旅レポ
台湾台東を陸と空から大満喫、ゆったり楽しむ田舎旅を体験(その1)
アートともに夜散歩、そして知本温泉でほっと一息
2016年11月28日 00:00
台湾台東県庁は11月4日~7日にかけて台東のや観光スポット、アクティビティなどを紹介するプレスツアーを開催。台湾国内では観光地としてかなりの知名度ながら、日本ではあまり知られていないエリアである同県を4日間かけて、中心地の台東市をはじめ、山側は鹿野、池上、海側は成功と東河を中心にたっぷりと時間をかけて巡ってみた。今回は台東市周辺でのナイトスポットとともにゆったりくつろげる知本温泉を紹介する。
ふわりと夜の街に浮かぶ1000を超えるランタンにうっとり
台東県は台湾の東側に位置し、土地面積は約3515km2。山そして176kmの海岸線に面している。人口は約24万人。台湾原住民は全人口の3分の1を誇り、独自の文化が色濃く残る場所だ。開発が最後に行なわれた地域のため、今もなお壮大な自然が保たれており、農産物が豊かに実る。釈迦頭やパイナップルなどのフルーツはもちろん、ブランド米、そしてカジキマグロなどの海産物まで幅広い特産品が有名だ。台北の松山空港から飛行機で約1時間、最寄りの台東空港に到着する。
最初に訪れた台東市は近年アートや音楽イベントなどが行なわれ、特に旧台東駅周辺の「鉄花村」は音楽イベントやホリデイスロウマーケットが開催されるなど盛り上がりをみせているエリア。地元の子供たちが描いた絵が印象的な熱気球型の1000を超えるランタンが風に揺れ、特に夜は幻想的な雰囲気を醸すとデートスポットとしても人気。
また、ランタンの下では手作りブレッドやジャム、ヨーグルトを販売するマーケットも開催。アート作品から生活雑貨まで幅広い品揃えのショップが並び、家族連れやカップルなどが買い物を楽しんでいる。バーやライブスペース「鉄火村音楽集落」も併設されており、開放的な空間で自由に音楽を楽しむこともできる。
鉄花村(鉄火小売商店)
所在地:台東市新生路135巷26号
営業時間:14時~22時(火~日曜)
TEL:+886-(0)89-349-393
Webサイト:鉄花村(鉄火小売商店)(中国語)
鉄火村音楽集落
上演時間:20時~22時(水~土曜)、19時30分~21時(日曜)
ホリデイスロウマーケット
開催時間:18時~22時(金曜)、15時~22時(土~日曜)
「鉄花村」のすぐそばにはバスターミナルが隣接。80年の歴史を持つ旧台東駅の保存のために生まれた「台東鉄道芸術村」もあり、駅舎を活かした作りとなっている。そのたたずまいにフォトスポットとしても人気だ。
夜間はライトアップされ、こちらも幻想的な姿に見とれてしまう。入場自由のため、地元の若者をはじめ多くの人がくつろいでいるのも印象的だった。実際に使われていた列車“光華号”も展示されているので足を運んでみるのをお勧めしたい。改札や駅の看板もそのまま残っており、レトロな雰囲気がたっぷりだ。
台東鉄道芸術村
所在地::台東市鉄花路 369 號
TEL:+886-(0)89-320-378
Webサイト:台東鉄道芸術村(中国語)
台湾原住民族感あふれる店内で台東ならではの味に舌鼓
台湾原住民族が多く暮らすエリアだからこその食の楽しみも台東の大きなポイント。台東グルメを味わいたいならば地元民が通う「米巴奈山地美食坊」がお勧めだ。「鉄花村」からも車で10分ほどとかなり近い。地元で採れた食材をふんだんに使ったメニューが美味しいと評判で店内は常に客であふれかえる人気店だ。
スタッフはアミ族の伝統衣装をモチーフとしたコスチュームに身を包み、壁には原住民の姿を描いた作品がずらり。そして原住民料理がテーブルに並ぶ。
特に人気なのがもっちり食感のお米とさつまいもがベストマッチの「山地飯」。そのままでも十分美味しいが、オーナー曰く「鯖の塩焼き」と一緒に食べて、とのこと。また、ベビーコーンをベーコンでぐるりと巻きグリルした「烤春筍」もできたてが一番、アツアツのうちに頬張ってとお勧めされた。
食べてみるとコーンのさっくり感とベーコンのカリカリ感が合わさり至福の美味しさ。シンプルで家でも作ってみたくなる一品。また、サトウキビの芯部分を使った炒め物や卵の入った特製の豚肉爆弾鍋は優しい味でどんどん飲めてしまう美味しさ。檳榔(ビンロウ)の花のサラダは今までにない食感。
デザートはしゃきしゃきっとした歯ごたえの洛神花(ローゼル)の砂糖漬け。噛むほどに甘みが増すが後味はさっぱり。ドリンクも洛神花茶をチョイス。今回はセットで一人500NTドル(約1650円、1NTドル=約3.3円)のコース「米巴奈定食」を堪能。コース以外にも単品でも注文でき流木の焼肉やブランデーを隠し味に使った台東ならではのソースを使った料理などここでしか食べられない料理もお勧めだ。
なお、オーナーが簡単な日本語を話せるのも日本人にはうれしいポイント。積極的に話しかけてくれるので、気になるメニューがあったら聞いてみるも楽しいはずだ。
アルカリ質の知本温泉での~んびり。うるツヤ肌を手に入れる
台東で必ず訪れておきたいのが知本温泉。日本統治時代から人気の温泉地で台湾4大温泉の一つだ。また、台湾8大景観としても有名。弱アルカリ性の炭酸水素塩泉で無色透明。さらりとしたものから、とろりとした水質までホテルによって異なるため好みの湯を探すのも楽しい。
知本温泉は美人の湯として有名で、豊富なミネラルにより温泉を出た頃にはツヤツヤ、うるおい肌に。角質を柔らかくし、肌の潤いや美白はもちろん、気になる傷跡や炎症にも効果があると言われている。また、飲むことで痛風や慢性胃炎、糖尿病に効果があり、胃酸の改善も期待できる。
なお、日本式の裸のままで入れる温泉も多いが、水着着用のプールのような男女混浴温泉もあるため必ず水着は持って行こう。今回は日本人観光客にも人気の2つのホテルを紹介する。
「知本センチュリーホテル」は2014年オープンの知本では比較的新しいホテル。全280室で、全館Wi-Fi無料。すべての部屋に大理石の浴室に温泉風呂が付いている。豊かな緑を堪能できる「ランドスケープラグジュアリースイート」や、和室のようなたたずまいの「グランド・ビュースイート」をはじめ7種類の客室を用意。42インチ~50インチのテレビを設置し、TOTOのウォシュレットと海外からの観光客を意識した作り。温泉地らしく体重計や600mlのミネラルウォーターのペットボトルが4本無料で付くのもうれしい。
エントランスを入るとまず目に入るのが原住民族のタオ族の拼板舟(漁船)。居心地のよいソファーには台東PRマスコットのぬいぐるみが座っているなど、遊びゴコロも随所に。週末にはロビー近くのカフェで生演奏も楽しめ、ゆっくり流れる時が過ごせる。
客室は明るい木調が特徴。「ランドスケープスーペリアスイート」(NTドル9200~:約3万360円~)は37m2で最大2人まで宿泊できる。ダブルベッド、またはシングルベッド2台のいずれかを選択できる。フルーツが豊かに実る土地柄ゆえウェルカムフルーツはリンゴとキウイ。そしてお茶請けとしてホテルと台東のマスコットキャラクター「米粒大叔(こめおやじ)」とのコラボライスクラッカーが2枚。ティーパックは台湾茶や紅茶、コーヒーを用意。湯沸かしポットも使いやすいタイプだった。
テレビは42インチの壁掛けタイプで、その下がデスクとなっている。ソファーもゆったりできる長めのもの。セフティーボックスは、ミニチュアの漁船の下の空間にあった。バスルームはベットルーム側から見ると曇りガラスでシックかつ明るい雰囲気。アジアではおなじみのシャワーと浴槽が分かれているタイプだ。ゆったりと脚が伸ばせる大きさの湯船もうれしい。
トイレはTOTOのウォシュレット。アメニティはシャンプー、コンディショナー、ボディーソープにクリームと一通り揃っている。泡立て用のスポンジがあるのもポイント。アメニティは綿棒やブラシ、シェーバー、歯ブラシセットが引き出しの中に。ドライヤーも風量の強いものだった。なお、室内スリッパは温泉を考慮してビーチサンダルタイプ。体重計もあり風呂上がりの測量に使える。
客室でも温泉は楽しめるが、屋上の温泉「センチュリー美人の湯」もお勧め。水着を着用せずに利用できる日本式の裸湯だ。入り口で部屋番号を伝えるとシャワーキャップとタオルを2枚貸出ししてもらえる。
そのあと、スタッフが脱衣所まで案内。薄暗い小道を進むと石造りの脱衣所、そして4~5人用のサウナ。その先には270度の美しい山林と温泉が広がる。円形のジャグジータイプと屋上の縁に合わせて細長いスクエアタイプ。そして冷水タイプの3カ所。温泉は38℃、40℃と比較的入りやすい温度だ。
さらりとした水質で、湯から上がった後すぐに肌がしっとりしていたのが印象的だった。なお、露天風呂の水風呂が日本とは異なりかなり大きいため、間違えて入らないように注意しよう。また、音楽に合わせてのライトアップや、リラックスムードを高めるために照明が落とされ暗くなる時間もあるので足元には気をつけよう。なお、台湾の温泉ではシャワーキャップを被ることがマナーとなっているので忘れずに。洗い場は併設されているがボディーソープのみとなっているため、シャンプーなどは客室の風呂を利用してから温泉に来た方がゆったりできる。
知本センチュリーホテル
所在地::台東県卑南郷龍泉道30号
TEL:+886-(0)89-515-688
Webサイト:知本センチュリーホテル(中国語)
原住民族ムード満載の老舗ホテルでさまざまな温泉を時間をかけて楽しむ
知本温泉の老舗ホテルといえば「知本老爺酒店(ホテルロイヤル知本)」。全183室で窓からは雄大な山々が望め、原住民族のモチーフが散りばめられた館内はオリエンタルムードたっぷり。温泉もハーブ湯やウォータースライダーなどが楽しめる400坪の広さの湯あそびゾーンを始め、大浴場と純和風の露天風呂を用意。
自分好みの温泉にゆったりつかりながら日頃の疲れを癒すことができる。各温泉が少し離れているので広大な敷地内を歩きながら次はどの湯に浸かろうかと考えながるのも楽しい。ホテル内にはアーチェリー体験ができるレクショーションゾーンなどのアクティビティも多数用意。週末は原住民族伝統舞踊のパフォーマンスや伝統料理体験も予約なしで楽しめるなどエンタテイメント性もたっぷりだ。
客室はファミリー向けの「デラックスファミリースイート」から一人旅にも使える「スーペリアルーム」など6種類を用意。「スーペリアルーム」(NTドル7800~+10%:約2万5740円~)は約29m2でタブルベッドが1台、またはシングルサイズのベッが2台どちらかが選べる。
客室は全体的に年季の入ったウッディーテイスト。家具類が濃い目のブラウンのためかなり落ち着いた雰囲気だ。ベッドサイドには木彫りの彫刻があるなどオリエンタルな香りも漂う。温泉風呂も完備し、とろみのある湯が風呂場はもちろん洗面所の蛇口からも出てくるため顔や歯を磨くときも温泉の湯を楽しむことができる。風呂場はガラス戸が1枚のみで使う場所に引き寄せて水が外に出ないようにするタイプ。浴槽は小さめだが、段差があり座ることができ半身浴がしやすい。熱めの湯が出るため温度調節用の温度計もあり、自分好みの温度でじっくり湯を楽しめる。トイレはウォシュレット完備。
ミニ冷蔵庫には、無料のミネラルウォーターが2本、台湾のスポーツドリンクの定番Super Supauが2本。洗面所にもミネラルウォーターが2本用意されているので湯上りには飲んでおきたい。また、凍頂烏龍茶、コーヒー、お茶受けは初鹿牧場の「初鹿鮮乳薄餅」。「初鹿鮮乳薄餅」はお土産の定番としてもお勧めのお菓子で、濃厚なミルクの風味とさっくりしながら食べ応えがあるのが特徴だ。ティータイム用に1Lの水も用意されている。なお、ウェルカムフルーツはリンゴが2個。
浴衣は被るタイプの少し大きめのもので、風呂上がりの汗や残った湯をしっかり吸収してくれる素材。サンダルタイプのスリッパも男女1ペアずつ。セフティーボックスは、浴衣やスリッパ、温泉へ行く際に使うビニールバッグが入ったクローゼットの下部にある。
宿泊者が利用できる無料の温泉は露天風呂と大浴場、スパ・温泉ランドの3カ所。露天風呂はホテルの庭の階段をかなり登った丘の上にあり、隠れ湯的な存在。入り口のスタッフに部屋番号を伝えるとタオルとシャワーキャップ、ロッカーの鍵が渡される。裸湯のため水着やタオルを着用したままの入浴はできない。大理石、釜、岩、泡の4種類あり、こじんまりしながらもゆったりできる。
釜と岩の2種類を体験したが、釜側は比較的温度は38℃。岩側も40℃だった。洗い場も併設されており、ボディーソープやシャンプーも設置されているので風呂感覚で訪れても平気だ。利用時間は6時~11時、16時~23時30分。
2カ所目の温泉・大浴場はホテル館内の2Fに、打たせ湯や冷水浴、ジャグジーなど数種類の温泉が一度に楽しめる。受付で露天風呂の時と同じように部屋番号を伝えると、風呂セットが渡される。こちらも裸湯でシャワーキャップの着用が必須となっているので忘れずにかぶろう。脱衣所も広めで、ドライヤーや綿棒、ブラシ、ミネラルウォーターやお茶などが揃えてあり日本の宿を彷彿させるサービスがうれしい。タイル貼りの浴室はどこか懐かしい雰囲気も。こちらもシャンプーなどが設置された洗い場を併設。イメージとしては健康ランド的なたたずまいだ。利用時間は7時~11時30分、14時~24時と長めのため、思い立った時に浸かりに行ける。
3カ所目はスパ・温泉ランド。水着とスイムキャップの着用が必要で屋外プールが隣にありつながっている。中央には天幕風呂があり、ウォータースライダーが楽しめる。鮮やかなレッドが印象的なハーブ湯に寝湯なども揃い、遊びながら体をほぐすことができる。家族連れやカップルに人気だ。ややぬるめの温度でプール感覚で泳いだりできる。利用時間は9時~23時。
台湾おでんから、懐かしの味まで、旅の“食べたい”を朝食で網羅
温泉地滞在の楽しみといえば、朝風呂のあとの朝食。台東ならではのご当地グルメが味わえるホテル内レストラン「ナルワンレストラン」のブッフェには必ず足を運んでおこう。
アースカラーで統一された店内からは、知本の雄大な山々が望め朝からリゾート感が高まる。海外からの利用客も多いためできたてのフレンチトーストなどの洋食はもちろん、関東煮(おでん)や風味茶葉蛋(煮卵)、烏梨(塩辛い梨)、そしてご飯にかけると至福の美味しさの肉燥(肉そぼろ)など台湾グルメがたっぷり。台湾のブランド米・池上米も用意されており、ほんのり甘みを感じる米の美味しさに何倍でもおかわりをしたくなるほど。地元で採れたフルーツもたっぷり、そして野菜類も豊富に揃っているので好きなだけ味わえる。
知本老爺酒店
所在地:台東県945卑南郷温泉村龍泉路113巷23号
TEL:+886-(0)89-510-666
Webサイト:知本老爺酒店
大自然の中で温泉につかりながら、台湾グルメを味わい、そして最新のアート、ミュージックスポット、さらには原住民族グルメも楽しめる知本温泉周辺と台東市。次回は、台東の大自然を大空から満喫できる熱気球体験、原住民族・ブヌン族の住む山々を登り、食文化も体験できる台湾でも話題のエリア、鹿野郷周辺を紹介する。