旅レポ
夏期増便のフィンエアーで行く! ヘルシンキとタンペレを巡るアート&グルメ旅(その1)
エアバス A350-900型機のビジネスクラスは北欧デザイン満載のキャビンとこだわりメニュー
2017年7月15日 00:00
フィンエアーが6月5日から10月28日まで成田~ヘルシンキ線を週4便増便し、エアバス A350-900(A350 XWB:エクストラ・ワイド・ボディ)型機で運航を開始した。2017年夏季のスケジュールで最大で週28便(JALとのコードシェア便を含めると35便)となり、より気軽にフィンランドへと足を運ぶことができる。日本から最も近いヨーロッパとして、約9時間30分で到着し、訪れた人々の心をグッと引き付けるフィンランド。ストレスフリーで旅の始まりをお祝いできるビジネスクラスを今回体験することができたので、その様子をレポートする。
北欧デザインたっぷりの幅広シートで座った瞬間フィンランド気分
今回搭乗したのはAY072便。9時50分出発で、現地時間13時50分の到着だ。AY072便の機材はA350-900型機で、「A350 XWB」の呼び名を持ち、広々とした座席とキャビンが特徴。
まずは出発36時間前にWebチェックインを済ませて、当日ビジネスクラスのカウンターへ。荷物を預ける際に「PRIORITY」のタグが付けられ、到着先での荷物の受け取りがスムーズに。次に「PRIORITY LANE」より手荷物検査場へ向かい、出国手続きを済ませラウンジへ。フィンエアーを成田国際空港で利用する場合はカンタス航空のラウンジが使用できる。この日のラウンジのオープンは8時30分。搭乗開始が9時10分。出発予定の92番ゲートにもほど近く、ギリギリまでくつろぎながら駐機場を眺めつつ、ゆったりした気分で旅のスタートを切れた。
A350-900型機に足を踏み入れると、フィンランドのデザイン事務所dSign Vertti Kivi&Co.が手がけたホワイト、ブルー、シルバー、グレーで構成された北欧スタイルの明るい内装が乗客を迎えてくれる。
ビジネスクラスの場合、フルフラットシートを完備しており、ベッドのような形に座席が変形して寝返りもラクラク、快適な眠りを約束してくれる。1-2-1の4アブレストで、全席通路側の46席。シートの上には、1人1スペースずつオーバーヘッドコンパートメントがあり、大きめの荷物でも安心。また、足元にも手持ちのカバンを入れる大きめのスペースがあり、手荷物置き場として重宝する。
フルフラットシートやリクライニングを利用にする際は、座席側面の操作用ボタンをプッシュ。押している間だけゆっくりと椅子が動いていき、微調整も可能。自分が一番楽な姿勢を探してみよう。
枕やブランケットのテキスタイルには、北欧デザインの代表格「マリメッコ」とコラボレーションした「Marimekko for Finnairコレクション」を採用。フィンランドの湖や深い森などの景色を彷彿とさせるブルーやグリーンが使われ、席に着いた途端一気にフィンランド気分になれる。スリッパはブルーのドットが愛らしい「Kivet(キヴェット)」柄。
Marimekko for Finnairアメニティキットのポーチは現在5種類の柄を用意。ブルーのドットが愛らしい石の意味を持つ「Kivet」と、“これぞマリメッコ”なケシの花弁が描かれた「Unikko(ウニッコ)」。男性にもうれしいシックなグレーを基調とした波柄の「Silkkikuikka(シルッキクイッカ)」と、その色違いのグリーンとホワイト、そしてグレーとホワイトを基調としたカモメを意味する「Lokki(ロッキ)」。柄は選べないため、搭乗した際にちょっとしたワクワク感も味わえる。
ポーチには、旅にうれしいフランス発の人気ブランド「ロクシタン」のシアバターを使ったリップバームと保湿クリームがイン。耳栓に歯ブラシキットとアイマスクも同梱。海外の場合、宿泊先に歯ブラシがないことが多いので、滞在先でも重宝すること間違いなし。
16インチモニターにマイ電源&USBポートで極上リラックスタイム&ガッツリ仕事モードと自由自在
ビジネスクラスのシートモニターは16インチ。使用しない場合は収納することができる。タッチパネル式だが、座席の側面にワイヤードリモコンも用意。「Nordic Skyエンターテイメント」のホーム画面では、機内食までの時間や消灯時間を逐次確認でき、洋画なら最新作の「美女と野獣」や「LOGAN/ローガン」などの視聴が可能。キッズ向けのフィンランドの豆知識を教えてくれるプログラム「LAKES」や「FORESTS」も興味深かった。日本語字幕はないが、ほぼ日本語吹き替えに対応しているので問題は特に感じない。また、音楽ではフィンエアーが就航している国々の音楽や、「北欧の旅」など風土を感じる諸国のヒット曲が楽しめる。
シート周辺には、USBポートが1つと110V/60Hzのユニバーサルコンセントを設置。イヤホンジャックとモニター用のリモコンも並んでいる。スマホを充電しながらの電源を使ったPC利用も問題ない。その横には読書灯、下にはシートをリクライニングしたり、フルフラットにしたりするための一連のボタンと操作バネルが。1カ所に必要なものがぎゅっと凝縮されている。なお、この裏にはちょっとしたスペースがあり、席の装備の1つであるボーズのノイズキャンセリングヘッドホンなどを掛けておくことができる。パネル下には折りたたみ式のテーブルが収納されており、2段階式で開く。
なお、通路側にはアームレストがあるが、こちらは伸縮自在。トイレに立つときは収納し、就寝したいときは転落防止のために立ち上げるなど、パーソナルスペースの確保に重宝する。開くと小物入れになっているので、ポーチやスリッパを始めすぐ使うものを入れておこう。
また、「Nordic Sky Wi-Fiポータル」を利用してネット利用も可能。ビジネスクラスの場合は1時間無料で使えて、その後は1時間7.95ユーロ(約1040円、1ユーロ=約130円換算)、3時間11.95ユーロ(約1560円)、フライト中常時接続の場合は19.95ユーロ(約2600円)の料金となっている。なお、上りと下りの速度を計測してみたところアップロードが2.18Mbps、ダウンロードは3.65Mbpsの値が出た。ちょっとした調べものなら問題のないレベル。SNSへのアップロードは少々時間がかかっていた。なお、利用は離陸から20分後となっており、使用できるタイミングでモニターにお知らせが表示される。
なお、ビジネスクラスのラバトリーは、ブルーとホワイトを基調とした清潔感あふれる雰囲気。アメニティも複数用意され、「DERMOSIL」のフェイシャルマスクや化粧落としなどがあるので、就寝前に使ってみるのをオススメする。
アルコールと一緒に楽しみたいメニューからがっつり&適量メニューまで、極上のサービスで空の旅をサポート
フライト中の最大のお楽しみといえばやはり機内食。メニューとワインのメニューは座席にまとめて設置してあるため、事前にじっくりと選ぶことができる。特にフィンエアーのワインはイギリス・ビジネストラベラー誌の行なったエアライン・ワインコンテストで「Best Wine Cellar in the Sky」を始め数々の賞を受賞しており、その美味しさとラインアップのよさは保証付き。
ビジネスクラスの場合は、着席するとまずはウェルカムドリンクの提供がスタート。シャンパン、ミネラルウォーター、ベリージュースなどから選択し、出発までの間をゆったり過ごすことができる。
離陸後にアミューズブッシュとして「生ハムとチェダーチーズのピンチョス」がテーブルに。濃厚なチーズの旨味と生ハム、そして甘めで程よい酸味のトマトがベストマッチ。アルコールが欲しくなる1品だ。ドリンクやアミューズブッシュの器はイッタラの「ウルティマツーレ」を使用。氷が融ける様子からインスピレーションを受け、デザイナーのタピオ・ヴィルカラが当初フィンエアーのためにデザインし、人気ラインとなった歴史あるデザインだ。
まったりと過ごしていると続いてランチの時間に。前菜は「ローストビーフとスモークサーモン、ポテトサラダときゅうりのマリネ」、または「カリフラワーのスープ、パセリ添え」の2種類。今回は「ローストビーフとスモークサーモン、ポテトサラダときゅうりのマリネ」を選んでみた。ローストビーフのしっかりとした旨味が口いっぱいに広がり、スモークサーモンには、レモン汁をぎゅっと絞ってからポテトサラダを包んで味わうと至福の美味しさ。
「カリフラワーのスープ、パセリ添え」は、マリメッコデザインのカップ入り。こっくりとした味わいで、量もちょうどよいため女性向きだとも感じた。
続くメイン料理は「グリーンランド産オヒョウの唐揚げ野菜餡 里芋の煮物 のり玉の俵ご飯」「オレッキエッテパスタ バジルクリームソース お野菜のグリル」「豚肉の胡麻ソース 野菜の煮物 ごまの俵ご飯」の3種。
味わったのは「グリーンランド産オヒョウの唐揚げ野菜餡 里芋の煮物 のり玉の俵ご飯」。ホロリと柔らかなオヒョウの白身に旨味たっぷりの野菜餡でさっぱりとした味わい。今回はおすすめされた「VILLA MARIA PRIVATE BIN MARLBOROUGH RIESLING 2015」と一緒に味わってみた。
「オレッキエッテパスタ バジルクリームソース お野菜のグリル」は耳型のオレッキエッテパスタにバジルのクリームソースが絡み、チーズもたっぷり。「豚肉の胡麻ソース 野菜の煮物 ごまの俵ご飯」はこってり濃厚な味わいとなっておりガッツリ食べたい人向けだ。
そして、デザートは3種類のチーズ盛り合わせの「チーズ カマンベール スティルトン、コンテ」。ドライフルーツとナッツも添えてある。フィンエアー限定のアルコールドリンクとして、北欧の自然からインスパイアされて生まれた、ベリーが浮かぶ「BLUE SKY」もオーダー。なお、「ハーゲンダッツアイスクリーム」はバニラ、抹茶、ラムレーズンのいずれかから、そして「プティフール」ではチョコレートケーキやフィンランドの老舗チョコレートメーカー「Fazer」のミルクチョコレート、ミントチョコレートも選ぶことができる。シルッキクイッカ柄のマリメッコのカップで紅茶またはコーヒーも味わえる。
1回目の食事が終了し、しばらくすると照明が落とされグッと落ち着いた雰囲気に。実は、A350-900型機にはフルカラーLEDが搭載され、頭上を見上げると機内でオーロラのような演出が楽しめるのだ。1600万種類以上の色を駆使した24種類のパターンがあり、「食事中」や「北欧」などのイメージでキャビンを照らしてくれる。就寝明けの起床時間には、ゆっくりと空が明るくなってくるような演出もあり、爽やかに起きることができた。食事の準備が始まるとオレンジ色になり、しばらく乗っていると今どの時間帯なのかが色で分かるようになるのも面白かった。
湿度管理や空気の清浄も徹底しており、2~3分に一度のペースで新鮮な空気になるため、独特の閉塞感や食事後の香りもなくかなり快適。静音性も向上しており、ノイズキャンセリングヘッドフォンを装着しなくともぐっすり眠ることができた。
なお、消灯後、少し落ち着いたころにビジネスクラス向けのバーカウンターを利用してみた。カウンターには、ベリージュースやウーロン茶を始めとするドリンク、スナックとしてローストコーンやポテトチップス、プレッツェルやドライフルーツなどを用意。チョコレート「Karl Fazer 70% COCOA」やカップ麺などもあり小腹が空いた時に重宝した。
消灯時間を利用してCA(客室乗務員)の岸本氏にフィンエアーの魅力について話を聞いてみた。「A350-900型機は機内の天井が高く、シートが低くなり開放感が上がりました。そのため客室乗務員からお客さまと目を合わせやすくなり、機内サービスで意思疎通が今まで以上にしやすくなったと感じています。また、機内の空気が2~3分ごとに循環していることでお客さま自身も体調管理がしやすくなったのではないでしょうか。
食事やドリンクに関しては、ビジネスクラスをご利用でしたら『NAPUE 48』を使ったアルコールドリンクがお勧めです。ウォッカに近くアルコール度数も高めですが、ベリーを浮かべとても飲みやすく仕上げています。機内販売でも購入でき、手作りのボトルにキャップが木で作られているなど、味とともにこだわりがたっぷり詰まっています。
帰国便では、フィンランド産のスペシャルなチーズやオーガニックアイスのJymyが味わえます。ビジネスクラス、エコノミークラスともにJymyを提供していますのでお楽しみください」とのこと。
最後にこの時期の、フィンランド旅の楽しみ方を聞いてみたところ「お勧めスポットは夏場ならばマーケットスクエアです。ベイサイドエリアに出店が並びフレッシュベリーや地元のキノコなど美味しいものが揃っています。世界遺産のスオメンリンナ島も高低差が少なく、カフェが充実しているのでぜひ足を運んでいただけたら」と話してくれた。
就寝時間が終わり、到着90分前に軽食の提供がスタート。今回は「お弁当」は和風献立の盛り合わせ(白和え、豆のサラダ、卵焼き、蒲鉾、煮物、ほうれん草のお浸し、鳥のそぼろご飯)と味噌汁のセット。かなりのボリュームがあり、ほろほろの味染み鶏そぼろと錦糸卵で彩鮮やか。野菜の旨味がじんわり染みる味噌汁と一緒にいただこう。
一方、「トーストサンドイッチ」は熱々のハムチーズのホットサンドで、寝起きでも完食できる程よい量だ。ブルーの皿とマリメッコのカップでSNS映えする。ジューシーな食べごろフルーツを味わい終わると、まもなく着陸態勢に入る時間になっていた。
エコノミーコンフォートやエコノミークラスもチェック、快適なフライトを楽しむための工夫がたっぷり
ちなみに、出発前に「エコノミーコンフォート」と「エコノミークラス」も見学できた。「エコノミーコンフォート」は前列5列目までで、3-3-3の9アブレストの43席。座席間隔は約86~91cmと広め。通常のエコノミークラスの座席に比べ足元が8~13cm広く、目視でもそのゆったりさは一目瞭然。11インチのタッチパネルモニターを設置、その下に機内誌などを収納している。USBポートもあり、フライト中の充電も可。なお、Marimekko for Finnairアメニティキットがプレゼントされ、ソックスや耳栓、アイマスク、歯ブラシセットがイン。Marimekko for Finnairの枕とブランケットも用意。さらにノイズキャンセリングヘッドフォンの使用が可能だ。優先搭乗&降機が利用できる。
「エコノミークラス」は3-3-3の9アブレストで208席。座席間隔が約78cm。Marimekko for Finnairコレクションの枕とブランケットが用意されている。モニターは11インチでタッチパネル式。USBポートを備えている。ヘッドホンは通常のもの。
定刻どおりにヘルシンキ・ヴァンター国際空港に到着。9時間半たっぷりビジネスクラスを堪能したが、あっという間に着いたという感想がまずは最初に来る。また長時間フライトながらほぼ疲れを感じていないことも驚きだった。食事やアルコール、スナックなどでくつろぎながら、フルフラットシートで2時間ほど就寝、少ない眠りでもまるで自宅のような寝心地で一気に熟睡ができたことが疲れ知らずの理由だろう。
6月5日より増便した9時50分発、13時50分着の便だからこそ、昼過ぎに到着しても初日からアクティブに市内観光や美術館巡りで余裕を持って移動できる。高緯度で日が沈むのが遅いというのも行動に拍車をかけてくれる。実際に街歩きなどを行った様子は、次回レポートする。