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「第13回ACIアジア太平洋地域総会」ブースレポート。NECやパナソニックの顔認証ゲートなど展示
2018年4月24日 22:04
- 2018年4月23日~25日 開催
世界各国の国際空港の運営・管理者による団体「国際空港評議会(ACI:Airports Council International)」は、4月23日から25日にかけて東京ベイ幕張ホール(千葉県千葉市)で「第13回ACIアジア太平洋地域総会」を開催している。業界の最新動向や課題、展望などが議論される場で、プログラムは基調講演やパネルディスカッションが中心だが、会議場に隣接するスペースでは空港の管理運営に関連する複数の企業がブースを出展している。
今回のホスト空港を務めたNAA(成田国際空港)は、レーザースキャナで三次元マッピングを行なえるSEQSENSEの自律移動警備ロボットを展示。スキャナが検出した動体をリアルタイムに可視化するデモンストレーションを行なっていた。また、ブース付近では自律走行するデジタルサイネージロボットが巡回していた(関連記事「成田空港の出発ロビーでデジタルサイネージを搭載したロボットが自律走行」)。
今回最大規模のブースを展開していたのはNEC(日本電気)で、基調講演で代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆氏がアピールした顔認証技術を中心に展示している。
会場では実際にデモンストレーションを体験することが可能で、架空の搭乗券とパスポートを使ってチェックイン端末で利用者の顔を撮影すると、デジタルサイネージ付近では搭乗ゲートまでの経路やターゲティング広告(デモではゴルフだった)が自動的に表示され、出入国審査を模したゲート付近では顔がカメラと正対していなくても扉が開く。これら一連の動作が非常に高速で、こちらの撮影が追い付かないほどだった。基調講演では、「周辺環境がよければ顔認識率は99.2%」と述べており、その認識精度と速度を体感できるブースになっている。
パナソニックは以前本誌でも取り上げた「顔認証ゲート」を紹介するほか(関連記事「パナソニック、羽田空港に設置された顔認証ゲートを解説」)、タブレット型の多言語音声翻訳サービス「対面ホンヤク」と、拡声器形の「メガホンヤク」の実機を展示。
前者は2017年11月に提供が始まったもので、あらかじめ登録された定型文のほか、クラウドの音声認識/翻訳エンジンによって日本語から英語、中国語(繁体/簡体)、韓国語、タイ語に音声とテキストで翻訳、タブレット上に表示できる。Web/地図/画像検索結果と重ね合わせた表示も可能で、利用者が向かい合って使えるように画面構成も工夫してある。クラウドのエンジンは、パナソニック製とNICT(情報通信研究機構)製を組み合わせて利用しているという。後者は、2016年11月から提供しているもので、一般的な拡声器として使えるほか、日本語音声を認識して登録済みパターンに近い定型文を英語、中国語、韓国語で拡声。イベントや災害時の誘導や避難での利用を想定している。
エジソンハードウェアは多言語翻訳ソリューションの「MegaSpeak」を展示。拡声器タイプのものはオフラインで利用でき、空港や駅などの「場所」と、来店案内や災害発生などの「状況」別で、登録済みの定型文を日本語、英語、中国語、韓国語で繰り返し放送できる。アプリタイプのものは、タブレットを使った対面の案内や館内放送などに使えるほか、ヤマハのスマートフォンアプリ「おもてなしガイド」で定型文を聞き取ると、設定した言語でアナウンスをテキスト表示するという連携を行なっている。例えば、日英中韓の順で定型アナウンスが流れている際、母国語以外を理解できないと母国語が流れるまで待たなければならないが、アプリに聞かせれば即座に内容を理解することができる。
そのほか、ANA(全日本空輸)やJAL(日本航空)のブース、空港などに納入されるロビーチェアのブース、利用者自身で手荷物を預け入れるセルフバッグドロップ機のブースなど、空港にまつわるさまざまなブースが出展している。