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Airbnb Japan、新代表の中川晋太郎氏が成長戦略を語る。「エアビー」を日本の新たな旅の習慣・社会インフラへ

ガンバ大阪とのスポンサーシップも

2026年6月30日 実施
Airbnb Japan 代表取締役 中川晋太郎氏

 Airbnb Japanは6月30日、メディアおよびホストコミュニティ向けイベント「ユナイト」の開催に合わせて、今年2月に同社の代表取締役に就任した中川晋太郎氏によるメディアラウンドテーブルを開催した。

 中川氏は、グローバルでのビジネス概況を報告するとともに、日本市場における成長戦略を提示。今後は「日本国内の新規ユーザー獲得」を最重要テーマに掲げ、国内旅行におけるホームシェアリング(民泊)の定着と、地方への観光需要分散を目指す方針を明らかにした。

 また、その具体的な施策の第1弾として、Jリーグ「ガンバ大阪」とのスポンサーシップ締結も合わせて発表した。

世界220以上の国と地域で900万件以上の宿泊施設を誇る、Airbnbの現状

グローバルでの現状

 まず中川氏は、Airbnbが世界規模で展開するビジネスの現状を説明。現在220以上の国と地域で合計900万件以上のリスティング(掲載宿泊施設)を運営している。これらは550万人以上のホストに支えられており、累計の宿泊実績は25億回を超えるという。

 掲載施設は、一軒家から自宅の一室、マンションまで幅広い。中川氏は「多様な選択肢があるからこそ、旅行者のニーズや目的に応じた柔軟な滞在体験を提供できる」とアピールした。

進化する旅のプラットフォーム

アプリ内から手軽に手荷物預かり場所を検索・予約できる新機能。チェックイン前の身軽な観光をサポートする

 プラットフォームの機能面における最新アップデートについても触れた。同社は、単なる宿泊マッチングから「旅全体をサポートするプラットフォーム」への進化を継続しており、従来の「宿泊」に加え「体験」や「サービス」カテゴリーの拡充を進めている。

 具体的には、空港送迎やレンタカー手配、食品の事前購入のほか、旅行前後に一時的に荷物を預けられる「荷物預かりサービス」を導入。世界175都市で運用が始まっており、東京でもすでに開始しているという。

従来の「宿泊」に加え、「体験」や「サービス」といった新カテゴリーのタブが並ぶAirbnbのアプリ画面

 さらにアプリの使い勝手も向上した。数多く投稿される過去のレビューをAIが瞬時に解析・要約して分かりやすく表示する機能を実装。中川氏は「ユーザーがより快適に、ストレスなく旅の計画を立てられる環境を整えていく」とした。

日本市場の新戦略。ターゲットを「国内の新規ユーザー」へシフト

国内新規ユーザーの獲得や地方地域への需要分散など、日本国内に特化した新たなロードマップが示された

 Airbnbの日本におけるビジネスは2014年に開始し、直近の国内予約数は前年比127%と高い伸びを維持している。しかし中川氏は「日本の市場ポテンシャルを考えれば、まだまだ成長の余地は大きい」と指摘する。

 日本の国内旅行消費額は年間約26兆円。同社はこれまでのインバウンド需要を継続して獲得しつつ、今後は「日本国内のユーザー拡大」に注力し、国内の新規ユーザー獲得へ投資を強化する。このため、次の3つの重点戦略を掲げた。

・個人ユーザーの獲得強化: 国内では「名前は知っていても使ったことがない」層が圧倒的多数を占める。まずはブランドを正しく知ってもらい、一度試してもらう施策を徹底する。

・日本の旅行ニーズに即した開発: 家族旅行やグループ旅行など、インバウンドとは異なる日本独自のニーズや旅行文化に寄り添ったローカライズを進める。

☆地方・非観光地への需要分散: 主要都市や有名観光エリアに集中しがちなインバウンドに対し、国内ユーザーの動きを活発にすることで地方都市や非観光地へ需要を分散。地域社会への貢献やオーバーツーリズム解消につなげる。

地域社会の信頼が不可欠。地方自治体との連携と「民泊経済効果」の定量化

日本の豊かな自然に囲まれた多種多様な一軒家タイプのリスティング(掲載宿泊施設)

 中川氏は、日本でホームシェアリングという新しいサービスや文化を根付かせるためには、「何よりも地域社会の皆さまからの信頼を獲得することが最重要である」と語る。

 同社が地域社会の信頼を勝ち取るために進めている、直近の実践事例として次の2点が紹介された。

事例(1): ホスト育成と地域還元「エアビースクール」
 地方自治体と協働し、地域でホストを育てるセミナーを展開。長野県飯田市では4回のセミナーを経て、実際に6名が開業し、移住者も3名誕生した。こうした地道な草の根活動を通じ、コミュニティに歓迎される民泊を全国で増やしていく。

地方自治体と協働する「エアビースクール」の取り組み。長野県飯田市でのホスト育成や移住促進の実績などが示された

事例(2): 大阪府との協働と経済効果の可視化
 ホームシェアリングが地域経済にもたらす貢献を定量化するため、大阪府などと連携し「民泊経済効果レポート」を作成。速報案では、民泊利用者による経済波及効果が大阪府内で年間約1070億円、労働誘発効果が1万1714人に上るという試算を示した。数値を可視化することで“地域経済のパートナー”を目指すという。

“都市と共生するホームシェアリング”を掲げ、地域経済のパートナーとして業界横断的な対話を進める取り組みを解説

イベント連動型宿泊の提案。第1弾として「ガンバ大阪」とスポンサーシップ締結

瞬間的に宿泊需要が急増する大型イベントの開催時に合わせ、地域に根ざしたAirbnbの滞在スタイルを提案していく方針を示した

 国内の新規ユーザー獲得に向けた最大の切り札が「全国のイベントとの積極的な連携」だ。

 コンサートやスポーツの試合、地域のお祭りなどが開催される際、地方都市などでは一時的に宿泊需給のバランスが崩れ、宿泊難や料金高騰が発生する。ここに地域に根ざしたAirbnbを提供することで、参加者が快適にイベントを楽しめる環境を整えるという。

 その第1弾として、Jリーグ「ガンバ大阪」とのスポンサーシップ締結を発表した。スポーツ、特にサッカーはサポーターが“アウェー遠征”する習慣があり、さらに仲間や家族などグループでの旅が多い。一軒家などを丸ごと借りて大人数で過ごせるAirbnbの滞在スタイルは、スポーツ観戦の旅と本質的に合致すると説明する。今後は「推し活」など音楽エンタテイメント分野への拡大も視野に入れている。

 なお、今回のオフィシャルパートナー就任を記念し、「Airbnbに泊まってガンバ大阪を応援しよう!キャンペーン」を7月1日より開始した。

Airbnbに泊まってガンバ大阪を応援しよう!キャンペーン

期間: 2026年7月1日~10月11日の予約・宿泊分(Jリーグ公式戦は8月7日開始)
内容: 期間中に、Airbnb navi上の特設ページからエントリーし、Vポイント利用手続きのうえで1万円以上の宿泊を完了すると、Vポイント付与率が通常の0.5%から2.5%にアップする
特典: さらに、選手サイン入りの試合使用球やユニフォーム、観戦チケットなどが当たる抽選キャンペーンも実施している

目指すは「エアビー」の日常語化。「今年の夏休み、エアビーしない?」が当たり前の未来へ

 中川氏が目指すのは、「Airbnb(エアビー)」の日常語化だという。「日本において、誰もが当たり前に使う言葉になる状態を作りたい」とビジョンを語った。

 旅行の計画時にホテルや旅館と並んで自然に名前が浮かぶ社会や、空き家の活用方法として「ホストを始めようか」と思いつく環境の構築を目指すとしている。

 日常的に「今年の夏休み、エアビーがいいんじゃない?」という会話が交わされる未来へ向け、同氏は強い意気込みを語り、ラウンドテーブルを締めくくった。

ビジョンを掲げ、日本市場における今後の決意を語った中川氏