旅レポ

ジェットスターで安近短の旅。気軽に出かける週末台湾(後編)

渡航費を抑えて充実した時間を過ごそう!(その2)

2016年11月15日 実施

 台湾の北東部、台北市から1時間ほどで移動できる宜蘭県の名所を訪ねるプレスツアーをジェットスター・ジャパンが実施した。その様子を1日目、2日目に分けてお届けするが、今回が後半となる。

 台湾ツアーの2日目の朝は宜蘭県にある「時尚会館 和風」から始まった。台湾の人は、日本のことを好きな人が多いと言われている。台湾在住で通訳の秋元さんに聞くと、「日本が統治していた時代に多くの文化や技術を持ち込んで、台湾の発展のために力を注いだから日本に好意を持っている台湾の人は多いです」ということだった。初日の温泉施設や食事に日本風が多く現われていたが、特に日本のメディアが来るからというチョイスでもなかったようで、日本の食や文化は台湾で深く根付いているようだ。

「時尚会館 和風」
時尚会館 和風フロント
中庭にあるレストラン
金橘が名産で金桔はシークワーサー
プール付き部屋の料金は平日5600NTドル(約2万円、1NTドル=3.5円換算)
ビラタイプで平日4200NTドル(約1万5000円)
平日3360NTドル(約1万2000円)のこの部屋でもかなり広い

 和風ホテルの中庭には日本風の庭園があり、池には錦コイが泳いでいる。部屋にも和のテイストが盛り込まれている。礁渓温泉からは少し離れ、温泉ではないため料金は安めで、部屋は全体的に広くプール付きやビラタイプなどがある。平日料金で1部屋3000NTドル(約1万500円、1NTドル=3.5円換算)くらいから利用でき、泊まったのは3360NTドル(約1万2000円)の部屋だったが、一人ではもったいないくらいの広さがあり、特に湯船が大きく、開放感があった。

観光地を巡る遊覧バス
座席はゆったりとしていて、周りが見渡せるように階段状になっている
初日の礁渓線の1日券は60NTドル(約220円)

 朝食後、宜蘭県の用意したバスで冬山駅へと向かう。初日から乗っているバスは、県の運営する遊覧バスを貸切にしたもので、通常は観光地を中心に巡る路線バスで礁渓線は1日券60NTドル(約220円)を購入すると自由に乗り降りできる。

時尚会館 和風

所在地:宜蘭縣頭城鎮宜三路一段56號
TEL:+866 3 9777711
Webサイト:時尚会館 和風

冬山河自行車道體驗

冬山河の堤防に設けられたサイクリングロード
冬山鉄道駅から出発する
モニュメントの近くにレンタルサイクルがある
スポーツタイプからいわゆるママチャリまで揃っている
二人乗りやチャイルドシートつきもあり、電動バイクもある
これも「自行車専用道」を走れる

 冬山河の堤防にはサイクリングロードがあり、冬山鉄道駅から親水公園まで往復16kmある。サイクリングロードは路面に「自行車専用道」と書かれてクルマが入れないようになっており、安全に走行できる。サイクリングルートはおおよそ一方通行になるように設定されているが、歩行者などもいるため注意が必要で、ポイントごとに停車できるスペースが設けられているので、休憩や景観を楽しむことができる。

景観のよいところなどは道幅を広くしてある
ところどころに観光案内板などが設置されている
路面には自行車専用道と書かれている
さまざまなタイプの自転車で走行開始
今回ナビゲーターをしてくれた気のよい二人

 冬山鉄道駅にはレンタルサイクルがあり、2人乗り自転車やマウンテンバイク、チャイルドシート付きなど用途に合わせて、高くても1日(営業時間 8時~18時)350NTドル(約1200円)でレンタルできる。

 必ずしもサイクリングロードを走らなければならないわけではないので、晴れていれば片道8kmの冬山河親水公園までサイクリングし、国立伝統芸術センターに立ち寄るなど、さまざまなプランを立てて観光地めぐりをしてみるのもよいだろう。

︎冬山鉄道駅

所在地:宜蘭県冬山卿冬山村中正路1號
Webサイト:冬山鉄道駅

「虎牌米粉產業文化館」

虎牌米粉產業文化館
文化館入り口でマスコットが出迎える
世界各国でビーフンは食べられている
台湾で作られているビーフンのパッケージ
日本語のパッケージもある
昔のビーフン製造の過程や製造器具などが展示されている
水粉と炊粉の2種類に大別される

 ビーフンの歴史は古く、秦の始皇帝の時代、麺を主食としていた軍隊が南征に向かったとき、麺がない地域で米を粉末状にして麺を作ったのが始まりと言われており、粉末で保存することで保存や管理がしやすく、運搬などにも最適だったためその製法などは広く伝わった。現在では世界中で食べられており、日本でもスタンダートな食材となっている。

虎牌米粉ができた1970年当時の街の風景を再現している

 台湾では新竹市がビーフンの名産地で、米の生産地で冬にビーフンの乾燥に適した季節風が吹くことから生産が盛んになった。台湾のビーフンは製造工程の違いから、煮て作る麺が太めの水粉と、蒸して作る麺が細めの炊粉の大きく2種類に分けられている。

台湾の家庭には必ずあるという電気釜
調理体験用パッケージにはこの調味料などが入っている
パッケージの中身を手順通りに炒めて出来上がり
お湯で湯がいても調理できる
文化館の隣には工場があり、反対側には寺院がある

 虎牌米粉(タイガー印ビーフン)產業文化館はビーフン工場の一部を改装したもので、1970年に創業した当時の製法から現在に至るまでの過程や、当時の街の様子などが再現されている。見学の最後には、台湾の家庭には一家に一台あるといわれる電気鍋を使用して、実際に炒めたビーフンを試食することができる。

︎虎牌米粉產業文化館

所在地:宜蘭縣五結郷利興三路五號
TEL:886-3-9907716
営業時間:9時~17時
入場料:200NTドル(約720円)(DIY料金含む)3歳以下は無料

台湾創作料理「三合院」

台湾の農家風のレストラン
三合院店内、白鹿や月桂冠ののれんが
店内は広くゆったりとしたスペースになっている

 この日の昼食は街中にある台湾創作料理「三合院」でとることになった。外観は広い敷地内に民家のような建物があり、「初日のレストランよりは庶民的です」と説明を受けて店内に入ると普通の中華料理店といった雰囲気だった。料理も昨日よりは庶民的なのかと思いきや、やはり豪華。普段からこんなに食べるのかと聞くと、大勢で食事をするときはこれで普通だとのことだ。

マンボウの刺身、イカの和え物、蟹サラダなど
台湾汁
ラードのごはん
蟹チリソース
豚肉の塩漬け
昔は高級魚だった「馬嘉魚」
店内は広くゆったりとしたスペースになっている

 初日に覚えた“残す文化”を踏まえて少しずつ食べていったが、それでも次から次へと料理は運ばれてくる。虎牌米粉でビーフンの試食をしたあとだったせいか、最後のタロイモの餅が運ばれた段階でテーブルの上にはかなりの料理が残っていたが、カニチリソースやサツマイモの葉の炒め物、ごぼうと鶏肉のスープなどはきれいになくなっていた。

博士鴨觀光工廠

博士鴨觀光工廠外観
博士鴨は宜蘭縣内に7件のチェーン店を持っている
鴨肉は鉄分が多く栄養価が高い
1階フロア
羽毛ふとんなども販売している
同じ羽毛布団でも使用する羽毛によって質が変わってしまう。博士鴨では厳選した羽絨球を使用している

 宜蘭地区は雨季が長く、年間降水量も3500mmあるため、水を好む鴨を飼育するには最適の土地で、初日に行った「蘭陽博物館」でも農地で鴨を放して害虫駆除をしているシーンがあったように、台湾の人の生活に大きく関わっている。現在では農地でといったようなことはあまりないようだが、鉄分が多く栄養価の高い鴨肉や品質の高い羽毛を取るために飼育管理されている。

台湾で飼育されている鴨
鴨の飼育環境のディスプレイ
卵の大きさの比較。一番右はダチョウの卵
昔の飼育環境では繁殖も困難だった
羽毛製品や、鴨肉、卵などの加工食品が販売されている

 博士鴨では1986年から品種改良などにより品質の高い「土番鴨」を生産しており、これは食用の「北京鴨」と「番鴨」に羽毛の白い「白菜鴨」を掛け合わせたもので、卵を産まないため人工で繁殖させている。また、肉質が細やかで脂が乗った「櫻桃鴨」を独自のハイテク技術を使用した飼育法で育て、鴨肉の製造工程においても4時間にもおよぶ手間をかけて製造した商品を提供している。

台湾の家庭料理「鴨賞」
櫻桃鴨を使用
砂糖、調理酒、香油、黒酢を混ぜ合わせ、鴨肉とにんにくの茎を入れ、もみ混ぜて完成

 観光工場内では、撮影はできなかったが製造工程の見学ができ、鴨ステーキや鴨脚などの鴨肉商品や羽毛布団などの商品が展示販売されている。また、「櫻桃鴨」を使用した台湾家庭料理の「鴨賞」を調理し、試食できるコーナーも設けられている。

︎博士鴨觀光工廠

所在地:宜蘭縣五結鄉福興村新五路1-1號
TEL:03 9606051
Webサイト:博士鴨觀光工廠
開館時間:8時30分~18時30分
休館日:無休
入館料:100NTドル

宜蘭駅・幾米公園・丟丟噹公園

幾米(ジミー)公園にはジミー・リャオの作品がディスプレイされている「向左走向右走」
微笑的魚
THE STARRY STARRY NIGHT
THE STARRY STARRY NIGHT

 宜蘭駅やその周辺の公園には、台湾人で宜蘭出身の絵本作家ジミー・リャオの作品のモチーフがディスプレイされている。日本ではあまり知られていないが、大人向けのラブストーリー絵本は台湾では人気が高く、作品の一つである「向左走向右走」は金城武とジジ・リョン主演で「ターンレフト・ターンライト」(邦題:君のいる場所)として香港で映画化された。

丟丟蟷公園にはTHE STARRY STARRY NIGHT(邦題:星空)の大きなモニュメント
古い建物を利用したビジターセンター
ボランティアガイドの長さん
THE STARRY STARRY NIGHTの塗装した観光周遊バスは人気があり、始発から乗らないと、なかなか乗ることができない
宜蘭駅も絵本の一部になっている

「向左走向右走」の内容は、お互いに気になっていた男女が実は壁一枚隔てた隣同士だったというロマンチックな作品だが、デビュー作の「微笑的魚」(邦題:ほほえむ魚)などはボランティアガイドの長さんの解説によると、「入院してガラス越しにしか面会ができなかった恋人同士は表情でしか気持ちを表現することができない。魚には表情がないのでそのような表現はできないが、人間には表情で相手の気持ちを察することができる」というかなり文学的な内容となっており、ジミー・リャオの作品にはそのような表現が多く見られるという。

日本統治時代の建物が残されている
木の壁や黒い瓦など台湾にはない日本様式の建物
宜蘭縣政府登録歴史建築のプレート
防空壕残骸

 また、宜蘭駅周辺は日本統治時代に建てられた日本様式の建物が多く残されており、宜蘭県政府の歴史建築としても保護。駅などの周辺の施設も古い時代のもののようで風情がある。この地区の再開発が計画されているという話があったがこの雰囲気は維持してもらいたいと思いつつ次の目的地へと向かった。

「SABELINA(サブリナ)精霊スタンプ学院」DIY体験

SABELINA(サブリナ)精霊スタンプ学院外観
カラースタンプ台で作られた世界地図
入場は無料でスタンプの販売やDIY体験などが行なえる
スタンプをガラスに貼り付けるだけでもかわいいディスプレイに
さまざまな作品が展示されており、日本人の作品もある

 SABELINA(サブリナ)ブランドはスタンプメーカーで、精霊スタンプ学院はスタンプを使った作品の展示や販売などを行なっている。透明な樹脂を使用したスタンプに、水でも落ちず、タイルや布などにもスタンプできるカラースタンプ台を使用した作品は、一つのスタンプに色のグラデーションをつけたり、二重にスタンプしたり、といった手法を使い色鮮やかな物や、絵画風の物などがある。

50NTドル(約180円)でコースターにスタンプするDIY体験
スタンプの手法などを教えてくれる
アクリル板にスタンプを貼り付けて作成する

 入館は無料で、50NTドル(約180円)でコースターにスタンプするDIY体験が行える。スタンプの手法などの説明を受けて、ここが2日目のツアーの最終目的地ということもあってか、ツアー参加者全員が黙々と独り言を言いながらスタンプに興じていた。

金橘の土産物屋「橘之郷」
人気商品の「生津金棗茶」と「生津酸桔汁」

 なんとなく癒された気分になりながら、帰りに金橘を扱った土産物屋「橘之郷」に立ち寄り、この旅を終了した。

︎SABELINA(サブリナ)精霊スタンプ学院

所在地:宜蘭市梅洲一路16-3號
TEL:03-9285563
Webサイト:SABELINA(サブリナ)精霊スタンプ学院
開館時間:9時~17時

︎「橘之郷-AGRIOZ-」

所在地:宜蘭市梅洲二路33號
Webサイト:「橘之郷-AGRIOZ-」

高嶋一成

1965年福井県生まれ。旅ものからIT系までさまざまな仕事に追われる日々を、船旅で癒している。ろくに話せない英語を気力でカバーしていく海外旅行も大好き。なぜか編集者からは武闘派と呼ばれている。