旅レポ

半日でもたっぷり楽しめる箱根観光モデルコース。ゴンドラに乗って大涌谷、海賊船で芦ノ湖周遊、王道ルートが続々リニューアル

箱根観光の王道ルートが続々リニューアル!

 都心からのアクセスもよく、江戸時代から今にいたるまで高い人気を誇る温泉観光地「箱根」。

 戦前から運行している登山電車をはじめ現在はケーブルカー、ロープウェイ、箱根海賊船(芦ノ湖)、さまざまなタイプのバスが観光エリアを網羅しているので、日程やルートなどプランの自由度の高さも大きな特徴となっています。

 今回は、箱根のさまざまな交通を担う小田急箱根のプレスツアーに参加する機会を得たので、その模様をお伝えします。

小田急箱根プレスツアーは小田原駅から観光バスに乗ってスタートしました

 旅のスタートは小田急ロマンスカーや新幹線が利用できる小田原駅。ここからツアー最初の目的地、箱根ロープウェイの早雲山駅へ向かいます。早雲山駅へはロマンスカーや箱根登山電車、箱根登山ケーブルカーなどそれぞれに特徴をもった交通機関を乗り継いでもアクセスできますが、今回は観光バスを利用しました。

立体音響を備えたゴンドラで壮大な風景と音を楽しむ音響ゴンドラ「音箱(OTOBACO)」を楽しむ

「音箱(OTOBACO)」の音響イメージ(画像提供:小田急箱根)

 早雲山駅からは箱根ロープウェイを利用し1つ目の駅、大涌谷駅へ向います。今回はこの区間限定で今春から運行しているDolby Atomos対応の立体音響システムを搭載した「音箱(OTOBACO)」というタイプのゴンドラを利用しました。

 ゴンドラ内の立体的な音に包まれながら、3000年前の火山活動によって生まれたという荒涼とした風景を眺める約10分の空中散歩の非日常感は新しい楽しさです。音箱は通常のゴンドラと異なり、1台につき最大16名の貸切運行となりますので、人数分の通常運賃に1台2500円の貸切料金が必要です。

 実はこのシステムが絶妙で、1台のゴンドラをたった2500円で占有できるというのがミソ。家族やカップルだけで利用してもOK。もちろん1人での利用もできます。この場合1人分の通常運賃に1台分の貸切料金2500円を追加するだけで1台のゴンドラを占有できてしまいます。なお、繁忙期を除き毎日運行していますが、事前に公式サイト「箱根ナビ」で確認してからの利用をお勧めします。

立体音響を実現するスピーカーが設置されたゴンドラの天井部分
ゴンドラ床面の窓から下界が見えます
ゴンドラから見える大涌谷のダイナミックな風景は圧巻
箱根ロープウェイ 早雲山駅

 ちなみに今回は特別なゴンドラで1区間のみの利用でしたが、箱根ロープウェイは早雲山~大涌谷~姥子~桃源台と4駅のルートを結んでいるので、休日の交通渋滞や大涌谷のような人気スポットでの駐車場待ちを避ける意味でも非常に有効な交通手段と言えるでしょう。

約3000年前に生まれたダイナミックな自然を感じながら「大涌谷キッチン」で新メニューを楽しむ

新メニューの鉄鍋料理、チキンのクリームソース

 箱根ロープウェイ 大涌谷駅でゴンドラを降りると即気付くのが硫黄のにおい。鼻から箱根が温泉地であることを感じます。これまで駅に併設していた「大涌谷 駅食堂」は全面改装され「OWAKUDANI KITCHEN(大涌谷キッチン)」として7月17日に新たにオープンしました。

 駅食堂時代からの味を受け継いだカレーのほか、固形燃料を使った鉄鍋料理が新登場。またラッシーをはじめとするドリンク類やデザートも拡充し、窓から大涌谷のダイナミックな風景を眺めながら広々とした空間で食事を楽しめます。

 新メニューの石鍋料理はチキンのクリームソース・魚介のトマトソース・デミグラスソースのハンバーグの3種。今回筆者はチキンをチョイスしました。

 まずはそのまま鶏のクリーム煮を楽しみます。次にグツグツと煮立つ鍋にご飯とチーズを投入。チーズが溶けたところで温泉卵を加え、味変させながらリゾット風の食事を楽しみました。どのタイミングでも奇をてらった感じがなくコクがありながら食べやすく、とても美味しくいただけました。

 デザートに選んだマンゴープリンはホイップクリームとカットマンゴーがたっぷり。白いクリームとマンゴーシャーベットの色彩がとてもキレイです。ボリュームのある甘さとシャーベットの爽やかさが印象的で、鉄鍋料理同様こちらも真っ赤なフランボワーズで味変を楽しみました。

周囲を窓に囲まれ、見晴らしのいい「OWAKUDANI KITCHEN(大涌谷キッチン)」
店内から眺める大涌谷の風景は圧巻
カレーは駅食堂時代から味を受け継いだもので、大涌谷カレー(温玉付き)、ベジタブルカレー、大涌谷カツカレーの3種
新メニューの鉄鍋料理は魚介のトマトソース、デミグラスハンバーグ、チキンのクリーム煮の3種。いづれもライスとサラダ、チーズ、温玉が付く
途中でご飯を投入。チーズを加えリゾット風に
デザートの大涌谷マンゴープリン
カレーによく合うオリジナルラッシーの味はストロベリー、ハニー&アップル、抹茶の3種
濃厚 黒バスクチーズケーキ
さまざまなシートを用意しているので人数に合わせて利用できます

大涌谷の硫黄のにおいが漂う荒涼とした大地を楽しむ新スポット「ちきゅうの谷」

2025年春に完成した新スポット「ちきゅうの谷」。輪のように見えるのが円形に広がる展望スポット「風の輪テラス」

 硫黄のにおいと白い噴気に温泉地としての箱根を強く感じる大涌谷の大地は、その荒々しさに地球のエネルギーを感じます。2025年春に完成した新スポット「ちきゅうの谷」には、「風の輪テラス」「伊吹のデッキ」「大地のほとり」と名付けられた3つの展望デッキが用意され、さまざまなスタイルでダイナミックな風景を楽しめます。ちなみに、ここの温泉池で作る黒いゆでたまご「黒たまご」は大涌谷の名物です。

展望スポット「風の輪テラス」
谷の上へと突き出す展望スポット「息吹のデッキ」
2階にはスイーツやドリンクを楽しめ限定グッズやお土産が購入できる「谷のマルシェ」3階は「OWAKUDANI KITCHEN(大涌谷キッチン)」となっている

芦ノ湖名物、箱根海賊船「ロワイヤルII」

リニューアルして7月18日から就航している箱根海賊船「ロワイヤルII」

 芦ノ湖の桃源台港、箱根町港、元箱根港を結ぶ箱根海賊船は芦ノ湖観光の目玉とも言えるもので、湖面を進むその姿は芦ノ湖の風景として古くから定着しています。

 今回乗船したのはリニューアルして7月18日から就航している「ロワイヤルII」です。18世紀に活躍したフランス艦隊の旗艦ロワイヤル・ルイをモデルとした内外装は華やかで観光気分を盛り上げてくれます。船内はロココ様式を意識した家具や座席を配置した特別船室と普通船室に分かれ、随所にオリジナルデザインの隠し絵やトリックアートを用意しています。

 窓から見える湖畔の風景もまるで額装された絵画のように美しく印象的でした。リニューアルに伴い船内のカフェにはドラフトタワーが新設され、スパークリングワインをベースとしたロワイヤルIIオリジナルのカクテルもあります。天候にも恵まれた今回はみじんの揺れも感じられず、快適そのもの。公共交通での旅は道中で気兼ねなくお酒を楽しめるのも大きなポイントです。

特別船室に設けられた玉座はフォトスポットしても最適
特別船室 最前列
船内はロココ様式を意識した家具や座席を配置している
特別船室に飾られているのはオリジナルデザインの隠し絵
普通船室
後方の普通船室
ドラフトタワーを新設した船内カフェ
ロワイヤルIIの船体カラーをイメージしたカクテル「ロワイヤルII」
「小田原クラフトコーラ 曽我の梅」はノンアルコール
船内の3か所に設置されたトリックアート
穏やかな芦ノ湖を進む箱根海賊船「ロワイヤルII」
船内の窓から見る風景はまるで絵画のよう
元箱根港と隣接したバス停。乗り換えもスムーズです

箱根のパワースポット「箱根神社」

箱根神社
御本殿の木彫りの龍

 箱根の地域全体がパワースポットと言われるなか、その筆頭に挙げられるのが「箱根神社」です。開運厄除け、心願成就から縁結びまで多方面にわたってご利益があるそうで、本殿から湖畔にまっすぐ降りた芦ノ湖の湖畔にある真っ赤な「平和の鳥居」は人気の高いビュースポットです。

 今回は訪れることはできませんでしたが、箱根にはこの「箱根神社」のほか「箱根本宮」と「九頭竜神社」があり3つの神社を総称し「箱根三宮」と呼んでいるそうです。

芦ノ湖畔の平和の鳥居と御本殿を結ぶ階段
平和の鳥居は人気のフォトスポット
箱根海賊船から見る平和の鳥居が美しい

 今年の7月31日に行なわれる湖水祭、8月1日の御鎮座1296年を奉納する記念大会などを中心に、7月31日~8月6日の1週間開催するのが「1269芦ノ湖夏祭りウィーク」です。

 期間中は湖畔での花火大会をはじめさまざまな神事、箱根園円湾での「箱根園サマーナイトフェスタ」など見どころが盛りだくさん。夏休みまっただなかで混雑も予想されますが、あえてこの時期を狙っての箱根観光もおもしろそうです。

芦ノ湖畔にたたずむ山のホテルのデザートレストランがリニューアル!

「りんごのHAKONEミルサンド」とオリジナルドリンク「ローズ・スリジェ」。どちらもテイクアウトできる

 終戦間もない1948年に誕生した本格リゾートホテル「山のホテル」のデザートレストラン「サロン・ド・テ ロザージュ」が今春「フラワーカフェ ロザージュ」としてリニューアルしています。

 芦ノ湖畔に突き出すように建ったカフェのロケーションは最高。店内はゆったりとしていて各所に取り入れた花々と窓から見える穏やかな水面と山々の風景はそれだけで癒されます。

 新登場の「HAKONEミルサンド」は店内で焼き上げたサクサクのパイ生地にクリームとフルーツをはさんだスイーツ。今回はりんごのミルサンドをチョイス。表面が甘くコートされたパイと爽やかな酸味のりんごの組み合わせがとても美味しい。

 ちなみに、見た目のオシャレさとは裏腹にパイにはクリームとりんごがたっぷりと挟まれているので、デザートとしてはかなりのボリュームです。食後に利用するなら別腹を用意しなければいけないレベル。片手で食べられて、テイクアウトもできるのも大きな特徴です。

芦ノ湖畔に建つ「フラワーカフェ ロザージュ」
店内(2階)
店内(1階)。窓の外にはテラス席も用意されています

箱根を巡る旅、締めの一品は三福団子

炭火で焼かれる三福団子。大福・幸福・裕福という3つの福をだんごに込めた縁起物だそうです

 箱根神社の第一鳥居や元箱根港にほど近い「あしのこ茶屋」の1階に今春オープンしたのが おだんご専門店「芦ノ湖三福茶屋」。

 炭火で焼き上げる香ばしいおだんごは、お米で仕込んだ白だんごと、白だんごに金ごまを練り込んだ金ごまだんごの2種類。タレは焦がし醤油、御殿場みたらし、箱根赤じその3種類用意しています。金ごまだんごに御殿場みたらしを組み合わせてみましたが、実はタレなしでもかなり甘いおだんごで、タレをつけるとくどくなるかと思いきや、意外と言ってはナンですがとてもよく合っていて美味しくいただけました。

 ちなみに「フラワーカフェ ロザージュ」同様こちらも見た目以上のボリュームですので、ハシゴするならちょっぴり頭に入れておいた方がいいかもしれません。

今回は金ごまだんごと御殿場みたらしの組み合わせでいただきました
おだんご専門店「芦ノ湖三福茶屋」は箱根神社の第一鳥居や元箱根港にほど近い「あしのこ茶屋」の1階

 長い歴史を持つパワースポットの箱根神社、地球のエネルギーを感じる荒々しい大涌谷、穏やかで美しい芦ノ湖など時代に左右されない魅力を備えた箱根は、古くは東海道の発達、そして登山鉄道やロープウェイなど公共交通の進化ともに身近になってきました。東京など大都市からのアクセスも容易な立地に加え、時代とともに柔軟に進化していく観光施設や食事の充実ぶりで新しい魅力も年々増えてきているようです。

 今回見学できたのはそのホンの一部ではありますが、歴史ある観光地ゆえに多いであろう目の肥えた観光客をも満足させる魅力を今回のツアーで再確認できた気がします。加えて登山電車やケーブルカー、ロープウェイ、船、観光バスや路線バスの充実ぶりには改めて驚かされました。

 一部のバス路線を除きすべての乗り物が乗り降り自由という「箱根フリーパス」が59年前から用意されているのも驚きです。一例を挙げると新宿から小田急線往復乗車券付きの「箱根フリーパス」は2日間有効で7100円(子供はなんと1600円、特急ロマンスカーは別途料金が必要)と格安。ゆったり余裕をもって巡っても、タイパ、コスパを求めたよくばり旅であってもかなりお得です。

箱根観光において、このエリアの移動を支える充実した路線網の存在は大きい(画像提供:小田急箱根)※クリックして拡大

 今回は半日ほどの体験でしたが、ムリなく巡ってこの充実ぶり。今度は箱根観光のもう一つの柱「温泉」を加え、すぐにでも再訪したい気分です。

梨本おさむ