旅レポ

ケアンズ北西、デインツリー国立公園で先住民クク・ヤランジ族の文化と叡智を学ぶオーストラリアの旅

オーストラリア・ケアンズへ行ってきた

 オーストラリア政府観光局とクイーンズランド州政府観光局、JATA(日本旅行業協会)が共同で企画したサンゴ保全活動を体験するため、ケアンズへのプレスツアーに参加してきた。

 3日目はデインツリー国立公園のモスマンゴージ・カルチャー・センターで、ドリームタイム・ウォークを通じて先住民クク・ヤランジ族の文化について学んだ。

 クク・ヤランジ族は、デインツリー地域に数千年前から暮らす先住アボリジニ民族で、土地との深い結び付きを基盤とした文化を持つ。

 ドリームタイム・ウォークでは、ガイドが語る「ドリームタイム」の物語を通じて、彼らの創造神話や精神性を学んだ。これは、祖先が土地や動植物を生み出したという信仰で、自然と調和した生活を導く。

 伝統的な知識として、薬用植物の利用法(例:特定の樹皮で傷を治療)や狩猟技術、火起こしの方法などだ。特に印象的だったのは、ブッシュタッカー(自然の食材)の活用で、木の実や根菜が食や薬として使われる。

 また、ガイドは自然を「母」と呼び、持続可能な資源利用を強調。儀式や歌、ダンスも文化の核で、土地への敬意を表現する。熱帯雨林を歩きながら、こうした伝統が現代にどう活かされているかを体感し、彼らの自然保護の知恵に深く共感した。

 ドリームタイム(Dreamtime)は、オーストラリア先住民アボリジニの文化における創造神話の中心概念で、その起源は数万年前に遡る。

 クク・ヤランジ族を含むアボリジニ各部族の口承伝統に根ざし、文字記録以前から語り継がれてきた。ドリームタイムは、祖先の霊が世界や動植物、人間を創造した時間を指し、単なる過去ではなく、現在も続く精神的・文化的枠組み。考古学的証拠によれば、アボリジニの文化は約6万年以上前に始まり、ドリームタイムの物語は土地や自然現象(川、山など)を説明する神聖な知識として形成された。

 クク・ヤランジ族では、特定の木や岩が祖先の化身とされ、儀式や歌でその起源が再現される。モスマンゴージのガイドは、こうした物語がコミュニティの法や倫理を伝え、自然との調和を保つ役割を果たすと説明してくれた。

デインツリー国立公園のモスマンゴージ・カルチャー・センター。先住民クク・ヤランジ族の文化について学べる場所
建物の入口はとても印象的なデザインになっている。採光の仕方も美しい
ショップにはクク・ヤランジ族の文化にちなんだグッズやフォレストマヌカハニーなど人気商品も多い
この森には先住民以外はクルマで立ち入ることはできないので、乗り合いバスに乗って林のなかへと入ってゆく
川での遊泳ができるコンディションなのかどうか、バス乗り場に示してあるので要チェック
ドリームタイム・ウォークはこの「スモーキング・セレモニー」から始まる
火を起こし、その煙で参加者の体から悪霊を払って、森へ入る準備をする
この大きな木の根っこを叩くと森中に響き渡り、存在は物事を伝えるメッセージにもなる。また、船のオールやブーメランなども制作されてきた
先住民である彼らにとって、地球環境問題をどのように感じているのか。このドリームタイム・ウォークを通じて自然とともに生きてゆく術を知ってもらうことで、現代社会で生きる人々に気づきと思考を与えようとしているのかもしれない
儀式などに使われる岩と岩の間のスペース。神聖な儀式の場として森のなかの植物や岩などを崇めているのが伝わってくる
先住民クク・ヤランジ族にとても水資源は重要なものだ
脈々と受け継がれてきた先住民クク・ヤランジ族の数々の知恵と経験。そんな英知を触れられるのもドリームタイム・ウォークの魅力
粘土や石を擦って作るフェイスペイント用の顔料
発色のよさは正直驚愕するレベルだ
木の葉をむしり水につけて揉みほぐすと、天然の石鹸「ブッシュ・ソープ」のできあがり。先ほどの顔料もきれいに洗い流すことができる
ドリームタイム・ウォーク参加者の自分の腕などにペイントをしてクク・ヤランジ族の気分に少しでもひたってみよう
ドリームタイム・ウォークを終えて、ブッシュ・ティーとダンパーブレッドでまったりティータイムを楽しんだ
モスマンゴージ・カルチャー・センターはエコツーリズム施設して注目されている場所だ。自然と文化が交錯した貴重な体験をぜひ

 デインツリー国立公園のモスマンゴージ・カルチャー・センターからケアンズへの戻る途中、フォーマイルビーチの美しい景色の望むことができる Flagstaff Hill に立ち寄った。1900年のここからの写真があり、時の流れに想いをはせる。また、夕方以降は野生のワラビーがいるかもしれないという運動場へ立ち寄ってみると、あちこちにワラビーが!! オーストラリアらしい光景にやや興奮気味。

フォーマイルビーチの美しい景色の望むことができる Flagstaff Hill からの眺め
ワラビーに逢えた。ぴょんぴょんと跳ねてかわいい

 ケアンズ滞在最終日のディナーは海や豪華客船を望むダンディーズウォーターフロントでちょっと贅沢なモダンオーストラリア料理を楽しんだ。肉料理も魚介料理も大人気のレストランで前菜からデザートまで豊富なメニューは圧巻。まさに今回のケアンズ旅にふさわしいディナーとなった。

夕暮れ時のウォーターフロントの雰囲気が素敵。店内もモダンなデザインで気分も高揚する
豊富なメニューで見ているだけでも楽しい。美味しくてついワインも進んでしまう
食後は夜のウォーターフロントの爽やかな風に吹かれながらしばし散歩。充実した意義深い旅もそろそろ終わりだ

 さて、今回宿泊したのは「クリスタルブルック・ベイリー・レジデンス」だが、ケアンズにはほかにもクリスタルブルックのホテルがあり、とても素敵なので紹介しておきたい。

 まずは「クリスタルブルック・ライリー」だ。こちらはウォーターフロントのエスプラネードの北端に位置しており、311室の部屋とスイート、3軒のレストランやバー、ラグーンプールやフィットネスを備えた5つ星ホテル。プライベートビーチもあるので、のんびり滞在したい旅のスタイルにはぴったりのホテルだろう。

ロケーションのよさだけでなく清潔感あふれる館内や部屋が滞在をより心地よくしてくれる5つ星ホテルのクリスタルブルック・ライリー
風が吹き抜け開放的なホテルフロント前。自転車でケアンズの街を散策するのも気持ちよさそうだ
パノラマビューのバスタブ付きは眺望が見事、人気のある部屋だ。
アジアンフージョン料理を提供するペーパークレーン。熟成肉発見
キングルーム シービューは木目を活かした落ち着いたトーンが特徴

 もう一つの5つ星ホテル「クリスタルブルック・フリン」。市街地にありながら屋外プールは異空間の雰囲気漂い、贅沢なひとときを過ごせそうだ

どこへ行くにも便利なロケーションのよさも魅力の1つであるクリスタルブルック・フリン
市街地にありながら周囲を気にすることなくプールを楽しむことができる
スイート シービューは広々としたリビングルームが素敵
深澤 明