旅レポ

ハワイ島北部の渓谷を探検。夜はマウナケア山から星空観察

ハワイ島の絶景の1つ、ワイピオ渓谷

 ハワイ島の「今しか味わえないポイント」として、前回は遊覧飛行でキラウエア火山の新しい噴火口を眺められることをお伝えした。新たな噴火の直接の影響はハワイ島全体から見れば1%に過ぎず、それ以外の地域では現地の人の生活も観光も普段どおり。

 ただ、実はキラウエア火山の活動は遠く離れた北部のマウナケア山からも観察できるのだ。ここでは、マウナケア山を含むハワイ島北部の絶景を紹介したい。

マウナケア山から見る夜のキラウエア火山

マウナケア山の標高2000mから撮影。左下に赤く見えるのが噴火口から放出されている光と思われる

 ハワイ島の北部に位置するマウナケア山。夜間、その標高2000mから南方向を望むと、炎のような赤い光を目にすることができる。いや、実際には肉眼で見えることはないが、カメラで長時間露光して撮影すると、美しい満天の星空を写真に収められるとともに、麓の方にひときわ赤く照らされている部分が映り込む。

 これが、ハワイ島南部で今現在活動している火山から放出されている光らしい。星空と火山の光が同時に映り込む写真は、新たな噴火口が活動している今しか捉えることのできない貴重なものと言えるだろう。ちなみに、標高2000mともなるとハワイといえども冷え込みは厳しい。星空観測で長時間居座るのなら真冬並みの装備を用意しておきたい。

上空から見たワイピオ渓谷
展望台のさらに上から見た渓谷

 一方、マウナケア山の北、突き出たようになっているハワイ島の北端エリアは、長い間噴火活動にさらされていないためか、豊かな植生をもつ渓谷が密集する地帯となっている。なかでも、「曲がりくねった水(川)」を意味するワイピオ渓谷は、自然に触れるアドベンチャーが好きな人にぴったりの観光スポットだ。

 ワイピオ渓谷では、4WDのクルマに乗って最大斜度25%の激坂を下り、何本もの川を突っ切りながら谷底を探検するシャトルバスツアーが大人気。展望台や飛行機から眺めるだけでは想像もつかなかった緑深いジャングルのような谷底にたどり着くと、放し飼いになっている馬が観光客を出迎え、農園があって人が暮らしていることにも気付く。歩いて谷底まで下る人もちらほら見受けられるが、途中の道はとにかく急坂で、同じ坂を戻らなければいけないことも考えると、素直にバスツアーを選んだ方が楽しめるはず。

 ちなみに、ワイピオ渓谷はハワイ王国を建国したカメハメハ大王が幼少期を過ごしたとされている土地で、そういう意味でも一度は訪れたい場所だ。

シャトルバスツアーの出発地点となる店舗。土産物店も兼ねている
この4WD車でいざ渓谷の奥深くへ
最大斜度25%の坂を下っていく。狭い道だが、戻ってくるほかの車両と何度もギリギリですれ違う
下り途中の渓谷の眺め。ここまで来ると川が流れていることが分かる
谷底にたどり着いた
放し飼いの馬がお出迎え
谷の奥まったところに見える2本の滝。左がハカラオア滝、右がヒイラヴェ滝
ハカラオア滝が男性、ヒイラヴェ滝が女性で、恋人同士だった2人が滝になったという伝説がある
手作りの測候所。ココナッツが動いていたら風の強い日、濡れていたら雨の日、白く見えたら雪の日。そして、ココナッツがなくなっていたらハリケーンと、実に分かりやすい。
谷底の探検中は何本もの川を突っ切る
川辺でひと休み
こういった川の風景を見ていると「曲がりくねった水」が地名になったのもうなずける

 そのほか、北部にはワイピオ渓谷と並ぶようにポロル渓谷がある。ここも高台から絶景を眺めたり、谷底へと至るトレッキングコースを歩いたりできる。いずれもカイルア・コナを拠点にクルマで移動するなら日中に見て回れる距離にあるので、昼間は渓谷でアドベンチャー、夜はマウナケア山で星空観測、というような旅程を組むのもよさそうだ。

ワイピオ渓谷の近くにあるポロル渓谷
トレッキングコースをひたすら歩いて行けば谷底まで降りることができる
渓谷近くの小さな街カパアウにはカメハメハ大王像が立っている。初めて作られた像だったが、フランスから船で運搬している途中で難破し、いったんは海に沈んでしまったという。その後引き揚げられハワイ島で初めての大王像として設置された
同じく渓谷近くにあるハヴィ。人口1000人ほどの小さくてキュートな街
キャッチーなロゴが目に留まるショップ
多くの観光客で賑にぎわうカフェ「KOHALA COFFEE MILL」
ほかにも雰囲気のよいお店が多い
北部からは少し離れるが、東海岸に位置するハワイ島最大の都市ヒロにもカメハメハ大王像がある
こちらのカメハメハ大王はイタリア製
海岸線には背の高いヤシの木が立ち並ぶ
1960年のチリ地震などで大きな被害を受けたヒロだが、今はのどかな風景が広がる
ヒロの街並み。カラフルな建物が多く、市場なども開かれている
街の中心部にある「Pacific Tsunami Museum」に津波被害の記憶が残されている

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、モバイルサイト・アプリ運営、IT系広告代理店などを経て、執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪・四輪分野などさまざまなジャンルで活動中。どちらかというと癒やしではなく体力を消耗する旅行(仕事)が好み。Footprint Technologies株式会社代表。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。