旅レポ

息を飲むケアンズの海でサンゴを守る取り組みを見てきた。健全なリーフを育てるポンツーンで地道な活動を知る

 オーストラリア政府観光局とクイーンズランド州政府観光局、JATA(日本旅行業協会)が共同で企画したサンゴ保全活動を体験するため、ケアンズへのプレスツアーに参加してきた。

 2日目は、ケアンズの中心地にあるリーフ・フリート・ターミナルから専用船に乗り、リーフマジック グレートバリアリーフツアーに。このツアーはJATAが主催した日本人向けのもので、関係者も含めて154名が乗船した。

 朝の清々しい海風を感じながら、約90分のクルーズを経て、リーフマジックポンツーンに到着。そこでは、ユネスコ世界遺産に登録されるグレートバリアリーフ(GBR)の息を飲むような美しさと、多様な海洋生物が生息する光景が広がっていた。

 ポンツーン(浮桟橋)では、GBR生物学チームによるサンゴ再生プログラムの詳細な説明が行なわれた。特にエリック教授の語るサンゴへの情熱は印象的で、サンゴ礁の生態系が直面する気候変動や海洋汚染の影響、そしてそれらに対する科学的な対策について熱く語った。

 教授は、サンゴの植え付け技術や成長モニタリングの最新手法を紹介し、持続可能な海洋環境の保全に向けた取り組みの重要性を強調した。ツアーでは、実際にサンゴの育成現場を見学する機会もあり、科学者たちが日々行なう地道な作業の一端を垣間見ることができた。

 例えば、サンゴの断片を人工的に育て、健全なリーフに移植するプロセスは、時間と労力を要するが確実に成果を上げている。また、参加者はシュノーケリングやグラス・ボトム・ボート、半潜水展望室を通じて、サンゴ礁の鮮やかな色彩やそこに生息する魚たちを間近で観察し、自然の美しさとその脆弱さを体感した。

 GBR生物学チームの情熱と専門知識は、ツアー参加者に深い感銘を与え、サンゴ礁保護の重要性を改めて認識させるものだった。このような取り組みは、地球規模での環境保全に大きく貢献しており、未来の世代にこの貴重な生態系を残すための希望を与えてくれる。今後も継続的な研究と国際的な協力が、グレートバリアリーフの持続可能な未来を支える鍵となるだろう。

リーフマジック グレートバリアリーフツアーに参加
このツアーはJATAが主催した日本人向けのもので、関係者も含めて154名が乗船
乗船者は全員「シュノーケリングアセスメント」への記入が義務付けられていた(筆者はシュノーケリングはせず)
ケアンズから90分ほどのクルーズでグレートバリアリーフに到着
リーフマジックポンツーンに到着し下船。早速シュノーケリングの準備に入る人も
グラス・ボトム・ボートで見るサンゴは見事。魚もたくさん泳いでいた
リーフマジックのエリック教授からは、サンゴの植え付け技術や成長モニタリングの最新手法、持続可能な海洋環境の保全に向けた取り組みの重要性などを聞いた
「後世にサンゴを残してゆく」エリック教授の熱い想いが伝わる。リーフマジックの取り組みによって健康を取り戻しつつサンゴも多々あるという
サンゴの植え付けに使用する鉄骨がグラス・ボトム・ボートからも見て取れた。取り組みは確実な成果を上げつつある
グレートバリアリーフには600種類以上のサンゴが存在している。リーフマジックは科学と文化を融合させてサンゴと守ろうとしている
シュノーケルを通じて美しいグレートバリアリーフを楽しむ。そのうえでサンゴについて学び、感じ、何をすべきかを考える。その拠点がこのポンツーンだ
この鉄骨にサンゴを植え付けることで、通常なら30年かかるといわれるサンゴの再生を4年で果たすことも実現可能という
グレートバリアリーフを訪れた人がグレートバリアリーフとつながっている意識を持つこと。そのことに大きな意味がある
オニヒトデはサンゴを食べる大型のヒトデだが、重要なのはバランスを保つことだという。そのためには環境全体の保全に取り組む必要がある
オニヒトデの子供やプランクトンのサンプルなど日々観察や研究を重ねている
リーフマジック グレートバリアリーフツアーのランチはポンツーンにて。きれいな海を見ながらの至福のとき
ポンツーンの先端部分にある半潜水展望室からも活き活きと泳ぐ魚たちなどを楽しむことができる
この空の青さと豊かな海、美しいサンゴをいつまでも
再びケアンズへ戻ってきた。サンゴの保護を考えることは地球環境保全を考えること。日々の行動を見直すきっかけにもなるだろう

 グレートバリアリーフから戻った日のディナーは、宿泊しているホテル「クリスタルブルック・ベイリー・レジデンス」の1階にある「CC's Bar&Grill」にて。それなりに長い船旅であったことから、ホテルの1階でゆったりディナーを楽しめるのはとてもありがたい。

肉料理も魚料理も丁寧な調理で美味しく、リラックスした気持ちで過ごすことができる
深澤 明