ニュース

「第13回ACIアジア太平洋地域総会」ブースレポート。NECやパナソニックの顔認証ゲートなど展示

2018年4月23日~25日 開催

国際空港評議会が「第13回ACIアジア太平洋地域総会」を開催している

 世界各国の国際空港の運営・管理者による団体「国際空港評議会(ACI:Airports Council International)」は、4月23日から25日にかけて東京ベイ幕張ホール(千葉県千葉市)で「第13回ACIアジア太平洋地域総会」を開催している。業界の最新動向や課題、展望などが議論される場で、プログラムは基調講演やパネルディスカッションが中心だが、会議場に隣接するスペースでは空港の管理運営に関連する複数の企業がブースを出展している。

 今回のホスト空港を務めたNAA(成田国際空港)は、レーザースキャナで三次元マッピングを行なえるSEQSENSEの自律移動警備ロボットを展示。スキャナが検出した動体をリアルタイムに可視化するデモンストレーションを行なっていた。また、ブース付近では自律走行するデジタルサイネージロボットが巡回していた(関連記事「成田空港の出発ロビーでデジタルサイネージを搭載したロボットが自律走行」)。

SEQSENSEのロボットを展示
頭部の黒い部分が回転してスキャンしている
検出した結果をモニターにリアルタイム表示していた
自律移動するデジタルサイネージロボットは動作展示
NAAのブースでNTT東日本がコミュニケーションロボットを展示していた

 今回最大規模のブースを展開していたのはNEC(日本電気)で、基調講演で代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆氏がアピールした顔認証技術を中心に展示している。

 会場では実際にデモンストレーションを体験することが可能で、架空の搭乗券とパスポートを使ってチェックイン端末で利用者の顔を撮影すると、デジタルサイネージ付近では搭乗ゲートまでの経路やターゲティング広告(デモではゴルフだった)が自動的に表示され、出入国審査を模したゲート付近では顔がカメラと正対していなくても扉が開く。これら一連の動作が非常に高速で、こちらの撮影が追い付かないほどだった。基調講演では、「周辺環境がよければ顔認識率は99.2%」と述べており、その認識精度と速度を体感できるブースになっている。

架空のパスポートと搭乗券をスキャン
カメラで利用者の顔を登録。うつむき気味になってしまったが、問題ないという
デジタルサイネージに近づくと顔を認識して搭乗ゲートまで案内してくれる
出入国審査ゲートはかなり手前で認識が終わって扉が開いた
搭乗ゲートに設置する端末。こちらは速過ぎて撮影が追い付かないほど
不審物や不審者、立ち入り制限区画への侵入などを検知するシステムも展示している

 パナソニックは以前本誌でも取り上げた「顔認証ゲート」を紹介するほか(関連記事「パナソニック、羽田空港に設置された顔認証ゲートを解説」)、タブレット型の多言語音声翻訳サービス「対面ホンヤク」と、拡声器形の「メガホンヤク」の実機を展示。

 前者は2017年11月に提供が始まったもので、あらかじめ登録された定型文のほか、クラウドの音声認識/翻訳エンジンによって日本語から英語、中国語(繁体/簡体)、韓国語、タイ語に音声とテキストで翻訳、タブレット上に表示できる。Web/地図/画像検索結果と重ね合わせた表示も可能で、利用者が向かい合って使えるように画面構成も工夫してある。クラウドのエンジンは、パナソニック製とNICT(情報通信研究機構)製を組み合わせて利用しているという。後者は、2016年11月から提供しているもので、一般的な拡声器として使えるほか、日本語音声を認識して登録済みパターンに近い定型文を英語、中国語、韓国語で拡声。イベントや災害時の誘導や避難での利用を想定している。

パナソニックのブース
対面ホンヤク。スピーカー内蔵のマイク2基とタブレットが組み合わされている
メガホンヤク

 エジソンハードウェアは多言語翻訳ソリューションの「MegaSpeak」を展示。拡声器タイプのものはオフラインで利用でき、空港や駅などの「場所」と、来店案内や災害発生などの「状況」別で、登録済みの定型文を日本語、英語、中国語、韓国語で繰り返し放送できる。アプリタイプのものは、タブレットを使った対面の案内や館内放送などに使えるほか、ヤマハのスマートフォンアプリ「おもてなしガイド」で定型文を聞き取ると、設定した言語でアナウンスをテキスト表示するという連携を行なっている。例えば、日英中韓の順で定型アナウンスが流れている際、母国語以外を理解できないと母国語が流れるまで待たなければならないが、アプリに聞かせれば即座に内容を理解することができる。

エジソンハードウェアのブース
MegaSpeakのアプリ版と拡声器タイプ

 そのほか、ANA(全日本空輸)やJAL(日本航空)のブース、空港などに納入されるロビーチェアのブース、利用者自身で手荷物を預け入れるセルフバッグドロップ機のブースなど、空港にまつわるさまざまなブースが出展している。

ANA(全日本空輸)のブースでは訪日外国人向けに国内線が5400円/7560円/1万800円になる「Experience Japan Fare」や、4月から始まった機内Wi-Fi無料サービスなどを紹介している
JAL(日本航空)のブースでも同じく訪日外国人向け料金「Japan Explorer Pass」を紹介
オフィスファニチャーなどで知られるオカムラは、空港などに納入するロビーチェアの新型を展示
シート部分を発泡ウレタン素材とすることで、表地が破れたり芯材が飛び出したりしない
横になって利用できるタイプも
空港のシートを専門に手掛けるZoeftigのブース
3M(スリーエム ジャパン)は飛行機のラッピングのほか、施設の内外装に施すラッピングのイメージを展示
上空ではわずかな気泡も許されないため、ラッピングには細かな穴が空いているという
ダイフクはセルフバッグドロップ機を展示
Innovative Travel SolutionsとGlidepathによるセルフバッグドロップ機「CHECKiTXPRESS」
ICM Airport Technicsのセルフバッグドロップ機
Rockwell Collinsのセルフバッグドロップソリューション
Wanzlのカート(トロリー)。国内主要空港でも使われている
成田で実証実験も行なわれたAnalogicのCT型検査機「ConneCT」(関連記事「ノートPCを出さずに保安検査。成田空港でCT型手荷物検査機の実証実験開始」)
三菱電機のドップラーライダ(風速計測器)のブース
旅客サービスシステムで大きなシェアを持つアマデウス(Amadeus)のブース
空港内などでの物流を手掛けるVanderlande Industriesのブース
空港などで両替を行なうGlobal Exchangeのブース
変わったところではサンドウィッチのサブウェイもブースを出展
外国からの来場者向けにお茶を点てるスペースもある