旅レポ

目の前にウミガメ。飲み比べる地ビールとコナコーヒー。ハワイ島西海岸で大自然と文化に触れる

ウミガメに出会えたハワイ島

 ハワイ州の主要6島のうちもっとも大きく、「ビッグアイランド」と呼ばれるハワイ島。その面積は四国の半分ほどあり、ホノルルやワイキキのあるオアフ島とは違った大自然が広がっている。そんなハワイ島の主に西側を巡るハワイ州観光局主催のプレスツアーに参加してきた。

 ハワイ島といえば、2018年5月にキラウエア火山が噴火したことが連日大きな話題になったが、その後溶岩の流出は落ち着き、ハワイ火山国立公園は約80%が立ち入り可能になっている(2018年12月18日時点)。ただそもそも、キラウエア火山は35年前からずっと火山活動が続いており、真っ赤な火口を見に行く現地ツアーが定番だったほど。

 また、実際に立ち入りができなくなったようなエリアは島の東南東の約0.2%で、今回のツアーで島内を案内してくれたガイドさんのように島に住む人からすると、センセーショナルな報道で島全体が危険なように思われるのはかなり不本意だという。現在のキラウエア火山の様子については、ハワイ州観光局のWebサイトでも確認できる

青い空と青い海、溶岩でできた黒い大地。これがハワイ島

ハワイ島へは日本からの直行便、またはオアフ島などからの国内線で

 さて、日本人がハワイ島を訪れるには、日本から直行便で飛ぶか、オアフなどハワイ州の近くの島から国内線で飛ぶか、大きくその2つに分かれると言ってよい。日本からハワイ島は2017年9月にJAL(日本航空)が成田~コナ線を週7便(デイリー)で就航しているし、ハワイアン航空も羽田~コナ線を週3便で運航している(どちらも互いのコードシェア便)。ハワイの島しょ間については、ハワイアン航空が国内線を1日に何便も運航している。今回記者はまずはオアフを訪れ、ホノルルから夜の便でコナへ入った。

ハワイアン航空のボーイング 717型機でホノルルからコナへ
夜のコナ空港に到着

 コナ空港(エリソン・オニヅカ国際空港)は島に2つある国際空港の1つで、島の西側のほぼ中央に位置している。もう一方のヒロ国際空港は、対照的に島の東側のほぼ中央にある。日本からヒロへの直行便は今のところ存在しない。コナの強みは日本からの直行便があることで、例えば往路は東京からコナへ入ってハワイ島に滞在し、復路はホノルルに寄って買い物してから帰国する、といった三角飛びルートを考えることができる。

 そんなコナ空港の周辺には、ハワイ島第2の街「カイルア・コナ」や、高級ホテルが密集する「ワイコロア・ビレッジ」、標高2500mの「フアラライ山」(休火山)があり、北に向かうと渓谷などダイナミックな景観が広がるコハラ地区、島の中央には標高4200mの「マウナ・ケア山」(こちらも休火山)がある。今回宿泊した「ヒルトン・ワイコロア・ビレッジ」は、空港のやや北、海沿いに立っている。

 空港からはクルマで30分と少々離れているが、空港まで迎えのバスが来てくれる。記者のように夜に到着しても移動の不安がないのはありがたい。なお、空港内にはサンドイッチなどを売っているレストラン兼コンビニがあるので、空腹なら一晩分の軽食や飲み物をここで買っておくとよいだろう。というのは、ヒルトンの敷地内には小さなコンビニがあるのだが、夜到着したときにはもう閉まっていたからだ。部屋には無料の水のボトルが2本用意されていたので、飲み水の心配はしなくてよい。

 ホテルに到着してクルマを降り、一つ上のフロアでチェックインをすませると、目の前にレールのようなものがあることに気づいた。実はヒルトン・ワイコロア・ビレッジは、客室数1113室、敷地面積25万m2と大変広大なホテルで、敷地内を専用の無人トラムが走っている。客室棟まで歩けないほど広いわけではないが、こんな遊び心は広い土地あってのものだし、ダイナミックなおもてなしでワクワクする。トラムはフロントから東西に伸びていて、端まで着くと折り返す。今回泊まった客室棟「ラグーンタワー」は西の折り返し地点に立っていた。

ヒルトン・ワイコロア・ビレッジ

所在地:69-425 Waikoloa Beach Dr, Waikoloa Village, HI 96738
Webサイト:ヒルトン・ワイコロア・ビレッジ

ラグーンタワーの客室
PS3があった
無料の水ボトルが2本
バスローブあり
洗面所は2面
お風呂はシャワーブースのみだった
翌朝のバルコニーからの景色が素晴らしかった
ラグーンタワーは中庭を取り囲むように客室が並ぶ

クルマで巡るハワイ島西海岸の旅

 翌日、ガイドさんの運転で島の西側を巡る旅に出た。ハワイ島の移動にはクルマが欠かせないが、道は基本まっすぐで単純なので、レンタカーを借りて「初めての海外ドライブ」というのも楽しそうだ(ハワイ州は入国1年以内に限り、日本の免許証で運転できる)。

 まず訪れたのはカイルア・コナの街。カイルア・コナは島内でヒロに次ぐ大きな街で、海沿いの「アリイ通り」にはレストランや土産物屋が並び、ハワイに作られた最初の教会「モクアイカウア・チャーチ」や王朝時代の「フリヘエ宮殿」などの歴史的建築物を見ることができる。

カイルア・コナ
カイルア・コナの街
アリイ通り沿いの堤防では釣りをする姿も
土産物屋や歴史的建築物も

 もしコーヒー好きなら、ぜひ行くべきなのが「グリーンウェル・ファーム」。ここにはハワイ島のコーヒー農家の多くが豆を卸していることでも知られており、創業が1850年という大変歴史のある農園。時間を区切って園内を見て回る無料のガイドツアーを実施しているほか、この農園から出荷しているコナコーヒーの異なるローストを試飲することもできて、気に入ったらもちろんその場で購入することも。農園では積極的な品種改良を行なっていて、新旧のコーヒーの木が見られるほか、豆の選別所や雨を避けられる可動式干し棚などを見学してコーヒー知識を深められるのも興味深い。

 試飲所ではミディアムロースト、フルシティロースト、ダークロースト、エスプレッソローストといった具合に、焙煎を変えたコーヒーを飲み比べて、自分の好みの味を探ることができる。記者はおみやげにフルシティローストを購入。

 ちなみに、これはガイドさんの話で知ったのだけど、コーヒー豆は焙煎が進むほどカフェインが抜けていく。なんとなくダークローストで苦みが強いほど眠気覚ましに向いている印象を持っていたけど、実はまったく逆で、ライトローストほどカフェインが強いのだそうだ。つまり、眠気覚ましに飲むなら、アメリカンコーヒー(アメリカンブレンド)のような浅煎りの方が向いている。

グリーンウェル・ファーム

所在地:81-6581 Mamalahoa Hwy, Kealakekua, HI 96750
Webサイト:Greenwell Farms(英語)

試飲スペースと直売所は入ってすぐのところにある
無料の園内ガイドツアーの次の開始時間が書かれていた
古くから園内にあるコーヒーの木
赤く熟したコーヒー豆
収穫した豆のための「干し棚」
干し棚は可動式で屋根の下に移動できる
園内には選別機なども

 続いて訪れたのは、「プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園」。ハワイに住む人たちの祖先は、かつて星を頼りにタヒチから舟を漕いでたどり着いたそうで、そんな歴史を垣間見れるのがこの公園。当時使われていたとされる舟の復元品が展示してあったり、船大工のための工場があったりと、ハワイ島の起源を感じられるスポットだ。

 公園の奥は波が打ち寄せる岩場になっていて、一部はL字の壁で囲まれたスペースになっている。これは、かつて聖域とされていた区画で、罪人や戦いから逃れた人の避難所だったそう。別掲の地図は航空写真モードにしておいたので、ズームすると壁の様子が分かるはずだ。

 水の透明度は非常に高く、波打ち際をよく見ると、なんとウミガメがあちこちでプカプカと浮いていた。ただ打ち寄せられているのか食事に来たのかよく分からないが、小さな個体だったので産卵に来たわけではなさそう。ダイビング中でもないのに、目の前で野生のウミガメを見る機会に恵まれたのは感激だった。

プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園

所在地:State Hwy 160, Honaunau, HI 96726
Webサイト:Pu`uhonua O Honaunau National Historical Park(英語)

プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園のエントランス
船旅の歴史を表現した壁画
アウトリガーの付いたカヌー
奥まで進むと岩場になる
船大工が使ったという工場を再現
L字の壁に囲まれた区画はかつて聖域とされていたという
小さなウミガメがたくさん遊び(食事?)に来ていた
ただし州の条例でウミガメに触るのは厳禁

 昼食は再びカイルア・コナに戻って、「コナ・ブリューイング・カンパニー ブリュワリー&パブ」へ。オアフ島でも地ビールは流行っているが、ハワイ島でも同様とのこと。ここは蒸留所とレストランを兼ねた施設で、小樽でのビールのテイクアウトや蒸留所の見学ツアーも行なっている。ビール好きにお勧めなのは、少量ずつ飲み比べできるセットメニューの「ビアフライト」。

 記者はアルコールに強くないので少し味見させてもらう程度にしておいたが、ここはピザやポケ、枝豆といったフードメニューが抜群だったので、ビール好きもそうでない人も楽しめるはずだ。

コナ・ブリューイング・カンパニー ブリュワリー&パブ

所在地:74-5612 Pawai Pl, Kailua-Kona, HI 96740
Webサイト:Kona Brewing Co.(英語)

店舗外観がいかにも蒸留所
ビアフライト
ピザ
ポケや枝豆、手羽先などフードメニューも充実

 最後に、空港近くのバニラ農園「ザ・バニラリー」に立ち寄った。入口付近の店舗では、農園で採れたバニラを使ったボディウォッシュやボディクリーム、バニラエッセンス(バニラエクストラクト)、リップバーム、シュガースクラブなどを販売しているほか、その場で食べられるバニラアイスも用意している。店舗の奥では実際にバニラの栽培も行なっており、有料の見学ツアーに参加することも可能。

ザ・バニラリー

所在地:73-4301 Laui St, Kailua-Kona, HI 96740
Webサイト:The Vanillerie(英語)

空港からクルマで10分かからないところにある
農園で採れたバニラを使ったオーガニックな商品を売っている
これはボディウォッシュ
ここへ来たらバニラアイスは絶対食べるべき
湿度や水やりなどが管理された農園区画を見学できる

 日本へは、コナ空港からJALの直行便で帰国した。コナ空港は国際空港とは思えないほどオープンエアで、ほとんどの部分に屋根がない。もっといえば、建屋にもほとんど壁がないので、空港らしからぬおおらかさを感じられる場所だ。JALのチェックインカウンターはターミナル1で、アメリカン航空の隣にある。構造的な理由と、あまり大きな空港ではないこともあって、ほかの空港のようなJALのラウンジは存在しない。

 JALのコナ線は2010年に一度運休しており、2017年9月に7年ぶりに再開している。再開は地元で大歓迎を受け、JAL コナ空港所長の岡冨省二氏によれば、「JAL職員だと分かると道行く人が『よく帰ってきた!』と握手してきた」ほど。「ハワイ島はとにかく自然が豊かでのんびりできる。何もしないで過ごしてもいいし、ゴルフ三昧してもいい。ホノルルに寄ってから帰国する人は全体の1割くらいと少なめで、日本人の休暇の過ごし方が変わってきたのかも」「お勧めは星。満天の星空は最高」と教えてくれた。

JALの成田~コナ線スケジュール(2018年10月28日~2019年3月30日)

JL770便:成田(21時25分)発~コナ(09時25分)着、毎日運航
JL779便:コナ(11時35分)発~成田(翌16時35分)着、毎日運航

コナ空港。小さな建物が集まって構成するという、あまりほかでは見られない形
JALのチェックインカウンター
成田から到着したJAL便。この折り返しで帰国する
コナ空港には搭乗橋がないので、タラップカー(スロープ)で乗り降りする
日本航空株式会社 コナ空港所長 岡冨省二氏

編集部:松本俊哉