旅レポ
グレートバリアリーフから熱帯雨林、さらに鉄道までオーストラリア・ケアンズ大自然旅(その3)
世界遺産の熱帯雨林の姿を鉄道・文化・探検で知る
2018年2月8日 00:00
オーストラリア・ケアンズ滞在3日目は、ケアンズからクルマで約30分ほどのエリアであるキュランダへ。クイーンズランド州北部の内陸部には広大な熱帯雨林が広がっており、世界最古の熱帯雨林として世界遺産としても登録されているエリアだ。普段の生活では見ることのできない貴重な植物の活き活きとした姿が、壮大さとともに心に響いてくる場所で観光スポットとしても外せない。
行き方はクルマやゴンドラ・ケーブルウェイ「スカイレール」「キュランダ観光鉄道」など。ゆったり時間をかけて景色を楽しみながら移動ができる。なお、キュランダとはオーストラリア先住民の言葉で「熱帯雨林の街」という意味だ。
グレートバリアリーフから熱帯雨林、さらに鉄道までオーストラリア・ケアンズ大自然旅 記事一覧
約1億5000万年前の姿そのままの世界最古の熱帯雨林をアーミーダックで冒険
最初に熱帯雨林の姿を間近に感じると同時に知識も深めるために、「レインフォレステーション・ネイチャーパーク」へ。世界遺産の熱帯雨林内に作られた約100エーカーに広がるエリア内で、太古からの姿を保つ植物やオーストラリアならではの生き物たちを観察&触れ合うことができる。ネイチャーパークとして約40年以上も運営を続けており、その充実度はお墨付きだ。
パークのすべてを楽しみたいなら「アーミーダック熱帯雨林ツアー」などを含む「ビッグネイチャーパッケージ」(大人49オーストラリアドル、約4557円、子供24.50オーストラリアドル、約2279円、ファミリー122.50オーストラリアドル、約1万1392円、1オーストラリアドル=約93円換算)がオススメ。エントランスを入るとその先にチケット売り場がある。
「レインフォレステーション・ネイチャーパーク」で必ず押さえておきたいのが「アーミーダック熱帯雨林ツアー」。同パークが開園した1976年から続いており、第二次世界大戦時の1942~1944年に製造された水陸両用車アーミーダック(DUKW)に乗り込み熱帯雨林内探検へと出かけるアクティビティだ。定員は1台30名。6輪駆動でプロペラと舵がついており、大きさとともにかなりワイルドな車体だ。同パークでは12台所有し、製造されて70年以上のクラシックカーながら手入れも行き届いておりすべてが現役だ。入園してすぐにプラットホームヘ。出発スケジュールは10時から15時まで1時間おきとなっている。今回は赤の車体にアートが施された11号車で出発。熱帯雨林の探検がスタートした。
約45分間のツアーは、熱帯雨林の植物や昆虫、生き物全般を解説。会える生き物はその日の運次第だが、1日3回見ることができると幸せになれるという「ユリシスバタフライ」に遭遇できることも。ブルーの美しいカラーリングで羽根を広げると約14cmまで成長する大きさながら、見付けて写真を撮るのはかなりの至難の技。なぜならば高い場所で飛んでいるうえ、時速約40kmで動きが速いからだ。なお、パーク内にはユリシスバタフライが羽根を休め、卵を産む「コークウッドツリー」もあるので、その近くでの遭遇率が高いという。
ツアーでは熱帯雨林の植物についてたっぷり説明。なぜ、森に入るとひんやりするのか、そしてその理由であるキャノピー(林冠)を確認するために見上げると、約1億5000万年前からその姿を変えずに生きる「木生シダ」があり、恐竜時代へとタイムスリップ。ゼンマイのような芽を恐竜が食べていたこともあるなどの豆知識も教えてもらえる。
また、巨大な着生植物の大きさにも注目だ。鹿の角のような葉が特徴の「エルクホーンファーン」やトナカイ角のような葉の「スタグホーンファーン」など、取り付いた親木とともに共生しながら雨水や枯葉、古くなった自分自身も養分にしてゆっくり育つ。世界遺産で人間の手が入らない環境だからこその大きさと生命力をまざまざと感じさせてくれる瞬間の連続だ。
さらには、この熱帯雨林一危険な植物である「スティンギングツリー」も気が付くとクルマの横に。先住民の言葉で「ギンピーギンピー」と呼ばれ“とてもわるい”という意味を二度繰り返しているほど。ガラス繊維のようなトゲが葉にびっしりついており、人間が触れると即刺さり毒が入ってくる。さらに非常に取り難く、半年以上火傷のような状態になるという。なお、実はワラビーやトカゲは好んで食べるとのことだ。
また、ケアンズ市のロゴにも使われている「ノースクイーンズランドファンファーン」の姿も。上を見上げると樹齢約220年、手前は約40年とのこと。この辺りにしか生えておらずとても貴重な植物だ。
熱帯雨林探検も佳境に入ってくると、陸地から水上の世界へ。水陸両用車と分かってはいるものの、やはり入る瞬間はドキドキだ。水上では陸とはまた異なる世界が広がっている。以前農園だった場所ということもあり約100年前に川をせき止めて作られた池では、トカゲやマゲクビカメなどが日によっては日向ぼっこをしていたりとのどかな雰囲気。また、この時期は雨季ならではの青々と茂る緑も楽しめる。
途中、「ブッシュターキー」に出会ったり、キュランダの内陸エリアのコーヒー農園の話などを挟みツアーは終了。説明を聞きながら、植物や生き物たちと出会う時間はかなり貴重だ。そのあとは「熱帯果樹園」でカカオの実がなる様子を見たり、気になったフルーツを「トロピカル・トリート・ジュース・バー」で頬張ったりも。
さらに「コアラ&ワイルドライフパーク」で「イースタングレー・カンガルー」や「スワンプ・ワラビー」に「アジル・ワラビー」、「ネイルテイル・ワラビー」たちと触れ合ったりとほのぼのとした時間が楽しめる。もちろん巨大で凶暴な「イリエワニ」のビリーや、爬虫類好きにはたまらない愛らしい姿を見せてくれる「イースターンウォータードラゴン」も暮らしている。
そしてコアラたちもスヤスヤと気持ちよさそうにお休み中。背中の骨のくぼみでしっかり体勢をキープできるため落ちないとのこと。なお、ボードには本日の彼女らの食事メニューについても書いているなどアットホームな雰囲気だった。
さらにチケットにプラス20オーストラリアドル~(約1860円~)で「コアラと記念写真」も体験可能。今回抱っこすることができたコアラは女の子。フワッフワッで、ユーカリのよい香りが漂って来て癒され度もマックスに。なお、デジタルフォトが体験に付属するとともに、メールアドレスの登録でデジタルデータも手に入れることができるので、SNSアップに重宝する。
パークを散策し冒険したあとはレストラン「アウトバック・レストラン」で「BBQビュッフェランチ」(大人30オーストラリアドル、約2790円、子供15オーストラリアドル、約1395円)をチョイス。ビュッフェ形式になっており、オーストラリアならではのメニューがたっぷり。一番人気は「KANGAROO SATES」。カンガルー肉を串焼きにし、ライムにジンジャーソースで味付け。ジューシーな味わいでビーフを彷彿させる旨味も。
先住民の伝統的なスパイスを使い、オーストラリアならではのベジマイトもプラスした「Wattleseed and Vegemite Damper」は、食べ応え抜群のバーベキューやキャンプに欠かせないブレッドだけあり、多くの人々が舌鼓を打っていた。また、優しい味わいでホッとできる「Crocodile, Corn and Saltbush Soup」なども。ワニ肉も魚の白身のような柔らかさで、体に染み込む美味しさだった。
お腹を満たしたあとは、スーベニアショップへ。先ほどコアラ抱っこをしたエリアの近くとなっており、コアラグッズが満載。さまざまな表情をしたコアラのぬいぐるみや、日常使いしやすいバッグなども揃っている。
レインフォレステーション・ネイチャーパーク
所在地: Kennedy Highway.Kuranda, QLD
Webサイト: レインフォレステーション・ネイチャーパーク
ぶらり町歩きをしながらビレッジ内を散策。お気に入りのハンドメイド作品を手に入れよう
熱帯雨林を満喫したあとは、一路キュランダ村へ。そしてキュランダ駅から高原列車に乗り込みケアンズ駅までゆったりと帰ることに。出発までの間は、駅周辺に広がるマーケットや商店でお土産探しを。
ランチのあとなら「Kuranda Home Made Tropical Fruit Ice Cream」。クリフ氏が営む手作りアイス専門バンで、その陽気さとアイスクリームの美味しさで常に行列ができている。イチオシの「Macadamia Nuts」と「Rum&Raisin」を「DOUBLE CONE」(7オーストラリアドル、約651円)で購入。ラムレーズン味はかなりお酒が効いているので、購入前に運転をしないかどうかをしっかり確かめてくれる。マカダミアナッツ味は地元産のマカダミアナッツをふんだんに使い食感をプラス。さっぱりしているので2スクープでもサクッと味わえる。
Kuranda Home Made Tropical Fruit Ice Cream
所在地: Therwine St, Kuranda, QLD
Webサイト: Kuranda Home Made Tropical Fruit Ice Cream
続いては柔らか食感のキャンディが購入できる「Stillwater Sweets」へ。自然派ソフトキャンディとして話題となっており、地元産のサトウキビやフルーツを使ったキャンディは、伸びもよく、味もしっかりで時間をかけて1粒1粒が味わえる。フレーバーもチェリーやグレープ、バナナなど豊富。マンゴー、ストロベリー、パイナップル、ライムがミックスされた「Tropical Fruit Mix」(3.95オーストラリアドル、約367円)が一番人気。10袋で2袋おまけ付きのボックス(39.5オーストラリアドル、約3674円)も用意している。
Stillwater Sweets
所在地: 17 Therwine St, Kuranda, QLD
Webサイト: Stillwater Sweets
キュランダ村は、ほかにもアーティストや工芸家がマーケットを開き栄えたことに関係し、さまざまなショップがギュッと凝縮されている。裏路地を入るとウォールアートがいたるところに描いてあったり、先住民のアーティストが作品を作っているところを見られたりなど見どころがあり、「Honey House Kuranda」では、実際にミツバチたちが働いているところを目にすることができる。
静かな時間が流れ、ぶらり町歩きができるエリアだと言えるだろう。情報を手に入れたい場合はインフォメーションセンターへ。笑顔でキュランダのことを教えてくれる。
キュランダからケアンズまで約90分。歴史と自然を感じながら列車旅
キュランダからケアンズまでは列車移動。その際に利用したのが「キュランダ観光鉄道」だ。1891年に開通した約37kmの鉄道で、海側と山側の金鉱を結ぶ鉱山産業と物資輸送のために作られたのが始まり。約5年の歳月をかけてトンネル15カ所、橋55カ所、カーブ98カ所と多くの困難に立ち向かいながら完成した、開拓者精神や技術などを賛える証になっている。現在は観光鉄道になっており、ノスタルジー感あふれる列車に揺られながら絶景を楽しめる。
出発時間は、キュランダ駅発ケアンズ駅行きが15時30分。駅に到着して驚いたのはその風情ある佇まい。1915年に建てられた駅舎のまわりにはガーデンが広がっており、とても落ち着く空間となっていた。プラットホームの列車も美しく、レッドやグリーンのカラーリングでレトロ感たっぷり。
今回は豪華に片道の「GOLD CLASS」(99オーストラリアドル、約9207円、子供74オーストラリアドル、約6882円)を選択。「GOLD CLASS」は一味違うワンランク上の列車旅が味わえるクラスで、専属のスタッフが常駐。ドリンクやアペタイザーなどのサービスが付いている。
特別仕様車の外観は深いグリーンで落ち着きのある佇まい。ゴールドのロゴも美しい。車内は木調でビロードを各所にあしらい、ビクトリア調の内装となっている。さらに窓からの景色が見やすいシート配列で思う存分旅が楽しめる工夫も。
なお、「HERITAGE CLASS」(大人50オーストラリアドル、約4650円、子供25オーストラリアドル、約2325円)も用意している。ファミリー価格もあるので家族全員でワイワイ楽しむことも。
駅舎にはカフェ「KURANDA RAILWAY TEA ROOMS」も併設。キュランダ産のスイーツやコーヒーなどが手に入り、ちょっとしたブレイクも。ロゴ入りグッズなども販売しているので出発前に覗いて見るのもよいだろう。
駅舎を散歩しているとあっという間に出発時間に。汽笛がプラットフォームに鳴り響き乗り列車の旅が始まった。まずは、GOLD CLASSならではのウェルカムドリンクで出発をお祝い。地ビールや4つ星の地元ワイナリーのワイン、さらにコーヒーや紅茶もアサートン高原やデインツリー産で、車内にいながらさまざまなローカルの味が楽しめる。
また、アペタイザーも同じく、まさにローカル。アサートン高原で収穫されたマカダミアナッツ。そして地元産チーズ盛り合わせには、チェダーチーズに、マカダミアナッツ入りチーズ、そしてオニオンなどを隠し味にしたソフトチーズなどバラエティ豊か。さらにディップはバジルとドライトマトの相性が最高で、そのままでも、クラッカーにつけても抜群の美味しさ。
そして、デザートはアサートン高原で採れたマンゴーを贅沢に使用した1品。アペタイザーにドリンク、そしてデザートまで本当のオーストラリアの味が堪能できる時間となっている。
なお、ウェルカムドリンクが配られたタイミングで最初のステーションである「BARRON FALLS STATION」に到着。雨がまだ少なく水量もなかったが、そのダイナミックさに感動。すさまじい岩肌と流れをしばし眺めていた。約15分間の停車で、発車前には汽笛が1回鳴り、“間もなく出発”の合図が。2回目が鳴ると出発する。
なお車内では解説アナウンスが流れ、かつ車窓からも看板が見えるので、各スポットを見逃すことも皆無。スピードも比較的ゆったりで、急いでカメラを構えることもないのがうれしい。約21mの「ROBBS MONUMENT」を過ぎ、さらに進むと「STONY CREEK」の看板が。そして「STONY CREEK FALLS BRIDGE」に。ここは川底から26.5mの場所に架けられた鉄橋で、フェニックスとして知られる鉄製の格子状の骨組みが使用されている。当時の土木作業の大変さと技術力を感じる場所であるとともに、サイドに流れ落ちる滝も見もの。約80mものカーブを曲がりながら見えるダイナミックな景色は必ず写真に収めたい瞬間だ。
サンゴ礁の広がる海とグリーン島を見つつ、続いてキュランダ観光鉄道の列車全景を見ることのできる「JUNGARA」に。180度のカーブでは2002年にアーティストのジョージ・ライリー氏により車体に描かれた「Buda-dji」の伝説を物語る巨大な蛇も見ることができる。これは先住民の思想「ドリームタイム」に関係しており、ニシキヘビはバロン川と水が流れ込む高原一帯の小川から生まれたとされている。しかしバードマンにより殺され、刻まれた体が高原や海岸線の土地にばらまかれたという。そのためヘビの部位が周辺の土地の名前になっているのだ。
そしてあっという間に「FRESHWATER STATION」に停車し、終点のケアンズ駅に定刻どおり17時25分に到着。世界遺産の熱帯雨林にバロン渓谷、山側からのサンゴ礁、そして町並みと太古の時代から開拓時代を経て、現代に旅をしてきたような感覚に。また、絵ハガキやピンバッジのプレゼントなども用意され、ちょっと贅沢な旅が堪能できるなど至れり尽くせり。1日2往復しているので時間をかけてキュランダ~ケアンズ間の移動を楽しみたいときにぴったりだ。
キュランダ観光鉄道
Webサイト: キュランダ観光鉄道
オーストラリアの始まりが学べるジャプカイで文化と歴史を知る
キュランダまで足を運ぶのならば、ぜひ訪れたいのが「Tjapukai Aboriginal Cultural Park」だ。4万年以上にも渡るオーストラリア先住民族の歴史を学ぶことができるセンターで、1987年にキュランダにて文化と伝統を共有する場所として誕生。当初は文化とダンスを取り入れた1時間の演劇を行なっていた。
1996年に現在の「スカイレール」のスミスフィールド駅の隣に移転し、ケアンズからのアクセスがさらに便利に。25エーカーの敷地内では、ディジュリドゥー体験やブッシュ・フードと呼ばれる伝統的な食材について学習したり、その文化や生活を知ることができる。今回参加したのは「NIGHT FIRE by TJAPUKAI」(大人123オーストラリアドル、約1万1439円、子供75オーストラリアドル、約6975円)。毎日19時から開催されるプログラムとなっており、フェイスペインティング体験やファイヤーセレモニーへの参加。シアターでの演劇鑑賞。さらにディナー、ダンスショーなどが楽しめる。
ウェルカムドリンク片手に過ごしていると松明を持ったジャプカイ族のダンサーたちが登場。「Lakeside Fire Ceremony」が行なわれるエリアへ向かうと「ビブラ」と呼ばれる楽器が手渡される。儀式の前にはフェイスペインティングも。ジャプカイ族は「ウェット」と「ドライ」の2グループに分かれているためウェットは白と黒、ドライはイエローとレッドに分かれたペインティングが興味深い。
そして「ビリーワーイー」(火おこし棒を擦れ)と「ビリージャネイ」(火よ空高く立ち上がれ)を一緒に歌うと儀式が開始。参加者から3名指名され、火おこし棒を使って一緒に火を起こすことに。参加者だけではなかなか火種ができないため、もちろんダンサーたちもお手伝い。歌いながら、そして「ビブラ」を鳴らして全員で儀式を盛り上げると火種が生まれ大きな炎になっていく。
何もないところから生まれた火と炎に感動していると続いてはシアターに移動し、ジャプカイ族の物語を鑑賞。プロジェクション・マッピングを使った演者と映像の融合はダイナミックで、ストーリーに引き込まれる。ここでは先ほどの「ウェット」と「ドライ」についての解説も。また、一人一人が特定の動物や自然を崇拝する「トーテム」にも言及する。
約30分間のショーは、ジャプカイ族が大事にするもの、文化、成り立ちなどが凝縮した内容となっており、さらに彼らのことが知りたいと探究心も生み出してくれる。文化の理解を後押しし、さらなる興味も湧いてくる演目と言えるだろう。撮影は禁止なのでしっかり目に焼き付けておこう。
ちょうどお腹がすいてきたころにディナータイムに。ビュッフェ形式となっており、カンガルーやワニをはじめオーストラリアならではの肉料理を、ブッシュ・フードを使ったソースで味わえる。クロコダイルは軟骨のようにコリコリした食感に仕上げてあり、クセがなくタンパクな味わい。
「Aniseed Myrtle Kangaroo」は柔らかく仕上げてありマスタードを付けて頬張ると独特の風味と合わさりベストマッチ。貴重なアニシードマートルも使用されている。地元産のシーフードなどもたっぷり用意されているので、がっつり味わえるのもうれしいところ。
なお、ディナーの終盤にはダンスショーも同時開催。ディジュリドゥの音色とともに木の葉に防蚊剤として樹脂を付けて体に塗る様子を表わした「モスキートダンス」。そして「カソワリー」「ブロルガ」「カンガルー」などの動物の仕草を表わした「動物のダンス」などを披露。まさにカンガルーそのもの仕草が披露され、その観察力に驚くほど。さらに全員参加で「飛べ! ブロルガ」を歌う場面も。こちらもステージに参加者が招待され一緒にダンスを踊るなどで大盛り上がり。なお、ステージのラストには楽器の説明や狩猟のときの使い方などの説明も。楽しいとともに文化についてもしっかりと知ることのできる時間が過ごせた。
なお、ディナーのあとは火を囲んでの「Fireside Farewell」の時間に。直接ジャプカイ族の方々と話ができる貴重な時間だ。写真撮影のあとにぜひ話してみよう。今回は、「トーテム」について質問したところ模様が川の流れを表わしていることや、フェイスペインティング部分で自身の「トーテム」をアレンジしていることなどを教えてくれた。また儀式などの際にアートを施すこと、デザインとカラーを祖先からもらうことなどをたっぷり時間をかけて聞くことができた。
さらにジャプカイの3名のアーティストにより制作された「Heart of My People」も特別に鑑賞ができた。作品に描かれた中央の円がキュランダであり、集まる人々が表現されていること、バロン滝が上から流れ、上下はドライとウェット、そしてそれぞれの植物・動物が描かれているなどを丁寧に解説してもらえた。昼間に訪れたキュランダとジャプカイ族との関わりが実感できる時間を過ごせ、大充実のひと時だった。
なお、プログラム終了後に立ち寄りたいのが併設されたスーベニアショップ。すべての製品にはアーティストの説明文が付属しており、よりアートが身近になる工夫も。ディジュリドゥにブーメランから、食器にペンケースまで美しい模様が描かれているものばかりで、時間を忘れて選んでしまう。
ケアンズ市内のショップのどこよりも豊富な品揃えのため、気に入ったものがあれば即購入しておこう。
Tjapukai Aboriginal Cultural Park
所在地: 4 Skyrail Drive, Smithfield, QLD
Webサイト: Tjapukai Aboriginal Cultural Park
ケアンズ国際空港から直行便で帰国。空からサンゴ礁を眺めながら約7時間半
ケアンズ国際空港からの帰国は、12時15分ケアンズ発、18時45分成田着のジェットスターJQ25便。機体は行きと同様のボーイング 787-8型機となっている。カウンターは3時間前からオープンしているが、10時過ぎに到着した時点でチェックインカウンターが混雑しており、早めに空港に向かうのがよい。約1時間弱並び手続きを済ませ、保安検査と出国審査を終えると11時30分。あっという間に機内へ入る時間となっていた。
機内に乗り込むと、すぐに出発の準備に。12時41分に出発し、機体が安定したころに外を見ると、数日前に訪れたグレートバリアリーフが真下に。美しい景色を眺めていると雲が出てきてしまったため、そのまま一眠りすることに。行きと同様に「Comfort Pack」(20オーストラリアドル、約1860円)を事前予約をしており、ブランケットと同時に配布。セットには耳栓、靴下、ネッククピローにアイマスク、そして歯ブラシが入っている。
ミール類も事前予約済み。ファーストミールは「Classic Chicken Parma served with oven baked wedges」を選択。サクッとした肉厚キチンにチーズとトマトソースがオン。ポテトも添えられており、お酒のつまみとしてもよい。セカンドミールは「MINI PASTRY DUO」でミニクロワッサンとパン・オ・ショコラのセット。
食後、すぐに着陸態勢に入る時間となり、あっという間に成田国際空港第3ターミナルに到着。行き同様に体が疲れる印象もなく、とても快適に移動ができた。
グレートバリアリーフ、そしてキュランダの熱帯雨林と世界遺産を2カ所巡り、さらに根付く文化や暮らす動植物たち。さらにオーストラリアならではの食も存分に味わえた今回の旅。のんびり、ゆったり自然と一緒に過ごすことが心にも体にもよいと実感した数日間だった。
直行便を使えば7時間半で訪れることができる日本から一番近いオーストラリア・ケアンズで、見たことのない絶景や初めて味わう食材と出会ってみてはいかがだろう。きっと、人生観が変わるほどの体験がサンゴ礁や熱帯雨林で待っているはずだ。