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ANA、標高2200m超のメキシコシティ就航に備え、ロールスロイスの新エンジンを搭載するボーイング 787-8型機を準備
2月15日の路線就航に合わせ4機を用意
2017年2月8日 10:17
- 2017年2月15日 就航
ANA(全日本空輸)は、2月15日に成田~メキシコシティ線に就航する。この路線就航に合わせ、所有するボーイング 787-8型機のうち4機に、ロールスロイスの新エンジン「Trent 1000-L」を搭載する作業を進めている。2月8日時点で3機の換装が終わり、まずは4機を用意する計画だ。
新たな就航先となるメキシコシティ国際空港は、標高が2200mを超える高地にあるという特徴を持つ。このため空気中の酸素濃度が低く、低地に比べてエンジンの最大推力が下がる。推力が上がらないということは、離陸時の滑走において、同じ距離で到達できる速度が遅くなり、飛行機を持ち上げる揚力が弱くなる。つまり、低地に比べて離陸時に持ち上げられる重量が少ないという状況が生まれる。
今回、ANAが採用したロールスロイスの「Trent 1000-L」は、ボーイング 787型機で使われている「Trent 1000ファミリー」の1モデルで、高地において高い推力を出せるようチューニングしたもの。ボーイング 787-9型機に使われているエンジンのハードウェアをベースにチューニングを加えたものだという。定格最大推力は変わらないが、高地における実際の推力では、推測値で6%ほど高まり、2万ポンドほど離陸時の重量を増せる見込みになるという。
このエンジンを搭載するのは、ANAが所有するボーイング 787-8型機のうち4機で、JA820A、JA823A、JA827A、JA828Aとなる。飛行機自体はすでに運用を行なっていた機体で、羽田空港の整備場でエンジンのみ換装を行なっている。2月15日の就航以降、メキシコシティ線にはこのいずれかが利用されることになる。
なお、高地対応のエンジンを搭載しても、メキシコシティ出発便では重量制限が発生し、提供座席数などに制限を設ける便もある。実際、現地時間2月16日発の折り返し初便では制限がかかっているという。重量制限は主に季節によって変わってくる。これは酸素濃度に影響を与えるもう一つの要因である気温に応じてのもので、酸素濃度が薄くなる気温が高い季節は重量制限が厳しく、酸素濃度が高くなる気温が低い季節は全座席を販売する便もあるそうだ。
2月15日に就航するANAのメキシコシティ線は、国内航空会社では現時点で唯一のメキシコへのノンストップ直行便で、毎日運航する。今冬期スケジュールではANAの最長路線。航空券は2016年11月から販売を開始した。