旅レポ

北欧フィンランドの秋を満喫する至福の6日間。フィンエアーの最新鋭機エアバス A350で行くヘルシンキへの旅

ゆるやかに弧を描くウイングレットが特徴的なエアバスのA350-900型機。今回は往路、復路ともにこのエアバスの最新鋭機での旅となりました

 東京ではまだまだ夏の暑さが残る9月初旬、フィンエアーが主催するプレスツアーに参加し、フィンランドの南部に位置する首都ヘルシンキでの美しい街並みや、フィンランドの中央部、ロシアとの国境を有するクーサモという街で大自然を満喫してきました。

 フィンランドへはもちろんフィンエアーで向かいます。成田から首都ヘルシンキへ向かうAY072便は、成田空港を9時50分に出発し到着は現地時間13時50分。ヨーロッパの東端に位置するフィンランドへの飛行時間は10時間を切り、今回はビジネスクラス利用ということも相まってまったくの疲れ知らずのフライトでした。

 午前中に出発するこの便ですと、時差の関係でまだまだ明るい日中にヘルシンキに到着します。ヘルシンキ・ヴァンター国際空港は、とてもシンプルかつコンパクトな空港ですので空港内の移動もスムーズで入国審査もあっという間。ヘルシンキの中心街へもバスやタクシー、電車などの公共交通機関でもおおむね30分程度と近いので、その日のうちにすぐさま美しい市街地の散策やショッピング、市場巡りなどが十分に楽しめます。

 ちなみにフィンエアーは成田のほかセントレア(中部国際空港)、関西国際空港、福岡空港からヘルシンキへ就航してますが、いずれも午前中の出発ですので、どこから乗っても同じようなプランで楽しむことができそうです。

ヘルシンキの街は穏やかでとても美しく清潔です。空港から中心街まではバスやタクシー、電車で30分程度と近いので成田を午前中に出発すれば到着当日にすぐさま市内観光が楽しめます

最新の旅客機、エアバス A350-900型機での快適な旅

操縦席の窓が黒く縁取られたデザインのエアバス A350-900型機

 朝出発すれば、その日のうちにヘルシンキ観光を目一杯楽しめてしまうフィンランドの旅ですが、始まりはヘルシンキに到着してからではありません。成田でフィンエアーに搭乗したときからすでに旅は始まっているのです。

 ビジネスクラスの機内で使われるテーブルウェアはフィンランドの老舗イッタラ、そして大胆なテキスタイル・デザインで多くのファンを持つマリメッコでブランケットや枕、スリッパも統一。ライトグレーの明るい内装と相まって、搭乗したらすぐに目的地フィンランドの雰囲気にひたれます。

 デザインに力を入れているヘルシンキの空気を感じながら過ごす機内での時間は、今回はビジネスクラス利用ということもあり「もっともっと乗っていたかった」というのが正直なところです。ちなみに今回利用したAY072便はエアバス A350-900型機というエアバス最新の「A350XWB」シリーズの飛行機でした。XWBは「エクストラ ワイド ボディ」の略で、要は機体の幅が広いシリーズです。確かに自分の席から反対側の窓側の席がなんとなく遠くに見えるような気がします。

 また機内空調も先進のシステムが採用されているとのことで、広々として圧迫感がない機内は乾燥が抑えられていて快適です。何だかとても快適な時間はフィンランドのデザイン性に優れたアメニティとともに最新のテクノロジーによって得られたもののようです。

出発は成田空港第2ターミナルから。今回は搭乗する92番ゲート側のカンタス航空のラウンジを利用しました。ここのラウンジは万が一仕事や仲間とのおしゃべりに夢中になってしまってもちゃんと呼び出してくれるそうです(もちろん搭乗時間はきちんと守ってくださいね)
フィンエアーのエアバス A350-900型機の明るくてゆったりとしたシート配置の機内(ビジネスクラス)
ビジネスクラスのシート。もちろんフルフラットにもなります
壁には110V/60HzのユニバーサルACコンセントとUSBポート、照明などなど
シートは細かく調整できますが「離着陸時」「就寝時」「通常時」の3つの青いボタンだけでもおおむね事は足ります
16インチモニターは壁に収納できます
ヘッドフォンはBOSEのノイズキャンセリングタイプ
ワイドボディのA350だと逆側の窓や乗客が心なしか遠くに感じます
洗面台のちょっとした花瓶にもセンスが光ります
毛布や枕、スリッパにいたるまでマリメッコづくしです
往路と復路ではデザインの違うアメニティポーチでした
フィンエアーとマリメッコのデザインパートナーシップによって生まれた“Marimekko for Finnair”コレクションはテーブルウェアからアメニティキット、枕やブランケットにいたるまで採用され、その統一感が機内全体の雰囲気を醸し出しています

北欧の雰囲気漂う機内でいただく和食の美味しさにビックリ

日本人シェフ 前沢リカ氏の監修による成田~ヘルシンキ線ビジネスクラスのシグネチャー・メニュー(現在は秋メニューを提供)

 フィンエアーでは、今年の2月より成田~ヘルシンキ線のビジネスクラスの機内食に東京・渋谷区にある和食店「七草」の前沢リカ氏が監修したという機内食が用意されています(現在は秋メニューを提供、関連記事はこちら)。といってもグルメ情報には疎い筆者は店名もシェフの名前も知りませんでしたが(すみません)、とても評判がよく特に女性には大人気の店だそうです。もちろんステーキなど洋食のメニューも選べますが、ここは世間の評判にしたがって和食を選択。これが大正解でした(もちろん洋食も不正解ではないでしょうけど……)。

「夏の太陽の恵みと、暑さを忘れるような清涼感を感じてほしい」とは今回のメニューに対する前沢氏のコメントだそうですが、見事に氏のイメージどおりの料理でした。濃過ぎないけどしっかりした味はどこか爽やかで、しっかりとした和食でありながら北欧テイストの機内の雰囲気のなかでも、なぜだか違和感なくいただける、ものすごく考え尽くされた食事だと思います。

 一品一品どれもが違う楽しさがありながら決してバラバラな感じもせず、統一感のとれた満足度の高いランチでした。ものすごく美味しかったので、今度東京の前沢氏のお店にも行ってみたくなりました。

前菜は「夏の七草花織り(かおり)箱」
前沢リカ氏についても記されている機内のメニュー
鯵のマリネ(前菜)
フルーツトマト寒天寄せと牛実山椒煮(前菜)
茄子田楽やかぼちや煮、利休麩煮など見た目も美しくバラエティに富んだ前菜
メインは「カラスガレイ唐揚げ 旨出汁餡」と「新生姜俵御飯」

 なお、食事はランチのほか到着前にもう一度軽食が提供されます。今回は焼うどんに鳥の照り焼きと炒め野菜が用意されていましたが、これ日本人的には軽食とは言い難い量です。到着後すぐにヘルシンキの市内で食事を楽しみたい方は完食しないほうがいいかもしれません。CA(客室乗務員)さんも「ちょっと多かったかしら」なんて笑ってましたし。

 飲み物はワインはもちろんビール、ノンアルコールドリンクなどが用意され、フィンエアーオリジナルのカクテルも多数あります。特にブルーベリーやクラウドベリーなどのお酒やノンアルコールドリンクはフィンランドらしさを感じますし、ケーキもラズベリーケーキが用意されるなど、イッタラやマリメッコといったフィンランドのブランドだけにとどまらず機内で過ごす時間全体がフィンランドらしさに包まれているのがフィンエアーの特徴であり魅力だと感じます。

到着前に提供される「軽食」。ボリューム満点で全然軽くありません
ワインをはじめ飲み物ももちろん充実していてフィンランドのベリーを使ったものも数多く用意されています
こちらはブルーベリーのお酒。ノンアルコールのブルーベリーカクテルもあります
グラスはフィンランドの老舗ブランド イッタラの製品で統一されています。写真はラップランドの氷が溶ける様子にインスピレーションを得たというウルティマ ツーレ(Ultima Thule)というシリーズのものです
ラズベリーのケーキ
マリメッコのカップ
マリメッコのブランケットに身を包みながらイッタラのグラスでカクテルを楽しみながら過ごす時間

やっぱり日本人がいるとちょっぴり安心しちゃうのです

フィンエアーでは日本とヘルシンキを結ぶ便には必ず日本人のCAさんが乗務しています

 フィンエアーでは、日本とヘルシンキを結ぶ便には必ず日本人のCAさんが乗務しているそうで、機内アナウンスも英語とともに日本語でも行なわれます。もっとも機内ではそんなに難しい英語が必要ではありませんが、それでも万が一体調が悪くなったら、とか、もし年老いた自分の親と旅行するなら、とか考えるといてくれるだけでちょっぴり安心します。

 もちろんフィンランド人のCAの方もとても優しくて機内では終始快適に過ごせましたよ。「フィンランドの方ってちょっぴりシャイで奥ゆかしいところとかがどことなく日本人に似ていて、そんな雰囲気でとても働きやすい環境なんですよ」と今回乗務していた日本人CAの方は話していましたし。

 あぁ、この快適さは最新のテクノロジーや北欧デザインだけではなくスタッフの方々のもつ雰囲気があっての快適さなんだなぁと妙に納得。今回予定されているヘルシンキやクーサモの街を訪ねるのは実は初めてではないのですが、あのどことなくフィットする快適さの謎がちょっと解けたようで、到着が一層楽しみになってきます。

モニターには、到着空港から市内に向かう方法や乗り継ぎ便の案内が分かりやすく日本語で表示できますので、あらかじめ確認しておくと到着したあとの動きもスムーズです

 今回は、北欧フィンランドの秋どころか機内の話に終始してしまいましたが、最も近い欧州で飛行時間も10時間を切るとはいえ、機内で過ごす時間の充実度は旅の楽しさの一部です。乗った瞬間からフィンランド一色のフライトでしたが、次回は到着の地ヘルシンキで過ごす時間をご紹介します。また、お付き合いいただけるとうれしいです。

東洋と西洋の「出会い」をテーマにしたショートフィルム「East and West Side Story」が公開されました

 2018年は、フィンエアーが日本に就航し初めてアジアとヨーロッパを結んでから35周年の記念すべき年だそうです。そこでフィンエアーとヘルシンキ・ヴァンター空港を運営するフィナビア(Finavia)は、共同プロモーションキャンペーン「Match Made in HEL」の一環としてショートフィルム「East and West Side Story」を制作します。そのプレミア上映会が9月6日、ヘルシンキ・ヴァンター空港で行なわれました。

 実はこのプレミア上映会での鑑賞が今回の大きな目的でもありました。15か国から集まった100名以上のメディア関係者は、空港内のVIPターミナルよりバスでフィンエアーの格納庫まで空港の敷地を移動し、初公開されたショートフィルムを登壇した主演のイ・ジェフンさん(韓国)、北欧出身のアンネ・ベリステッドさんとともに楽しみました。

プレミア上映会はまず空港内のVIPターミナルで集合しました。機内同様にイッタラのグラスでいただくお酒とアペタイザーで上映までの時間を過ごします
上映会場となるフィンエアーの格納庫まで、これから飛び立つフィンエアーのA350XWBを横目で見ながらバスで移動します。バスの1台は「East and West Side Story」のラッピングバス。ヘルシンキ市内と空港を結ぶシャトルバスにもラッピングしたタイプを見かけました
格納庫には15か国から集まった100名以上のメディア関係者が上映を待ってます
格納庫では2機の飛行機がお出迎え。写真はエアバス A320-200型機
格納庫では2機の飛行機がお出迎え。写真はエンブラエル 190型機
プレミア上映会の模様。ホストを務めたのはフィンランドの映画監督、映画プロデューサーのレニー・ハーリン氏
主演のイ・ジェフンさん(左)とアンネ・ベリステッドさん(右)
プレミア上映会終了時にはすっかり日も暮れ、ショートフィルムを楽しんだ各国メディアや関係者はヘルシンキ市内へ場所を移しパーティで公開を祝いました

 美しい湖に恵まれたフィンランドの雰囲気とヘルシンキ・ヴァンター空港、そしてフィンエアーの機内が散りばめられ、9月7日に一般公開されたショートフィルム「East and West Side Story」はこちらです。

高橋 学

1966年 北海道生まれ。仕事柄、国内外へ出かける機会が多く、滞在先では空いた時間に街を散歩するのが楽しみ。国内の温泉地から東南アジアの山岳地帯やジャングルまで様々なフィールドで目にした感動をお届けしたいと思っています。