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ホノルルで日本市場再起動に向けて「ジャパンサミット」開催。米CDCの検討ではPCR検査の年内全廃の可能性も

夏休みシーズンに向けてハワイの今とこれからを紹介

2022年6月6日~9日 開催

ハワイ州観光局日本支局は3年ぶりにホノルルで「ジャパンサミット」を開催した

 ハワイ州観光局日本支局は3年ぶりとなる旅行業界パートナーを対象とした「ジャパンサミット 2022」を6月6日より9日まで開催した。6月現在、ハワイでは行動規制が緩和され、屋外・屋内ともマスク着用義務はなく、主にアメリカ本土からの観光客らで活気を取り戻している。

 今回のジャパンサミットは、日本における水際対策の緩和ならびに旅行会社各社のハワイ旅行商品の販売再開など、夏休みシーズンを控えて海外旅行機運が盛り上がりつつあるなか、この状況を後押しし、さらに前進させる意義も含めて開催した。ハワイ州観光局としても、今後の指針を旅行業界にしっかりと伝える機会であるとの認識だ。

3年ぶりのサミットはボリューム大! 3日間にわたり対面形式で実施

 オアフ島のハワイコンベンションセンターにて開催したジャパンサミットは、日本の旅行会社と現地サプライヤーとの商談会や懇談会を通じて旅行商品造成の推進、販売強化のための情報交換の場を提供するプログラム。3日間の日程のうち、1日目は基調講演と商談会、2日目は商談会とハワイアンカルチャーワークショップ。さらに3日目はボランティア参加など、ハワイ州観光局が推進する「マラマハワイ」や「DMAP」などを肌で感じる時間を多く組み込んでいるのが2022年の特徴だ。

 日本からは旅行業界から約65名、19もの企業らが参加。現地パートナー企業は50社。サミット規模としてはコロナ前の2019年と同規模。プログラムのスタートは神聖な“オリ”でスタート。披露したのは、ハワイ・ツーリズム・オーソリティ ブランド統括責任者カラニ・カアナアナ氏。同氏によると「ミーティングの際はエネルギーを集め覇気を高めるためにオリを行なうことが多い」とのこと。

「ジャパンサミット」の会場となったハワイコンベンションセンター
商談には日本から65名・19企業、現地パートナーは50社が参加した

 初日の6月6日は、「ジャパンサミット マーケットアップデート」として、最新情報を交えた基調講演を実施。ハワイ州観光局ミツエ・ヴァーレイ日本支局長は「ハワイ州観光局マーケットアップデート&2022年の取り組み」と題し、現在のハワイ州の状況や今後の展開を紹介。「日本マーケットのリカバリーに向けて一丸となって観光局もサポートさせていただきたい」と冒頭であいさつした。

スタート時にはハワイツーリズムオーソリティ ブランド統括責任者カラニ・カアナアナ氏がオリを披露

 まずはハワイの現状と州の方針について。4月のJATAの視察団からはじまり日本ハワイ友好議員連盟訪問など、政府間のコミュニケーションが大きくなり観光再開へ動き出したこと。そして5月のハワイ州代表団による表敬訪問では、政府・ビジネス・観光業関連の3本柱で意見交換できたことに言及。

 そして、現在アメリカマーケットがリベンジ旅行で好調で、昨2021年5月より対2019年でずっとプラスでありトータルで66%ほど戻ってきているという。一方、日本マーケットは4月の渡航者数が4038人、5月のゴールデンウイークだけで6571人と1週間で前の月の渡航者数を超える勢い。「ここからが日本マーケットのリカバリーということで、空白をぜひプラスに転じていきたい、皆さんと一緒に頑張っていければ」と話した。

ハワイ州観光局ミツエ・ヴァーレイ日本支局長は「ハワイ州観光局マーケットアップデート&2022年の取り組み」を紹介。ハワイの現状と州の指針、マラマハワイ、今後の施策について説明した
2021年(対2019年)全渡航者数比較
2021年(対2019年)米国渡航者数比較
2022年(対2019)日本渡航者数比較

 続いてはハワイ州の客室稼働率について。2020年3月のロックダウン後、10月よりアメリカの観光再開となり、セーフトラベルも撤廃されてからは旅行者の数とともに稼働率もアップ。客室単価は、隣島のホテル稼働率と客室単価がプラスとなっているとした。対2019年との比較では、少しずつ元に戻っており、客室単価はすでに超えている状態。「日本マーケットはシルバーウイークと年末のホノルルマラソンに向けてブッキングペースが上がっている」と同氏。

 なお、マーケットシェアに関し、日本は15.39%、次にカナダ・オセアニアと続き、日本の国際マーケットにおいての重要度を紹介。オアフ島は25%、ハワイ島10%、マウイ島・カウアイ島は2%のため、離島も力に入れていきたいとも述べた。

ハワイ州のホテル稼働率
ホテル稼働率と客室平均単価比較
2022年1月~4月ホテル稼働率と客室平均単価比較
Travel Agency Bookings to Hawaii for Future Arrivals
ハワイへ訪れる各国・地域別渡航者数割合(2019年12月末)

 航空会社の運航状況についても触れ、5月~6月の座席数とフライト数と7月~8月にはさらに増便(7月146便、8月222便)し、座席数が増えて多くの定期便が戻ると紹介。「夏から本格的なプロモーションやキャンペーン、リカバリーの期間に入る」とし、「日本側の水際対策の規制緩和を期待しつつ、引き続き政府間のコミュニケーションを取りながらマーケットのリカバリーを皆さんと一緒に頑張っていきたい」とした。

航空会社各社 運航状況(2022年6月6日現在)
旅行シーズンに合わせて、7月~8月に増便する

 渡航に関しては、ESTAやPCR検査の陰性証明書、宣誓書などが現在も必要だが、日々刻々と変化する情報に対し同氏は「正しい情報発信が大切になってくる」として、旅行会社や航空会社でそれぞれあるが統一したプラットフォームも必要と語った。なお、アメリカのCDCでは、専門家からの情報を踏まえて、年末に向けてのPCR検査の撤廃するかどうかの検討をはじめているとのこと。年内に撤廃される可能性もあるという。

新型コロナウイルス情報サイト
ハワイ渡航の基本プロセス(日本から直行便利用の場合)

ハワイの観光戦略は4本柱と“DMAP”

 続いては、「ハワイの観光戦略」について。ミツエ・ヴァーレイ日本支局長は、「コロナ禍で大きな転換をしている」とし、4本柱(1. 自然保全、2. 文化継承、3. コミュニティリレーション、4. ブランドマーケティング)を軸に動いていると話す。

「この2年間で素晴らしい自然の大切さを再確認するとともに、コミュニティの観光に対する満足度が上がっていない現状をどうしていくか? コミュニティとともに新しい体験を作り出していくかにものすごく力を入れている」と言う。具体的には、「各島のコミュニティ、サプライヤー、自治体がタッグを組み、その島の自然を守りながら、観光をどう盛り上げていくかということで、それぞれアクションプランを『DMAP(Destination Management Action Plan)』に発表している。今後、4本柱とDMAPに沿ってしっかりと啓蒙活動をしていく」とのことだ。

2025年までのハワイ州観光戦略
ハワイ州観光マネージメント主軸
島ごとのアクションプラン「DMAP」

 現在実施中のハワイ州全体のグローバルキャンペーン「マラマハワイ(思いやりの心でハワイの伝統や文化を受け入れる)」については、「ツーリズムからツーリズムマネージメント」「プロモーションからエデュケーション」へと方向転換がなされるなか、再生型観光を後押しするために各名所のオンライン予約システムなどをアップデートしていくという。

 同氏は、レスポンシブル・ツーリズム(責任のある観光)やサステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の流れのなかで、「ハワイでは現地でいろいろな意見交換がなされているところ。記憶に新しいところで言うと、ハエナ州国立公園やハナウマ湾、ハレアカラ国立公園にダイヤモンドヘッド州立自然記念公園も予約システムに加わり、プラットフォームがどんどんできあがっている。ダイヤモンドヘッド州立自然記念公園は入場料・駐車料金が変わり、人数制限で登山する方の体験をちゃんと満足するものにしたいと考えている。今後も州立公園やホットスポット(観光名所で混雑する場所)では、同様の施策が観光再開とともに再生型観光に向けてなされていく」と近い未来の展開も説明した。

ツーリズムマネージメント、エデュケーションへと方向転換がされている
事前予約システムで人気エリアの人の流れをコントロールし、自然を守る方向へシフト
1日1400名までの入場となったハナウマ湾事例
ダイヤモンドヘッド州立自然記念公園も予約が必要となり話題となった

毎週目にするハワイ広告でさらにハワイ旅行への気持ちをアップ

「今後の観光再開に向けて」のプロモーション活動も一気に紹介。「地球にやさしい旅を」をキーワードに前述の「マラマハワイキャンペーン」を継続し、4月~5月はデジタル広告を中心に展開。SNSや動画配信サイトを活用しターゲットを決めてリーチ。企業やパートナーとの連携でコラボを通して相乗効果を狙うという。また、書籍からオンラインメディアでの露出、さらに現在実施中のコンビニやアイスクリームなどでのキャンペーンも紹介。

 さらに本格的な広告キャンペーンに入るとして、渋谷のビジョンやタクシーAD、エアラインの機内動画。また「ツーリズムEXPOジャパン」時にも関東全域で広告を検討中。「各企業のメディアプランと連携して一番よい形で露出していきたい」と各企業に参加を呼びかけた。

「地球にやさしい旅を」がテーマ
デジタル中心の広告キャンペーンを4月~5月は行なった
企業コラボからビジョンなど幅広く展開
イベントプロモーションも日本各地で展開
ハワイ伝統航海カヌー「ホクレア」上映会も各地実施