエアバス A350-900型機が使用され、両ラインアップが関空で機体を並べた
エアバス A350-1000型機の関空発便となるCX595便の搭乗口では、日本初の同型機運航を記念したフォトスポットを設置
搭乗客には機体が刺繍されたフライトタグをプレゼントした
搭乗口で関西国際空港株式会社よりCX595便の機長と客室の責任者であるインフライト・サービス・マネージャーに花束を贈呈。記念撮影は、左右に関西国際空港スタッフをはさみ、左からキャセイパシフィック航空 大阪旅客営業支店 支店長 兼 西日本統括 廣岡匡紀氏、機長のグレン・デヴォンポート氏、インフライト・サービス・マネージャー ナンジー・ルイ氏、キャセイパシフィック航空 関西国際空港支店 支店長 原田朋彦氏

A350-900型機から54席増。エコノミークラスはシートまわりがマイナーチェンジ

 キャセイパシフィック航空のエアバス A350-1000型機の客室は、ビジネスクラス46席、プレミアムエコノミー32席、エコノミークラス256席の計334席。同社のエアバス A350-900型機に対し、ビジネスクラス8席増、プレミアムエコノミー4席増、エコノミークラス42席増の計54席増となっている。

キャセイパシフィック航空のエアバス A350-1000型機シートマップ(同社Webサイトより)
キャセイパシフィック航空のエアバス A350-900型機シートマップ(同社Webサイトより)

 ビジネスクラスは1-2-1の4アブレストで、いわゆるヘリンボーンと呼ばれる座席を進行方向に対して斜めに配置したレイアウトを採用。エアバス A350-900型機では1~7列目、8~9列目の間にギャレーとドアがあったのに対し、A350-1000型機の場合は最前方のドアと2番目のドアの間に1列目から11列目までがまとめて収まっている。これによりビジネスクラスの空間が非常に広く感じられるとともに、最前方のドアはビジネスクラスの乗客のみが利用し、2番目のドアはプレミアムエコノミー、エコノミーの乗客と分けやすくなっている。

 ちなみに、エアバス A350型機を導入する航空会社のなかには、ビジネスクラスの中央上部にあるオーバーヘッドコンパートメントを省略する例も増えているが、キャセイパシフィック航空は収容力をアピールポイントの1つにしているということもあり、従来どおり両サイド上部と中央上部に設置している。

 同社のエアバス A350-900型機と、シートに大きな違いはなく、18.5インチのシートモニターやオットマン脇の収容ボックス、ヘッドフォン収納スペース内にユニバーサルAC電源とUSB電源、フルフラット時のベッド幅を広げられるアームレストなど、従来の特徴を引き継いでいる。

ビジネスクラス。最前方ドアと2番目のドアの間に全席を設置したことで、広々としている
ビジネスクラスのシート。電動でフルフラット化可能
サイドテーブルの脇にヘッドフォンを収納するスペースがあり、ここにユニバーサルAC電源とUSB電源も備える
アームレストは昇降するほか、その内側にも折りたためるファブリック素材のバーがある。これはフルフラット時にベッド幅を広げることができるもの
ヘッドレスト

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足下には奥行きのあるオットマン
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オットマンの脇にも収納スペース
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シートは電動でフルフラット化可能。操作パネルも直感的なデザイン

テーブルはスライドして収納するもので出し入れに力のいらないシンプルな構造。2段階に広げられる
12.5インチのノートPCをテーブルに置いた様子
シートモニターは18.5インチ
最前方の左右のラバトリーは窓がある

 プレミアムエコノミーは、2-4-2の8アブレスト。中央の4列シートが1列増えて4席増となっている。同社のエアバス A350-900型機と比べてシート自体に大きな違いはない。

 フットレスト、レッグレストを備え、かなり深く傾けられるリクライニングが特徴のシートで、、カクテルテーブルや昇降式のアームレスト、12.1インチのシートモニター、シートモニター下部にあるタブレット/スマホスタンドや小物入れなどの特徴を引き継いでいる。

プレミアムエコノミー
ライフラットとまではいかないが、リクライニング角度はかなり深い
リクライニングやフットレスト、レッグレストは手動。ロックボタンがシート脇にある。ここには機内エンタテイメントシステムのコントローラもあるが、シートモニターのタッチ操作も可能
アームレストは昇降する
ヘッドレスト
ヘッドレストの脇に読書灯を備える
シート間にユニバーサルAC電源とUSB電源
テーブルはアームレストから引き出す。サイドテーブルにはスライド式のカクテルテーブルも備えている
テーブルは2段階に広げられる
12.5インチのノートPCを置いた様子
プレミアムエコノミーのシートモニターは12.1インチ
シートモニターの下にタブレット/スマホスタンドを装備。溝が長いので、12インチ程度までのタブレットを置ける
タブレット/スマホスタンドの下に小物入れを備える

 エコノミークラスは3-3-3の9アブレスト。ギャレーをはさんで2セクションに分かれており、前方エリア、後方エリアがそれぞれ増席されている。

 エコノミークラスは同社のエアバス A350-900型機と比べて違いが目立つエリアで、1つはヘッドレストの形状が大きく変更されている。エアバス A350-900型機は外側から内側に折れ曲がるだけでなく、内側から外側に開くことができる独特の構造になっていたが、エアバス A350-1000型機では外側から内側に数カ所を折れ曲げられる構造となった。この新しいヘッドレストは、頭をよりホールドできるという。

エコノミークラス
後方の一部列を除き、左右と中央のシートをずらして配置している
ヘッドレストは新しい構造のものを採用。内側にのみ折れ曲がるものだが、その柔軟性が高いので、より頭をホールドしやすくなっているという

 また、エアバス A350-900型機と同様にシートモニターのすぐ下に開閉式のタブレット/スマホスタンドを設置しているが、この形状が変更された。具体的には、エアバス A350-900型機では平面の一部に溝が掘られており、そこにタブレットやスマホを立てられる仕組みだったが、エアバス A350-1000型機ではU字型のパーツを持ち上げて、そこにデバイスを立てられるようになった。U字型パーツの左右は開放されているので、デバイスサイズを問わずに立てられるようになった。

シートモニターの下に備えるタブレット/スマホスタンドがマイナーチェンジ
90度起き上がるU字型のパーツが追加され、利用できるデバイスのサイズが広がった
5.5インチのスマホがちょうど収まる幅だが、左右は仕切られていないので、もっと大きなデバイスも立てられる

 さらに、もう1つ変更点がある。最後方部のオーバーヘッドコンパートメントが追加されたことだ。機内最後方の中央上部にはCA(客室乗務員)用のクルーレストエリアがある関係で、エアバス A350-900型機ではオーバーヘッドコンパートメントを設置していなかった。

 対してエアバス A350-1000型機では、その部分だけやや低い位置ではあるもののオーバーヘッドコンパートメントを備えるようになった。収納スペースが増え、特にこの最後方部でオーバーヘッドコンパートメントのスペースが不足した場合、前方へ移動して空いているスペースを探す人と、前方から搭乗している人が交錯する状況が生まれることは想像に難くなく、このエリアの収納スペースが増えるのはスムーズな搭乗に一役買いそうだ。

73列目以降のオーバーヘッドコンパートメントは、クルーレストの真下にあるために少し下がった位置に設置されている。エアバス A350-1000型機では天井が低くなっているエリアが長いこともあってか、収納を設けるという選択をしている

 エコノミークラスの11.1インチのシートモニターや、ユニバーサルAC電源とUSB電源の全席装備などの特徴は継承している。

エコノミークラスのシートモニターは11.1インチ
最前方席のシートモニター
シートモニターの下にUSB電源を備える
ユニバーサルAC電源は足下の膝裏部分に各席1個ずつ(3席につき3個)備える
テーブルは2段階に広げられる。写真右は12.5インチのノートPCを置いた様子

 このほか、機内Wi-Fiインターネットサービスも変更が加えられており、エアバス A350-900型機では1万フィート以上の高度を飛行中に利用可能となっていたが、エアバス A350-1000型機では離陸から着陸まで、つまりより低い高度にある状態でも利用が可能となる。料金はこれまでと同じく、1時間9.95ドル、6時間以下(日本~香港も該当)が12.95ドル、6時間超が19.95ドルとなっている。

関空の4番スポットに駐機して出発を控えるキャセイパシフィック航空のエアバス A350-1000型機
エアバス A350-1000型機のコックピット
機体前方。丸みのあるコックピットの窓はエアバス A350-900型機と同じ
エンジンはロールス・ロイスの「Trent XWB」。-900型機よりも推力の大きい「Trent XWB-97」を搭載する
主翼の形状も見直され、-900型機よりも後縁を伸ばすことでより低い速度で着陸態勢に入れるようにしている
メインギアを6輪にしているのも大きな特徴。-900型機は4輪
ノーズギア
前方カーゴスペース