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ANAの直行便でスウェーデンに行ってきた! 北回りルートで約14時間の長距離フライトを搭乗レポ
羽田~ストックホルム線
2025年2月28日 16:00
- 2025年2月 時点
ANAは1月31日、本邦航空会社初の羽田~ストックホルム線を就航しました。日本とスウェーデンの首都・ストックホルムを結ぶ現行唯一の定期便で、ANAとしても北欧行きは初路線となります。
今回、羽田発ストックホルム行きのNH221便に搭乗する機会が得られたので、さっそく長時間フライトの乗り心地や機内サービスをレポート。記事後半では、スウェーデン旅行の前に知っておきたいキホン情報も紹介します。
羽田を真夜中に出発し、ストックホルムに到着するのは朝6時すぎ。運がよければ空からオーロラが見えるかも
ANAの羽田~ストックホルム線(2025年1月31日~3月29日)
NH221便: 羽田(00時30分)発~ストックホルム(06時20分)着、火・金・日曜運航
NH222便: ストックホルム(09時35分)発~羽田(翌07時20分)着、火・金・日曜運航
NH221便(羽田→ストックホルム)のフライトは約14時間。ウクラライナ情勢の影響によりロシア上空を迂回する北回りルート(シベリア経由)で運航するため、通常の日欧間フライトよりもやや長め。
風向きや気象条件の影響を受けやすい北極圏上空を飛行するので運航日によってもフライト時間は変動しますが、天候に恵まれれば機内窓からオーロラが見えるというサプライズもあります(今回は残念ながら見られず)。
使用機材はボーイング 787-8型機。エコノミークラスの最前列“バルクヘッド席”に乗ってみた
ストックホルム線の使用機材は、3クラス全184席仕様(ビジネスクラス32席、プレミアムエコノミー14席、エコノミークラス138席)のボーイング 787-8型機。出発は、羽田空港 第2ターミナルの国際線エリアから。
機内に乗り込むと、ANAらしいブルーを基調とした落ち着いた雰囲気のキャビンが広がり、日本人CAが出迎えてくれました。配列3-3-3のエコノミークラスも、国際線の長距離フライト向けに快適性を重視したゆったり設計になっていますが、今回はさらに足元が広いキャビン最前列のバルクヘッド席(窓側)を選択。
通常のエコノミークラス席は、シートピッチが約34インチ(約86cm)、シート幅が約17.2インチ(約43.7cm)、リクライニング幅が約6インチ(約15cm)。バルクヘッド席はプレエコの境目になる壁が目の前にくる席で、シートピッチが通常の+10~20cmほど広く足元に余裕があり、窮屈感なく過ごすことができました。
目の前の壁の圧迫感が気になる人もいるかもしれませんが、個人的にはやはり、前席がないぶん膝まわりと足元が広々している、壁があることで少しだけ静かに感じる(ような気がする)、トイレ利用で通路を行き来する人が視界に入らない、前席の急なリクライニングで驚かない、一部のバルクヘッド席は赤ちゃん連れ用の簡易ベッドも設置できる、などのメリットを感じました。ただし、手荷物を足元に置くことはできず、離着陸時は上部の収納棚に入れる必要があります。
個人用のタッチスクリーン式モニター(約9インチ)と食事用テーブルはアームレスト部分に格納されており、全席共通でUSBポート(Type-A×1)とユニバーサルAC電源も完備。新作映画を楽しんだり、デバイスを充電したり、エコノミーは有料ですが機内Wi-Fiをつなげばインターネット接続も可能でした。
バルクヘッド席とは異なり、機体後方のキャビン最前列は「非常口席」になっており、エコノミークラスながら“もっとも足元が広くて快適”という点で人気。しかし、非常口席も手荷物は上部の収納棚に入れておく必要があり、また、万が一のときには客室乗務員の指示のもと緊急脱出の援助をする、満15歳未満の人や小さな子供連れは座れないといったルールがあるので、事前に確認を。
エコノミークラスの機内食&サービスを紹介。より快適に眠るなら空旅グッズを持参せよ
エコノミークラスではブランケット、機内エンタメ用のヘッドフォン、お水のペットボトルが用意されていますが、スリッパ、歯ブラシ、アイマスク、耳栓、化粧水などのアメニティ類は提供されません。
また、キャビン最前列のバルクヘッド席・非常口席は足元が広い反面、フットレストがなく(前に座席がある通常席にはネットタイプのフットレストが備わる)、さらに隣席同士のアームレストも上がらない造り。より快適な睡眠を確保するためには、ネックピローやアイマスク、足がラクになるスリッパなどの空旅グッズを持参するのがお勧めです。
機内食は3回。まずは離陸後1時間ほどで夜食が提供されます。この日は和食セット(鶏てりやき丼、サラダ、ふろふき大根のそぼろあんかけ、ヨーグルト、チーズ、クラッカー)でした。さらに数時間して軽食(惣菜パンと飲み物)。そして、着陸2〜3時間前に主役の朝食となり、メインディッシュには和食(鮭の彩りご飯)か洋食(トマトペンネとチキンのクリームソース)を選べました。ソフトドリンクやアルコールは、食事以外のタイミングでも自由にオーダー可能。
欧州路線に限らずですが、現地のごはんやコーヒー代は割高なので機内でしっかりお腹を満たしておくのがベターです。
運賃例として、羽田~ストックホルム線の往復エコノミークラスは最安値17万3000円~(燃油サーチャージ込み、空港税など別途)。予約時期によって大幅に変動します。
ちなみに帰国便は、従来の経由便(今回はストックホルム→パリ・シャルルドゴール→羽田)を利用してみましたが、ANA運航のパリ発羽田行きも同じくロシア上空を迂回し、中央アジア上空を飛ぶ南回りルートで、合計約19時間30分かかりました。乗り継ぎ時間の問題やロストバゲージの心配から解放されると思うと、やはり直行便はラクです。
アーランダ空港5タミに到着。そこからシャトルバスに乗っていざ、観光の拠点ストックホルム市街地へ!
さて、夜中に羽田を出発したNH221便は、冬のまだ薄暗い朝6時過ぎにストックホルム・アーランダ空港ターミナル5に到着。EU圏外からの到着便ということで入国審査の列が進むのは少し遅く感じたものの、時間帯的に飛行機の混雑はなく手荷物受取はスムーズで、すぐターンテーブルに荷物が届きました。
空港から市内中心部へのアクセスは、黄色い鉄道「Arlanda express(アーランダ・エクスプレス)」を利用すれば、約20分でストックホルム中央駅に到着。運賃は、大人1人往復640SEK、2人以上は割引されて1人あたり往復460SEK。
虹色のマークが目印の空港シャトルバス「Vy flygbussarna(フライバス)」を利用すれば、約45分でストックホルム中央駅そばのシティターミナルに到着します。運賃は、大人1人片道129SEK、往復利用は割引されて大人1人209SEK。
観光に便利なホテルは、ストックホルム中央駅の徒歩15分圏内ほどに多く集積しており、1泊1~2万円台のスタンダードなホテルから1泊5万円以上のラグジュアリーホテルまでさまざま。まずはさっさと荷物をホテルに置いて(アーリーチェックインして)、シャワー浴びたい!という人は、あらかじめアーランダ・エクスプレスかフライバスのチケットを公式サイトで購入しておくのが安心だし、お得です。スケジュールや行き先に応じて、空港からタクシーやUberを利用する手もあります。
今回はフライバスを利用してみました。日本で事前購入しておいた往復チケットだったので、決済後すぐに送られてくるQRコード画面を乗車時に提示するだけでOK。
空港バス乗り場「7」は、飛行機が到着したターミナル5から少し移動し、ターミナル4を外に出た目の前にあります(帰りも同様)。深夜帯を除いて約15~20分間隔で24時間運行しており、チケットは購入日から3か月以内有効かつ便指定もないので、空港に到着してから好きなタイミングでバスに乗り込んで、市内へ向かうことができました。
大型のバス車内(自動車メーカーはスウェーデンのVOLVO)も、日本の一般的な空港直行バスと変わらぬ快適さで、外の美しい自然の景色を眺めていたらあっという間にシティターミナルに到着。
この中央駅が、ストックホルム観光では何かと起点になるのでポイント。帰りも同じバスターミナルから出発します。また市内交通では、地下鉄、路線バス、トラム(路面電車)、運河船などが整備されていたのが便利でした。
スウェーデン旅行の前に知っておきたいこと
日本との時差: 8時間(日本の方が8時間進んでいる)
ビザ: 日本国籍で90日以内の観光目的の滞在であればビザ不要
※2025年に日本からEU諸国へ渡航する際に必要な事前渡航認証システム「ETIAS(エティアス)」が導入(明確な導入日は未定だが、移行・猶予期間が設けられる予定)
通貨: スウェーデン・クローナ(2025年2月時点の為替レートで1SEK=約14円)
両替: 空港かATMで。クレジットカード決済(Visa/Mastercard/JCBなど)が普及しており、現金を使う機会は少ない。クレカ決済しかできない店舗もある
チップ: 慣習なし。レストランやホテルではサービス料込みの場合がほとんどで、チップは基本的に不要
水: 日本と同様、水道水は飲用可能で高品質という世界でも数少ない国
電源: 220V/50Hz
コンセント形状: BタイプもしくはCタイプ
治安: 比較的安全だが、スリや置き引きに注意
気温と服装: 春夏(5~8月)は15~25℃で、薄手のジャケットやカーディガンが必要。秋冬(9~4月)は-5~10℃で、防寒着や手袋・帽子が必須
※夏は1日中太陽が沈まない白夜、冬は日照時間が短い極夜の期間がある
宗教的注意点: 主にキリスト教(ルーテル派)。大聖堂などの宗教施設訪問時は適切な服装を
スウェーデンの首都ストックホルムは、バルト海に面した14の島々と運河からなる美しい水の都。中央駅周辺には大きなショッピングモールや飲食店、コンビニ(特にセブン-イレブンが多め)があり、日本人にもおなじみ「IKEA」や「マリメッコ」のショップも。平日には通勤サラリーマンが行き交う都会的な街ですが、皆ファッションがとてもお洒落です。
中央駅から歩いて約30分ほどで行けるのが、ランドマークでもある旧市街ガムラ・スタン。中世の街並みが残り、宮殿や大聖堂、ノーベル博物館、北欧雑貨の土産店などの観光スポットがコンパクトに集まっています。石畳の路地にカラフルな建物や三角屋根の教会が立ち並ぶ風景は、「魔女の宅急便」のモデルにもなったそう。
春夏は過ごしやすい気候で、自然と都市が調和した景色を眺めながら徒歩で散策もしやすいベストシーズン。一方、冬は日照時間が短く、雪の日は朝7時を過ぎても薄暗いのですが、冷え切った身体を本場の北欧サウナで温める気持ちよさは最高で、郊外にひと足のばせばオーロラ観測、犬ぞり、アイスホテルに泊まる体験といった楽しみもあります。
食事は、サーモンや寒い冬を乗り越えるために食されてきたニシンの塩漬け、北欧ではメジャーなマッシュポテトとコケモモのソースを沿えたミートボールが名物。チーズやヨーグルトなどの乳製品、ワインも高品質です。
また、「FIKA(フィーカ)」と呼ばれるコーヒーブレイク文化が根付いており、焼き菓子やシナモンロールなどの甘いパンを一緒に味わうのが定番。街じゅうにカフェがあり、スタバよりも数が多いチェーン店「Espresso House(エスプレッソハウス)」などで気軽にひと休みできます。
街なかのコーヒー1杯の平均価格は約40~50SEK(約540~675円)。レストランでスウェーデン料理のディナーを堪能するなら、2人で約1500SEK(約2万1000円)前後の予算をみておくのが○。
ストックホルムを観光するなら、電子チケットの周遊パス「Go City」も要チェック。宮殿、大聖堂、ヴァーサ号博物館、スカンセン野外博物館、ノーベル賞博物館、スウェーデン国立美術館といった文化施設から、乗り降り自由の観光バス、運河を巡るボートツアーなどのアクティビティまで、およそ70項目にパスを提示するだけで入館・利用できます。
Go City専用アプリでは、観光施設の場所と概要をマップで確認できたり、今いる場所から近くの施設を表示してくれたりもするので便利。1デーパス(大人1人899SEK、約1万2600円)など最大5日間の有効期間から選べ、効率よくまわれば元が取れるし、1回ごとに現地で入館チケットを購入するよりお得ですよ。