ニュース
米FAAがボーイング 787型機のETOPSを見直し。ANA便は欠航なし、一部国際線で機材変更
2018年4月19日 16:33
- 2018年4月17日(現地時間) 発表
米FAA(連邦航空局)は4月17日(現地時間)、ボーイング 787-8型機と787-9型機に搭載しているロールスロイス製エンジン「Trent 1000」ファミリーについてETOPS(Extended-range Twin-engine Operational Performance Standards)の規定見直しを含めた耐空性指示(AD)を発行した。
飛行機の運航は、2基のエンジンのうち1基が故障した場合、60分以内に代替空港に着陸できる飛行ルートを設定することが求められるが、安全性の高いエンジンの登場により、エンジン1基の状態でもより長い時間を飛行することを認めるのがETOPSで、日本では太平洋路線で着目されることが多い。
ボーイング 787型機の場合は最大で「330分」のETOPSが認められていたが、エンジンの製造元であるロールスロイスが4月13日(現地時間)付けで、ボーイング 787型機に使用されるTrent 1000の「Package C」についてタービン破損の可能性があるとして再検査を行なうことを発表。FAAではそれを受けて、A2/AE2/C2/CE2/D2/E2/G2/H2/J2/K2/L2の各型番のTrent 1000エンジンを搭載した状態で耐久証明を受けた機体を対象に、ETOPS運航を「140分」へと制限するとした。ETOPS運航の制限がかかることで、飛行ルートの見直しなどが必要となる可能性がある。
国内航空会社では、ANA(全日本空輸)の機体がロールスロイスのTrent 1000を搭載。JAL(日本航空)はGE Aviation製の「GEnx-1B」エンジンを搭載するので該当しない。ちなみに、ANAのボーイング 787型機は、2016年8月~9月にエンジン整備の必要性が生じたことで国内線一部便を欠航する措置をとったが、今回のTrent 1000 Package Cの問題はそれとは異なるもの。
ANAは現在、64機のボーイング 787-8型機/787-9型機を保有し、うち31機でTrent 1000 Package Cを搭載している。ANAは最大の330分ではなく、207分のETOPS運航で届け出をしており、実際の運用上は180分程度に収まるようにしているという。4月18日には、今回の当局からの指示について「安全性をより確実にするための指示であり、当社便の運航の安全性には影響はありません」との声明を発表。業績に与える影響については精査中としている。
また、本件に伴う欠航便はなく、18日時点では4月20日と21日の国際線の一部便で機材変更などの影響が出ることをWebサイトで告知。20日の羽田発~シドニー行きのANA879便と、その折り返し便となる21日のシドニー発~羽田行きANA880便についてボーイング 787-8型機の240席仕様機に機材を変更する。同機にはプレミアムエコノミー設定がないなど、座席仕様の変更が発生する。