荒木麻美のパリ生活

どんどん身近になるパリのコンポスト生活

パリ市内はコンポストで真っ赤になっています

「コンポスト」とは、生ごみや落ち葉などを分解して堆肥にする処理方法、またはその堆肥のことです。Syctom(パリ市とその周辺の家庭ごみ処理自治体組合)が運営するサイトを見ると、パリ市内のあちらこちらにコンポストがあることが分かります。ただし、このほとんどが会員や住人用です。

会員専用のコンポスト

 私も共有庭園の会員だったときは、畑のなかにあるコンポストを利用していました。引っ越しのために共有庭園を止めてからは、コンポストなしの生活に。

 でもパリのゼロ・ウェイストについて調べたことをきっかけに、コンポストを再度使えないものかと考えていました。

 現在住んでいるアパート内にも同じ思いの人がいるようで、「敷地内に共同のコンポストを設置しませんか?」という張り紙がありました。すぐに「賛同します!」と連絡をしたのですが、結局アパートの組合からの許可が下りなかったために実現せず。

 ならば、とパリ市がミミズコンポストを無料で配っているというのでこれを家に、と思ったのですが、ベランダやテラスのない我が家。「えー、家の中でミミズを飼うの!?」という夫のとても渋ーい顔や、猫たちがいたずらをする可能性、長期の不在が多いことなどから、これも断念。

 というわけで最終的に採用したのは、パリ市内にある常設市場に設置されたコンポスト用のごみ箱にごみを持っていくシステムです。2020年の秋くらいから収集所がどんどん増えているので、これなら続きそうだなと思いました。

申し込み用紙一式

 早速オンラインで申し込み用紙をダウンロードして記入。パリ市内に住所があることを証明するためのガスや電気の支払い証明書と一緒に指定の場所に持っていき、ごみをためておくバケツをもらいました。

 わざわざ取りにいかなくても、市場のまわりで配布していることもあります。バケツにはコンポストについての簡単な説明と、専用のごみ袋が60枚入っています。ごみ袋はなくなったら紙袋でも、スーパーなどにある野菜・果物用の生分解性プラスチック (Plastique Biodegradableと書いてあります)を使っても大丈夫です。

 ちなみに私はこのバケツがないとごみを捨てられないのかなと思ったのでもらいましたが、このバケツがなくても問題ないです。

パリ市が配布している、コンポスト用のフタ付きのメッシュバケツ。食洗器でも洗えます
この日は常設市場のまわりでバケツを配布していました

 コンポストに入れてよいごみは以下のとおりです。

・調理で出た生ごみ(野菜、果物、卵の殻など)
・食べ残し(パン、肉、魚など)
・使用済みティーバックやコーヒーフィルタ
・使用済み紙ナフキンなどの紙類

コンポスト用のごみについての説明イラスト(パリ市提供)

 これらのごみを好きなときにパリ市内の一部の常設市場にあるコンポスト用ごみ箱に持っていきます。2021年4月時点では、5・6・10~15・18・20区の常設市場にあります。出されたごみは処理場にてバイオガスと肥料として生まれ変わり、バスの燃料や緑地などに使われているそうです。

 計画では、2025年までにパリにあるすべての建物内にコンポスト用のごみ箱を設置することになっています。今後コンポストがますます身近なものになっていきそうですが、問題はフランス人のごみの分類が適当過ぎること。今でもリサイクルごみ、瓶、そのほか、しか分類がないのですが、明らかに違うごみが混ざっているのをよく見かけるので、この辺の対策は大丈夫なのかなぁとちょっと心配です。

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/