旅レポ

フィンランド北部のラップランドで野生の熊やオーロラなど大自然を体いっぱいに感じる

湖と森がいっぱいのフィンランドの大自然を体いっぱいに感じてきました

 9月初旬に行なわれたフィンエアー主催のプレスツアー3回目は、フィンランド最大の都市ヘルシンキを離れ、森と湖に囲まれたクーサモ(KUUSAMO)で体いっぱいに味わった大自然の体験記です。

 ヘルシンキからクーサモへのフライトはもちろんフィンエアー。この区間はフィンエアーもしくはフィンエアーの子会社ノルディックリージョナルエアラインによる運航で、使用機材はエンブラエル 190型機もしくはATR 72-500型機です。今回はATRを利用しましたが、機体後方からパッセンジャーステップを使わず乗り込む小型機特有のスタイルや、窓の上部に見える羽根やプロペラが独特で、大都市間を結ぶ飛行機の旅とはちょっと違う雰囲気がワクワク感を煽ります。クーサモが近付き高度を下げた飛行機の窓から見える森と湖の入り混じったフィンランド特有の風景にもうテンションMAXです。

 ちなみに、この区間のフライトでも提供される飲み物のカップやナプキンはマリメッコのデザインで統一されています。

国土の75%が森林で19万以上の湖が点在するというフィンランドらしい地形と頭上に翼が見える独特な風景が楽しいクーサモまでのフライト
出発時は少々曇り模様。機体後部からぞろぞろと搭乗します
マリメッコのデザインはフィンランドの国内線でも統一されています
ATR 72-500型機は68人乗り。頭上の荷室も少々狭めです
クーサモの空港はブリッジやバスを使わず徒歩で空港の建物へ入ります
水平基調のデザインと色使いが美しいクーサモの空港
到着したクーサモは晴れわたっていました

クーサモでまさかのベアーウォッチング

野生の熊の観察は貴重な体験でした

 クーサモの空港に到着し、遅めのランチをいただいたあとはベアーウォッチングを経験しました。バードウォッチングとかホエールウォッチングはよく耳にしますが、ベアーウォッチングのベアーって……「熊」ですよね……?って当たり前のことを聞き返したくなるような野生の熊の見学ツアーです。

 野生動物の観察には興味はあるもののさすがに熊はちょっと怖いなぁ、というのが正直なところでした。実際に見ても結構怖い顔していて、ぬいぐるみやアニメのキャラクターに描かれるヤツとはかけ離れた存在感がすごくて、安全な小屋から見ているとはいえ、大自然のすごさを見せつけられてしまいました。

熊に出会うため一行はクルマで森の中へ
観察小屋のかなり手前でクルマを停めて、徒歩で小屋まで歩きます
ガイドのPekkaさん
観察小屋はこんな感じ。暖房もソーラー発電も備えているようです
観察小屋の内部。窓の下には撮影用の穴があいています
双眼鏡が用意されていました。カメラは各自持参です
事前にまかれていた餌を嗅ぎつけ森のなかから現われました!
遠くにいるうちは、おーっ出た出た!とか喜んでいるのですが……
コイツはまだ幼そうですね
さらに小さいヤツも来ました
ガイドのPekkaさんによるとコイツがここのボスだそうです
こうして見ると「くまモン」の後ろ姿に見えなくもないんですけどね……
なにやら顔つきの違うヤツも現われました
木登りしているのではなく、木の上に餌があるのでそれを取ろうとしているだけなんですが、とにかく顔が怖すぎます
アチラから筆者の姿は見えていないのですが、それでもときどきファインダー越しに目があったような気がしてしまいます
餌を求めてくるのは熊だけではありません。夕日を浴びた翼がとてもきれいでした
熊だけではなく、夕日を浴びたここのロケーションがとてもきれいで日が落ちる頃には鷹が高みの見物(?)をしてました
観察終盤に、別の大物が小屋の近くまでやってきたのは困った。これから我々は小屋を出て森を帰るんですから!

 一方で、同じ森で鳥やトナカイ、そのほかさまざまな動物、そしてこの土地の人も絶妙なエリア分けをしながら共存しているのだなと考えると恐怖だけではなく、どことなく感動したりします。

 実はガイドのPekkaさんが事前にこの周辺にまいた餌目当てに熊や鳥が観察小屋付近までやってくるのですが、のそのそと森の奥から現われる姿は野生そのもので、現われるたびにPekkaさんが小さな声で呟く「あいつはここのボスなんだぜ」みたいな解説に熊社会のヒエラルキーを微妙に感じたりして実はおもしろかったりもします。

 ちなみに写真は小屋に設けられた小さな撮影用の穴から行ないます。焦点距離は500mm以上は欲しいところですが、撮影用の穴がそれほど大きくないので(大きかったらそれはそれでイヤ)細身のレンズがよさそうです。今回は旅全体の行程を考えて機材は極力小型軽量なものを選びましたが、ここに適した機材で再訪したい気も少々しています。

ラップランドの豊かな森のなかで楽しむリバーラフティング

今回はこんなシーンはあまりない穏やかなリバーラフティングでした

 フィンランドは国土の約75%を森林が占めていて、そこに19万近くもの湖が点在するというまさに森と湖の国で、そんなフィンランドを感じるのに絶好なアクティビティがリバーラフティングです。その難易度は激しい急流も含まれるコースからユルユルとなだらかな川面のコースを下るものまで5段階程度の分けられているようですが今回は最もライトなコースでの参加です。

 まずは防水のウェアやヘルメット、ライフジャケットを受付のある小屋で装着します。もちろんすべて現地でレンタルできますので参加者は手ぶらでOKです。

まずは小屋で身支度をしてから出発地点へバスで向かいます

 装着後バスで出発地まで移動し、現地ではまずボートでの姿勢やパドルの使い方などの簡単な講習を受け、スタートです。穏やかな川面を覗くと透明な水草がゆらゆら揺れているのが見えたりして、その透明感と見上げたときの空の広さがとても気持ちよくてボーッとしてしまいそうです。

 実はボートには船外機が付いていて、我々が体験したライトなコースではラフティングの大半は実際にボーッとできます。のんびり大自然の空気を味わうには最適なコースでした。時折現われる川の段差とか方向転換で同乗者と息を合わせパドルを漕ぐ連帯感を味わいながらも全体的には疲れるほどではないので、激しくスポーツしたい方はそのようなコースを選ぶのもアリだと思います。

 昼過ぎから出発した今回のラフティングは2時間半程度でしたが、降りるころには気温もずいぶん下がっていたので、筆者はその気温差すら大自然そのものだと思たものの、寒がりの人は温かめの服装で出発した方がよいかもしれません。

船外機付きなのでひたすら漕ぎ続ける必要はありませんでした
空気がとても気持ちよいのどかな風景です
たまに皆んなで力を合わせますが、写真を見る限りそんなに必死ではないですね……
こうやって、のんびりゴール地点まで豊かな大自然を体いっぱいに感じながら川下りを楽しむのです

フィンランドと言えば……コレです

フィンランドと言えばオーロラです

 フィンランドの話を周りにすると誰もが口にするのが「オーロラ」です。それほどこの国の観光の目玉として定着している自然現象は、フィンランド政府観光局の公式トラベルガイド「VisitFinland」によると、9月から3月までのあいだ2日に1度は姿を現わすといいます。

 とはいえオーロラは天体での自然現象。発生確率は申し分ないけど見えるか否かは運次第、天候によっては朝まででも待ち続ける覚悟で望んだ旅でしたが、今回はあっさりその目的を達成してしまいました。

 フィンランドではまだ薄明かりが残る夜9時ごろホテルを出発し、近隣の湖畔でツアーガイドの方と合流。10~15分程度歩きガイドさんのお勧めスポットに到着。さあ、今夜は見られるかな、なんて話をしながらカメラを用意している間もなくボンヤリとオーロラ出現。あまりにもあっさり出会った天体ショーにまごまごしながらカメラを向けると、その姿はどんどん形を変え、湖面に映る「逆さオーロラ」もとてもきれいです。ガイドさんが湖畔を選んだのは湖面に映るオーロラも楽もうという粋な計らいだったのです。

刻々と変わるオーロラに向けシャッターを切ってみましたが、生でじっくりと見続けていたかったような気も少々

 その後2時間ほど光の天体ショーを堪能し鑑賞ポイントをあとにしましたが、クルマに戻る道すがらにも林の向こうでゆらゆらと光り続けるショーに後ろ髪を引かれる想いでした。

帰りの山道でも振り返ると、ずっと見え続けていました

 ベアーウォッチング、リバーラフティング、オーロラ鑑賞を満喫しましたが大自然に触れるフィンランド・クーサモの旅はまだまだ続きます。また、地元ならではの食材を使った食事や湖畔沿いのサウナなどなど、紹介したい体験がいっぱいです。それでは、また次回!

高橋 学

1966年 北海道生まれ。仕事柄、国内外へ出かける機会が多く、滞在先では空いた時間に街を散歩するのが楽しみ。国内の温泉地から東南アジアの山岳地帯やジャングルまで様々なフィールドで目にした感動をお届けしたいと思っています。