旅レポ
「家キャン 第2弾」狭小バルコニーを1人で過ごせる癒し空間にしてみた
BBQやタコパをエンジョイ
2020年6月2日 07:30
緊急事態宣言が解除されたものの、「3密を防ぐ」「テレワークなどで対面を減らす」といった努力が引き続き必要となっている。筆者はこれまで「“STAY HOME週間”を『家キャン』で楽しく乗り切る! リビングにテントを張ってキャンプしてみた」と題して自宅で部屋キャンに、「新型コロナウイルス渦中の“新たな日常”でマイカーをテレワーク仕様にしてみた」と題してクルマでテレワークにチャレンジしてきた。
今回は、手を付けていなかった我が家(一戸建て)のバルコニーをDIYで改装し、低予算で思いのほか居心地のよい空間に仕上がったので紹介したい。梅雨、そしてこれから迎える夏に、ちょっとした気分転換の場として、また家族から束の間離れて1人で過ごせる場として、バルコニー・ベランダに注目してはいかがだろうか。
幅75cm、長さ180cmの狭小バルコニーを格安リフォーム(Ver.1)
広いバルコニーやベランダであれば、人工芝を敷いて運動スペースとしたり、植物を置いて庭風にしたり、またアウトドア用のフォールディング(折り畳み)テーブルやチェアなどを置いてベランピング(ベランダでキャンプをするという意味の造語)もできる。しかし、我が家のバルコニーは幅75cm、長さ180cm。洗濯物を干すのがやっとの広さで、“家キャン”の際に目を向けなかったのもその小ささにあった。
だが見方を変えると、その狭さゆえにあまりお金や手間をかけずに大きく雰囲気を変えられるかもしれない。そこで、運動スペースやベランピングはほぼ不可能だが、チェアを置いてくつろぐ程度の使い方を目指すことにした。
家族と相談して決めた条件
・バルコニーの機能を損なわない(洗濯物が干せる)こと
・予算をなるべく抑えること
・原状回復が容易なこと
我が家のバルコニーはシンプルで殺風景。幅が狭く、壁も高いため床面まで光は届きにくく暗い。床面は樹脂のマットが敷かれており排水性はいいが、泥汚れなどは流れにくいので植物などを育てる環境にも向いていない。そこでまず、床面には人工芝(排水性のあるもの)を敷き、壁にはよしずを立てかけることにした。人工芝はホームセンターで1mあたり499円を3m購入、よしずは幅88cm長さ180cmのものが498円だったのでそれを2つ購入した。計2493円。結束バンドや園芸用支柱などは家にあったものを使った。
梅雨、夏に向けてオーニングを設置。照明もつけて全天候型に(Ver.2)
次に、日よけや雨よけのためにオーニング(スクリーン)を設置した。10年ほど前に約1万円で購入していたものの実家の納屋に眠っていたもので、幅は2mほどのコンパクトなもの。小さなバルコニーにはピッタリだ。床と軒などに突っ張るタイプのもので、2人いれば簡単に設置できる。これまで雨が降り込んでいた(屋根のない)バルコニーが、(屋根のある)ベランダに進化、これでどんな天気の日でも洗濯物が干せるようになり便利になった。
ただし、やってみたところ思ったより風通しがわるくなり、また直射日光は防げるが太陽光の輻射熱がスクリーンから伝わってくるため、これだけで夏場に涼しく過ごせるようになるわけではないようだ。あくまでも日差しや雨、夜露を防いだり、人目から隠れる目隠しとして使用するのがいいと思う。
さらに今回は夏場の夜間にベランダで涼むという使い方も考慮して、照明も設置してみることに。撮影の仕事の際に補助灯として使用するクリップタイプのソケットに、通販で購入した電球色のLED(2灯で980円)を取り付けた。このタイプならどこにでも設置でき、撤去も簡単。ちなみにこれは雨の日は取り外す前提だが、防水タイプの屋外用電球(LED)にすれば設置したままにしておける。電球が複数ついて安価なものも通販で手に入るようだ。
さらに改装、“和の坪庭”のイメージに(Ver.3)
人工芝とよしずのVer.1仕様、オーニングと照明をつけたVer.2仕様がひとまず完成し、当記事の準備をはじめたところ、筆者が暮らす兵庫県の緊急事態宣言が解除された。また、「Ver.1仕様」「Ver.2仕様」は個人的にまだ満足しておらず、もちろんこの程度の改装では読者の皆さんも物足りないだろうと思っていた。そこで、外出自粛が少し緩んだこともあり、ホームセンターでもう少し本格的に資材を購入してさらに大胆にリフォームを進めることにした。
今回ホームセンターで目を付けたのは、ウッドパネル。裏面が網のような樹脂のパーツになっていて水はけもよく、また同じメーカーのパネルタイプの人工芝とも接続できる商品だ。セット売りの最低枚数が9枚だったので、今回は1セットを4080円で購入。
ただ、パネル1枚のサイズは30cm×30cmで、幅75cmのベランダにはどうにも「おさまりがわるい」。これは建築業界の用語で、言葉で説明するのはとても難しいが、いうなれば美しくないことのたとえ。そこで、どうしてもできてしまう隙間には石を敷き詰めることにした。石は、よしずと合わせると最も美しく見えるのは白い石ではなく、あえて那智石(那智黒)をチョイス。このベランダは雨が降り込むが、水にぬれると黒くなる那智黒なら雨の日に違った表情になりそうなのと、なんといっても安い(10kgで598円)のが魅力。撤去や清掃の際に手間がかからず水はけがいいように大き目のサイズ(8分)を選び、1袋10kgでおさまるよう、なるべく薄く平らに敷き詰めた。
あわせてよしずも幅108cm長さ200cm(699円)のものが売られていたので2つ購入。ウッドパネル、石、よしずを合わせて6076円。これだけでベランダが大きく様変わりした。
実際にベランダ坪庭で過ごしてみた
さっそく、完成したベランダ坪庭(Ver.3)で過ごしてみることにした。このベランダに日が当たるのは午前のみだが、その時間はだいたい物干し場として機能している。そのため、坪庭として使えるのは基本的に午後から夜にかけてになる。これからの季節は日陰になる時間帯のほうが快適なはずなのでかえって都合がよさそうだ。
今回は騒音や振動、ニオイなど、ご近所のご迷惑にならない作業、過ごし方を考えてみた。PCを使用した仕事(ただしミーティングは声が響くのでやらないほうが無難)やヘッドフォンをつけての動画観賞やゲーム、読書くらいしか思い浮かばなかったが、もう少し広いベランダならちょっとした筋トレや、ハンモックを使って昼寝などもできそうだ。
ベランダde1人ごはんは、豪華なソロキャンプの気分!
次に、ベランダでの料理にトライしてみた。屋外での調理と言えば、筆者はまずバーベキューをイメージするのだが、さすがにベランダでは炭火は使えないし、これがマンションともなると、ニオイは出さないほうがいい。しかし我が家は一軒家ということで、実際にどの程度ニオイがでるのか、実験的に焼肉をやってみた。
用意したのはカセットコンロとステーキ用の肉、ごはんにわかめスープ、ナムル、コチジャンなど。経験上、IHよりもガス+焼肉プレートのほうが肉がふっくら柔らかく焼けてニオイも少ないように思う。味付けは塩コショウのみとし、タレなどはつけずに焼いてみたが、思っていたよりも肉の脂のニオイが強くでてしまった。結論としては、非日常の演出としてはとてもインパクトがあり楽しいが、やはり(特に集合住宅での)ベランダ焼肉はムリがありそうだった。
肉を焼く際のニオイが案外強かったため、次はキッチンで調理してベランダで食事をしてみることにした。照明の効果を検証するため、今度は夜に実施。暖色の照明とよしずと敷き詰めた石のおかげで、庭を眺めながら食事ができるちょっと贅沢なお店に来ているような雰囲気になった。
また、別の日にたこ焼き器を持ち出して1人たこ焼きパーティをやってみたら、同じ空間なのに今度は縁日のような雰囲気に。PCを持ってきて音が出ないようヘッドフォンを装着して映画を見たところ、ほかに気が散る要素が少ないからか、こちらも思いのほか没頭できた。その光景をぜひ写真でご覧いただきたい。
自分で計画しておきながら、バルコニーのあまりもの変貌ぶりに自分も驚いてしまった。また、想像よりも低予算でこれだけのリフォームができることも分かった。ざっくりまとめておくと、Ver.1(人工芝+よしず小)が約2500円、Ver.2(Ver.1+オーニング+照明)が約1万3500円、Ver.3(Ver.2+ウッドパネル+敷石+よしず大)が約1万7000円だ。いずれも調度品は含まない。
このうちオーニングが約1万円なので、もともと屋根のあるベランダであればVer.3の状態を約6000円で作れる計算になる。もちろん、広いバルコニー・ベランダになるとウッドパネルなどの枚数も増えていくので、これはあくまでも狭小空間での例となる。
ただご注意いただきたいのは、集合住宅のバルコニー・ベランダは非常時の避難経路になっている場合が多く、たとえば避難時に隣家ベランダとの仕切り壁を破って移動するような構造になっている場合、よしずのようなものは設置できない。また、避難はしごがいつでも使えるようにそのカバー周辺は常にあけておく必要がある。もとより、ベランダの制限についてはマンションごとにあらかじめ決められている場合があるので、それに違反するような改装は行なわないというのは大前提だ。
また、今回焼肉をやってみて、そのニオイが案外強いことにも気づいた。バルコニー・ベランダでの喫煙が迷惑になるという話はよく聞くが、ニオイの強い料理(調理)も避けたほうがよいだろう。ただ、半ば屋外のこの空間は、外の空気が吸える場として最大限に活用したいもの。料理はキッチンで作り、バルコニー・ベランダでは騒いだりせず、じんわりと食事やお茶を楽しんだり、静かに趣味を楽しむといった使い方がよさそうだ。また夜間は、ニオイや音に加えて照明も近隣の迷惑にならないよう配慮することも大切だろう。
第2波、第3波の感染拡大が懸念される新型コロナウィルス感染症。それを最小限に抑え込むために、また再び外出自粛が呼びかけられる可能性に備えるために、家の中のくつろぎの場としてバルコニー・ベランダに注目してはいかがだろうか。