旅レポ

誰もがベートーベンのような音楽家になれる? 数々の名曲が生まれた音楽の都オーストリア・ウィーン

宿泊先は都心で少し贅沢に過ごせるアパートメント

ベートーベンが暮らしたオーストリアの首都ウィーン

 ヨーロッパの鉄道などが一定期間乗り放題となる「ユーレイル グローバルパス」を使って旅するプレスツアー。前回ご紹介したショパンの故郷であるポーランドはワルシャワから、そのショパンの名が付いた寝台特急「EuroNight」に乗車して、今回到着したのはオーストリアの首都ウィーン。

 ショパンが20歳のときに移り住んだように、ウィーンは世界的に有名な音楽家を数多く呼び寄せ、輩出したことでも知られている。音楽の都と呼ばれるようになったのもそのためだ。

ユーレイル グローバルパスを利用して、ワルシャワからウィーンへ(C)OpenStreetMap contributors

 例えば、日本においては年末恒例ともなっている合唱曲の「交響曲第九番」などで有名なルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベンもウィーンで活躍した作曲家の1人。生まれはドイツながら、22歳から最期の日までの35年間、人生の大半をウィーンで過ごした。市内には「運命」の副題で知られる「交響曲第五番」が生まれ、遺書もしたためたとされるベートーベンハウスが残されている。天才作曲家も普段から目にしていたかもしれない、ウィーンの音楽スポットをチェックしてみよう。

ウィーンの街並み

格安で観光できるVienna City Cardで、ベートーベンと関わりのあるスポットへ

寝台列車でウィーン中央駅に到着

 さっそくベートーベンゆかりの観光スポットへ!と急ぐ前に、ウィーンに到着したら最初に手に入れておきたいのが「Vienna City Card」だ。有効期限の違いで3種類あり、そのうち「72時間チケット」(29ユーロ、約3712円、1ユーロ=128円換算)だと、発行日もしくは最初の使用(打刻)時から72時間以内なら市内の地下鉄、トラム、バスといった公共交通機関が乗り放題。さらに一部の公共施設の入場料やレストランの食事代が1割引となるサービスも付加されたお得なチケットとなっている。

Vienna City Card 72時間チケット
地下鉄に乗るときは最初の1回だけ改札機に通して打刻する。あとは携帯していればよい。駅員などに確認を求められたときに提示しよう
荷物が多いときは地下鉄に乗る前にウィーン中央駅でロッカーを借りるのがお勧め
大型のロッカーなら中サイズのキャリーバッグが4個ほど収まる
ロッカーの利用料金は24時間で4.5ユーロ(約576円)
発行されたカードは荷物を取り出すときに必要なので忘れないように

 オーストリアを代表する画家グスタフ・クリムトなどの作品が展示されている、市内のヴェルベデーレ宮殿も1割引(通常15ユーロ、割引後13.5ユーロ、通常約1920円、割引後約1728円)で入場可能。Vienna City Cardはウィーン中央駅の観光案内所などで入手でき、24時間17ユーロ(約2176円)、48時間25ユーロ(約3200円)のチケットも用意されている。市内の観光スポットを巡るときは必須のアイテムだ。

ヴェルベデーレ宮殿。画家グスタフ・クリムトなどの作品が展示されている
ヴェルベデーレ宮殿とVienna City Card。入場料は1割引

 そのVienna City Cardを活用し、ウィーン中央駅から地下鉄に乗って約3分で到着するカールスプラッツ駅へ。駅を出ると、すぐにベートーベンに関係する観光スポットに巡り会える。その1つ、1898年に完成した前衛芸術の拠点とされている分離派会館は、交響曲第九番をモチーフにした横幅30m超のクリムトの壁画作品「ベートーベン・フリーズ」が展示されている建物。モーツァルト記念像や、1869年設立のウィーン国立オペラ座、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が本拠としているウィーン楽友協会の建物も徒歩圏内だ。

地下鉄に乗ってカールスプラッツ駅へ
駅を出て少し歩いたところにある分離派会館。ここの内部にもクリムトの壁画作品がある扉もクリムト作品
この付近にある歩行者用信号はなんだかかわいらしい
モーツァルト記念像。モーツァルトもオーストリアの出身だ
ウィーン国立オペラ座
夜のオペラ座
ウィーン楽友協会

 また、クラシックに限らず音楽好きならぜひ訪れたいのが、「Haus der Musik(音楽の家)」。ここは音楽を題材にしたエンタテイメント施設とでも言うべきもので、最新技術を用いた展示作品で音楽をより身近に感じることができる。

 仮想空間のサイコロを振ってメロディを生成しオリジナルの楽曲を演奏できるゲームや、自分の手の振り方に合わせて映像内のオーケストラを意のままに操れる指揮者仮想体験コーナー、階段を上るだけでコードを演奏できる仕掛けなどがある。子供から大人まで楽しめるアトラクションが盛りだくさんで、音楽は好きだけれど作曲はちょっと……という人でも、簡単に作曲家や指揮者の気分を味わえる。

Haus der Musik(音楽の家)
同時に複数人で遊べる自動作曲のアトラクション。手前のセンサーの上に手をかざしたり、握ったりすると、画面上のサイコロを持ち上げて振ることができる。出目によって楽器パートごとのメロディが生成され、最後に合奏を聞ける
Haus der Musik(音楽の家)
オーケストラの映像の前で指揮者を演じられる。手の振りをセンサーが読み取り、その動きの早さに合わせて演奏してくれる
階段を上り下りするだけでコードを弾ける仕掛け
博物館でもあるので、過去から現代までの音楽の歴史が分かる展示もある
Wiener Staatsoper(ウィーン国立オペラ座)

所在地:Opernring 2, 1010 Vienna, Austria
入場料:9ユーロ(約1200円、ガイド付き)
Webサイト:Wiener Staatsoper(英語)

Haus der Musik(音楽の家)

所在地:Seilerstätte 30, A-1010 Vienna, Austria
入場料:13ユーロ(約1700円)
Webサイト:Haus der Musik(英語)

交響曲第五番を作曲し、遺書をしたためたベートーベンの家

ベートーベンハウス

 ベートーベンが実際に暮らしたベートーベンハウスがあるのは、ウィーン市街の北側。交響曲第五番「運命」を作曲した場所とされ、遺書あるいは心情告白書とされる文面をしたためた場所でもあるという。現在は博物館となっていて、その遺書とされるものが読み取れる形で展示されている。ベートーベンが当時抱えていた悩みや置かれていた状況を伺い知ることができるだろう。

入口を抜けると……
中庭のようになっている
裏庭には巨大なホーンのスピーカー。ベートーベンの曲が静かに流れている

 そのほか、本人直筆の楽譜、耳の病で聴力にハンデがあったベートーベンがそのハンデを克服するため工夫しながら使っていたピアノ、転居することの多かったベートーベンの引っ越し道具、恋焦がれる人への手紙、遺髪などが展示されている。カールスプラッツ駅から地下鉄とバスを乗り継いでおよそ40分強と、中心部からは少し離れたところにあるものの、ベートーベンの人柄や日々の暮らしの様子を感じ取れる貴重なスポットとなっている。

かつては付近に温泉施設があり、ベートーベンはその温泉の水を飲用していたのだとか
引っ越しすることが多かったベートーベン。楽器や家財道具の運搬をイメージした展示がある
音がよく聞こえるように上部がくり抜かれ、ダクトが取り付けられたピアノ。聴力のハンデをこういった工夫で乗り越えていたようだ
ベートーベンの遺髪
ベートーベンが思いを寄せていた相手に送った手紙など
ベートーベンの遺書とも、心情告白書とも言われるもの。英訳も用意されている
Beethoven Museum(ベートーベンハウス)

所在地:Probusgasse 6, Vienna A-1190, Austria
入場料:7ユーロ(約900円)
Webサイト:Beethoven Museum

HomeAwayの民泊施設でウィーンでの滞在を満喫

バルコニーで街並みを眺められるウィーンの民泊施設

 今回ウィーン滞在中に利用したのは、一般的なホテルではなく、いわゆる民泊の施設。その地域の日常生活を体験しやすいハイクオリティな民泊施設を主眼に置いたHomeAwayの提供するアパートメントタイプの物件だ。カールスプラッツ駅からバスでだいたい5分、徒歩でも15分ほどで到着できる比較的アクセスのよい場所にあった。

こちらはHomeAwayが提供する物件となっている

 建物自体は新しくないけれど、室内はリノベーション済みということもあり、古さを感じさせない快適空間。2、3人掛けのソファとテーブル、テレビのあるリビングに、浴室とトイレ。寝室は広めのものが2部屋、やや狭いものが1部屋。広々としたキッチンには料理道具と食器が一通り揃っており、本格的な料理にも対応できる。

玄関から見た廊下
この廊下の左側にトイレ、浴室、キッチンがある
広々としたリビング
寝室は3つ用意

 キッチン内には小型の洗濯機もあって、滞在が長期間になるときの着替えを確保するのに役立つ。もちろんタオル、洗剤などもしっかり用意されているので安心だ。ヨーロッパらしい街並みが視界一杯に広がるバルコニーもポイント。また、無料のWi-Fi環境があるだけでなく、そのWi-Fiルーターをコンセントから取り外すとモバイルルーターとして利用でき、滞在中は外に持ち出してインターネットし放題となっているのもうれしいサービスだ。

洗濯機も備え付けられているキッチン。もちろん食器類もあるので料理もできる
リビングにあったルーター。充電器から取り外してモバイルルーターとして外に持ち出して使ってもよい

 観光の足に便利なバス停がすぐ近くにあり、和食料理店のほかレストランも近隣に多数。プレスツアーに同行した参加者のうち筆者を含む3人で共同利用し、2泊で約520ユーロ(約6万7000円)。1泊1人当たりに単純換算すると87ユーロ相当(約1万1000円)となる。ハイクオリティな民泊をウリにしているHomeAwayではあるものの、その設備や環境のよさから考えると、かなりリーズナブルに宿泊できる印象だ。

 ホテルとは違って受付カウンターがないので、出入りの際に人から視線を向けられることが少なく、清掃などで誰かに入られて“生活”の様子を覗き見されることもないので、気持ちのうえでもすごく楽。複数の部屋を自由に使い、広々としたリビングやバルコニーでリラックスしながら過ごせるのは、民泊施設ならではだろう。

 普段と環境が異なり、慣れない場所に宿泊する海外旅行中は、知らず知らずのうちに疲れが溜まってしまうもの。そういう意味で、少なくとも宿泊場所だけでもいろいろな面で気を使わずにいられる空間があるのは、旅行を満喫するうえで重要なことなのだと実感できた。

もちろん電源もたっぷりあるのでカメラのバッテリーやスマートフォンの充電もし放題だ

 次回は高速列車でオーストリア西端のドイツとの国境に接する街、モーツァルトが生まれた地でもあるザルツブルクへ向かう。

次回は日帰りでウィーンとザルツブルクを往復する(C)OpenStreetMap contributors

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、モバイルサイト・アプリ運営、IT系広告代理店などを経て、執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪・四輪分野などさまざまなジャンルで活動中。どちらかというと癒やしではなく体力を消耗する旅行(仕事)が好み。Footprint Technologies株式会社代表。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。