旅レポ
台湾台東を陸と空から大満喫、ゆったり楽しむ田舎旅を体験(その3)
台湾の米所、池上郷で美味しい米三昧
2016年12月8日 00:00
台湾台東県庁は11月4日から7日にかけて台東の名産品や観光スポット、原住民族の文化などを体験し、台湾の今を紹介するプレスツアーを開催。その3となる今回は台湾国内のブランド米の産地・池上郷、関山鎮周辺を中心にレポートする。
台東の池上郷は台湾でも有数の米所。ブランド米「池上米」の産地で、かつては皇室にも献上されていたほど美味しい米が収穫できる場所だ。昼間と夜の寒暖の差が激しく、雨も豊富、そして肥沃な土壌が揃っており、粒が大きく弾力のある米に仕上がる。また、日本統治時代に改良を重ねているため、かなり日本の米と共通する部分が多いのも特徴。一口食べたら、台湾では池上米以外は食べられなくなるほどの美味しさだ。
お米の学校で学生気分に、ツアーに参加しお米をゲット
今回最初に訪れたのは、「関山米国学校」。池上郷に隣接しており、同じく有名な米所関山鎮に位置している。米をテーマにした施設で「見る・聞く・食べる」として、米についての学習やお弁当づくりなどの体験が楽しめる。
さまざまなコースがあるなかで、1時間半~2時間の「製米DIY体験活動」(300NTドル:約990円、1NTドル=約3.3円換算)に参加した(電話での予約必須)。コースでは、スタッフによる精米についての説明、真空パックへの袋詰め体験ができる。もちろん併設されるショップでは、米を購入することもでき、台湾の観光スポットとしても人気。プレスツアー当日も人気の米を手に入れるため、レジに行列ができるほどの混みようだった。
まずはスタッフによる“なぜ美味しい米が穫れるのか”の説明から「製米DIY体験活動」がスタート。気候や土壌のことをはじめ、東側のため日照時間が若干長めであること、山より直接ミネラルたっぷりの水を引き入れていることも美味しさの秘密だという。近年はその人気ゆえ偽米も増えていることが問題になっているとも話した。
次は、精米についての説明。作業場には実際に使われている機械が並び、石やゴミを取る作業を経て、玄米、白米になる工程を解説。精米技術が確立されるまでは石や砂が米に入っていたそうで多くの子供たちは「なぜ親は自分のご飯に砂や石をわざと入れるんだ?」と思っていたなどのエピソードも教えてくれた。続いては、米の包装体験へ。製米体験認定証が渡されたら名前を記入。専用の袋を機械にセットするとドサリと米が1キロ入る。そして真空包装置でパッケージ。カードも添えて完成となる。
パッケージ体験後は、併設されている「米国学校」へ移動。精米による米の状態を学ぶことに。良質米と雑色米、細砕米から米ぬか、麦芽米、屑米、籾殻、稲穀など10種類の形の米を実際に触れ、その違いを確認する。その際に小ビンの入ったケースが渡されるため、きちんと違いを見極め、指定のビンに詰めることができると体験終了。
ビンとともに、先ほど自分で詰めた「関農香米」と「関山好米」がお土産としてプレゼントされる。なお、「関農香米」はタロイモの香りがする米で、炊きあがると芋を蒸かしたような香りが感じられるお米。「関山好米」も甘みがありふっくら。クセのない味でどんどん食べられる美味しさだ。
「米国学校」内には直売場もあり、地域の農家から直接仕入れたお米がどっさり販売されている。それぞれ工夫がされており、シックなポーチに入ったものや、カバン風、いつもの袋入りなどさまざま。同時にお米とともに人気のお茶も豊富に揃う。
一番のお勧めは台湾内でも注目されている「紅烏龍茶」だ。通常の烏龍茶に比べ発酵時間が長く、紅茶のように赤いお茶なのが特徴。関山周辺でしか購入できないので、見つけたならば買ってみることをお勧めしたい。
関山米国学校
所在地:関山鎮昌林路24-1
TEL:+886(0)89-814-903
Webサイト:関山米国学校(中国語)
駅弁の有名店で池上米を堪能、ご当地名物「池上弁当」を頬張ろう
池上郷を訪れたのならば、必ず行きたいのが「池上飯包文化故事館」。池上郷は有名な米所でもあると同時に駅弁発祥の地ともされている場所。「池上飯包文化故事館」には稲作の歴史を学ぶと同時に「悟饕池上飯包」の有名駅弁も味わうことができる人気のスポット。同店は元祖「池上弁当」の店と呼ばれており、駅弁ファンならば必ずや行きたいお店の一つ。国内にもチェーン展開しているが、やはり本場の味を堪能したいと多くの観光客が訪れている。
外には屋根付きのテラス席、そして実際の車両の中にもテーブルを設置。旅をしている気分で駅弁が頬張れるのだ。
店内には、お米や関連製品が所狭しと並べられている。奥には目当ての「池上弁当」の販売スペースがあり、13種類とメニューも豊富。そのなかでも一番の人気が生まれてから74年間愛され続けている「正宗池上飯包」(80NTドル:約264円)だ。1939年(昭和14年)に池上弁当は生まれ、当初はサツマイモの餅などであったとのこと。8~13時間の旅をしてきた客のためにプラットホームで販売したのが始まりだとか。店内には「正宗池上飯包」を説明したボードも掲げられている。ひっきりなしに弁当をトレーに載せた観光客が店内を歩いていたのも印象的だった。
実際に購入し、味わってみると、冷えても美味しく食べられるようになっているのに驚いた。池上米の上には具材がどっさり載せられ、米の乾燥を防ぐ工夫も。メインの豚肉の揚げも醤油ベースでしっかり味がついており、クセになる美味しさ。煮卵もうれしい。
弁当にかけられている紙には食べ方指南があり、最初にショウガで口の中をさっぱりさせてご飯を頬張り、その美味しさを堪能。そして具材を一緒に味わってほしいと記されていた。ぜひ、この順番で食べてみよう。
池上飯包文化故事館
所在地:池上郷忠孝路259号
TEL:+886(0)89-862-326
営業時間:8時~21時
Webサイト:池上飯包文化故事館(中国語)
金色の田園風景が広がる、「伯朗大道」を自転車での~んびり
米所ならではの美しい田園風景も池上郷の魅力。まっすぐに伸びる道と、大きな青空、が訪れる人を歓迎してくれる。「伯朗珈琲」のロケ地として有名だったが、2013年の台湾の航空会社「エバー航空」のCMロケ地となったことで、のどかなこの風景が一躍脚光を浴びることに。今では、大人気の観光スポットとなっている。
日本ではおなじみの俳優 金城武氏が小道を自転車で走り抜け、青々とした稲が風に吹かれ波のようになるワンシーンは美しいのひとことにつきる。このCMで伯朗大道に観光客がクルマで押し寄せたため、現在は自転車または徒歩のみのでこのエリアに入場可能となっている。クルマの往来を気にせずゆったりと景色を楽しめるのもうれしい。
レンタサイクルも充実しており、この日は宿泊先の「PAPAGO INTERNATIONAL RESORT」に併設されているショップにて4人乗りの電動付き自転車(800NTドル:約2640円)をレンタルした。
操作時の注意事項を受け、いざ出発。伯朗大道へ向かう途中に2車線道路を横断することになるので注意が必要。慣れぬ4人乗りで最初は戸惑うが、5分程すれば運転もこなれてくるので安心だ。ちょうど訪れた時期は稲刈り直前。黄金の草原が広がり、夏の緑とはまた違う豊かな表情を見せてくれた。途中には「天堂路支線」の標識が。メインの道は有名になったため「翠緑的天堂路(翠緑の天国への道)」と呼ばれるようになり標識も立ったのだ。
そのまま進むとまっすぐな道が広がり、遠くの雄大な山々、そして青空が迎えてくれる。そのスケールの大きさと美しさにしばし見とれてしまうほど。直線の終点には、伯朗大道のサインとフォトスポットが。ここで写真を撮りSNSに投稿するのが台湾でかなり流行っているとのことで、多くの観光客が列に並び撮影していた。白い枠内に入るとちょうど額縁のように景色が切り取られて印象的な1枚が仕上がる
なお、自転車でのサイクリングはここで終わりではなく、田園をぐるりと1周することになる。その際に立ち寄りたいのがレトロなカフェを併設した「稲米原郷館」だ。旧米蔵を改築し、1階では地域の名産品を販売。2階では風景を堪能しながらお米を使ったデザートやお茶などを楽しめる。レンガ造りの店内に入ると2階へ続く階段とカフェのカウンターがあり、その先にはエバー航空のポスターとヤカンを展示。2階は自然光を活かし、昼間は静かで涼しい空間となっている。
米をメインに使ったメニューから今回は「米布丁(ライスプティング)」(35NTドル:約120円)と「玄米茶」(100NTドル:約330円)をチョイス。持ち帰り用にお願いした。ほんのり甘く漬けた洛神花が乗っており、プディングの素朴な味を引き立てている。つるんとしたのどごしも爽やかだ。玄米茶はしっかりした玄米の風味が利いていて、米自体の美味しさも感じられる1杯。Lサイズのため飲みごたえも十分。
また、「ライスケーキ」(35NTドル:約120円)と「鳳梨茶(パイナップルティー)」(80NTドル:約264円)もオーダー。カフェで味わうときはガラスカップでの提供となる。
なお、ゆったり気分を味わいたいのなら開放感のあるテラス席がお勧めだ。おまけとしてお勧めお菓子がプレゼントされることもある。この日にもらった「池上米香」は、日本でいう「雷おこし」のようなスナック。どちらかといえばポン菓子に近いほんのりとした甘さが特徴。ザクザク食べられるうえ、そこまで甘くないためお土産としても重宝。店内でも販売しているのでチェックしておこう。
カフェで一息ついたところでラストスパート。その際に見ておきたいのが、もうひとつのフォトスポット「名人木」(通称:金城武の樹)だ。2016年にCMのような写真が撮れるよう銅と金箔を使ったアート作品「休憩中的思維」が寄贈され、連日観光客が撮影を楽しんでいる。周辺は実際に出荷用のお米が作られているためマナーが大事。節度ある行動で撮影をすることも忘れずに。
伯朗大道
所在地:池上郷池上郷伯朗大道
TEL:+886(0)89-862-041
Webサイト:伯朗大道(中国語)
稲米原郷館
所在地:池上郷萬安村1鄰-1-12
TEL:+886(0)89-863-689
営業時間:8時30分~17時(月曜定休)
Webサイト:稲米原郷館(中国語)
エントランスを出れば田園広がる、地域密着型極上リゾートでお米を頬張る
伯朗大道にほど近い場所にあるのが「PAPAGO INTERNATIONAL RESORT 日暉國際渡假村-台東池上」。パラオでも展開している同ホテルはリゾートライフでの“欲しい”を網羅しているのが特徴。119室のホテルルームと102室のヴィラがあり、ゆったりと都会の喧騒を離れくつろげる空間となっている。周辺を田園、そして豊かな自然、山々が囲み、しかも食事も池上米を使用するなど、台湾でも人気のリゾートホテルなのもうなずける。
ホテル館内は中央にプールがあり、部屋が囲むような構成。オリエンタルなムードがただよう装飾品が置かれ、ロビーも広々とした空間が広がり、南国気分を盛り上げてくれる。エントランスを出るとすぐ近くに田んぼもある。また、広大な土地を利用して週末にはマラソン大会のコースにもなっていた。
客室は「山景ダブルルーム」と「山景色ファミリールーム」「日暉尊貴スイート」の3種類。今回宿泊した「山景ダブルルーム」(4399NTドル~:約14516円~)は15畳の広々とした空間に120cm×210cmのダブルベッドが2つ、または180cm×210cmのツインベッドのどちらかとなる。全客室にバルコニーがあり、プール側、または豊かな山々を望むことができる。
部屋には作業用デスク、ゆったり座ることができる深めの椅子、テレビなどが一通り揃っている。Wi-Fiも部屋番号でアクセスする形で快適。ジャスミンティーや珈琲と一緒に池上米を使ったお菓子も2種類お茶請けとしてサービス。ミネラルウォーターはミニ冷蔵庫内に600mLが2本ある。
クローゼットには、ビーチサンダルが2足あり、セーフティボックスも設置。バスローブの備え付けはない。トイレは温水洗浄がないタイプでシンプルなもの。バスルームはかなり広めのスペース。洗い場とバスタブが分かれているタイプで、炭酸水素ナトリウム温泉により肌もツルツルに。こちらも美人の湯と呼ばれている。バスタブは足を伸ばせる大きさ。
ドライヤーは備え付けタイプ。アメニティはローズの香りがメインでシャンプー、コンディショナー、シャワージェル、ボディークリームの4つ。また、石鹸、シャワーキャップやシェービングキット、歯ブラシ、コーム、綿棒とデンタルフロスも用意。
館内には温水、冷水プールをはじめ、体を動かせる設備も充実。中庭プールの温水プールには温泉を使っており、遊んでいるうちに肌に潤いが与えられるなどうれしい部分も。室内にはビリヤード台やスポーツジム、将棋・囲碁ルームなどを完備。子供用のプレイルームもある。また、個人風呂の「神仙湯三温暖」(一人300NTドル:約990円)も予約をすれば入ることができる。
池上米や地元の“美味しい”を堪能したいのならば館内レストランへ。「中華レストラン・胡蝶蘭」と「レストラン・向日葵」の2店舗あり、「中華レストラン・胡蝶蘭」は優雅な昼食とディナー、「レストラン・向日葵」はカジュアルな空間でビュッフェなどが楽しめる。
「中華レストラン・胡蝶蘭」は喜びを表わす赤と富を象徴する金をメインに使った店内で、台湾ならではの料理が味わえる。前菜のアヒルや甘エビから始まり、池上米を使った台湾おこわ、冬瓜とシーフード炒め、せっこう菜とキノコ炒め、青パパイヤと豚肉のスープなど盛りだくさん。デザートはドラゴンフルーツ、そして鹿野の名産品珈琲を使ったゼリー。基本的に肉料理よりも野菜を使ったメニューが多いのが特徴。また、全体的に薄味のため、さっぱり食べられる。
「レストラン・向日葵」は朝・昼・夜と開いており滞在する旅行客の胃袋的存在。ビュッフェ式の朝食では、池上米の炊きたてご飯や、飯團(台湾風おにぎり)、家郷炒米粉、ダイナミックなベイクドポテトやフレッシュなフルーツまで盛りだくさん。饅頭系も揃っており、自分で作る麺コーナー、蒸したての落花生まで幅広いメニューで朝から食欲が止まらない。
なお、炊きたての池上米はホクホクで噛むごとに甘みが出てきて、ご飯だけでも十分美味しい。何杯もおかわりがしたくなるため、おひつの中は常に減っている状態だった。飯團(台湾風おにぎり)も形は細長いが肉や漬け物が入っていたりと、まさにおにぎり。持って帰って食べたくなる味だった。
家郷炒米粉は細麺の汁無し中華麺的な風味。また忘れてはいけないのが豆乳だ。台湾の朝の定番で、少し砂糖を入れるなどして味わおう。ドリンク類はコーヒーとともに紅茶やジュース類も豊富。青梅果汁などもある。
PAPAGO INTERNATIONAL RESORT 日暉國際渡假村-台東池上
所在地:池上郷新興村新興107号
TEL:+886(0)89-861-111
Webサイト:PAPAGO INTERNATIONAL RESORT 日暉國際渡假村-台東池上(日本語)
ブランド米と田園風景をたっぷり楽しめる池上郷エリア。もちろん学習も含めて米所としてその価値を活かせる形で観光客に楽しみを提供していると実感した。台湾の米の美味しさを再認識しつつ、次回は海側の東河や成功鎮周辺についてレポートする。