旅レポ

タイで初めての王朝が開かれた古都・スコータイの旅(その4)

コテージからリゾート風までバリエーション豊かなスコータイのホテル

 タイ北部の新たな観光地候補「スコータイ」。タイ国政府観光庁が実施した視察ツアーレポートは、これまでにスコータイやシーサッチャナライの歴史公園などの見どころを紹介してきた。ただ、聞き慣れない土地へ旅をするとき、気になるのは宿泊先だ。今回のツアーでは、スコータイ近郊にあるいくつかのホテルを視察することができたので、今回はそれらを紹介したい。

 有名な観光地なら情報も豊富で、日本でも情報誌や口コミなど参考になるものがあるし、都市によってはグローバル展開する有名ブランド系列のホテルもあるのでホテル選びの苦労は少ない。しかし、情報が少ない地方都市などはホテルそのものが少なかったり、どのようなホテルかの情報が少なかったりすることが不安要素となる。

 ただ、スコータイもさすがに世界遺産がある都市だけあってホテルは充実している。第1回目の記事でスコータイ空港近くの「Sukhothai Heritage Resort(スコータイ・ヘリテージ・リゾート)」を紹介したが、そのほかにもリゾート風ホテルからコテージタイプまでバリエーションが揃っている。

Ananda Museum Gallery Hotel

「Ananda Museum Gallery Hotel(アナンダ・ミュージアム・ギャラリー・ホテル)」は、第2回目で紹介した「Sangkhalok Museum(サンカローク博物館)」に隣接したホテルで部屋数は33室。「スタンダード」「スーペリア」「デラックス」「アナンダスイート」の4タイプの部屋を持つ。

 どの部屋も木材を多用した落ち着きのある室内で、洗面台には陶磁器を利用。リゾートに来た雰囲気を味わえる。ホテル内は2階吹き抜けの通路に部屋が並んでおり、風通しのよさも魅力だ。

 料金(Tariff Rate、2016年7月現在)はスタンダード2600バーツ(約7800円、1バーツ=約3円換算)、スーペリア3000バーツ(約9000円)、デラックス3300バーツ(約9900円)、アナンダスイート9600バーツ(約2万8800円)。スコータイ空港からは900バーツ(約2700円)で送迎を依頼できる。

Ananda Museum Gallery Hotel

所在地:10 Moo4 Banlum Sukhothai 64000, Thailand
TEL:+66(55)622-428-30
Webサイト:Ananda Museum Gallery Hotel(英文)

「Ananda Museum Gallery Hotel(アナンダ・ミュージアム・ギャラリー・ホテル)」
エントランス
レセプション
吹き抜けの1階通路
屋内は2階吹き抜けの構造
スタンダードルーム
スーペリアルーム。バルコニーを備えるのがスタンダードとの顕著な違い
デラックスルーム。デラックス以上の部屋にはバスタブを備えている
アナンダスイート
アナンダスイート。ベッドルームが2つあるほか、ダイニングや簡易キッチンを備える
ホテルのレストランで軽食をいただいた。宿泊客向けの朝食は200バーツ(約600円)

Ruean Thai Hotel

「Ruean Thai Hotel(ルエン タイ ホテル)」は、スコータイ新市街中心部にあるホテルで、歩いてすぐのJarodvithi Thong通りには食事処やショップも建ち並ぶ利便性のよい立地のホテル。部屋数は28室で、中央のプールを取り囲むようにして部屋が並ぶ。

 部屋のタイプは「スタンダード」「スーペリア」「トリプル」「デラックス」「ファミリー」の5タイプで、スタンダード、スーペリアにはダブルベッドとツインベッドの部屋が用意されている。料金(7月現在、朝食込み)は、順に、1480バーツ(約4440円)、2180バーツ(約6540円)、2680バーツ(約8040円)、3680バーツ(約1万1040円)、4200バーツ(約1万2600円)。

 中央のプールが涼しげで雰囲気がよいほか、客室の調度品もアンティークで味があるもの。おそらくオーナーの趣味ではないかと思うのだが、ホテルのロビーやマッサージルームにも、ニューヨークのグランド・セントラル駅のマーキングの入ったアナログ時計など骨董品であふれているのも印象的だ。

 マッサージは1時間半の標準的なマッサージが380バーツ(約1140円)、オイルマッサージが800バーツ(約2400円)。いずれも別途チップが必要になる。

Ruean Thai Hotel

所在地:181/20 Soi Pracharuammit Jarodwithithong Rd. Thanee Muang Sukhothai Chang Wat Sukhothai 64000, Thailand
TEL:+66(55)612-444
Webサイト:Ruean Thai Hotel(英文)

「Ruean Thai Hotel(ルエン タイ ホテル)」
中央の階段から左右に分かれて部屋が配置されている
タイ北部の伝統工芸品である木の皮を使った金魚
ホテル中央のプール
ツインベッドのスタンダードルーム
ダブルベッドのスタンダードルーム
ダブルベッドのスーペリアルーム
デラックスルーム
ファミリールーム
マッサージルーム。380バーツ(約900円)から
自転車は宿泊客には無料貸し出ししている
おそらくオーナーの趣味と思われるアンティークな品々が飾られる
この日の昼食は、同ホテルのレストランで宮廷料理の流れを汲むタイ料理をいただいた

Lotus Village

「Lotus Village(ロータス・ヴィレッジ)」はいわゆるブティックタイプに分類されているホテルで、フランス人とタイ人の夫婦が経営しているという。“緑にあふれたホテル”という形容にふさわしいホテルで、ちょっとした湿原のなかに複数のコテージが建っている風体。1つの建屋を丸ごと借りる部屋もある。

 緑に隠れているが、水上に建つコテージもある。熱帯のサバナ気候に属する地域だけに「蚊」が心配になるが、ボウフラを食べてくれる魚を飼っているので、意外にも蚊はほとんどいないそうで、むしろ、高床式の構造とすることで洪水への耐性を高めていることの方が重要だという。

 朝食は出るものの、レストランは併設されていない。とはいえ、先のRuean Thai Hotel同様に新市街の中心部にあるホテルで、Jarodvithi Thong通りまで徒歩で数分なので、飲食に困ることはないだろう。

 部屋の種類は、「スーペリア(エアコンなし)」「スーペリア(エアコン付き)」「スタンダードバンガロー」「ロータスバンガロー」「ファミリーハウス」の5タイプ。料金(7月現在)は順に950バーツ(約2850円)、1400バーツ(約4200円)、1200バーツ(約2400円)、1600バーツ(約4800円)、2600バーツ(約7800円)。

 スーペリアルームは複数の部屋があるバンガローの1室を借りる格好となる。エアコンの有無があるが、スーペリア(エアコンなし)には天井にファンが付いており、人によってはこちらの方が好みの人もいるだろう。

 このほか、3泊4日でヨガやスパなどを体験できる「デトックスプログラム」や、タイ語講座など、独特のアクティビティを用意しているのも面白いホテルだ。

Lotus Village

所在地:170 Ratchathanee Street, Mueang Sukhothai District, Sukhothai, Thailand
TEL:+66(55)621-484
Webサイト:Lotus Village(英文)

「Lotus Village(ロータス・ヴィレッジ)」
緑に囲まれた通路の両脇にいくつかあるコテージが宿泊部屋
レセプション
ウェルカムボードもそうだが、随所にかわいらしいオブジェが飾られている
ウェルカムスイーツをいただいた。写真右のマンゴースムージーはウェルカム用のサイズで、この倍のサイズを60バーツ(約180円)で販売している
スーペリアルームのコテージ
1ベッド(ダブル)のスーペリアルーム
エアコンなしのスーペリアルームには、天井にファンが付いている(写真右)
こちらはエアコン付きのスーペリアルーム。レイアウトは同じ
スーペリアルームのシャワールーム
冷蔵庫も備え付け
ロータスバンガロー。通常のホテルでは“デラックス”ルームに相当するクラスの部屋
複数のベッドルームを持つ
開放的なスペースにソファやチェアが複数設置されており、くつろげるスペースが多い

The Legendha Sukhothai Resort

「The Legendha Sukhothai Resort(レジェンダ・スコータイ・リゾート)」は、これまでに紹介してきたホテルから少し離れて、スコータイ歴史公園、すなわち旧市街にほど近いエリアにあるホテルだ。スコータイ歴史公園まで徒歩で10~15分程度と、かなり近い。一方で、もっとも“リゾート感”や“タイらしさ”を感じられるホテルだと思う。

 敷地は広く、中央には広大なプールのほか、「Mae Ramphan」という川をまたぐ吊り橋もあって雰囲気を盛り上げてくれる。また、裏口を一歩出ると、「Wat Chang Lom」という無料で鑑賞できる世界遺産の寺院が目の前。施設にも立地にも恵まれている。エリア内の隅々まで凝った作りなので、部屋からの眺めがよいのも魅力だ。

 部屋も木材を多用したタイらしさを感じる作りの一方、高級感もある。部屋の種類は「スーペリア」「デラックス」のほか、2ベッドルームの「ヴィラ」がある。ヴィラは細かく分けると4部屋あり、2部屋ずつを組み合わせて一つの広い部屋として利用できる仕組みだ。標準料金は朝食付きでそれぞれ3900バーツ(約1万1700円)、4400バーツ(約1万3200円)、9600バーツ(約2万8800円)。直接予約でもディスカウントを行なっているので、FITでの利用も現実的だろう。

The Legendha Sukhothai Resort

所在地:214 Moo3, Muang kao (Old Town), Muang, Historical Park, Sukhothai, Thailand
TEL:+66(26)425-497
Webサイト:The Legendha Sukhothai Resort(英文)

「The Legendha Sukhothai Resort(レジェンダ・スコータイ・リゾート)」
レセプションの建物
レモングラスのウェルカムティー
ロビー
ホテルの敷地内を川が流れる
川を渡る吊り橋も
中央には大きなプール
デッキチェアとパラソルは備え付け
施設内の休憩スペースもリッチな感じ
The Legendha Sukhothai Resortの裏口を一歩出ると、世界遺産の「Wat Chang Lom」
スーペリアルーム
スーペリアルームの設備
ヴィラの建物
ヴィラはV1からV4まであり、V1とV2、V3とV4をつなげて、ベッドルーム2個の一部屋として使用できる
2部屋の中央部分のスペース
ヴィラの設備
マッサージルームのベッド
タイ式マッサージの有資格者が揃うマッサージルーム
レストラン
タイ風料理を味わえる。風通しのよい南国風の建物がいかにもタイらしい
結婚式を行なえる会場も。このカップルは模擬挙式のモデルさん
タイ風の会場で、タイ風の結婚式も思い出に残りそう?

Sukhothai Treasure Resort & Spa

 いよいよ本稿で紹介する最後のホテルとなる。それが「Sukhothai Treasure Resort & Spa(スコータイ・トレジャー・リゾート&スパ)」。今回の視察ツアーで宿泊したホテルである。2009年開業とのことで、“スコータイ風の内装”とはいうものの、これまでに紹介してきたホテルに比べると、グッと近代的な印象を受けるホテルだ。

 今回宿泊したのは「スーペリア」ルーム。36.5m2という数字の印象よりはかなり広い。ベッドルームは1人で使うには“余白が広すぎる”と感じる贅沢な作り。同ホテルでは一番安価なタイプの部屋だが、それでもバスタブとシャワールームが独立しており、日本人に好まれそうだ。

 また、今回は体験の時間を持てなかったが、施設名のとおりスパも提供。MICE需要も見込んで最大700m2のボールルームも備える。

 部屋のタイプは「スーペリア」「デラックス」「トレジャースイート」の3タイプ。料金はそれぞれ3600バーツ(約1万800円)、4800バーツ(約1万4400円)、1万2000バーツ(約3万6000円)と値が張るが、あくまでTariff Rate。やはりディスカウントもあるので、オフシーズンなどは日本円換算で数千円相当という値段も出ている。

 唯一気になったのは立地で、旧市街寄りではあるが、The Legendha Sukhothai Resortよりは歴史公園から離れている。なので、徒歩で行くとはちょっと厳しいのだが、ホテルが歴史公園のある旧市街まで無料でシャトルサービスを行なっているので、これを活用したい。また、周囲のお店も少なめだが、幸いにして目の前にジュースやお菓子などを売っている売店があったのはうれしかった。

Sukhothai Treasure Resort & Spa

所在地:18/2 Moo 4 Jarodwithithong Rd, T. Bankluay, Muang Sukhothai, Sukhothai, Thailand
TEL:+66(55)611-555
Webサイト:Sukhothai Treasure Resort & Spa(英文)

「Sukhothai Treasure Resort & Spa(スコータイ・トレジャー・リゾート&スパ)」
レセプション前のロータリーは開放的で、両脇にはスイレンが咲く池
目の前の道路をまっすぐ行けばスコータイ歴史公園。ちょうどホテルの向かいに売店がある
レセプションを抜けると、このホテルの広大さに気付く。両脇にレストランやバー、ボールルーム、そして客室が並ぶ
スーペリアルームのベッドルーム
備え付けのテレビやワーキングデスク、テーブルなど
テーブルとチェア
ワーキングデスク
その脇にACコンセントを2口備える。日本のAタイプが差し込めるが電圧が違うので注意
部屋に入ってすぐのところにミニバー。下の棚には冷蔵庫も備わっている
ミニバーの反対側にはクローゼット。奥にはバスルーム
スーペリアルームだが、バスタブとシャワールームが独立している
洗面台は小ぶりだがおしゃれな感じ
バスアメニティ

編集部:多和田新也