荒木麻美のパリ生活

パリで日本のイチゴのショートケーキ(とメロンパン)を食べる

 私は普段、乳製品と小麦粉製品をほとんど食べません。でも年に1回くらい「日本のイチゴのショートケーキを食べたいなぁ!」と強く思います。

 フランスにも「フレジエ(Fraisier)」というのがあって、一見日本のイチゴのショートケーキなのですが、アーモンドスポンジにバターカスタードクリームなので、なかなかどっしり! これはこれでとても美味しいのですが、日本のイチゴのショートケーキのような、フワフワした軽い食感のケーキが恋しくなるのです。それも高級感あふれるものではなく、子供のころにワクワクして食べていたような、昔からあるシンプルなやつが食べたいのです。

 でもありがたいことに、パリには私の思う「これぞ日本のイチゴのショートケーキ」を売るお店が数軒あります。まずは16区に1988年からある老舗、「YAMAZAKI」(6 Chaussee de la Muette, 75016 Paris)。山崎製パン系列です。

 私が行ったのは日曜の午前中だったのですが、たくさんの人が並んでいました。外で順番を待っている間、前にいたフランス人マダムに話を聞くと「今回が初めての訪問よ。前からここのケーキとパンは美味しいという話を聞いていたのだけど、今日やっと来られたの!」と言いながらうれしそうに店内に入っていきました。

 私が店内に入ったときには、すでに多くの商品が売れてしまった様子。イチゴのショートケーキに限らず、絶対に食べたいものがあるときは取り置きしてもらった方がよさそうです。

フランスのサンドイッチといえばパンはバゲットです。日本風のフワフワ食パンを使った具沢山サンドイッチは、フランスではなかなか買えないもの

 こうして買ってきたイチゴのショートケーキは5ユーロ。大きめのケーキにはイチゴがたっぷりで食べ応えも十分。大満足でした。

イチゴのショートケーキは「MATSURI」という名前で販売しています
フランス人にも大人気だというのがこの「雪娘」。抹茶味の求肥(ぎゅうひ)のなかは抹茶生クリームとあんこが

 次は「Aki Boulangerie」(16 Rue Sainte-Anne, 75001 Paris)。扱っている商品の種類がとても豊富で、弁当いろいろ、カレーパンなどの総菜パン、きなこツイストパン(懐かしい!)といった菓子パンまでずらりと並んでいて、まるで日本にいるような気分。

 Akiのイチゴのショートケーキは4.80ユーロ。正方形なのでどこから見てもなかのイチゴがよく見えます。ホイップもスポンジもきめが細かくて文句なしの美味しさ。

 Akiにはいろいろな味のメロンパンもあり、「日本のパンで一番好きなのはメロンパン!」と断言するフランス人の夫に買っていくととても喜びます(夫以外にもメロンパンを好きなフランス人は多いです)。

 Akiはこのブーランジェリーのほか、お好み焼き屋、カフェ、Mochi Mochiというお店も展開しており、すべてオペラ地区にあります。Mochi Mochiでは華やかでかわいらしい、「映え」そうなメロンパンもたくさん並んでいますが、今回はあえてAki Boulangerieでシンプルなメロンパンを選択。2.20ユーロです。皮はサクサク、なかはしっとりで、夫ほどのメロンパンファンではない私も幸せな気持ちになる美味しさです。店内では「メロンパン10個!」と大人買いする人もいて、メロンパンの人気の高さがうかがえます。

Mochi Mochi Aki
「映え」そうなメロンパンがたくさん!

 最後にご紹介するのは「Budji」(46 Rue la Fayette, 75009 Paris)です。ここはパリ9区に2020年の秋にできたばかりのお店なのですが、いつ行ってもたくさんの人が並んでいます。

 店のオーナーはインド系フランス人の兄妹。2人で行った日本旅行のあと、大好きな日本をコンセプトにこのお店を開くことにしたそう。お店の名前Budjiは2人が飼っている猫の名前だそうで、猫のマスコットを使ったお店のグッズも各種販売しています。

 こぢんまりとした店内には、日本的なフワフワ系のケーキ各種、ソーセージドッグなどの総菜パン、おにぎり、ざるそばや唐揚げの弁当、カップ麺やスナック菓子、そして数種類のメロンパンが並んでいます。各種ラテやラムネといった飲み物も豊富に扱っています。

 イチゴのショートケーキは4.80ユーロ。最近改良したばかりだそうですが、素朴でシンプル、ほっとする味でした。普通のメロンパンは2ユーロですが、ここでは抹茶のメロンパン2.60ユーロを購入。ちょっと焼き過ぎたのか、メロンパンの皮がちょっと固かったですが、味は甘過ぎなくて合格点です。ケーキもパンも、今後さらにアップデートをしていくことでしょう!

 Budjiの従業員に日本人はいないそうですが、「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」と元気いっぱいに日本語であいさつをしていてほほえましかったです。こちらのお店、従業員もそうですが、客層もとにかく若い! YOASOBIの歌が流れる店内にいると、店全体からフランス人による熱い日本愛を感じます。

 新型コロナウイルスのために去年に続いて今年も中止になってしまいましが、アニメ、漫画、ゲームを中心とした、日本文化をテーマにした見本市「JAPAN EXPO」の雰囲気を思い出してうれしくなりました。

 Budjiは今回ご紹介した3店舗のなかではわが家から一番近いですし、進化を楽しみにしながら、今後も応援していきたいです。

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/