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ジェムアルト、パスポートリーダーや顔認証システムなどの事業を説明。フランスやイギリスなど世界シェア60%

2018年9月7日 実施

ジェムアルトが顔認証やパスポートリーダーなどについて説明した

 ジェムアルトは9月7日、都内で説明会を開催し、ジェムアルトの公共事業本部による、顔認証システムやパスポートリーダーなどのセキュリティ分野への取り組みについて説明した。

 ジェムアルト 公共事業本部 本部長の酒匂潔氏によると、ジェムアルト公共事業本部が取り組む事業としては、パスポートや免許証の登録・発行システム、入出国管理システムなどを扱う「セキュアドキュメント事業」、指紋、虹彩、顔認証を組み合わせた生体認証デバイス、ソフトウェア、システムを提供する「生体認証ソリューション事業」、パスポートリーダーを中心とした「ドキュメントリーダーソリューション事業」、クルマのパーツ向け盗難防止用シールを中心とした「セキュアマテリアルソリューション事業」の4事業が柱になっているという。このうち、特に力を入れているのが生体認証ソリューションとドキュメントリーダーソリューションとし、それぞれの分野での事業展開や強みを説明した。

パスポートリーダーは世界トップシェア

 ドキュメントリーダーソリューション事業では、パスポートリーダーやパスポート発行システムを展開している。ジェムアルトのパスポートリーダーは、世界各地の空港などでの入国管理業務、免税店、ホテルなどで広く利用されており、世界シェアは60%とNo. 1の実績があるという。国内でも、ホテル向けや大手家電量販店での訪日外国人観光客対応用途などで広く利用されているとのこと。また、国内のパスポート交付システムについてもシェアNo. 1を獲得しているという。

 ジェムアルトのパスポートリーダーの利点は、世界各国のパスポートとの親和性の高さと、読み取り速度の速さにあると酒匂氏は指摘する。ジェムアルトは、フランスやイギリスなど世界40か国以上のパスポート制作に関与しており、パスポートの仕組みについて多数の技術や特許を有している。その技術や特許を背景に、世界各国のパスポートと非常に親和性が高く、安定して高速にパスポート情報を読み取れるパスポートリーダーが提供できているという。具体的にどこで利用されているかは、守秘義務もあり多くは公表できないとのことだが、例えば国内自治体のパスポート交付窓口にある確認用のパスポートリーダーは、ほぼすべてがジェムアルト製のものだそうだ。

 パスポートリーダーで読み取れる情報には、記載されている文字や顔写真のほか、「MRZ(Machine Readable Zone)」と呼ばれる機械読み取り領域の情報、非接触ICチップの情報はもちろん、紫外線照射で見える顔写真情報などがある。ジェムアルトのリーダーは、それらすべてが読み取れるという。また、WindowsベースのSDKを用意しており、運用者の独自システムへの組み込みも容易とのことで、幅広い業種での利用を後押ししている。

 加えて、海外ではパスポートも進化しているが、そこにもジェムアルトが関わっているという。米国などでは、来年から顔写真が印刷されているページにICチップを埋め込むとともに、紫外線照射で見える情報や、レーザー処理によるエンボス加工など高度なを施すことで偽造対策を進めていくそうだが、そういった最新パスポートの情報読み取りにも問題なく対応できるとした。合わせて、日本のパスポートでも、同様に顔写真ページの高機能化やセキュリティ強化に関する議論が始まっているそうで、そこにも関与していきたいとした。

事業について説明する、ジェムアルト 公共事業本部 本部長の酒匂潔氏
ジェムアルトが取り組む事業は、セキュアドキュメント、ドキュメントリーダーソリューション、生体認証ソリューション、セキュアマテリアルソリューションが4本柱となっている
ジェムアルトが展開しているパスポートリーダー。読み取り速度の速さと認識精度の高さが特徴で、世界シェアは60%に達するという
ジェムアルトはパスポートや免許証などのOSや搭載ICチップなど、さまざまなソリューションを提供
世界40か国以上のパスポート製作にジェムアルトが関与しており、その技術をベースとしたパスポートリーダーとの親和性の高さが競合に対する優位点と説明
説明会では、パスポートの各種情報が瞬時に読み取れる様子をデモで紹介
ICチップや紫外線照射が必要な情報なども読み取れる
パスポートリーダーは、ホテルや免税店、国内地方自治体、アメリカ国土安全保障省など、さまざまな企業や政府系施設で採用されている

顔認証を利用した国内空港の出入国管理システム参入にも意欲を示す

 続いて、生体認証ソリューション事業について説明。ジェムアルトは、指紋、虹彩、顔認証を組み合わせた生体認証デバイス、ソフトウェア、システムを提供しているが、このうち顔認証についてはハードウェアは提供せず、ソフトウェアエンジンのみを提供しているという。顔認証機能を備えるゲートを作っているが、顔認証システムは持っていない、という企業と組んで、事業を展開しているとのこと。

 ジェムアルトのライブ顔認証システム「LFIS」の特徴は、認証スピードが速く、認識率が高く、さまざまなシステムに組み込みやすいという点にあるという。

 認証スピードについては、米国の認証機関において認証速度が最も早いと認定されたという。合わせて、顔認証の認識率も世界トップクラスと認定されているそうだ。実際に、ジェムアルトの顔認証エンジンを導入しようと考えている企業からも、認証速度の速さと正確さに驚かれることが多いと、自信のほどを示した。

 また、大人数が映し出されている画像から特定の人を抽出し、事前に登録したホワイトリストやブラックリストと照らし合わせてアラートを出すといったことも実現している。事前登録できる顔情報は1つのLFISサーバーあたり100万件以上とのことで、サーバー数を増やすことでより大人数にも対応可能とのこと。

 実際に入出国管理だけでなく、企業やビル、ホテル、図書館や学校、病院などでの入退室管理や利用者管理などで広く利用されているという。政府系施設での採用例に限っては、世界80か国以上、200拠点以上にのぼるそうだ。国内でも、さまざまな企業ですでに利用されるとともに、問い合わせも非常に多いとしつつ、空港を利用する人を対象とした顔認証セキュリティシステムについても、導入に向けた協議を行なっていると説明した。

 この、ジェムアルトの顔認証エンジンを利用した空港での入出国管理システムについても、すでに複数の国で利用されているという。説明会ではカナダのオタワ空港での事例が紹介されたが、パスポートに搭載したICチップの顔写真データを読み出し、カメラでその人の顔をとらえてマッチングを行なうことで、認証を行なっている。カナダの国際空港ではこのほかにもエドモントン空港で採用され、欧州では10か国程度の空港で導入されているそうだ。

 国内の空港でも、別掲の記事(関連記事「羽田空港、日本人帰国手続きに顔認証ゲートを10月18日に先行導入。事前登録不要」)にあるように、顔認証機能を利用した日本人向けの入国管理システム「顔認証ゲート」の導入が始まっている。

 2017年10月の羽田空港 国際線ターミナルからはじまり、2018年には成田、セントレア(中部)、関空、福岡の各空港が導入を予定。また、当初は入国手続き時のみの運用だったが、今後は出国手続き時の利用も可能となる。

 この国内の空港で採用されている顔認証ゲートはパナソニックシステムソリューションズジャパンが開発したもの(関連記事「パナソニック、羽田空港に設置された顔認証ゲートを解説」)で、これまでジェムアルトは入札に参加しておらず、国内空港でジェムアルトの顔認証システムを利用した入出国管理システムの導入事例はない。ただ、今後は地方空港などでも採用例が増えていくとの見通しを示しつつ、ほかの企業と組んで参入を目指したいとした。

ジェムアルトの生体認証ソリューションは、世界80か国、200拠点以上の政府系施設で採用されている
ジェムアルトのライブ顔認証システム「LFIS」は、世界最高速の顔認証速度や世界最高レベルの認証制度を備えており、ソフトウェアのみを提供
LFISサーバーによってカメラの映像を解析して顔認証を行なう。サーバーには100万人を超える顔情報を登録でき、ホワイトリストやブラックリストとして特定人物を抽出しアラートを出すなどの運用が可能
LFISのデモの様子。あらかじめ登録された酒匂氏の顔が瞬時に抽出され、アラートがだされた
LFISでは両目を検出することで顔を抽出し、認証を行なっているという
顔認証システムは、企業の入退室管理、クルーズ運営会社の乗客管理、欧州の銀行などでのアクセス管理などで利用されている
カナダのオタワ空港では、ジェムアルトの顔認証エンジンを利用した入国管理システムが導入されている