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NEXCO東日本、2017年度決算会見。1兆564億円の営業収益も大雪などで民営化後初の営業損失1億円

千葉外環全通などで2018年度の営業収益は2倍以上を見込む

2018年6月8日 発表

NEXCO東日本は東京・霞が関の本社で記者会見を開き、平成29年度(2017年度)決算について説明した

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は6月8日、東京・霞が関の本社で記者会見を開き、取締役兼常務執行役員 総務・経理本部長の荒川真氏と、経理財務部長の鈴木啓之氏が、平成29年度(2017年度)決算について説明した。

 高速道路事業は料金収入の増加や新規開通による道路資産完成高の増加により、営業収益は前年度比で210億円増の9755億円。営業費用は道路資産賃借料が増加したこと、1月の関東甲信越地方、2月の日本海側の大雪で道路の凍結防止・除雪作業などの雪氷対策費用が増加したことで管理費用などが増加したため、409億円増の9783億円となり、結果、高速道路事業は27億円の営業損失(前年度は171億円の営業利益)となった。

 関連事業を含めた全事業で1億円の営業損失(2016年度は190億円の営業利益)で、連結の全事業で営業損失を計上したのは2005年の民営化以降初めてのこととなる。

 一方で 親会社株主に帰属する当期純利益は、2017年度に建設関係厚生年金基金の国に対する代行返上手続きがあり、代行返上益として281億円を特別利益に計上したことなどにより、208億円(前年度は242億円)の当期純利益がでている(増収減益)。

NEXCO東日本の平成29年度(2017年度)決算概要

NEXCO東日本の高速道路事業の営業状況

 高速道路事業は、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)境古河IC(インターチェンジ)~つくば中央IC(延長約28.5km)が2017年2月26日に開通(関連記事「祝! 圏央道 境古河IC~つくば中央IC開通。東名高速から東関道まで6つの高速道路を接続」)、東関東自動車道 鉾田IC~茨城空港北IC(延長約8.8km)が2018年2月3日に開通(関連記事「茨城空港へのアクセス向上。東関道 鉾田IC~茨城空港北IC間の開通式典/セレモニー実施」)したことなどにより、通行台数は前年度比0.9%増の288万台/日となり、料金収入は150億円増の8376億円となった。

 道路資産完成高は上記の新規開通や、リニューアルプロジェクトにおける札樽自動車道 朝里(あさり)IC~銭函(ぜにばこ)IC間(上り)や東北自動車道 福島西IC~福島飯坂IC(下り)間など8橋の床板取替工事などを行ない、63億円増の1293億円となった。

2月3日に開通した東関東自動車道 鉾田IC~茨城空港北IC(延長約8.8km)

 営業費用は、「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構」に対する道路資産賃借料が、220億円増の6018億円、道路資産完成原価は道路資産完成高と同額を計上している。管理費用等は、道路の凍結防止・除雪などの雪氷対策費用が増えたため、125億円増の2471億円となった。雪氷対策費用は2012年度が143億円、2013年度が160億円、2014年度が171億円、2015年度が152億円、2016年度が178億円と推移しており、2017年度が224億円と大雪への対応に特に費用がかかってしまった。これらの結果、高速道路事業は2016年度の171億円の営業利益から、2017年度は27億円の営業損失となった。雪氷対策費用が前年度から約46億円増えており、営業損失の主な理由として「異常な首都圏への大雪、新潟を中心とした大雪の影響が大きかった」と振り返った。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 総務・経理本部長 荒川真氏

NEXCO東日本の関連事業の営業状況

 関連事業では、SA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)の飲食・物販店舗売上高が、下半期の台風や大雪など天候不順の影響で、前年度比1.5%減の1016億円で、SA・PA事業営業収益は3億円減の416億円。営業費用は店舗売上高の減などによる売上原価の減、販売促進費などの減により、6億円減の392億円。以上により、SA・PA事業営業利益は3億円増の24億円。関連事業全体の営業利益は6億円増の25億円となった。

東日本高速道路株式会社 総務・経理本部 経理財務部長 鈴木啓之氏

NEXCO東日本の2018年度計画は「道路資産完成高」が約12倍

 平成30年度(2018年度)計画での大きなポイントは、営業収益の「道路資産完成高」が、2017年度の1293億円から12倍近い1兆5159億円になること。これには6月2日に開通したばかりの外環道 三郷南IC~高谷JCT(ジャンクション)や、今後開通予定の、札樽自動車道へ接続する北海道横断自動車道 余市IC~小樽JCT(延長約23.4km)、東北自動車道とのダブルネットワーク化を図る東北中央自動車道 南陽高畠IC~山形上山IC(延長約24.4km)などが含まれている。内訳は外環道千葉区間が約7200億円、北海道横断道と東北中央道がそれぞれ約1200億円ずつ、そのほか拡幅や維持修繕関係などで約5000億円となっている。

 外環道千葉区間については、経理部門でも従来の資金調達は5年ものの社債を中心に発行してきたが、外環同区間の供用開始が具体的に見えてきたところで、資金コストを抑えるために2年債など短期社債を多く発行し、コストを抑えることに貢献できたのではと振り返った。そして「道路は『つながってなんぼ』というところがありますので、最近の好例として圏央道の茨城区間が全通したことで交通量が飛躍的に伸びまして、150億円の料金収入の増加がありました。ネットワーク効果が大きいので、外環同区間がつながることで交通量の増加、料金収入の増加につながっていくのではと考えています」と開通後の影響に期待を寄せた。

6月2日に開通した外環道 三郷南IC~高谷JCT