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ジェットスターで高松から成田へ。親子向けLCC&空港見学ツアー開催

香川県在住の親子20組が「ランプコンロールタワー」や空港用化学消防車など見学

2017年8月24日 実施

「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」の乗車体験を楽しむ参加者

 香川県の高松空港振興期成会、NAA(成田国際空港)、ジェットスター・ジャパンが共同で「第4回 夏休み! LCC親子体験&成田国際空港見学ツアー」を8月24日に開催した。

 このイベントは成田空港や、高松~成田のLCC路線の利便性や魅力を体験してもらうことを目的に実施。香川県内の小学4~6年生と保護者を対象に募集し、1790組の応募のなかから選ばれた20組40名が参加した。プログラムの様子が報道公開されたのでレポートする。

地上約64mの「ランプコントロールタワー」へ、業務内容と流れを学習

 今年で4回目を迎えた「夏休み! LCC親子体験&成田国際空港見学ツアー」。香川県・高松空港に集合した参加者は高松空港10時20分発、成田空港11時45分着のジェットスターのGK410便を利用。1時間25分のフライトを経て第3旅客ターミナルに到着すると、NAAの本社へ移動。早速「成田国際空港見学ツアー」がスタートした。

参加者の集合場所である成田国際空港株式会社の本社
第3旅客ターミナルから数分徒歩で移動し、本社へ到着
空港内はクルマでの移動。専用バスに乗り込んだ

 バスに乗車した一行は、まずはランチのために「成田エアポートレストハウス」へ。こちらは世界30カ国34航空会社の機内食を提供しているティエフケー直営のホテルで「機内食風ランチ」が味わえると空港見学者に人気だ。

 今回の「機内食風のランチ」は前菜に「パテドカンパーニュ」「サラミとポテトサラダ」「穴子のエスカベッシュ」。メインが「チキンのトマトソース掛け」。「茶蕎麦」「卵麺」と「ロールパン」。「サラダ」にデザートの「ケーキ」がセットとなっている。

「成田エアポートレストハウス」で提供された「機内食風ランチ」。じっくり煮込まれたトマトソースがチキンの旨味にベストマッチなメインから、つるりと夏にぴったりの茶蕎麦や卵麺まで幅広く味わえた

 実際に味わってみると、ボリューム大で食べ応えも抜群。機内食同様に温かい状態でサーブされており、メインの柔らかジューシーなチキンと程よい酸味と旨味が引き出されたトマトソースの相性は二重丸。その美味しさにソースまですべて完食する参加者もいた。

 食事中には「本当の機内食みたい!」や「パンが飛行機に乗ったときと同じ味がする!」、そしてボリューム大のメニューに「お腹がペコペコだったので、うれしい!」との声があがった。なお、高松空港からのフライトの感想を聞いたところ保護者からは「天気がよかったので富士山を空から見ることができた」と、短時間ながら空の旅を満喫できたと話してくれた。

ランチを楽しんだ「成田エアポートレストハウス」
参加者全員で「いただきます!」。「機内食風ランチ」を美味しく味わった

 ランチ終了後は、目の前にそびえ立つ「ランプコントロールタワー」へ移動し、タワー内部の見学・業務を紹介。まずは「ランプコントロールタワー」で以前業務を行なっていた小川氏が「成田空港へようこそ! 今日は成田空港のいろいろな部分を見学してぜひ楽しんで下さい」と挨拶。

 そして空港の全体地図を見ながら「ランプコントロールはランプ(エプロン)での航空機などの交通整理を行なっています。一般的に空港では管制官がランプ、誘導路、滑走路の誘導を行ないますが、成田空港ではランプコントロールが航空機のランプでの動きをコントロールし、管制塔の管制官が誘導路と滑走路の指示を出すというように役割分担されています」と説明した。

ランプを通行する航空機などを無線で誘導する「ランプコントロールタワー」。奥は「管制塔」
以前ランプコントロール業務を担当し、今回解説を行なった小川氏

 13階から見える景色を見ながら「成田空港は、長さ4000m、幅60mのA滑走路、そして長さ2500mで幅60mのB滑走路が併行に並んでおり、滑走路には34、16の数字が表示されています。これは方角を示していて、東を90度、南が180度、西を220度、そして北を360度としています。成田空港の場合、南北に少しずれた形で滑走路が伸びていることになります。

 これは建設前に成田地方の風向きを何度も測定し、冬は北東の風、夏は南西の風が多く吹くため、向かい風になり航空機が飛びやすいよう設計されているのです。もちろん1日のうちに風向きにより飛ぶ方向も変わるのでチェックしてみてください。なお、A滑走路とB滑走路の2本あるのでLとRでレフトとライトを示しています」と解説してくれた。

空港の全体地図を見ながらランプコントロールが誘導するエリアと業務を丁寧に紹介
なぜランプ、そしてエプロンと呼ばれるのかは諸説あるとのこと

 また、航空機の出発、到着時の航空管制の流れも図解。出発時は「クリアランスデリバリー」→「ランプコントロール」→「グランドコントロール」→「タワー」→「ディパーチャー」。到着時は「アプローチ」→「タワー」→「グランドコントロール」→「ランプコントロール」と無線を各担当部署に順番につなぎ、離発着の体制を整えていくとのことだ。説明のあとは個別に質問をする時間も用意。参加者たちは「スポットはいくつありますか?」などの具体的な質問をしていた。

 なお、「ランプコントロールで業務を行なう際に大事にしていたことは?」と聞いてみたところ、安全第一はもちろんのこと、パイロットのストレスにならないようにスムーズに誘導することを心掛け、気持ちよく成田空港を利用してもらえるよう意識しながら業務をしていたと話してくれた。

 約50分間、成田空港ならではの業務について学びながら、高い位置から空港を眺め、その広大さも知れた充実のプログラムだった。

航空管制の流れも出発、到着ともに解説してくれた
自由時間には親子で質問する姿が見られ、現場の生の声に参加者たちは興味がつきない様子
「ランプコントロールタワー」からの景色。空港の様子が一望できる

日本に2台、成田空港ならではの化学消防車の車両体験&放水見学で大興奮

 続いては、「ランプコントロールタワー」からも見ることができた「空港消防西分遣所」へ。ここでは化学消防車の乗車体験、防火服体験や放水の実演などを30分かけて実施。「空港消防西分遣所」が目の前に見えると整列し敬礼する隊員の姿が。参加者も敬礼で彼らの歓迎にバスの中から応え、キリッと引き締まった雰囲気になった。

「空港消防西分遣所」に近づくと隊員たちが整列する姿が見えてきた
到着すると敬礼で訪問を歓迎。その姿にバス内から「かっこいい!」と声が上がった

「空港消防西分遣所」に到着すると、NAFS(NAAセーフティサポート)の岡部氏が挨拶。そして「成田空港には5カ所の消防署があります。消火救難車両は17台あり24時間365日空港の安全を守っています。航空機の災害や空港内で発生した車両・建物火災、危険物の除去などで出動を行ないます」と人命救助を最優先にした空港消防を担っていることなどを紹介。また、見学中に出動要請があった場合は速やかに隊員の指示に従うことを参加者全員で約束し、プログラムがスタートした。

空港消防についての説明を真剣に聞く参加者たち
NAAセーフティサポート株式会社(NAFS)の岡部氏が解説を担当

「空港消防西分遣所」には、2016年6月に国内空港に初導入された米国のOshkosh(オシュコシュ)製「HRET(エイチレット)型空港用化学消防車 ストライカー6×6」が展示されている。日本には現在2台しかない車両で、その2台が成田空港に配備されているとのことだ。

 最大のポイントは、「高位置対応伸展型放水銃(HRET)」を装備しており、放射ノズルを前方、高所、低所位置に自在に伸展させて、火元に近づけ正確な消火が行なえること。HRET最高到達点は地上約15.2m。また、穿孔ノズルを機体に刺し、機内の燃焼部分をピンポイントで消火できる。

 全長12.36m、幅3.10m、高さ3.80m、重さ39.5トンで、水タンク容量は1万500L、時速は110kmと、巨大な車両ながら迅速に現場へと駆け付け、即消火が行なえる駆動力抜群な1台となっている。

2016年国内空港に初導入された米国のOshkosh(オシュコシュ)製「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」
「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」への乗車体験では、その車両の高さや運転席の広さを実感
正面から乗車中の姿を記念することができた

 さらに、映画「トランスフォーマー」シリーズに登場するキャラクターのモチーフとなっているオーストリアのRosenbauer(ローゼンバウアー)製の「12500型化学消防車 パンター6×6」も参加者を歓迎。全長11.9m、幅3.00m、高さ3.65m、重さ38.0トン。水タンク容量は1万2500トンで1分間に6000Lの水と泡を80m遠方まで放水可能。航空機の機体を包み込む形で消火できることが特徴だ。また最高時速は117km。滑走路の末端まで約2分で駆けつけることができるスピードも魅力だ。

オーストリアのRosenbauer(ローゼンバウアー)製の「12500型化学消防車 パンター6×6」も待機

 実際に「12500型化学消防車 パンター6×6」へ乗り込んでみたが、一刻でも早く現場に急行できるよう随所に工夫が施されていることを実感。運転席の高さも自動で調整されるとともに、車内へのアクセスが非常にスムーズな構造で驚いた。また、運転席からの視界も広く、高さもあるため見通しがかなり利いた。運転席後ろにもスペースがあり、機材を置けるなど乗ってみないと分からない部分がたくさんあり、貴重な時間が過ごせた。

「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」や「12500型化学消防車 パンター6×6」とともに「破壊救難車(救助工作車)」も待機。煙が充満している場所へ安全に向かえるように酸素ボンベや、機体を切断して乗客を助け出すためのエンジンカッターなどを搭載している。上部には夜間作業のために照明装置を装備し、どのような状況でも最善が尽くせる仕様となっていた。

酸素ボンベやエンジンカッターを複数搭載した「破壊救難車(救助工作車)」も登場

「空港消防西分遣所」の車庫内では防火服の着用体験も実施。初めて約20kgほどの重量の防火服を着た参加者は、暑くて重いと、その過酷さの一端を肌で感じていた。すぐに出動できるように防火服と靴が一体化していることに驚く声など会場ではさまざまな感想が飛び交っていた。また酸素ボンベを背負った状態で歩いてみるなどの挑戦も。「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」まで隊員に酸素ボンベを支えてもらいながらワクワクした表情で進む姿が見られた。

車庫内では防火服体験も実施。フル装備で、その重量感や着脱方法を知り驚いていた
隊員の手伝いで酸素ボンベを背負ってみた。とっても重いと笑顔で参加者が話してくれた
フル装備で「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」まで歩く姿も

 さらに、実際に使用しているホースを使った放水体験も開催。水に勢いがあるため隊員が脇を固めて参加者をサポート。狙いを定めて放水し、歓声があがる一幕も。「とてもうまくできましたね」と隊員から声をかけられ、うれしそうにする参加者の姿も見られた。

 体験後は、ホースの細部を見ながら、消火栓から水を出しっ放しでもストッパーがあるため自在に放水が調節ができるようになったことを紹介。また、ストレートや放射状など水の出方も選べるうえ、放水量も調節可能とメモリを示しながら説明を行なっていた。

現場で使用されるホースを使った放水体験も実施。的に向けてストレートで当てる
水の出と方向を操り見事的に命中
放水体験後には、水量や形状の調整ができることを説明
手元でON/OFFが可能となっている。白い部分には放出される水の形状も表示

 プログラムのラストには、「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」や「12500型化学消防車 パンター6×6」の放水も披露された。高い部分から放水される様子や、水が穿孔ノズルから放射状に広がる様子、さらに航空機全体を消火できる巨大な水柱が上がり2台がタッグを組んだ頼もしい姿を見ることができた。

「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」は穿孔ノズルから放射状の放水を披露した
見学のラストには「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」と「12500型化学消防車 パンター6×6」が同時に放水。その威力と迫力に参加者も釘付けに
放水後の「12500型化学消防車 パンター6×6」と「HRET型空港用化学消防車 ストライカー6×6」

 高松空港からジェットスターで小旅行、そして成田空港にて「ランプコントロールタワー」「空港消防西分遣所」でのプログラムと大充実の「第4回 夏休み! LCC親子体験&成田国際空港見学ツアー」。参加者は成田空港16時15分発、高松空港17時45分着のジェットスターGK415便で高松空港へと向かった。

 なお、親子にはジェットスターの特製エコバックと「たかポー」シールやボールペン、そして成田空港からは安眠セットと「クウタン」シールなどがプレゼントされた。

参加者には親子で1袋ずつエコバックなどがプレゼントされた
16時15分発のジェットスターGK415便に乗るために保安検査場へと進む参加者ら

 参加した小学生からは「飛行機に乗れたり、化学消防車に乗れたりととても楽しかった!」や「すごく勉強になった」、そして「なかなか入れない『ランプコントロールタワー』から空港が見られてうれしかった」と感想も。保護者からは「8月最後の週まで夏休みをこのプログラムに参加したことで満喫できました」などの話を聞くことができた。LCCを利用して短時間でもたっぷりに楽しめた今回の滞在、参加者はLCC利用のメリットと空港の魅力をはじめ多くの収穫を得ることができたようだった。