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名鉄広見線、新可児~御嵩を廃止し代替バス転換へ。みなし上下分離方式での運行存続を断念

2026年5月29日 発表
名鉄広見線の廃線が決定

 岐阜県可児市、御嵩町、八百津町の沿線3市町は5月29日、名鉄広見線 新可児駅~御嵩駅(約7.4km)について進めていた「みなし上下分離方式」による鉄道存続協議を終了したと発表した。今後は鉄道の存続を断念し、バスなどほかの代替交通手段への転換に向けた協議・準備を進める。

代替バスのルート案(新可児駅~御嵩駅間、約8.5km)※画像を開いてからクリックで拡大

年間1億円の支援で維持してきた路線

 名鉄広見線の同区間は、利用者の約半数を高校生などの通学利用が占める、地域の重要な交通手段となっている。しかし全体的な利用者の減少から運行の維持が厳しく、これまで可児市が年3000万円、御嵩町が年7000万円の計1億円におよぶ運営支援を行なうことで運行を維持してきた。

 2023年度からは、国や岐阜県、名鉄などを交えた「勉強会」を発足し、今後の路線のあり方を調査・検討。沿線3市町は、2027年4月からの「みなし上下分離方式」への移行を目指して名鉄と協議を重ねてきたが、最終的に合意には至らなかった。

名鉄が作成した名鉄広見線(新可児駅~御嵩駅)の区間収支 ※画像を開いてからクリックで拡大

みなし上下分離方式とは?

 そもそも通常の「上下分離方式」とは、列車の運行(上)と、インフラ設備の保有・管理(下)を事業として切り離し、自治体などがインフラ(土地、施設、車両)を保有して維持費を負担する方式のこと。

 これに対し、今回検討された「みなし上下分離方式」は、インフラなど資産の所有権を自治体に移転せず、引き続き鉄道会社(名鉄)が設備を保有し運行も続けながら、インフラの維持管理にかかる費用(「下」に相当する部分)のみを沿線自治体が負担するという運用方式となっている。

“みなし”とすることで自治体が鉄道施設を自ら保有するハードルを回避でき、鉄道会社から自治体への固定資産税等の税収も減少しないというメリットがある。

存続を断念した4つの理由

 事業構造を大きく変えずに自治体が支援できる現実的なスキームとして「みなし上下分離方式」が検討されたが、沿線市町は以下の4点を総合的に勘案し、合意を断念したと説明している。

(1)利用者減の歯止め困難
 クルマ社会のさらなる進展や人口減少、少子高齢化などにより利用者の減少に歯止めがかからず、恒常的な利用者増加が見込めない。

(2)多額の財政負担
 みなし上下分離方式において沿線市町が担うインフラなど(“下”部分)の財政的負担が年間3.4億円と大きく、ほかの住民サービスへの影響が避けられない。

(3)コスト増の懸念
 近年の物価高騰や人件費上昇により、事業費および沿線市町負担額が今後さらに増える可能性がある。

(4)災害時の復旧リスク
 災害発生時、“下”部分の復旧費用を沿線市町が負担する必要があり、突発的な費用負担への対応が難しい。

御嵩町が独自に試算した、名鉄広見線(新可児駅~御嵩駅)の利用数の将来予測 ※画像を開いてからクリックで拡大

ただちに廃止はせず、2028年度末までの運行継続を要望

 今回の存続協議終了によって、すぐに廃線となるわけではない。沿線市町は、現在の利用者への配慮や、代替となるバス路線など地域公共交通の準備・協議期間が必要であるとして、現在の協定を延長し、2028年度末までの運行継続を名鉄に要望している。

 現在は、この運行延長に係る協定締結に向けて、沿線市町と名鉄の間で引き続き協議が進められている。

鉄道の事業構造の変更パターン別費用の整理 ※画像を開いてからクリックで拡大
地域公共交通が廃止された場合に追加的に必要となる施策項目 ※画像を開いてからクリックで拡大