旅レポ

ウズベキスタン西部の「ヒヴァ」、内城都市「イチャン・カラ」でシルクロードの異世界感を堪能

ウズベキスタン「ヒヴァ」にある内城都市「イチャン・カラ」にある、「カルタ・ミナル」のミナレット。1850年代に建造していたムハンマド・アミン・ハンが戦で亡くなり未完成のまま。下部だけなのだが26mもある

ウズベキスタン西に位置する歴史ある都市「ヒヴァ」

 ウズベキスタン芸術文化開発財団主催で行なわれた「ウズベキスタン共和国」ツアーに参加した様子をお届けしている。

 前回までに、ウズベキスタンまでの空路や、首都タシケントと、その南西側にありシルクロードのオアシスとして栄えた歴史を持つ都市「ブハラ」を紹介した。

 今回は、「ブハラ」よりもさらに西側に位置する都市「ヒヴァ(Khiva)」を紹介しよう。16世紀初頭から20世紀まであったヒヴァ・ハン国の首都として栄えた歴史があり、紀元前6世紀には井戸が存在していたとの伝承がある。シルクロードのオアシスから発展した、まるで博物館がそのまま現存しているかのような都市でとても見応えがある。

 ブハラからでも約450kmほど離れていて、さらにタシケントに戻るには約1000kmもあるため、ウズベキスタンを訪れるツアーでも日程的に省かれてしまうケースも多いと聞いたのだが、ぜひプランに含めて訪れてもらいたいお勧めのエリアだ。

ヒヴァの「イチャン・カラ」は、異世界感がすごい
「イチャン・カラ」を見渡すとこのような内城都市が広がっている

 今回のツアーでは、ヒヴァへも空路で移動した。空港はウルゲンチ国際空港になる。移動時間がとれないケースでは、このように空路を使うことも可能だ。往路だけだが、ビジネスクラスのシートが体験できたので、簡単に紹介しておこう。

早朝タシケントからヒヴァへ向かう。ウズベキスタン航空の国内便。機体はエアバス A321neo
ウズベキスタン航空国内線ビジネスクラスのシート
機内で軽食が提供された。クロワッサンのチーズサンドとコーヒー
こちらは復路の機内食
復路のウルゲンチ国際空港でウズベキスタン航空の国内便に乗る
ウズベキスタン航空国内便のエコノミーシート
途中の景色は、延々と砂漠が広がっている
砂漠のなかを走る一本道。陸路を移動するのもおもしろそうだ
ヒヴァが近くなるとアムダリア川が見えてくる
ヒヴァの街が見えてきた。低層の住居が整然と並んでいる

シルクロードを感じられる内城都市「イチャン・カラ」

 街の旧市街にある「イチャン・カラ(Ichan Qa'la)」という内城都市は、城壁内部の大通りをシルクロードが通っていたという歴史もあり、ほとんどが当時のまま残されている。ゲームや映画でしか見たことのない、シルクロードの原風景がそのまま体感できる。ヒヴァ観光のメインとなる遺跡だ。1990年にユネスコの世界文化遺産に登録されている。

 イチャン・カラとは、ウズベク語で内城という意味になる。約450×650mを8mほどの城壁に囲まれた内城都市で、モスクが20、マドラサ(神学校)が20、ミナレット(塔)は6基もある。大阪・関西万博のウズベキスタンパビリオンのモチーフともなった、213本の木柱が整然と並ぶ「ジュマ・モスク」はこのなかにある。

 城壁の東西南北の中央に門があり、今回は西にある「オタ(アタ)・ダルワザ」門から入場した。ここで主要施設に入場できる共通入場券が販売されているので購入しておくといいだろう。歴史的建造物であるのだが、城壁内では、民族音楽の演奏やウズベクダンスなどを各所で見ることができ、ラクダと記念撮影もでき、お土産店やレストラン、カフェなどもあり、長時間でも楽しめる作りになっている。ちなみに、なかにあるトイレは有料だったので注意しておきたい。

「イチャン・カラ」は城壁に囲まれている
西側の「オタ・ダルワザ」門
城壁が高くそびえ立っているが、実際は何度も壊され高台の上にさらに塀が立っている状態
シルクロードをラクダで行き交っていた商人一団のキャラバンの銅像があった
門をくぐると、強い逆光線の日差しと巨大なミナレットに圧倒された。
午後に撮影するとこのように見える。通路には出店が並んでいる。このミナレットは「カルタ・ミナル」といい、未完成の状態
場内の案内図。タイルでできている。画面下側の西側の門から入場して、上の東に進んでいく
UNESCO世界文化遺産の登録認定証が貼られていた。「イチャン・カラ」はすべてが世界文化遺産だ
通路脇の露天店で売られている美しい彩色の皿
ハーン(君主)の隊列が現われた
隊列が通りを練り歩く
「チョギルマ」と呼ばれるファーの民族帽子。寒さに強く日差しも防ぐ
ところどころで民族音楽の演奏が行なわれていて、雰囲気たっぷり
民族舞踊も見ることができる。クルクルと回る独特な踊り
通りで東側を見ると、「ジュマ・モスク」のミナレットが見えてくる。右が「カルタ・ミナル」のミナレット下部
「ムハンマド・アミン・ハン・マドラサ」の門を見上げる。美しい青タイルの紋様に見とれてしまう
門の下側。ここは現在「オリエントスター・ヒヴァ」ホテルとして使われている
内部の壁には石膏彫刻
なかに入るとキレイな中庭に出会える。ここに宿泊できるのは、かなりおもしろそうだ
エントランスの木製ドアに繊細な彫刻
振り向いて、入ってきた門の方を見たところ
北側に向かうとある「クフナ・アルク」内の「アクシェイフ・ボボ」モスクの中庭には、アィヴァンと呼ばれる高い屋根のあるテラスがある
屋根を見上げてみた。6本の木の柱は再建されたもの
角に階段状の台座があった
壁には緻密なタイルの紋様
唐草模様が基本デザインになっている
ヒヴァ・ハン国王と謁見する間のアィヴァン
このような丸いステージのようなものがある
扉の奥には国王の間
壁には装飾のある棚が見える

装飾が施された多数の柱が並ぶ神秘的なモスク「ジュマ・モスク」

 イチャン・カラ全体のちょうど中央あたりに「ジュマ・モスク」とそのミナレットがある。ジュマとは金曜日の意味。イスラム教の休日となる金曜日に礼拝に訪れるモスクのこと。今でも礼拝に使われている。10世紀に建てられたとされていて、チンギス・ハンによって征服され破壊されたあと、17世紀までに再建を繰り返して今の形になっている。薄暗いなかに213本のたくさんの柱が並ぶモスクは神秘的だ。柱の彫刻は、それぞれで異なっている。

イチャン・カラ全体のちょうど中央あたりに「ジュマ・モスク」のミナレットが見える
「ジュマ・モスク」内部
薄暗いなかに213本の柱が整然と並ぶ
中央に明かり取りの屋根がある
柱の彫刻は、それぞれで違っている。これは再建された柱
こちらは古くからある柱だ

 ジュマ・モスクを出たところで、見たことのない食べ物を道行く人に振る舞っていたのでいただいてみた。「スマラク」というスイーツで、小麦の芽をすりつぶして煮込んだもの。ペースト状で甘く少しだけ酸味を感じる。素朴な味で、とても美味しかった。イスラム教のもととなるゾロアスター教時代から祭典で使われているスイーツだそう。

 このイチャン・カラを訪れたのは3月21日(春分の日)。「ナウルーズ」と呼ばれるウズベキスタン最大の祭日で祭典が行なわれていたのだ。

行き交う人々にスイーツを振る舞っていた
これが「スマラク」というペースト状のスイーツ
このくらいに発芽した小麦が原料
臼でつぶして
大鍋で煮込んでいく

巨大な神学校、霊廟の装飾、巨大ミナレットに圧倒される

 クフナ・アルク近くにある「ムハンマド・ラヒム・ハン・マドラサ」は、宗教教育だけでなく、数学なども教える中央アジア最大級の教育施設。現在は博物館となっている。中庭が2つあるのが特徴。教養の高い君主として知られるムハンマド・ラヒム・ハンは、詩人や歌手でもあったそうだ。

「ムハンマド・ラヒム・ハン・マドラサ」
タイルもだいぶ歴史を感じるが、美しい
ゾロアスター教時代のシンボル。男女が仲よくなるという意味があるとのこと
近くにはラクダがいた

 ジュマ・モスクの南には「パフラヴァン・マフムド」廟がある。霊廟にはムハンマド・ラヒム・ハンなど複数の棺が安置されている。中央のハーンカー(安息所)と呼ばれる室内では、大きなドームとターコイズブルーのマジョリカ焼きの細かな装飾を見ることができる。ここは共通入場チケットでは入ることができず、別料金が必要。

「パフラヴァン・マフムド」廟の中庭。右に小ぶりなアイヴァンが見える
ハーンカーと呼ばれる室内の緻密なタイル装飾は一見の価値あり。正面は、ムハンマド・ラヒム・ハンの石棺
このハーンカーの大ドームを外から眺めたところ。ヒヴァ最大のドームだそうだ
周囲には石棺がたくさん安置されている

「パフラヴァン・マフムド」廟近くには、ヒヴァ最後のハン、イスラム・ホジャによって1910年に建てられた「ホジャ・メドレセ」とミナレットがある。このミナレットは、ヒヴァでもっとも高く45mもある。

 東門の近くには、石造りの邸宅である「タシュ・ハウリ」宮殿がある。ここにはハーレム(女性専用居住区)だった区画があり、途中は隠された迷路のような廊下でつながっている。

 タシュ・ハウリ宮殿の近くには「アラクリ・ハン・キャラバンサライ」というお土産屋の建物もある。キャラバンサライとは、シルクロードを行き交う隊商が宿泊する建物のこと。

「ホジャ・メドレセ」と45mあるミナレット
ミナレットは遠くからキレイに見える
「タシュ・ハウリ」宮殿の中庭。石敷きで、1本柱のアイヴァンが見える。円形テント(ゲル)も再現されている
ハーレムであったエリアの中庭
ファサードの紋様がさまざまなパターンがあり、とても美しい
行き来するドアの周辺も飾られている。この先は迷路のような道が続く
当時を模した、歌う女性たち
タシュ・ハウリ宮殿の近くには「アラクリ・ハン・キャラバンサライ」というお土産屋が入る建物
なかにはたくさんのショップが入っている
鮮やかな絹織物が主体
木彫りの飾り
カラクリ細工の木製小物入れ
かわいい手作りの人形もあった

屋上からイチャン・カラを眺めながら食事ができるレストラン

 イチャン・カラでの昼食は、城壁内にある「Terrassa Cafe&Restaurant」(Terrassa Cafe Khiva, 220900, Chiva, Khorezm)という、レストランを訪れた。屋上にオープンテラス席が多くあり、イチャン・カラを上から見渡しながら食事ができる人気店だ。

城壁内にあるレストラン「Terrassa Cafe&Restaurant」
屋上にイチャン・カラを見渡せるオープンテラス席が人気
世界遺産の見ながら食事ができる贅沢
「チェブレキ」という民族料理。なかは柔らかい牛肉と玉ねぎ
野菜炒めの入った「サモサ」
牛肉がたくさん乗った「プロフ」
「トゥフム・バラク(Tukhum barak)」というヒヴァのあるホラズム地方の伝統料理。卵が詰められた水餃子のようなもの。かかっているのはヨーグルトと蜂蜜
パンやナッツ類は自由に食べる形式
パンは、焼きたてをちぎって分けるという独特の食べ方
村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。