旅レポ
快適なのに格安。ジェットスターで行く愛媛の旅(松山編)
(2015/11/11 00:00)
国内のLCCでいち早く累計搭乗者数1000万人を達成したジェットスター・ジャパン。成田空港と関西国際空港をベースに、北海道から沖縄まで国内線は全国9都市に就航している。なかでも成田~松山線は、日本に初就航した翌年2013年6月に、LCCとして初めて四国地方に就航した路線で、1日最大3便が就航。主に観光客に人気の路線となっている。
ジェットスター・ジャパンと愛媛県は、同路線を使った愛媛県観光の魅力を伝えるべくプレスツアーを実施。そのツアーに参加したレポートをお届けする。
LCC専用の成田空港第3ターミナルから出発
往路は成田空港第3ターミナルから出発するGK403便を利用した。10月25日からの冬スケジュールでは10時55分発となっている。
ジェットスター・ジャパンの国内線を利用する場合、チェックインの終了が出発の30分前までとなっているが、余裕を持って出発の1時間前となる10時頃には成田空港第3ターミナルに到着したい。10~11時の出発便ともなれば、関東近郊の主要なターミナル駅から、鉄道やバスを使って無理なく到着することができる。費用を抑えたいならば、京成バスが運行する「東京シャトル」や平和交通が運行する「THEアクセス成田」を利用するという選択肢もある。
ツアー当日、筆者は鉄道で成田空港へ向かい、9時半過ぎに空港第2ビル駅に到着した。第3ターミナルには鉄道駅がないため、空港第2ビル駅が最寄りとなる。
第2ターミナルから第3ターミナルへ向かうには、無料のターミナル連絡バスを使うルートと、500mほどある連絡通路を徒歩で向かうルートがある。
ターミナル連絡バスは第2ターミナルから第3ターミナルへ直行するバスと、第1ターミナルを経由するバスの2種類があるので注意が必要だ。直行バスは5分から12分間隔で運行され所要時間は約15分、第1ターミナル経由のバスは15分間隔で運行され所要時間は25分かかる。成田空港内の道路は、時計回りに一方通行になっているため、第2ターミナルの反対側に隣接する第3ターミナルに向かうのに空港内を一周しなくてはならず時間がかかってしまうのだ。第2ターミナルから第3ターミナルまで連絡通路を歩くと、健康な人なら10分から15分ほどで到着する。時間に余裕がない場合はターミナル連絡バスを利用せずに、連絡通路を早歩きした方が早く着くことだろう。
第3ターミナルへ入るとすぐにLCC各社のチェックインカウンターが並んでいる。ジェットスターのカウンターはコーポレートカラーのオレンジなので、すぐに分かるだろう。チェックインしてチケットを受け取る。荷物は7kgに収まるようバックパック1つにまとめておいたので、そのまま保安検査場へ向かう。
チェックインカウンターと保安検査場の間にはショップやフードコートが並んでいる。保安検査場が一番奥にあり、シンプルで分かりやすい動線だ。フードコートではモーニングメニューを用意している店舗もあり、少々早めに到着してゆっくりと朝食を楽しむのもお勧めだ。
飛行機代を安くおさえて、旅にプラスαを
ジェットスター・ジャパンの成田~松山線の運賃は片道5990円から。この運賃はセール運賃ではなく、「Starter」と呼ばれるエコノミークラス基本運賃だ。LCCの特徴の1つとしてサービスは別料金となる。基本となる「Starter」運賃では、7kgまでの手荷物を機内に持ち込むことが出来るが、受託手荷物や座席指定などそのほかのサービスは有料となり、払い戻しもできない。
家族や友達と隣の席でおしゃべりしながら移動したい場合や、手荷物が多い場合は、オプションサービス「ちゃっかりPlus」「しっかりMax」を利用するとよいだろう。
「ちゃっかりPlus」はStarter運賃に1350円の追加となるが、10kgの受託手荷物料金やスタンダード・シートの座席指定のほか、機内で利用できるジェットスター・バウチャー(商品券)400円分が付く。なおフライト特典はジェットスター・バウチャーか、カンタス航空や日本航空のフライトマイルのどちらかを選ぶことが可能だ。ちなみに、Starter運賃ではスタンダード・シートの座席指定が460円、予約変更が必要になった場合は3240円が必要となるが、ちゃっかりPlus運賃ならこれらの料金が無料になる。
ジェットスター・ジャパンの運賃は空席連動型を採用している。簡単に説明すると、販売開始時は最低運賃からスタートし、座席が埋まるに連れて運賃が上がる仕組みだ。需要が高い便は運賃が高くなり、需要の少ない便は運賃が安くなる。とことん安さを追求するならば閑散期の平日に利用するのがオススメだ。
ちなみに11月16日まで「恋人に、会いに行くよ。」セールを実施中で、成田~松山便はセール運賃で3990円。安く旅をするなら、今すぐの予約がお勧めだ。
ジェットスター・ジャパンのようなLCCの登場によって旅の選択肢は増えた。同じ価格帯である夜行バスよりも早く遠くへ行くことができる。新幹線と比べても、例えば東京~名古屋の「のぞみ」の通常期の“片道”乗車券は運賃と新幹線特急券を合わせて1万1090円。先述の成田~松山間のStarter運賃の最安値なら“往復”で1万1980円と、同程度と言って差し支えない価格だ。もちろんジェットスター・ジャパンの運賃は空席連動型ではあるが、移動距離を考えれば片道運賃としてはかなり安価で、気楽に1泊2日で旅行する候補地はぐっと増えたと言える。
また、交通費を減らすことができれば、その余剰分の費用をほかのことに使える。ワンランク上のホテルを利用したり、ちょっとリッチなグルメに舌鼓を打ったりと、旅の満足度も上がることだろう。国内線が充実しているジェットスター・ジャパンを利用すれば、時間とお金を賢く使うことができるのだ。
ジェットスター・ジャパンが運航する機体は、150人乗りのエアバスA320-200型機。機内は横3-3の6列でシートピッチは座席により異なる。大手航空会社の客室と比較すると、座席の前後間隔は狭くなっているが、安全のしおりやパンフレットが収納されているシートポケットがテーブルの上に設置されているため、比較的体格のよい筆者が座っても窮屈に感じることはなく、足下のスペースもあるので1時間弱のフライトでは快適に過ごすことができる。成田空港から松山空港までの飛行時間は1時間20分ほど。機内販売で一番人気のマフィンセットをオーダーして高度1万mのカフェを楽しんでいると、あっという間に松山空港に到着した。
江戸時代から残る歴史的な古民家で、名物の鯛めしに舌鼓
まずはじめに訪れたのは、松山空港からほど近い松山市三津浜地区。ここは町屋などの町並みや渡船など、古くからの港町の風情が残る地区で、ツアーでは古民家を再生した、鯛めし専門「鯛や」で昼食をいただいた。
鯛めしは愛媛県の郷土料理で、東予・中予地方と南予地方では特徴が異なるというのが面白い。ここ「鯛や」で提供している鯛めしは、1尾丸ごと焼いた鯛を醤油や塩で味付けした半炊き状態の炊き込みご飯の上に乗せて加熱した、東予・中予地方の鯛めしだ。
メニューは基本的に「鯛メシ膳」(2160円)のみで1日30食限定。地元で上がる天然の鯛は肉厚で、とてもプリプリした食感。ご主人の森家に代々伝わる味を再現したという鯛めしは、やさしく、上品な鯛の味わいが口の中いっぱいに広がる。お膳には鯛めしのほかに、鯛の刺身やお吸い物、とらはぜの甘露煮など、瀬戸内の海の幸がふんだんに使われている。
鯛やの2階には、森家と三津浜地区の歴史資料を展示した「三津浜資料館」があり、営業時間内に入場料300円で見学できる。鯛やの店舗は森家がかつて営んでいた萬問屋の建物を改装したもの。三津浜地区は古くから商・工業の盛んな土地であると同時に、俳句などが盛んな文芸の街でもあった。
松山は正岡子規を輩出したことで、俳句の街として知られているが、その正岡子規が唯一師と仰いだ俳人である大原其戎の居宅が近傍にあったという縁もあり、多くの俳句や短歌の史料が残されている。
風情のある庭先には「連理木(れんりぼく)」があり、縁結びのパワースポットとして人気。ご利益があったと報告に訪れるお客さんもいるのだとか。
鯛めし専門・鯛や
所在地:愛媛県松山市三津1-3-21
TEL:089-951-1061
営業時間:11時30分~15時00分
定休日:火・水曜日(祝日は営業)
「最古にして最先端」。温泉アートエンターテイメント
昼食後は、今、松山でもっとも注目されているイベント「蜷川実花×道後アートDOGO ART 2015」を体感。「アートにのぼせろ」をコンセプトに、ホテルや旅館、温泉、レストランなどが、女性を中心に注目を集める写真家・蜷川実花の作品で彩られている。
なかでも注目なのが、「大和屋本店」の格式高い和室に、目黒川の桜を撮影したシリーズ「PLANT A TREE」で彩ったコラボルーム。特別にあしらわれた黒い畳の奥に広がる襖、障子でしつらわれた部屋で、まるで夜桜の花吹雪のなかにいるかのような幻想的な空間で圧巻。
こちらの部屋は宿泊はもちろんのこと、見学ツアーも行なわれている。見学ツアーは毎日11時~14時30分まで30分毎に行なわれ、見学料金は1080円。特典としてオリジナルの缶バッジがプレゼントされる。
大和屋本店
所在地:愛媛県松山市道後湯之町20-8
TEL:089-935-8880
※蜷川実花×大和屋本店「PLANT A TREE」の宿泊プランは3万円~(1室4名利用の場合)
道後温泉のホテル「茶玻瑠」ではレストランギャラリーを開催。3階にあるレストラン「ラ・キュイジーヌ・ジャポーネース 玻璃」では、蜷川実花の「Flowers」の写真を6点展示。作品をイメージしたコラボスイーツを販売している。壁一面に飾られた赤い花を再現した「苺のムース“flowers”仕立て」と、季節の栗をふんだんに使った和風のロールケーキはどちらも絶品。
15時~17時のアフタヌーンティータイムで1800円(税別)で提供。セットのドリンクはコーヒーと柑橘とマンゴーのルイボスティー、蜜柑と生姜の紅茶から選べる。
特に柑橘を使った2種類のお茶は、味覚からも愛媛を感じることができ、非常に美味。ルイボスティーはミネラルが豊富で体や美容にもよいと言われており、蜜柑と生姜の紅茶は寒くなるこれからの季節にぴったりだ。
道後温泉 茶玻瑠 CHAHARU
所在地:松山市道後湯月町4-4
TEL:089-945-1321(電話受付時間:9:00~18:00)
黄昏の「道後ハイカラ通り」をのんびり散策
伊予鉄道の道後温泉駅から道後温泉本館へと伸びる「道後ハイカラ通り」はレトロ情緒あふれる町並みが特徴。浴衣を羽織り、下駄を鳴らしながら歩くのがなんとも似合う。道後温泉駅前にある坊ちゃんからくり時計の脇にある足湯では、ゆったりと旅の疲れを癒すことができるだろう。
日本一のタオルの産地として知られる愛媛県今治市。いまや海外からも「IMABARI」ブランドとして注目を集めている。商店街にある今治タオルの専門店「伊織」は、おしゃれな店内に色とりどりのふわふわのタオルが並び、老若男女問わずお土産として人気のお店だ。
目移りしてしまうくらいたくさん並んだタオル。どんな種類があるのか? 種類で何が違うのか? ときっと迷ってしまうだろう。そんな時は、タオル選びのエキスパート「タオルソムリエ」に希望を伝えると、きっとお気に入りのタオルを見つけてくれる。
伊織 道後本店
所在地:愛媛県松山市道後湯ノ町12-30
TEL:089-993-7588
営業時間:9:00~22:00
愛媛にきて外せないのは「みかん」ですね。
道後ハイカラ通りにある「10FACTRY」はみかんジュースの専門店。特産のさまざまな種類のみかんのジュース、生アイス、ジェラートを楽しめる。どれにしようか迷った時にオススメなのは、3種類のみかんジュースを飲み比べできる「みかんジュースお試し3種セット」(300円)だ。柑橘のシーズンとなる冬場には、最大で17種類のみかんジュースが店頭に並ぶ。
10FACTORY 道後店
所在地:愛媛県松山市道後湯之町12-34
TEL:089-997-7810
同じアーケード内にある「みかんの木」は、柑橘の加工品を扱うお店。こちらのお店で人気なのが、甘みが強くジューシーな3Sサイズのみかんを白あんと餅の皮で包んだ「みかん大福」だ。週末には1日で100個も売れるという人気商品で、味の濃いみかん果汁と白あんのやさしい甘さが口の中に広がる瞬間はまさに至福。
愛媛果実倶楽部 みかんの木
所在地:愛媛県松山市道後湯之町13-15
TEL:089-941-6037
営業時間:8時30分~22時00分
料理自慢の宿で愛媛の海の幸、山の幸を堪能
さて、今回宿泊するのは、こだわりの料理とおもてなしで人気の宿「道後温泉 ホテル八千代」。黒潮の分岐流が流れ込むリアス式海岸で、絶好の養殖漁場として恵まれている、地元宇和島産の真鯛をふんだんに使った「鯛づくしプラン」がお勧めだ。
速い潮の中で育った真鯛は身が引き締まり、プリプリの食感。カルパッチョや岩塩焼き、あら炊き、しゃぶしゃぶと鯛を丸ごと堪能できる。そしてホテル八千代名物の「ポークシチュー」もぜひとも味わってほしい。口の中でとろけるまで煮込まれた豚肉は地元愛媛産の媛ポークを使用している。
自慢の温泉は「坊ちゃんの湯」と「マドンナの湯」を男女入れ替え制で楽しめる。愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」をあしらったコンセプトルーム「みきゃんルーム」があるのもこのホテルだけ。1室だけなので気になる方は早めの予約を!
道後温泉 ホテル八千代
所在地:愛媛県松山市道後多幸町6-34
TEL:089-947-8888
日本最古の温泉と現代アートのコラボレーション
日本書紀にも登場し、日本最古の湯ともいわれる道後温泉。1894年に改築された現在の木造三層楼の道後温泉本館は、1994年に公衆浴場としては初めて国の重要文化財に指定された。
重厚感漂う木造の本館屋上にある振鷺閣が趣を添える。振鷺閣の天井から吊られている太鼓は、時刻を告げる刻太鼓として、開館を告げる午前6時に6回、正午に12回、午後6時に6回打ち鳴らされ、温泉情緒を醸し出している。
館内に足を踏み入れれば、たちまちタイムスリップしたかのような気分になる。銭湯感覚で気軽に楽しめる「神の湯」と、プライベート感覚でのんびりくつろげる「霊(たま)の湯」の2カ所の浴室があり、2階席、3階席を利用すると浴衣の貸し出しとお茶菓子のおもてなしを受けられる。
10月1日から2月29日までは蜷川実花さんの作品で本館の障子・ガラスが彩られ、その趣も大きく変化。日本古来の温泉と現代アートのコラボレーションを堪能してみてはいかがだろうか。