荒木麻美のパリ生活

パリ近郊、森のなかの砂浜と岩場をハイキング

 5月頭から新型コロナウイルスのために制限されていた長距離の移動がまたできるようになり、パリ近郊のハイキングを再開しました。

 そのなかで、特にここはとてもよかった!と思ったところを2か所紹介したいと思います。キーワードは「森のなかの砂浜と岩場」です。

 まずはフォンテーヌブローの森の西にあるマシフ・デ・トロワ・ピニョン(Massif des Trois Pignons)。パリからクルマで1時間ほど南に下ります。

 この辺りは昔海底だったために砂浜のような道が多く、平たんな道でも足をとられてとても歩きづらいです。

 でもところどころに威厳さえ感じる、不思議な形をした岩が現われるのを見ながら歩いていると、少々疲れはしてもまったく飽きません。

 ときには砂浜道を外れ、たくさんある岩山を上るのも楽しいです。そこではボルダリングをしている人も多くいます。フォンテーヌブローは有名なボルダリングの地でもあるんですね。

ボルダリングを楽しむ人びと

 マシフ・デ・トロワ・ピニョンの中心には「犬のお尻の砂」という場所があるのですが、「犬の姿に見える岩」があるから。このほかにも亀や象の形をした岩などがあるらしいので、また行く機会があれば、ほかのおもしろい形の岩も見つけたいです。

犬の姿に見える岩

 もう1か所はオテ・デュ・ディアブル(Hottee du Diable)というところ。パリから北東にクルマで1時間ほど行ったところにあります。

 オテ・デュ・ディアブルは、彫刻家のカミーユ・クローデルと、劇作家・詩人・外交官であったポール・クローデルに多くのインスピレーションを与えた場所とされています。

 今回、ヴィルヌーヴ=シュル=フェールというところから出発してオテ・デュ・ディアブルに向かったのですが、このヴィルヌーヴ=シュル=フェールで4人姉弟の末っ子としてポールが生まれました。子供たちの1人は夭逝したため、両親とカミーユを含めた3人の姉弟が子供時代の数年間をここで過ごしたのです。

 クローデル一家の当時の家は現在小さな美術館となっており、カミーユとポールがどのような生涯を送ったのか、いくつかの作品とともに簡潔に分かる場所となっています。私はポールについてはほとんど何も知らなかったので、大変興味深く見学しました。

 このほかオテ・デュ・ディアブル周辺には石窟らしきもの、中が潰れたトンネル、半分廃墟となった修道院、1918年にドイツ軍の侵入を撃退した第二次マルヌ会戦の巨大な記念碑など、予想以上に見どころが多いハイキングでした。

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/