旅レポ

長野のフィンランドヴィレッジで本場フィンランドの夏至祭を体験!「フィンランドの夏祭りinこうみ」に行ってみた

湖畔で「コッコ」と呼ばれるかがり火をたいて夏至をお祝いしました

 1年で最も日が長くなる夏至。今年は6月22日でしたが、私はその日、長野県小海町の松原湖畔にあるフィンランドヴィレッジで開催された「フィンランドの夏祭りinこうみ」に行ってきました。

「フィンランドヴィレッジって何!?」「そんなのが長野にあるの!?」と、初めて聞くという方も少なくないと思いますが、実は小海町とフィンランドとの交流は1990年代に遡ります。

本当にありました、フィンランドヴィレッジ!
松原湖とは猪名湖、長湖、大月湖という3湖の総称なのだとか。で、ここは長湖

夏至はフィンランドでは大切な祝日

 小海町とフィンランド。その交流の歴史は、森と湖に囲まれた松原湖の風景が北欧フィンランドと似ていることから、湖畔にサウナ併設のフィンランド式ログハウスが作られたのがはじまりだといいます(通常は会員制で一般利用はなし)。

 その後、フィンランド関連のさまざまなイベントや音楽会、パーティなどが開催されるようになり、2010年には小海フィンランド協会が発足。八ヶ岳連峰をのぞむ松原湖畔で開催される「フィンランドの夏祭りinこうみ」は今年で18回目を数えるまでになりました。

爽やかな高原の風が通り過ぎる湖畔が「フィンランドの夏祭りinこうみ」の会場

 ちなみに松原湖へのアクセスは、東京(練馬)方面からだと関越道~上信越道と走り、佐久南インターから中部横断自動車道に入って八千穂高原インターで降ります。そして国道を走ること15分ほどで到着です。

フィンランドヴィレッジ
フィンランド式ログハウスのまわりにイベントテントがいくつも
湖ではサウナに入る人やSUP体験(15分500円)を楽しむ人の姿が

 そもそも「フィンランドの夏祭り」って?という方に、本場フィンランドの夏至祭についてご説明しましょう。冬が長く夏が短いフィンランドでは、1年で一番日の長い夏至は大切な祝日。その週末は都市部を離れて、湖畔のサマーコテージなどでのんびりお祝いする風習があるのだそう。そんな夏至祭に欠かせないものが「サウナ」と「かがり火(コッコ)」。小海町のフィンランドヴィレッジでの夏至祭にはその両方があるんです。

夕方に点火するコッコ。大小と2つは湖畔に作られていました

「フィンランドの夏祭りinこうみ」への参加は事前インターネット予約制で、高校生以上が2000円/人。当日券もありますが2500円/人です。参加費には料理代(飲み物代は別)とイベント参加費、保険料が含まれています。ただし、サウナ体験と一部のプログラムは別途料金が必要。サウナ体験は500円とリーズナブルですが、定員が100名のみなので、この記事を見て「来年行ってみたい!」と思った人は、予約受付がスタートしたら早めに申し込むことをお勧めします。

どうやらここは“サウナー”にとっての聖地らしい

湖畔に作られたテントサウナ

 夏祭りがスタートする13時を過ぎると、ぞくぞくと人が集まってきて、湖畔の特設会場はかなりのにぎわいに。気付くとサウナの熱から頭を守る「サウナハット」をかぶって水着姿の人があちこちに。正直なところ「ここまでサウナ目当ての人たち来ているなんて」とびっくりでした。そんな“サウナー”の皆さん、圧倒的に男性の方が多く、普段は会社帰りやお休みの日にサウナに通って、身も心も「ととのえて」いるサウナLOVEの方々なんだろうなぁ~と勝手に想像。ドラマにもなるほどの昨今のサウナブームが垣間見える湖畔でした。

サウナストーンに水をかけて、発生する蒸気で体感温度を上げて発汗作用を促進するロウリュ
熱くなったら水風呂か湖へ。この日は一時土砂降りの雨が降りました

 そんなサウナーの皆さんとお話すると、誰もが「ここは特別!」とおっしゃるのです。それもそのはず、日本でここにしかないと言われるスモークサウナがあるからなのでした。石窯に薪を焚き、何時間もかけて室内を燻しながら温めるスモークサウナは、本場フィンランドでもサウナの元祖と呼ばれているほどの存在。この夏祭りは、そんなレアなサウナに入ることができる貴重な日だったのです。

日本ではめずらしいスモークサウナ。内部は燻されたにおい、そして真っ暗。定員は4、5名とそれほど大きくないなので入り口には常に順番待ちの行列ができていました

 スモークサウナのほかにも、テントサウナやサウナコタなど合計5種類のサウナが楽しめました。熱くなったら湖につながった小さな天然プールでクールダウン。この日は途中で大粒の雨が降ったりしましたが、水着姿の皆さんは変わらず湖畔のサウナ体験を楽しんでいましたよ。

こちらはサウナコタ(薪サウナ)。コタは小屋という意味
煙突からは煙がモクモク
ここはなかの休憩所。木のよい香りがします

ワークショップやサウナヨガなど体験プログラムもいろいろ

ダーラヘスト(木彫りの馬)の絵付け体験も

「フィンランドの夏祭りinこうみ」の楽しみはサウナだけではありません。フィンランドやスウェーデンなど北欧にちなんだワークショップやゲーム、パフォーマンスなどが行なわれました。なかでも私が楽しみにしていたのが参加料金に含まれるお料理。サーモンスープやブルーベリーパイ、パイ料理のカレリアンピーラッカなど、フィンランド・フードがテーブルにずらりと並び、おにぎりやおやき、ソーセージ、唐揚げ、漬物などもあって至れり尽くせり。これらの美味しい料理と湖畔の風景で、参加費は十分もとが取れてしまうと思ったほどです。

サーモンスープやミートボール、ニシンの酢漬けなどの北欧料理がたくさん
スイーツ系も充実。長野ということでおやきも
高原野菜が美味しい産地なので採れたてレタスがバケツでどど~んと
長野産のワインやジャムなども販売していました

 開催されていたワークショップをいくつかご紹介しましょう。フィンランドの伝統工芸のモビール「ヒンメリ」作りや、スウェーデンの伝統工芸品「ダーラヘスト」の絵付けはワンコインの500円で体験ができました。こちらはご家族連れや女性に人気で、皆さんとってもステキな仕上がりに。白樺のコブをくり抜いて作るマグカップ「ククサ」作りや、フィンランド式サウナで欠かせない「ヴィヒタ」作りも開催していました。

ヒンメリと呼ばれる伝統的な装飾品を作る体験は500円
新麦のわらを使って作る幸運のお守りです
白樺の木のコブで作るククサ
材料費込みで5000円。よい思い出になりますね
サウナの楽しみ方のステキなイラスト
青いログハウスの中にあるサウナではサウナヨガも開催(参加費500円)
湖ではSUP体験も。1回約15分で500円
マジック披露があったり
モルック大会も
半日いたら本当にフィンランドにいるような気持ちになってくる場所でした

コッコ点火で夏至祭はフィナーレへ

準備の整ったコッコ

 スケジュールだと18時半にコッコ(かがり火)に点火される予定でしたが、雨が心配されたこの日は30分繰り上げて18時からとなりました。夏至の日ということで辺りはまだまだ明るく夜の雰囲気はありません。湖のすぐ脇に作られた大小2つのコッコ。ぴたりと止んだ雨と風のおかげで、鏡のように湖に映り込んだ森の景色を背景にパチパチと勢いのよい音を立てて炎が上がりました。

コッコから立ち上る炎を静かに見つめる参加者の皆さん
日本に居ながらにして貴重なフィンランド体験!

 短い夏の訪れを家族や仲間とともに祝うというフィンランドの夏至祭。今、自分が見ているものと同じような光景が今日、遠くフィンランド各地でも行なわれているんだなぁ~と思いながら、しばらくかがり火を眺めていたのでした。

森と湖とコッコ。長野県小海町ならではのこの景色がいつまでも続きますように

 今年はちょうど夏至が土曜日に当たったため当日開催でしたが、例年はカレンダーによって開催日は変わります。サウナ好きさん、北欧好きさん、アウトドア好きさん……と、いろんな人が思い思いに楽しめる、緩くて気持ちのよい夏祭り。気になる人はぜひ来年の初夏に「フィンランドの夏祭りinこうみ」を思い出してくださいね。

 今回ご紹介したフィンランドヴィレッジで、日本最大級のサウナイベント「SAUNA FES JAPAN」が9月21から23日に開催されます。8月10日から抽選受付も開始中!

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。