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キャセイパシフィック航空が運航開始したエアバス A350-900型機の客室
機内インターネットサービスは日本~香港フルフライトで12.95ドル
2016年6月2日 00:15
- 2016年5月30日 実施
- 2016年6月1日 就航
キャセイパシフィック航空は6月1日の香港~マニラ線からエアバス A350型機の初号機を運航開始した。5月30日には初号機導入を記念したセレモニーを香港国際空港に隣接する格納庫で実施したことは既報のとおりだ。同セレモニーに際して公開された同機の客室や機内サービスなどについて紹介する。
報道関係者向けのブリーフィングでは、キャセイパシフィック航空 General Manager ProductのLeslie Lu氏がA350-900型機で提供するサービスについて説明。まずは既報のとおり2016~2017年に22機のA350-900型機、2018~2020年に26機のA350-1000型機を導入することを改めて説明。加えて、初期には習熟を兼ねて近距離のリージョナルエリアで運用したあと、2機目以降の導入機で長距離便に投入することを発表。2016年中に9月2日に就航する香港~ガトウィック(イギリス・ロンドン)線や、香港~デュッセルドルフ(ドイツ)線への投入が明らかにされた。
導入されたA350-900型機は280席仕様で、前方よりビジネスクラス38席、プレミアムエコノミー28席、エコノミークラス214席を装備。2015年より、旅の充実がよい人生にとって重要なことの1つというコンセプトで展開している「LIFE WELL TRAVELLED」に基づいたもの。快適な睡眠ができる環境、優れたエンタテイメントを整えることで、仕事やリラックスできる環境を提供するものであるとした。
また、同機はキャセイパシフィック航空として初めて導入する機内Wi-Fiインターネットサービスを提供する機材となる。システムはパナソニック・アビオニクス製で、航空会社が提供するポータルサイトやインターネット接続が可能。ポータルサイトではフライトマップや機内販売カタログなどを利用できる。なお、他社航空会社で導入されているものと同様に、高度1万フィート以上でサービスが提供される。
料金は1時間利用とフライト全航程の2段階。1時間の利用は9.95ドル(約1095円、1ドル=110円換算)。全航程利用時の料金は路線のフライト時間によって異なり、6時間以下の短距離フライト全航程の利用が12.95ドル(約1430円)、6時間を超える長距離フライト全航程の利用が14.95ドル(約2200円)。支払いは各種クレジットカードを利用できる。1度の支払いで複数の機器を使用することは認められるが、同時には利用できるのは1台となる。
また、SMSの送受信が可能になるモバイルローミングサービスの提供も2016年中盤以降に予定されている。
機内エンタテイメントシステムも刷新。画面の左端に各種サービスへアクセスできるメニューを用意するほか、右上部分に輝度調整やCAコール、設定などへアクセスできるアイコンを配置する。
サービスは映画、音楽、電子書籍、ゲーム、機内販売といった従来のものに加え、BBC、CNN、Euronewsのテレビ放送をリアルタイムに視聴できる「サテライトTV」、フライト中にも更新される香港や中国の最新のローカルニュースを閲覧できる「ライブテキストニュース」も提供する。
客室
客室の各座席の仕様は、キャセイパシフィック航空の従来の最新客室仕様であるボーイング 777-300ERに採用されているものに近いが、シートモニターの画面サイズやシートピッチの拡大など、細かなアップデートがなされている。ビジネスクラス、プレミアムエコノミーは機内デザインはStudio F. A. Porscheによるもの。
ビジネスクラス
ビジネスクラスは、1-2-1の4アブレストで38席。全席が通路側の座席配列となる。いわゆる「ヘリンボーン」と呼ばれる進行方向に対して座席を斜めにレイアウトしたスタイルは、同社の従来のビジネスクラスを踏襲している。
ただし、ボーイング 777-300ER型機で採用していたものに比べてシートピッチを2インチ拡大して45インチに拡大し、ベッドの長さ(75インチ)はそのままに、通常座席として使用しているときの足元の空間を拡げた。また、従来から搭載している昇降式のアームレストの内側に、収納可能なアームレストを装備したことで、フルフラット時のベッド幅を拡げている。
シート操作のスイッチは、リクライニング、座面の移動、フットレストそれぞれの形のスイッチを操作する直感的なもの。このあたりはボーイング 777-300ER型機のシートを踏襲している。
シートモニターの画面サイズが15.4インチから18.5インチに拡大。ボーイング 777-300型機ではモニターの手前側を支点として、いわゆる片持ちの状態でシートモニターを展開していたが、A350-900型機ではシートモニターの背面に支点を持つ構造になった。これにより、タッチ操作時に画面のグラつきが抑えられている。
ハンドセットはスマホのような4.5インチの画面を持つもので、機内エンタメシステムの操作のほか、ウェイクアップコール(目覚まし)の設定機能などを装備。特に目覚まし機能は、時刻の指定ではなく、食事の時や着陸前など、フライト中のスケジュールに合わせて、どこで起こしてほしいかを選択しておけるのが便利だ。
収納は伸縮するアームレストの内側、足元、サイドテーブルの上部にあるヘッドセットなどを入れる扉内収納の3カ所が主なところ。足元の収納は広くなったが、ボーイング 777-300型機のビジネスクラスではアームレスト下にあったシューケースがなくなっており(上述したフルフラット時用のアームレストのためと思われる)、この足元の収納またはフットレスト下のスペースで代替することになる。
電源などもレイアウトが変更されており、ヘッドセットが収納されている扉のなかに備えるようになった。110V/60Hz出力のユニバーサルACコンセントと、USBポートが用意されている。
プレミアムエコノミークラス
プレミアムエコノミーは、2-4-2の8アブレストで28席を備える。ボーイング 777-300ERの仕様からシートピッチを2インチ延長し、40インチピッチとすることで全席でレッグレストを最大限に延ばしてリラックスできる設計にしたという。ただしシート幅は19.3インチから18.5インチへと狭くなっている。
シートモニターも12.1インチへ大型化。さらにシートモニターの下に小物入れやスマホ/タブレットスタンドを装備したのも大きな特徴。スマホ/タブレットスタンドの存在で、例えばこれらのデバイスで映画を見ながら食事をとれるなどのメリットを挙げている。
電源は全席にユニバーサルACアダプタとUSBポートを装備。いずれも座席側に装備しており、USBケーブルを接続したままスマホ/タブレットスタンドを使う場合は、長めのケーブルが必要になる点には注意が必要そうだ。
エコノミークラス
エコノミークラスは3-3-3の9アブレストで214席を備える。シートピッチは32インチで、シート幅は18インチ。11インチのシートモニターを備える。
プレミアムエコノミー同様に、上部にスマホ/タブレットスタンドを装備。その内側にも小物入れを備えており、ある程度、上部に物を逃がせるのは意味がありそうだ。電源はシートモニターの下部にUSBを備えるほか、シートの足元にユニバーサルACコンセントを全席1個ずつ装備している。
ヘッドレストも特徴。左右を手前に折り曲げる、上下にスライドのほかに、左右パーツを内側から外側に開き、広い範囲で頭部をホールドできる仕組みになっっている。