旅レポ
コロナ禍のハワイに行ってきた! 渡航に必要な準備と帰国までの流れを詳しく紹介
2022年4月15日 00:00
2022年に入り、各国は新型コロナウイルス感染症に関する入国制限を緩和する方向に舵を切り始めている。今回、筆者が向かった先はハワイ州のオアフ島で、コロナ前は日本人が訪れる観光地として真っ先に名前が上がるエリアだ。本稿では、4月3日に出国し、4月9日に帰国するまでの流れを紹介する。
現在、ハワイ州が日本からの入国に関して課しているものは、残存有効期間のあるパスポートとESTA、もしくはビザに加え、新型コロナウイルスの水際対策として海外渡航用ワクチン接種証明書(2回接種)、出発1日以内の陰性証明書、宣誓書、コンタクトトレーシングといった書類だ(詳細はハワイ州観光局のWebサイトに詳しい)。
ちなみにハワイに渡航するにあたり、3回目の接種であるブースターは必須項目になっていないが、日本に帰国した際に隔離期間が免除されるということで筆者は3回目も接種して今回のツアーに臨んでいる。
出発1日以内の検査予約と紙の接種証明書の申請は早めに行ないたい
最初に海外渡航用ワクチン接種証明書についてだが、CDC(米国疾病予防管理センター)が認めるワクチンの2回目を接種してから2週間以上が経過していることを前提に、各自治体が発行する接種証明書の提示が求められる。
このワクチン接種証明書は、公的機関から発行された紙面、またはデジタル庁がリリースしている「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」の海外用を取得する必要がある。普段なら片方あればOKだろうと予備など考えない筆者だが、海外渡航も以前とは違うということを勘案して、今回は地元自治体が発行する紙の接種証明書も用意した。
紙の接種証明書で1つ注意したいのは、発行されて受け取るまでに時間がかかることだ。自治体にもよるが、多くが役所の窓口では受け付けず、申請は郵送のみとなっているので、1週間から10日前後の余裕を見込んで申し込んでほしいとWebサイトで案内している。筆者が住んでいる自治体では、急ぎの場合について注意書きがあり「速達で出し、返信用封筒にも速達分の切手を貼り、出発予定日と受け取り希望日を記載したメモを同封してください」とあったので、そのとおりに月曜日に申請すると、その週の金曜日には受け取ることができた。
宣誓書はCDCのWebサイトから、コンタクトトレーシングは往路で利用するANAが用意しているフォーマットをダウンロードしてプリントアウトし、それに必要事項を記入した。
そして、出国時に立ちふさがる一番の壁が、出発1日以内に検査した陰性証明書だ。
この1日以内というのは、出発の24時間以内という意味ではなく、前日の0時が起点になる。例えば、今回利用したのは4月3日のNH186便(羽田21時55分発)なので、4月2日の0時から出発までの検査結果が有効になる。
CDCが要求する項目を英語で記載したものであればOKだが、都内だけでも検査機関は多数存在する。なかには2000円と格安の検査料金を掲示しているところもあるが、今回はハワイ州が推奨する医療機関リストのなかにあった羽田空港第3ターミナル1階にある「東邦大学羽田第3ターミナルクリニック 海外渡航者向け唾液PCR検査センター」で検査を受けることにした。
こちらを選んだ決め手は、検体採取から陰性証明の発行まで最短で2~4時間という迅速さ。アメリカ入国であれば唾液検査で済み、料金も2万円と、調べたなかでは相場の範囲内であった。ちなみに現在の相場はだいたい1万5000円~2万5000円といったところだ。ただし、利用しやすいからか本来希望していた出発当日の予約は満員になっており、仕方なく前日に検査を受けることになった。2日続けて空港に行くのも面倒なので、出発日が決まったら早めに予約しておいた方が無難だ。
チェックイン時の書類確認は長め。一方、ハワイ入国は実にあっさり
これらの書類を事前に用意し、いざチェックインカウンターに向かう。スーツケースを引きながら国際線ターミナルに向かうのも実に2年3か月ぶりで、なんとも言えない旅前の高揚感をただただ噛み締めていた。18時30分ごろからチェックインが始まり、カウンター前にはすでに30名ほどの列ができており、筆者も並んで順番を待つことにした。
その際、宣誓書とコンタクトトレーシングを持っていない人にはスタッフが配っていたので、この2つは忘れても大丈夫そうだが、記載項目が結構あるので事前に準備しておいた方がよいのは言うまでもない。
前述した書類を航空会社のスタッフが逐次チェックするので以前に比べて待ち時間が発生しており、30分ほどしてカウンター前まで来ることができた。スタッフの動きを見ていると、書類のチェックに始まり、コンタクトトレーシングなどに記載されている内容を端末に入力するなど多くの作業が発生しているようなので、時間に余裕をもって行動したい。そのあとは、通常と同じく保安検査と必要であれば税関検査を受け、顔認証ゲートで出国審査を通過したらOKだ。
7時間ほど太平洋上を飛行し、日付変更線を越え、ダニエル・K・イノウエ国際空港に9時53分に到着。筆者にとっては5年ぶりのハワイだ。
到着後は特に検疫などはなく、設置されているサーモグラフィで体温の異常が計測された人は別室で検査を受けるようになっているそうだ。通路を案内どおりに進んで行くと、入国審査場は過去に見たのと同じ長蛇の列で、気が滅入るのと同時にハワイに活気が戻ってきていることを感じて、なんだかホッとした気分にもなった。
入国審査の際に陰性証明書やワクチン接種証明書の提示が求められることもあると聞いていたので一応手元に準備していたが、「観光? 仕事?」「何日まで滞在する?」と聞かれたくらいでほどなく終了。荷物を引き取ったあと、40分ほどで到着ロビーの外に出ることができた。
ファストトラックは帰国便到着の16時間前、事前検査は72時間以内のタイムリミットがある
ここからは、ハワイから日本へ帰国する際に体験したことをレポートしよう。
出国時は必要な書類がいくつかあって大変だったが、帰国時も事前に用意しておくものがある。1つは、帰国便が出発する72時間以内に受けた検査結果の証明書、そして入国時の検疫手続きを簡素化するスマートフォンを使った「ファストトラック」による事前申請だ。
陰性証明を提示しないと飛行機には乗れず、ファストトラックによる事前申請は帰国便が到着する16時間前までに完了しておく必要があるため、どちらも時間を逆算して旅行の計画時にスケジュールを立てておいた方が無難だ。
オアフ島における検査機関は在ホノルル日本国総領事館のWebでいくつか紹介されているが、今回はハワイ州観光局の案内でワイキキにある相馬クリニックで予約して検査を行なった。鼻腔RT-PCR法による検査は最短15分で陰性証明書を発行してくれる手際のよさは特筆もので、費用は160ドル(約2万円、1ドル=125.3円換算)となっている。ドクターは日本人で、日本語が通じる安心感もあるのでオススメしたい検査施設だ。
ファストトラックについては本誌でもすでに取り上げられているが、Wi-Fiなど通信環境がよい状態のホテルなどしっかりした場所で、陰性証明書を入手したらすぐに入力しておきたい。「MySOS」アプリをインストールし、画面の指示に従って、出国前72時間以内の陰性証明書、個人誓約書、ワクチン接種証明書や質問票に入力していく。
陰性証明書とワクチン接種証明書はアプリ上で撮影したものを添付する形式だ。デジタル庁の新型コロナワクチン接種証明書アプリとは連携されていないようで、その辺はいささか残念な仕様。また、新型コロナワクチン接種証明書アプリのスクリーンショット、もしくはQRコードの添付でもよさそうに感じたが、厚生労働省のWebの説明書では言及されていなかったので、ワクチン接種証明書も紙で用意したものを撮影して申請した。
今回の帰国に利用したのはJALのホノルル発~成田着のJL783便で、チェックイン時は前述の出国前72時間以内の陰性証明書を提示した。
そのあとは滞りなくチェックインを完了し、通常の搭乗と同じように保安検査を受けて出国審査を通過する流れだ。すでにハワイにはアメリカ本土からの観光客がかなり訪れており、保安検査場前は長蛇の列。30分ほど並んで検査を終え、無事に搭乗できた。
ファストトラックで待ち時間は減っているようだが、ラッシュ時は3~4時間待ち
成田空港に到着すると、ファストトラックを利用している人とそうでない人の列に分けて案内される。事前に申請を完了したファストトラックを利用している人はサクサクと案内されるかと思いきや、前方には長蛇の列。コロナ禍で便数が減っているとはいえ、土曜の夕方のラッシュ時で、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、サンディエゴ、バンクーバーと到着便は目白押し。通路のいたるところにイスが置かれ、その都度待機を求められた。
MySOSの画面チェックをはじめ、受付状況を記した「Health Card」を渡されて抗原検査に向かうのだが、16時53分に到着してから検査を受けるまでに要した時間は約1時間30分。そしてそこから検査結果が出るまでは約1時間ほど通路に用意されたイスに腰かけていた。
その後、スタッフが検査結果の出た人の受付番号を確認したあと、入国審査官に見せる陰性証明書を手渡して山場の検疫は完了。自動化ゲートで入国し、税関審査を通過し、ようやく到着ロビーに来たのは19時45分過ぎで約3時間の行程だった。今回の取材に同行した人のなかには筆者よりも300番も遅い受付番号を渡され、さらに1時間待たされた人もいた。
その点に関してオペレーションに疑問が沸くのと同時に、4月10日から1日あたりの入国者数の上限が1万人になったのも加味すると少々不安ではある。とはいえ、3回のワクチン接種を受けていれば帰国後の自主隔離が免除されるなど、あれだけ遠くに感じたハワイへの渡航がこれだけ緩和されたことはうれしい限りだ。
持続可能なツーリズムを目指す「マラマハワイ」に関することや、ハワイの現状については後日掲載する予定なので楽しみにしていただきたい。