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香港ドラゴン航空、およそ12年半振りの広島~香港線定期便を8月16日より運航開始

広島空港はウォーターキャノンで歓迎

2015年8月16日 就航

 香港ドラゴン航空は8月16日、広島空港~香港国際空港線に就航した。同社にとって日本路線は羽田~香港、福岡~香港、那覇~香港に続く4路線目。親会社のキャセイパシフィック航空が国内の販売を担当し、コードシェア便も設定している。

 同社では1992年~2003年4月6日に同路線を運航していたが、SARS(重症急性呼吸器症候群)の影響により運休。そのまま再開されずにいたが、約12年半振りに路線を再開することになった。広島空港にとって香港路線の定期便は、2008年5月1日~8月末に、当時はフルサービスエアラインとして運営していた香港エクスプレス航空が運航して以来のこと。

 もっとも、この間も年末年始やゴールデンウィーク期間にはキャセイパシフィック航空または香港ドラゴン航空がチャーター便を飛ばしており、その搭乗率は概ね好調だったという。そうした実績も定期便就航にも繋がっているようだ。

 今回開設された広島~香港線は下記のとおり。運航は木曜日と日曜日の週2便で、香港発便は曜日によってダイヤが異なる。仕様機材はエアバス A321-200型機で、ビジネスクラス24席、エコノミークラス148席の計172席となる。

KA351(CX5351)
広島(19時00分)発~香港(21時45分)着
(木・日運航)
KA350(CX5350)
香港(13時10分)発~広島(17時45分)着
(木曜日運航)
KA350(CX5350)
香港(12時10分)発~広島(16時45分)着
(日曜日運航)

 初便運航日となった8月16日のKA350便は、香港からの167名の乗客を乗せ、16時35分に広島空港に着陸。ウォーターキャノン(放水アーチ)による歓迎を受けながら、定刻よりやや早い16時39分にゲートFにスポットインした。

 到着口では広島県による歓迎の横断幕が掲げられ、広島空港マスコットキャラクターの「ソラミィ」がお出迎え。香港ドラゴン航空職員や広島県の「ひろしま、宝しまレディ」により、到着客に記念品が渡された。

 ちなみに、到着客には広島県から宮島の「しゃもじ」とオタフクの「賀茂の銘水」。出発客には香港ドラゴン航空からネームタグと、ロゴがペイントされたアイシング付きのクッキーがプレゼントされた。

香港からの初便となるKA350便は16時35分に広島空港の10滑走路に着陸
ウォーターキャノンで出迎え
到着口では広島空港マスコットキャラクター「ソラミィ」や「ひろしま、宝しまレディ」、香港ドラゴン航空職員が出迎えて記念品をプレゼント
到着客に広島県からプレゼントされた宮島の「しゃもじ」と、オタフクの「賀茂の銘水」
出発客には香港ドラゴン航空から、ネームタグとアイシング付きクッキーをプレゼント

 広島空港ターミナルビル2階の国際線出発ロビーで就航記念式典会場が設けられた。3月30日(3月29日深夜)に行なわれた羽田~香港線就航記念式典でも登場した、同社の機体をモチーフにしたアートケーキも展示。今回は広島ということもあって「もみじ饅頭」や「ソラミィ」も飛行機に乗っている。

 そして、出発客がチェックインが行なわれるなかで、香港の獅子舞である「ライオンダンス」で式典がスタートした。

チェックインカウンター。地上業務はJAL(日本航空)が担当していた
香港ドラゴン航空の機体をモチーフにしたアートケーキ。飛行機にはソラミィやもみじ饅頭が乗っている
香港の獅子舞「ライオンダンス」。立ち上がったり、寝転がって回転したりと動きがダイナミック。子供の頭を噛むのは日本の獅子舞と同じだが、ソラミィに噛みつきにいく場面も
広島県副知事 高垣広徳氏

 式典で挨拶をした広島県副知事 高垣広徳氏は、「広島空港は、一昨年(2013年)、開港20年を迎えた。現在は国内線が5路線、国際線が4路線と、中・四国においては路線数、便数ともにナンバーワンで、名実ともに中・四国のグローバルゲートウェイになってきたところ。さらに3月には広島県内における高速道路網が完成した。中国やまなみ街道(中国横断自動車道 尾道松江線)、東広島呉道路が完成し、山陰地域や四国の北側の人にも使いやすい空港になっている」と広島空港の地位と利便性の高さをアピール。

 「そんななかで香港便が開設されたことは、我々としても期待が大きい。とりわけ、香港ドラゴン航空は、キャセイパシフィック航空は大きなネットワークを持った会社なので、単に香港だけでなく、そこから東南アジアやオーストラリア、ヨーロッパなどへの連結という意味からしても大変意味がある就航だと思っている。これから皆様方にとって、より使いやすい空港になっていくのではないかと我々も期待している。県としても、さらに路線の充実とサービスの向上に努め、皆様方に愛される空港として広島空港が発展することを願っている」と待望した。

キャセイパシフィック航空 セールス&マーケティング部門取締役 デーン・チェン氏

 続いて挨拶を行なったキャセイパシフィック航空 セールス&マーケティング部門取締役 デーン・チェン氏は、「香港ドラゴン航空はキャセイの100%子会社で、もっとも優れたリージョナルキャリア(中短距離路線運航会社)の1つで、キャセイパシフィック航空は日本に就航して50年以上が経つ。特に日本や香港のお客様は空の旅に高い期待を寄せているが、2015年、香港ドラゴン航空はSKYTRAXによるワールドベストリージョナルエアライン賞を受賞した。通算4度目となるが、同賞を4回受賞したのは世界の航空会社で香港ドラゴン航空だけで、大変名誉なことだと思っている。さらにアジアのベストリージョナルエアライン賞も受賞している。このような賞を受賞できたのも、お客様に最高の空の旅を提供することを目指し、地上でも空でも新しいプロダクトを開発するために、多額の投資を進めてきた現われだと思っている」とアピール。

 また、「この受賞は私達が世界一と自負している優れたサービス精神も大きく寄与している。そして、『Life Well Travelled』というブランドキャンペーンを開始した。充実した旅をすることは、よい人生のなかで重要な要素の1つと考えるというもの」とキャンペーンを紹介。広島便就航については、「我が社がさらに発展を続けるうえで重要な一歩となる。キャセイパシフィック航空のグループとしては7番目の都市となるので、さらに発展していきたい」と意気込みを見せた。

 広島、香港の両地について、「広島には2つの世界文化遺産をはじめとする素晴らしい観光地があり、広島風お好み焼きなどのご当地グルメもある。香港から広島へ来る機上で、機内誌の『Silkroad』を読んでいたら、「知られざる広島」と題した特集が掲載されており、サイクリングなどの魅力が伝えられていた。一方の香港は活気あるエキサイティングな街で、アジアだけでなく世界各地へのゲートウェイとしても利便性が高く、日本のお客様にとっても人気の高い旅行先の1つになっている。香港~広島の就航により、2つの素晴らしい街を結んで、さらにプロモーションを重ねていきたいと思う。そして、私達のホームベースである香港国際空港を経由して、さらに多くの人が世界中から広島に来ることを願っている」と、就航地である広島の魅力を伝えるとともに、香港ドラゴン航空就航による広島、香港両地の発展を期待した。

 このあと、広島から香港への初便となるKA351便の機長およびシニアパーサーに、「ひろしま、宝しまレディ」から花束を贈呈。続いて、国土交通省や広島空港関係者、香港政府観光局、キャセイパシフィック航空関係者といった来賓らによりくず玉開披を実施し、式典は終了した。

 式典後の囲み取材で、デーン・チェン氏は広島~香港線の搭乗率について「当初はインバウンドの方が多めとなるだろうが、インバウンド、アウトバウンドがバランスよくなるようにしていきたい」と展望を述べた。一方、広島県による香港線についてのプロモーション戦略について高垣副知事は「広島県、日本の魅力を伝えるプロモーションを、航空会社を通じて実施していきたい」とコメントした。

KA351便の機長とシニアパーサーに、「ひろしま、宝しまレディ」から花束を贈呈
来賓によるくす玉開披と記念撮影。来賓は挨拶を行なった2名と機長、シニアパーサーのほか、広島県 空港港湾部長 西尾保之氏、広島空港ビルディング株式会社 代表取締役社長 山本健一氏、キャセイパシフィック航空 日本支社長 クラレンス・タイ氏、香港政府観光局 日本局長 堀和典氏、国土交通省 大阪航空局 広島空港事務所 空港長 漆島重人氏が参列
広島~香港線就航を喜ぶ、(左から)キャセイパシフィック航空 大阪旅客営業支店 支店長兼西日本統括 重村長門氏、同 セールス&マーケティング部門取締役 デーン・チェン氏、同 日本支店長 クラレンス・タイ氏、同 日本支社 マーケティング部 部長 蓑口寿生氏

 折り返し便となるKA351の初便は、やや陽が暮れてきた19時01分にプッシュバックを開始。チェン氏の言葉どおり、香港からの到着客よりやや少ない127名の乗客とともに、香港国際空港へ向けて飛び立っていった。

ほぼ定刻どおりの19時01分にプッシュバックを開始
KA351便の初便が香港へ向け広島空港を飛び立っていった

(編集部:多和田新也)