旅レポ

コロナ禍のバンコクとチェンマイに行ってきました! タイ入国&日本帰国の検査と手続きを徹底レポート

成田発着のタイ国際航空を利用しました

 3月26日~4月2日に、タイ国政府観光庁主催のバンコク・チェンマイ視察旅行に参加してきました。私にとっては2年4か月ぶりの海外、コロナ禍での初海外渡航ということで、いろいろな意味で思い出深い1週間に。

 数年後、もしかしたら数か月後には「あのときはPCR検査を何回もやって、必要書類もたくさんあったなぁ~」とイレギュラー尽くしだった今回の旅を懐かしく思う日が来るのかも! ということでタイの旅レポ第1弾は、出発準備から帰国までの必須書類やアプリ、現地でのPCR検査、自己抗原検査などの流れをご紹介します。

今回のタイ渡航で受けたPCR検査/抗原検査は合計5回。なお、4月1日から渡航前72時間以内の陰性証明書が不要になったので、1回分は減ることになります

約2年ぶりの海外渡航、出発準備いろいろ。必要書類は紙ベースが基本

 今回は「Test&Go(テスト・アンド・ゴー)」と呼ばれる検疫隔離免除プログラムでタイへ入国しました。ワクチン接種完了者を対象とするこの「Test&Go」は、到着1日目は指定場所でPCR検査を受け、タイ政府の許可を受けたホテルもしくは施設に滞在して検査結果を待つ必要があります。また入国後5日目には自己検査で抗原検査キットによる2回目の検査を行ない、その結果を「MorChana(モーチャナ)」アプリで報告することになっています。

Test&Goに必要な書類と条件は以下のとおり(※2022年4月上旬時点)

・パスポート(タイ入国時に残存有効期間が6か月以上)を有すること

・英文のワクチン接種証明書を提出すること(渡航日の14日前までに既定の回数を終えていること)

・最初の1泊のみ、空港から2時間以内の「SHA Extra+(タイ衛生安全基準)」指定ホテルを予約していて、その支払い済み予約確認書(英文)があること

・治療費2万USドル以上の治療補償がある旅行保険に入っていること

・Thailand Passを登録、承認後はQRコードを印刷して持参すること

・1日目(現地)のRT-PCR検査で陰性であること

 パスポートはもちろんですが、上記の必要書類をすべて「紙ベースで揃えて持っていく」というのが今回の旅の大きなポイントでした。

 そんなわけで出発日に成田空港のチェックインカウンターで見せた書類はThailand Pass、陰性証明書、ワクチン接種証明書、医療保険証、ホテル予約表の5枚! コロナ前と比べるとチェックインに少々時間がかかりました。

①Thailand Pass、②陰性証明書、③ワクチン接種証明書、④医療保険証、⑤ホテル予約表の5枚。万一紛失したときのために、私はまったく同じものをもう1セット用意していきました

 ワクチン接種証明書(正式には「新型コロナウイルス感染症 予防接種証明書」)は、住んでいる市町村に書面申請します。海外用は旅券番号が記載されるのでパスポートの写しが必要。私は郵送で申請後、4~5日で届きましたが、自治体によって発行・返送にかかる時間がまちまちのようです。

懐かしい気持ちで見上げた出発案内板

 4月1日からタイ入国には不要になった陰性証明書は、渡航前72時間以内にRT-PCR検査を受けて、英文の証明書に医師のサインもしくは医師の名前+社印が必要でした。場所によっては有効な証明書を発行できない検査機関があって、成田空港のカウンターで「残念ながらこれは不可です」と言われている人がいたと聞きました。

お店が開いていなくてガランとしていた成田空港

 今回はそのほかのThailand Pass、医療保険証、ホテル予約表の3点は旅行代理店に申請をお願いしました。心配な人は旅行会社におまかせするのが賢明かもしれませんね。なお、Thailand Passの登録方法はタイ国政府観光庁の公式YouTubeで分かりやすく解説していますので参考にしてみてください。

検疫用紙が配られる行きの機内からスワンナプーム国際空港到着まで

機内で配られる検疫用紙

 行きの機内では、出入国カードと一緒に初めて見る用紙が配られました。この「検疫用紙」には氏名や国籍、パスポートナンバーのほかに、フライトナンバー、座席、1泊目の宿泊地(ホテル名)を記入し、2か所にサインをします。

 搭乗したタイ国際航空のTG643便は、ほぼ定刻でバンコク・スワンナプーム国際空港に到着しました。飛行機を降りて空港内の通路に入ると、そこには初めて見る光景が! 動く歩道の左右の通路にずらっと椅子が並んでいて、降機した人から順番に座っていくのです。

 ブルーのクリーンエプロンを着た職員が書類の記入を促していましたが、15分ほどすると席を立って前に進めました。その先にあったのが「Thailand Passチェックポイント」。ここではパスポート、Thailand PassのQRコード、陰性証明書、機内で配られた検疫用紙の4点を見せてすんなり通過!

降機後、空港内にずらっと並べられた椅子に座って、この先で見せる書類が揃っているかの確認タイム
進むと「Thailand Passチェックポイント」が。次の4つの書類を用意します
書類チェックが終われば入国審査へ

 先の見えない長い通路で椅子に座ったときは、(何時間ここで待たされるですの~)と心細い気持ちになりましたが、意外にもあっさり進みました。逆に思っていた以上に長かったのがイミグレーション。並んだ列の先に書類不備の人がいたりすると、さっきからまったく進まない~! なんてことも。なんとか入国審査を終えて荷物をピックアップし、いよいよ到着ロビーへ!

今まで見たことがない光景が到着ロビーでも。カウンターが並びホテル名が書かれたボードを持った人がたくさん待ち構えていました

 到着1日目は、空港から指定のホテルまたは隔離施設へ向かうことになっているので、到着ロビーにはゲスト待ちのカウンターがずら~り。予約しているホテル名が書かれたカウンターに行くと送迎車へ案内され、ようやくバンコク中心部へ移動です。

 ちなみに空港の外に出たのは着陸から約2時間後。ただし今回は、同行者8名全員が揃うまでに入国審査が列によってかなり差があったのと、現地SIMを購入する時間なども含まれているので、時間帯や人数によってはもう少し短縮できるかもしれません。

ホテルへ向かう途中でバンコクの病院に寄ってPCR検査、翌朝フロントから結果のコール

久しぶりのバンコクの街

 到着日は土曜だったこともあって、ひどい渋滞にハマることなくバンコク中心部へ移動できました。「Test&Go」の規定どおり、指定の場所でPCR検査を受けるために立ち寄ったのは、ホテルから3kmほどの場所にあるサミティベート・スクムウィット病院です。院内に入るのかと思ったら、なんとクルマに乗ったまま検査! 順番に名前を呼ばれ、窓から顔を出すと、鼻の奥に細い綿棒を入れられてグリグリグリ~(泣)。タイも日本も痛さは変わらなかったです。

18時半。病院の入り口に看護師がいて、クルマに乗ったままPCR検査、その後ホテルへ

 約12時間後に判明する検査結果は、翌朝ホテルに連絡が来るとのこと。陰性が分かるまでは原則ホテルの部屋から出てはいけないので、この日は各自お部屋での夕食となりました。事前予約しておいたルームサービスのパッタイは冷めていても美味しかった!

部屋に入るとルームサービスのパッタイがすでに届いていました。ラップを外してセッティングし、冷蔵庫のビールで1人乾杯

 翌朝6時10分(!)に部屋の電話が鳴ったので飛び起きて出ると、「Good morning! %△#?%◎&@□♭#▲!」と、寝ぼけていたからかまったく聞き取れず、それでも「オーケー、サンキュー」とテキトーに電話を切ってしまった私。

 モーニングコールではなさそうだったし、きっと今のは検査結果に違いないとフロントにかけ直して聞いてみると、「Negative(陰性)」とのことでホッ。一緒に来たほかの参加者の皆さんも全員陰性で一安心、この時点で自由に行動ができるようになります。

タイ入国後5日目の抗原検査の結果はMorChana(モーチャナ)アプリへ

滞在先のホテルで受け取った抗原検査キット

「Test&Go」で入国の際の1泊目のホテル代には、空港からのピックアップ代、指定病院での1回目のRT-PCR検査代、それからタイ入国後5日目に自己検査で行なう抗原検査キット代が含まれています。その検査キットを3月29日にバンコクのホテルで受け取りました。中身は日本でやったことがあるキットとほぼ同じものだったので、タイ語の説明書でもすんなりできましたよ。

鼻グリグリと唾液、どちらをやってもOK
またまたホッと一安心。これ、アプリにアップロードするのでスマホで写真を撮るのを忘れずに!

 この自己抗原検査の結果をタイ保健当局に報告するため、スマホに「MorChana(モーチャナ)」というアプリをインストールします。MorChanaアプリは、陽性者と接触した場合などに通知が来る新型コロナ追跡システムで、日本の接触確認アプリ「COCOA」のようなもの。Thailand PassのQRコードを読み取ったり、プロフィール写真のためのセルフィー写真を撮ったり、いくつか簡単な質問に答えて進んでいけばMY画面が完成して登録完了。それほど難しくはありません。

Morchanaは日本でいう「COCOA」のようなもの。言語はタイ語か英語のみになります
ときどきアプリを開いて見ていたのですが、「ミディアムリスク」のときもあれば「ベリーローリスク」のときも。それによって中央のQRコードの色が変化します

 実は今回、抗原検査で陰性結果が出たものの、MorChanaアプリにどうやって結果を反映すればよいのか分からず参加者全員で首をひねっていたのですが、右下の「Notification=通知」をタップするとリンクがあり、そこに入力すればよいことが判明。

 検査日と結果、検査ボード(ピンクのラインが出た状態のもの)の写真ファイルをアップロードしてSubmitボタンを押せば完了です。

右下の「Notification=通知」をタップ
このリンクから5日目の抗原検査の結果を登録してねと書いてあるのでタップ
すると結果を入れる画面が出るので登録。Labナンバーは分からなければ「0(ゼロ)」でOK!

帰国のためのPCR検査、結果はMySOSアプリへ! 「ファストトラック」で日本入国するために検疫手続きの事前登録はぜひやって

日本語対応も可能で長期滞在者の利用も多いというチェンマイラム病院

 タイでの滞在が終わりに近づくと、次は出国72時間以内に受ける帰国用のPCR検査です。向かったのはチェンマイにある大型総合病院、チェンマイラム病院。ここでは検査前に体重(増えていた)や血圧、酸素濃度なども測るという手厚い対応でびっくり。PCR検査は「鼻咽頭ぬぐいえきと咽頭ぬぐい液の混合」というもので、綿棒で鼻と喉の両方を拭う方法。そしてやっぱり鼻は痛かった……。

翌日ホテルに封書で届けられた結果通知は、外務省Webサイトにある所定フォーマットと同じもので、医療機関名、医師名、ハンコが押されていました。これがしっかりしたものでないと日本入国ができません

 日本入国時、空港での検疫手続きの一部をアプリ上で事前登録しておく「ファストトラック」は、今回の旅ではとても有効でした。利用しなくても支障はないのですが、参加者のなかでファストトラックを完了している人としていなかった人では、成田空港を出られた時間になんと2時間弱の差が! 書類不備の外国人が前に数人いて長時間待たされる不運も重なったようです。

MySOS画面。検疫手続事前登録のステータスで赤から黄(未完)→緑(完了)と背景色が変わります

 MySOSはアプリの指示に従って質問票、誓約書、ワクチン接種証明書、出国前72時間以内の検査証明書を登録します。ちなみに2時間遅れになってしまった人は、タイでのWi-Fi状況の都合で、最後の「出国前72時間以内の検査証明書」の審査完了ができていませんでした。

 ファストトラックは日本到着の16時間前までに完了させることになっているうえ、書類の審査に少し時間がかかるので現地で通信状態がよい時に完了しておくと安心です。

検査証明書事前登録画面
チェンマイラム病院でもらった陰性証明書の写真を撮ってアップロード
これでひとまず安心。審査完了を待ちます
赤字で表示される登録受付終了までのカウントダウン
アプリの向こうにいる厚生労働省の人が確認してくれたようです

成田到着後、MySOS画面が緑色のファストトラックはメリットあり! しかし抗原検査待ちの時間が長かった

帰国時、降機直後の成田空港では「MySOS画面が緑の人はこのまま進んでください」と促されました

 朝7時45分。到着した成田国際空港内にはスワンナプーム国際空港同様に、動く歩道の左右に椅子がずらっと並んでいましたが「MySOS画面が緑の方はこのままお進みください」とスタッフから声がかかり、次のチェックポイントへは比較的早く移動できました。

 2か所ほどのチェックポイントを経て、ようやく唾液による抗原検査室へ着いたのが8時20分。その後、検査結果のアナウンスを待つ場所で受け付けし、指定番号の椅子に30~40分ほど座っていたでしょうか(これが異様に長く感じる)。

 陰性だった人はパスポートの背表紙に貼られたシールの下4桁の番号がアナウンスされ、入国審査へと進むことができます。成田空港の入国審査は自動化ゲートなので、ほんの数秒で完了。受託手荷物を受け取って税関検査を通ったら到着ロビー、ただいま日本!です。時計を見ると9時45分、降機してから2時間後でした。

今回の視察旅行はバンコクとチェンマイを巡ったのですが、ホテルや公共施設、お寺にゴルフ場など、どこでも感染対策がされていたのが印象的でした

 現在タイから日本へ入国・帰国する場合、ワクチンを3回接種していれば入国後の隔離はありません。私は3回目のワクチン接種を終えていたので、帰国日から自由に行動できました。

 ワクチン2回のみの人は、帰国日の翌日から3日目以降に自主検査をして、陰性結果をMySOSから登録すれば、その後の隔離は不要となります(原則7日間隔離ですが、上記の自主検査で3日に短縮される)。

少しずつ旅の準備は楽になっています

ピンクガネーシャ像で有名なワット・サマーン・ラッタナーラームはタイ屈指のパワースポット

 ここまで読んでいただくと、必要書類は多いしPRC検査ばかりだし渡航にはまだまだハードルが……と感じてしまった方もいらっしゃるかもしれません。だけど声を大きくして言いたいのは「やっぱりタイは楽しい♪」ということ!

 異国の料理を囲んで皆でワイワイ言いながら食べる幸せな時間、違う文化に触れる感動や現地の人とのリアルな交流を久しぶりに味わって、海外旅行の楽しさ、ワクワク感、非日常感をたっぷり感じて帰ってくることができました。

 冒頭でお伝えしたとおり、今回の視察ツアーの数日後には出発前のPCR検査は不要になったりと、タイ渡航の手続きや日本の水際措置は随時アップデートされ、緩和傾向にあります。

 外国人観光客受け入れをさらに加速させたいタイは、7月には入国規制の撤廃を目指しているとも。「夏休みは待ちに待ったタイ旅行!」と考えている人は、引き続きタイ国政府観光庁のサイトなどで最新情報をアップデートしていってくださいね。次回はいよいよ本格的な旅レポ! タイの最新情報をご紹介します。

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。